理系の就職戦線

 厳しい就職戦線が続いている。テレビで就職が決まらない学生のレポートをしばしば見るが、そのたびに「彼(彼女)は文系理系どっち?」とまず思う。それが明かされる事は無いが、理工学部に職を得るものとして気になるところだ。

 本学では1つのキャンパスに理系文系両方の学部があるから、学生間の交流も盛んだ。サークル活動で、特に運動部だが練習時間が合わない話をよく聞く。それは理系と文系授業時間数の違いからくるものだ。当然理系の方が長い時間勉強している。それに授業料も高い。だから就職戦線に於て、理系学生が有利であるべきと、当然のように思う。

 最近、文系の方が高年収いという通説が覆される報道があったが、好ましい事と思う。しかし平均値の差はわずかで、しかも各々ピンキリだから、ラップしているところが多いだろう。各々に向いた道に進んで努力するのが正論だろう。しかし、受験までに方向を決められずに、とりあえず入れるところに入っておくという選択もあるようだ。
 この時期、製図室に来る学生達がインターネットで求人情報を検索している。理系にもかかわらず銀行・商社・マスコミ・不動産関係を検索している学生をしばしば見掛ける。そんな学生、本学では比較的多いそうだ。製造業でも営業職を希望する学生もいるはずだから、理系学生の職業選択の範囲は広いと言える。そして逆はまず無いだろう。

 理系と文系の就職率の比較を調べてみた。「大規模な総合大学の実質就職率 不況で理系学生多い国立大優位」 という昨年8月の記事があった。
見出しからも、理系が、しかも国立大学が優位とあるが、本学の名前が2回も出てくる。
 記事をそのまま引用すると、「一方、この国立大とは対照的なのが私立の総合大学。10位の上智大は、理系学部と文系学部の卒業生数比率は1対5で、圧倒的に文系学部の卒業生が多い。不況期には厳しい結果になる。卒業生2000人以上の私立大の実質就職率は、いずれも昨年よりダウンした。」
「それでも表にあるように高い率を残している私立大も多い。特に上智大、関西学院大、青山学院大など、男子より就職が厳しい女子学生が多い大学が上位に入った。女子への手厚い就職支援のたまものだろう。ちなみに私学の雄、慶應義塾大は77.3%で27位、早稲田大は72.4%で37位だった。」

 記事にある通り、本学が私学で2位を占め、総合でも10位となった。卒業生の1/6しかいない理工学部学生がランキングに貢献したのは嬉しい限りだ。ただ、「女子への手厚い就職支援のたまものだろう。」というのは意味不明だ。手厚い就職支援に男女差はない。
 私学の雄といわれるマンモス校が順位を落としたのは、その弱点が現われたからだろう。冒頭に「大手大学では学生が多く就職指導しきれないこともあって、小規模な大学に比べると低めになっている。」とある通りだ。 大手でもマスプロでなければ大丈夫だ。 (2011/1/21)


戻る  Home