●『ひらがなでよめばわかる 日本語のふしぎ』
ことばの本で印象的なのは『ひらがなでよめばわかる 日本語のふしぎ』中西進著(小学館)です。なぜ目を「め」、鼻を「はな」、歯を「は」といい、植物の芽、花、葉と同じなのか。それは、日本人が持つ「同じ立場や役割をもつものを一つの単語でよび、ものとして、形態が違っていても区別しない、という考え方」に基づくものだそうです。日本語を根源まで遡って味わうことで、ことばに込められた思いや、日本人本来の心の豊かさに触れることができると著者は語っています。私自身改めて日本語を大切に使わなくては、という気持ちになりました。
●『感じることば 情緒をめぐる思考の実験』
もうひとつ、『感じることば 情緒をめぐる思考の実験』黒川伊保子著(筑摩書房)は、日常のことばの情緒を綴ったエッセイですが、男性脳と女性脳の違い、著者の研究分野であることばの音相分析など、いろいろ興味深いものでした。ことばは意味を伝えるだけでなく、雰囲気やイメージも伝えるということを強く感じさせてくれます。静かで心地よい文章の中に、時折筆者の日常を支え愛する「大切な人」「愛しい人」の存在が感じられるのも素敵でした。
●『危険な文章講座』
文章についての本で、強い印象があるのは『危険な文章講座』山崎浩一著(ちくま新書)です。「文章の<バランス>なんて考えるな、<ゆがみ>を大切にすることからこそ理想的な自己表現は生まれる!」と言い切っています。肉筆とワープロの違い、凶器としての文章、日本語の特性といった、文章に付随することもたくさん書かれています。一つの思いを語るにも無限に近い文章表現があるものだと感じました。
●『文章心理学入門』
あと『文章心理学入門』波多野完治著(小学館創造選書/新潮文庫)は、文章を科学的に究明することを意図して書かれています。文の構造、句読点、品詞、センテンスの長さなどによってどんな効果があるのか、あるいは創作する人の性格と文章、心理などが説明されています。ときには、自分の文章の“感覚”に気を配ることも考えなければと思いました。
●『文章読本さん江』
さらに『文章読本さん江』斎藤美奈子著(筑摩書房)は、「文章読本」と呼ばれる書物自体の研究です。その書き手像から内容や形式の分析には納得することが多く、読者像の中で、特に女性は表現として文章を書こうとする、というところで当たっていると実感しました。
著者はおしまいに「文は人なり」ではなく「服なり」と述べています。文章とはTPOごとに着替えていくもので、人に指図されるものではないとのことです。着る服、つまり書くべきことばや文章はそのときどきで自分で判断するものだと。でも、それがよく分からない私は、やはりこれからもたくさんのことばや文章の本を読み続けるんだろうなあと思います。
スウより
>ものとして、形態が違っていても区別しない、という考え方」に基づくもの