夏〜秋のブックフェア−2004  

夏の初めから最近までの、書店に出まわったブックフェアー冊子の中で、
自分(スウ)が読んだ本に関して思い出すことを書いてみました。 読んだ、というだけであまり覚えてない本もありますが、ご愛嬌。
早川書房・新潮社・集英社・角川書房のブックフェア冊子


新潮社 〜新潮文庫の100冊


古典的な名作が多く、一番多く読んでました。これでも。
紹介文やキャプションが、私としては一番よかったです。

37冊/100


「羅生門・鼻」芥川龍之介
本で読んだ時より、国語のときに習った記憶のほうが強い。
「人間失格」太宰治
高校の時読んだ。どこまでも暗い話で衝撃をうけた。共感するところも沢山あった。
「斜陽」太宰治
これも高校の時。「かくめいというものは・・」という言葉が印象的なわりに意味が良く分からず、何度も読み直した。
「伊豆の踊り子」川端康成
2年前くらいに読んだ。思っていたより読みやすくせつない感じが伝わってきて面白かった。踊子の「いい人はいいね」で学生が救われたような気持ちに晴れ晴れするところ、別れて船の中で泣くところが、きどってあっさりしているようでいて、若くもろい感じがしてほろりとさせられた。
「友情」武者小路実篤
高校の頃くらいに。面白さが分からず内容も覚えていない。
「檸檬」梶井基次郎
高校の時。文章がとても良かった。表題作よりも他の短編のほうが気に入ったような気がするが覚えていない。
「白痴」坂口安吾
これはかなりな面白さだった。何かを捨てるにも「捨てるなりのはりあい」というものが必要だ、という事を知った。女が犬のような必死さをみせ男が感情を動かすところが印象的だった。
「銀河鉄道の夜」宮沢賢治
中学生ごろ読んだ。申し訳ないけれど面白くなかった。近年アニメで見たときは非常に感動した。特に「さそりの犠牲」こと。
「注文の多い料理店」宮沢賢治
子供のときに読んだので素直に面白かった。
「沈黙」遠藤周作
拷問がリアルで怖かった。いろいろと考えさせられた。
「海と毒薬」遠藤周作
高校のとき友だちに薦められて。一気に読んですごい衝撃をうけた。なぜか今もよく覚えているのは看護婦が白人の女性に叱られている時、腕を見て「白人の女は毛深い」と考えている場面。
「砂の女」安部公房
息詰まるような怖さ。後に岸田今日子で映画化したと知りこれ以上無いキャスティングだと思った。
「燃えよ剣」司馬遼太郎
とにかく爽快感いっぱいの魅力あふれる作品だった。こういう男性はとても好き。
「塩狩峠」三浦綾子
読みやすくドラマチックで非常に面白いし感動した。父親に「約束を守れ」と諭された所をよく覚えている。本を読まない夫にもこれだけは読ませた。というか「彼氏」のころは勧めた本はなんとか読んでいたのだが・・・。
「西の魔女が死んだ」梨木香歩
比較的最近読んだ。ええ話やった。10代の時に読んでいればもっと感動したと思う。白熊はムリしないというセリフがよかった。
「キッチン」吉本ばなな
この人の本は読んでいる時はとても深いものに包まれている感じがしてよいのだが、あとあと思い出してもどこがどう良かったとか具体的に言えない。
「命」柳美里
こんなことまで書いていいんかな。かなり身を削って書いているなという衝撃。命が入れ替わりで与えられるというのは感動的。
「絵のない絵本」アンデルセン
これはかなりかなり好きな本。月の光がやさしく人々を照らすけれど、月にはなにも出来ない。
「不思議の国のアリス」ルイス・キャロル
新潮社じゃなくて岩波少年文庫で読んだんだけど。俯瞰して考えるとへんな話だけど読み出すとやめられない面白さだと思う。特に鍵穴から美しい庭を覗くところなんか好きだった。
「フランダースの犬」ウィーダ
これは、嵐になぎ倒されるように泣く。しょうがない。不可抗力。
「異邦人」カミュ
冒頭とか流れのインパクトで強引にこの世界に持っていかれる。しかし高校くらいで読んだのでよく分かったんだかどうだか疑問。
「変身」カフカ
どうなることやら目が離せないでいると、救いようの無い結末が。それにしても『異邦人』は「今朝、ママンが死んだ」という書き出し、これは朝目を覚ますと巨大な毒虫に変わっているし、朝っぱらからみんな大変だな。
「罪と罰」ドストエフスキー
有名なあらすじほど単純でない話で、私にとっては難しかった。人間にとって一番辛い罰は、「単純作業で同じことの繰りかえし」という事を知った。
「十五少年漂流記」ヴェルヌ
男の子だったらワクワクものの冒険話だと思うけど、私はけっこう平気で殺生するところが抵抗を感じた。あとがきの、ヴェルヌが世に出るまでの解説のほうが面白かった。
「赤毛のアン」モンゴメリ
面白くて一気に読んだ。アンが、「この美しい花を見ることが出来ない(他の土地の)人はかわいそう」だと言うのに対し、ダイアナは「(存在を)知らないんだからかわいそうじゃないわ」という会話がある。以来私は「こんなに美味しい・美しい・面白い・ものを知らない人がいるとは」と思う状態を、「アンとダイアナ問答」と勝手に呼んでいる。
「車輪の下」ヘッセ
非常に繊細な話で、ちょうど受験生のころに読んだので深く思うところはあった。でも私は「デミアン」のほうが好きだしもっと感動した。
「シャーロック・ホームズの冒険」コナン・ドイル
たぶん社会人になってから読んだ。面白かったとは思うけれど内容はまったく覚えていない。
「ナイン・ストーリーズ」サリンジャー
吉田秋生の『BANANAFISH』が旬だったころに読んだ。けっこう怖いことが淡々と書いてあったように思う。怖いっていうのは、人間のこと。『ライ麦畑でつかまえて』よりこちらのほうが分かりやすかった。
「朗読者」B・シュリンク
前半が若かりし頃の甘酸っぱい体験、みたいな酔っている文章だなと思っていたら、後半はガラっと雰囲気が変わり、ドイツが戦争でつけた傷は自国の若者にいつまでも尾をひいている・・という冷えびえとした話で興味深かった。恋愛ものと思って読むと違う気がするが、男性には好評らしい。
「白い犬とワルツを」テリー・ケイ
超ベストセラー。借りて読んだ。評判とは違うところでしんみり来た。
「そういうふうにできている」さくらももこ
著者の妊娠顛末記。とてもおもしろかったけれど、ここで「いい人だ〜」と感動しただんなさんと後で離婚したので勝手にがっかりした。

