『宝島』スティーヴンスン/海保眞夫 訳/岩波少年文庫

スウ (2011.10.7)

マンガ『ワンピース』を読んで大変面白かったので、やっぱり海賊ものだわ。『宝島』も読まなきゃイカン。ということで岩波少年文庫で読んだ。

宿屋の息子ジム少年が、迷惑な宿泊客(元海賊)の荷物から宝の地図を手に入れた。その土地の有力者と医者などと一緒に宝探しの船出をするが、乗組員達は全員信頼できるとは言えなかった。宝島が見えてきた上陸直前に、偶然ジムは裏切り者達の密談を聞いてしまう…。

海洋冒険物語の面白さってなんだろうと考えてみると、宝探し、海賊たちとの攻防、未知なる島、ままならぬ潮流とまたそれを操り乗り越えていく技術と興奮、人間的には約束を守ることに誇りをもつ男の態度などがあるのだなあと再確認。もちろん狡猾な裏切りも。
旅がまだ命がけの冒険で、海をまたぐにはなんといっても船しかなかった18世紀が舞台だからこそ、こうした海洋冒険小説が成り立つのだろう。

"黒ひげ、エドワード・ティーチ"とか、"片足の老コック"とか、元海賊のくせに財宝を手に入れたら町の名士になりたい野望だとか、話自体とは全然関係ないけれど、ワンピースと色々共通点を伺えたところが興味深く面白かった。

ジム少年が勝手な行動をしてものすごくうまく行ったと思ったらうっかり敵の真っ只中に入ってしまったとか、海賊と一騎打ちをしたり小船で潮流と苦戦したり、男の子の冒険物語として大層面白い話の展開をするが、訳者あとがきをみると、スティーヴンスンは主人公はむしろ片足の老コックとして書きたかったものらしい。人心掌握術を持った狡猾で魅力的なこの人物から見れば、ジム少年もまだまだ甘いといったところかもしれない。ジム少年とこのコックだけ、挿絵がイメージと全然違ったのが惜しかった。


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