ピレネー

 日本が猛暑のさなか、ピレネー山脈へ避暑に行ってきた。ピレネーはフランス語で、スペイン語ではピリネオPirineosという。3000m級の山がそびえている。
 旅はスペインとフランスの国境を何度も往復しながら、アンドラにも寄るものだった。しかし、レストランの事をスペイン語でrestauranteと書くが、この文字が見られたのは旅も終わりのアラゴン州へ入ってからだった。それまではカタラン語又はフランス語のrestaurant ばかりだった。複雑な地域を旅した事になる。

 2日目はバルセロナにいた。朝tveを視ていると、8時からサン・フェルミン祭の中継が始まった。牛追いは2分余りで終わるのだが1週間続く。私は都合2回見たが、牛と走るスペイン人に理解しがたいものを感じながらも、興奮して見ていた。実は2年前にパンプローナを訪れて、牛たちが走る道を歩いていたから、テレビで見る以上に実感があった。
 その後、フランスのラ・トゥール・デ・キャロルへ行ってラ・プチトラン・ジョーヌ鉄道に乗った。この地方はカタルーニャ地方に隣接して同じ民族が暮らしているという。赤と黄色の縞模様の旗をよく見かけたが、星が付いてないから独立を志向しているわけではないという。

 3日目はアンドラへ行った。どうしてこんな国があるのか不思議に思っていたが謎が解けた。昔は同様の国が周辺に沢山あったという。しかし、だんだんスペインやフランスに吸収されてこの国だけが残ったという。立憲君主国家だが、フランス大統領とスペインのキリスト教区の司教が元首だという。
 タックス・ヘイヴンの国として知られていたが、今は10%の消費税が課される。それでも周辺国よりは安く、買い物天国だという。免税品は確かに安い。買い物とスキーリゾートの国だ。

 4日目はカタルーニャ州のアイギス・トルテス国立公園に出掛けた。エスポトから四駆に乗り一気にアミッチェ(Amitges)湖まで登り、素晴らしい景色や草花を楽しみながら、ラテラ(Ratera)湖にも寄りながら下った。この辺りではエンカンタツ山(Encantats)が有名だ。
 その後、アランの谷のパラドールに2泊した。とは言っても監獄のような外観の現代建築で、これもパラドールかと驚いた。

 5日目はモリエレス渓谷へフラワーウォッチングに出掛けた。花好きには嬉しいところだが、私は花畑全体の雰囲気を楽しんだ。午後はポイの谷のタウルへ移動して2つの教会、貧しい人々のサンタ・マリア聖堂と豊かな人々のサント・クリメント聖堂を見学した。

 6日目は再びフランス側へ移動だ。嵐の中、ピック・デュ・ミディ展望台に寄った。頂上は雲が晴れず展望が効かなかったが、上でのフランス料理は絶品だった。更にツール・ド・フランスでの難所のツールマレ峠を超えてガバルニー圏谷ホテルに着いた。ここに3連泊したが、絶景の部屋に当たり大満足だった。

 7日目はコープ湖に行った。歩きながらスペイン橋を見て、チェアリフトでコープ湖に上がり、花や景色を楽しんだ。スペイン橋とは30年戦争後のピレネー条約でフランスとスペインの国境が確定するまでは自由な往来が可能でその時のなごりという。

 8日目はガバルニー圏谷へトレッキングだ。谷の正面に見えるヨーロッパで1番高いという大滝まで行く予定だったが、フランス人ガイドが道を間違えてたどり着けなかった。
 ガバルニー圏谷はルルド方面に伸びていて、名高いルルドの水の源になっているという。ガルバニー渓谷という表現もあるが、圏谷は渓谷の始まり部分でカールともいわれる。その東には他に2つの圏谷が並んでいる。

 9日目はその1つのトゥルモース圏谷へ寄ってからポルタレット峠へ。広い峠でレストランやスーパーが沢山あった。フランスからスペインの安い物産を目当てに買い物客が多いという。そこで花畑を散策後、アラゴン州のトルラへ入った。

 10日目は四駆でオルデサ渓谷の第3展望台まで行って花と景色を楽しんだ。オルデサ渓谷はガバルニー圏谷とは山を挟んで反対側にある。ピレネー山脈はヨーロッパとアフリカの大陸衝突で出来たというが、褶曲した地層とたまたまそのように見えるだけという水平な地層の対比が面白い。私は花より地形の話に興味がある。先日、地中海が何度も干上がったと聞いた時は驚いた。
 午後からは一旦ホテルに戻ってからプラデラ・デ・オルデサ(オルデサの草地)という町の奥にある谷間へ花を見に出掛けた。崖の上には第3展望台を見上げることが出来る。

 11日目はバルセロナへ向けて出発した。一般道を走っての移動だが、途中対向2車線で「100」の速度表示を見つけた時は驚いた。直線の短区間だったが。
 到着後はサグラダファミリアへ案内してもらった。十数年前に見た時よりずいぶん完成したと思うが、これで概要が見えたような気がする。又見たいとは思わない。
 翌日は早朝の出発で大変だったが、予定通り帰国した。 (2018/8/1)

2018/9/29追記
スペイン人ガイドから少し前にTBSのクルーを案内したと聞いていた。私と似たようなルートを辿ったのかな。30日に放映だ


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