感電事故

 夏は痛ましい事故が多いと感じる。先日伊豆で起きた感電死事故もその1つだ。動物よけの電気柵に感電して2人が死亡した。

 電気柵が壊れて配線が川に浸かっていたとすぐに報道されたが、原因はそんなレベルではないだろうと思っていた。3日経ってようやく設備に関するの報道がなされた。電源は家庭用コンセント(100ボルト)で、変圧器を使って440ボルト程度に電圧を高めていたという。漏電遮断器も無いから起きた事故だろう。
 更には、「経済産業省は人が容易に立ち入れる場所で30ボルト以上の電源から電気を引く場合、電流制御装置や漏電した際に0・1秒以内に電気を断つ漏電遮断器など安全のための機器を取り付けるよう電気事業法に基づく省令で義務づけ、さらに電気柵には「危険」を周知する看板設置を求めている。また、電気柵を扱う業者でつくる「日本電気さく協議会」の宮脇豊会長(63)によると、電気柵は常時通電するものではなく、安全のために、1秒以上の間隔を開け、3000分の1秒ずつ断続的に電気を流す電流制御装置を漏電遮断器と併用するよう、協議会でも呼びかけている。」という。

 事故の報道を聞いた時に、家庭用電源をブレーカーなしで繋いでいると思った。しかし、変圧器で増圧しているというから、半端な知識が禍したようだ。
 更に続報があった。電気柵は河川敷に無許可で設置された物で、危険性の認識もあったようだ。

 昔、自分で設計した機械の制御の為にリレーシーケンスの制御装置を設計したことがあった。今はプログラマブルロジックコントローラ(PLC)という制御装置を使用してソフトを組み込んでいるが、当時は電磁リレーを電線で繋いで制御していた。自作の電気回路で制御盤を製作してもらうのだが、簡単には思い通りには動かない。そこで配線の組み換え作業が必要になる。
 電源を切って作業するのが基本だが、忘れて手を出してしまい感電することが何度かあった。100Vの時は指先にビリビリとくる程度だが、200Vの時は両肩をガーンと打たれたような強い衝撃を受けた。若気の至りで随分危険な事をしていたものだ。440Vの衝撃とはどんなものだろうか想像もつかない。
既存の機械の電気回路を見よう見まねで設計していたが、最近は同様の回路はDC24Vで行うのが多いようだ。装置にブレーカーを設置してあったから助かった。当時の勤務先は機械設備の自動化を担う人材がおらず、私が先駆者だった。
 昔はアースが無い洗濯機で主婦が感電死する事故も多かったと聞いた事がある。100Vでも濡れた手は特に危険だ。

 ヨーロッパを旅行していて、アルプス山麓の放牧地をハイキングした時の事だ。牛が放牧地から出ないように腰ほどの高さに電線が張られていた。ごく弱い電流が流れていると聞いた。広い放牧地を区切りながら放牧しているという。強い電流で刺激を与えると乳の出にも影響するかもしれない。
 今回の事故と比べてみると、動物に対する愛情の違いを感じてしまう。鹿やイノシシは害獣であるが隣獣でもある。牛用と電気柵に違いがあるのだろうか。二度と近付きたいと思わせないようにするとか。 (2015/8/1)


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