集英社 〜ナツゼロ?ナツイチ!夏の一冊集英社文庫

集英社文庫
現代モノが多くあまり知らないのも多かったです。
玉木宏さんの写真集のような部分もありファンには嬉しいでしょうね。<他人事。
石田衣良の夏の読書に関するエッセイは良かったけど、写真が別人みたいだった。


8冊/91


「夏と花火と私の死体」乙一
けっこう最近読んだ。書き方が新鮮でかなり衝撃だった。
「天使の卵」村山由佳
よくある話っぽいものをここまではかない恋物語にしたのはすごいと思う。女性は松嶋菜々子で想像しながら読んだ。
「銀河鉄道の夜」宮沢賢治 
(新潮文庫にコメント)
「こころ」夏目漱石
ストーリーもさることながら、日本語の美しいのに感嘆しながら読んだ。
「なつのひかり」江國香織
なにが面白味なのかさっぱり分からずがっかりした。
「南極のペンギン」高倉健
感想書きました。意外と感動してしまいその年のベスト。
「人間失格」太宰治
 (新潮文庫にコメント)
「もものかんづめ」さくらももこ
面白エッセイのはじめでとても気に入った。その後「そういうふうにできている」も面白かったが「さるのこしかけ」「たいのおかしら」と続くうちにウケ狙いの薄いネタになってきたような気がした。

