公害防止管理者とCMfgE

  この2つの資格は私が以前取得したものである。いずれも機械設計を生業としている時に取得したが、その理由は全く異なる。共通しているのは勉強にはなったが、あまり役に立っていない事である。

 公害防止管理者は水処理プラントの設計をしている時に取得した。この資格はプラントの設計者には必要でなく、プラントを使用する側が必要なものである。機械設計者としてプラントのハード部分のみに目を向けていてもよかったのだが、上流側の処理プロセスの決定にも関心があったので化学屋さんとも交流があった。彼らが勉強のために公害防止管理者の資格を取得していたので、では私もと挑戦したわけだ。前年に試験に失敗した化学屋さんもいたと聞いていたので、結構まじめに勉強した。試験終了後、答え合わせをした。あと1問正解だったら合格だったのにと、あきらめていたが、翌年3月の官報に名前が載った。ぎりぎりの合格だったのだろう。30年前の話である。
 最近、経済産業省で資格見直しの論議がなされていることを知った。検討会報告書でISO14001との関係に付いて述べているが、興味深い話だ。「(ISO14001の)認証を取得している事業者のうちの96%が、その構築した環境マネジメントシステムにおいて公害防止管理者又はその有資格者が何らかの役割を果たしていると回答しており、その役割は内部監査員との回答が最も多く、認証を取得している事業者の94%であった。」とある。
 私も以前の勤め先で、ISO14001の認証を更新するための審査に立ち会ったことがある。但し偶然の事で、資格を取得していた事とは関係なかった。
 折角の資格を埋没させないためにも、ISO14000には今後も関心を持ち続けたいと考えている。

 CMfgE(Certified Manufacturing Engineer)の方だが、2001年に取得した。9.11テロ以前の事で、アメリカ大使館での認定書授与式が思い出深い。きっかけはSME東京支部からの勧誘だった。社内に勉強会を立ち上げて、約1年半の勉強の後受験し、資格を得ることが出来た。世界的な資格を取得する事に魅力もあったし、生産技術への理解を深めて設計の質を高めたいという期待もあった。この資格は特にアメリカで認知度が高い。一部の工作機械メーカーでは資格取得者を優遇している。私のところではご褒美に図書券をもらった。
 CMfgEは実務経験がないと受験できないが、CMfgT(Certified Manufac-turing Technologist)は学生も受験が可能である。練習問題がWebサイトにあるので試してみたら良い。

 余談だが、本学では精密工学講座で生産技術を学ぶ事ができる。 学生達と話をしていると、「就職希望は生産技術部門です。」と言う声が多い。尤もと思うが、生産技術をアドバンテージにして、製品開発部門も狙って欲しいという思いもある。 (2005/9/16)


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