電気使用の平滑化

 先日、ある設備メーカーがオール電化のモデルハウスを完成させたとのニュースを見た。これに対して、Web上で「この電気の不足している時期に!」といった批判のコメントが多く寄せられていて、複雑な気分になった。電気が不足しているから、ガスをという事だろうか。それでは短絡的過ぎるだろう。

 省エネ・節電 重要だが、最も重要なのはピーク電力の削減だろう。もし、時間別の電力消費が昼夜平滑ならば、これ程電力需要の心配をしなくて済んだはずだ。
 人間 器用ではないから電力ピークの時間帯だけ節電に努めるような事は出来ないのは分かっている。しかし、「節電で不自由な思いをしなければならないのは、原発が停止しているからだ。」と思わせるようにしているように思えてならない。

 電力需要の平滑化だが、昼間の需要を抑えるだけでなく、昼間の為に夜間の電力を使用する方法がある。典型的なのが揚水発電だが、各家庭でもこれが可能だ。
夜間に蓄電池に電気を貯めておいて昼間に使うとか、夜間にお湯を沸かしておいて昼間に使う事が思いつく。電力会社もそれを望んでいて、思い切った料金を設定している。通常の料金体系では使用量によるが、17〜24円/kWh程度なのに対して、夜間料金が9.17円/kWhという設定がある。代わりに昼間は28.07円/kWhまで上がるのだが。

 この夜間格安の料金設定は、負荷調整が難しい原発のためであるという話がある。日本の技術力の低さもあるが、夜間に原発の発電量を絞れないから、ダンピングしているというわけだ。それは否定できないが、電力需要の平滑化が重要なのは変わりない。原発がなくなれば、夜間昼間の料金格差は縮まるだろうが、解消する事はないだろう。

 電力需要の変動に対応する為に、火力発電や揚水発電が発電量を変えながら運転されている。しかし、クルマにも最適な燃費速度があるように、発電所だって効率が優れた領域があるはずだ。電力需要が平滑化すれば、適切な負荷容量での運転が可能になるはずだ。

 オール電化住宅といっても、ガスの代替を狙った設備ばかりではない。電力需要の平滑化を狙った設備もある。
 前者はIHクッキングヒータや給湯設備だろうか。後者は夜間蓄熱式の機器であり、水やレンガを暖める事でエネルギーを蓄える設備だ。最近は家庭用蓄電池も話題になっている。

 神戸の大地震では、ガスよりも電気の復旧が先行してオール電化が促進された経緯がある。今回の地震でも同様の事が起こるだろう。
電力会社の惨状を見て、ガス会社が燃料電池の宣伝チームを解雇した報道が以前あったが、今が正念場だろう。 (2011/6/11)


戻る  Home