いし(2002/12月/花日和13号より)
●初歩の初歩の家事から
結婚して引っ越すため、職場を離れると決まったところ、同僚の方からアドバイスをもらいました。「一度専業主婦になるなら、家事のスピードアップと節約ができるようになってから再就職した方がいいよ」と。そもそも私は、結婚するまで全く家事ができないありさまでした。最初に近くの市立図書館で借りた本が『サルでもできる家事 いっさいがっさい』清水ちなみ OL委員会著(幻冬社)だったくらいです。
料理の本ひとつとっても、作りかたの写真が逐一載っているものでないとだめという具合。
最初の2ヶ月程はかなり苦戦していました。それでも、全然できなかった物事を学ぶ機会を持てたことは、ある意味恵まれているのでは、と思いました。今までになく自分の暮らしに実感を持つこともできました。
さて。少しは慣れて、スピードアップも考えられるようになって思い出したのが、スウさんが第9号で紹介していた『快速*快適家事のススメ』。図書館で結局その本は見当たらず、同じ著者の本を探し出しました。『ネオ家事入門』百瀬いづみ著(朝日新聞社)です。
家事に対して、主婦が完璧にやるものではなく、男性や子ども、お年寄りなども含めた誰もができるものを目指すという姿勢に好感を持ちました。副題が「目からウロコの生活リストラ術」とあって、はっとさせられるところもありました。エプロンやマイバックがあまりにも合理的過ぎて使える人や状況が限られているので、もっとデザインや格好良さも必要ではといった提案もありました。
また、私自身合成洗剤より石鹸を使おうとしていますが、「せっけんとお酢と重曹を使って掃除することも、環境対策より家事の手間が減ると思うから」という意見でした。
一方、節約の本は世の中を反映してか、本当にたくさんありました。いきなり収入が激減して節約せざるを得なくなったとか、かなり悲惨なものもあって、思わず自分の家計と見比べてしまいました。ちなみに私が本を読んで実践した中で特に成果があったのは、食費(半額!)と電気代(二千円ダウン!)でした。
数々の節約本の中で、最も印象に残ったのは、『節約生活のススメ』山崎えり子著(飛鳥新社)です。ご存知の方も多いと思います。「健康」「環境」「倹約」を柱に独自の節約術、とのことですが、急な生活の変化から始まったのは他の本と同じでも、その後も工夫を重ねている点、単なる節約にとどまっていないようです。さまざまな節約術を自分で試したり、一度したことも更に見直を図ったり。
こんなに工夫し、家事を極めていくのは、私には難しいと思う点もあります。けれど、共感できるところがたくさんあり、メモをとって役に立つことも多く、とても参考になりました。続編に『工夫生活のススメ』『快適生活のススメ』があります。
『ネオ家事入門』と『節約生活のススメ』に共通しているのは、シンプルさと物事に対する柔軟性ではないかと思いました。いろいろ探してみて、スピードアップと節約は、両立し得ない部分ばかりではないと感じました。私の家事はまだまだ初歩ですが、一歩一歩進んでいきたいと思います。