角川書店 〜発見。角川文庫


人気作家の巻頭特集がよかったです。
未読のものでは「嗤う伊右衛門」「姥ざかり花の旅笠」が読みたくなりました。


24冊/100


「冷静と情熱のあいだ〜Rosso」江國香織
感想書きました。小説としてはけっこう好きだけど、終わり方は納得できなかった。
「冷静と情熱のあいだ〜Blu」辻仁成
感想書きました。これを読んで話として納得した。
「哀しい予感」吉本ばなな
装丁の絵がとても印象的。おばのゆきのは浅野温子で想像しながら読んだ。
「キッチン」吉本ばなな
これに限らず、けっこう異常な設定なんだけど、あまり違和感なく普通に受け容れてしまうのが不思議。
「人間の証明」森村誠一
すごくすごく面白かった覚えがある。
「なぜ仕事するの?」松永真理
一流でなくてもいい。という言葉が励みになった。
「銀河鉄道の夜」宮沢賢治
 (新潮文庫にコメント)
「堕落論」坂口安吾
高校生の私には難しかったけれど、未亡人も年月を経れば夫の墓に手を合わせるのも事務的になる、良し悪しではなく、人間とはそういうものである、と明言しているのが新鮮だった。
「書を捨てよ、町に出よう」寺山修司
内容はあまり覚えていないけど、母親に対する感情が激しくて驚いた気がする。
「海と毒薬」遠藤周作
(新潮文庫にコメント)
「銀の匙」中勘助
文学の時間、先生が名文であると大絶賛していたので読んだけれど、あまりピンとこなかった。
「坊ちゃん」夏目漱石
中学の時読書感想文のため読んだ。冒頭から痛快で面白かったけれど、本当の「世の中の不条理」はそのときは分かっていなかったと思う。
「こころ」夏目漱石
(新潮文庫にコメント)
「人間失格・桜桃」太宰治
(集英社文庫にコメント)
「走れメロス」太宰治
最近夫が、「これギリシャの話じゃないの?」と、いった。。。かく言う私も、初めてふれたのはテレビアニメだったので子供の頃はギリシャ産の話かと思っていた。
「羅生門・鼻・芋粥」芥川龍之介
(新潮文庫にコメント)
「もの食う人びと」辺見庸
日本兵が現地人をつかまえて食べた話や、チェルノブイリで、汚染されていると分かっていてもそこで採れた作物を食べて暮らす人々のことなど、いろいろ衝撃的で、同じものを食べる著者もすごい。
「氷点」三浦綾子
こんな面白い小説はないと思った。夏江の女としての狡さ、心理描写に舌を巻いた。
「私たちは繁殖してるいるイエロー」内田春菊
マンガですけれど。赤ちゃんの生態がたのしい。
「成りあがり」矢沢永吉
おばあちゃんと暮らしていて卵がごちそうだったとか、バンドをやってて邪魔なやつは迷い無く捨てた、という話を覚えている。矢沢節炸裂でけっこう感動するつくりだった。
「アルケミスト」パウロ・コエーリョ
その時々で良い言葉が出てくるけれど、全体としてはあまり惹かれる話ではなかった。
「変身」カフカ
(新潮文庫にコメント)
「少女パレアナ」エレナ・ポーター
母の本棚にあった。とても前向きになれる物語。これも好きだけど同じ著者の「スウ姉さん」のほうが心の書。
「十五少年漂流記」ジュール・ヴェルヌ
(新潮文庫にコメント)

早川書房 〜私の棚。ハヤカワ文庫2004 秋のHOT HIT 100

ハヤカワ文庫
これは最近(9上旬)本屋さんで見つけました。一冊しか読んでいなくてけっこう寂しかったので
「うたかたの日々」を借りてきて読もうと試みたけれど結局挫折。
よけい悲しく・・


1冊/100

「アルジャーノンに花束を」ダニエル・キイス
図書館のバイトをしていた時、司書さんから読めと有無を言わさず渡された。初めて読む特殊な雰囲気の小説で、かなり衝撃、影響を受けた。

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