階段防音
本学の図書館(中央図書館)にはそれほど行く方ではないが、最近気になりだした事がある。階段の騒音だ。これまで行く時は2階の奥まったところで月刊誌を読むことが多かったが、最近1階の階段裏で新聞を読むようになって、音が気になりだした。昼休みや授業の間の時間は太鼓を叩くような凄い音がする。決して履き物や歩き方が悪いわけではない。
これを呼び水に、2階の奥まった所にいても、足音が気になりだした。
竣工してもうすぐ30年の立派な図書館だが、ここが弱点かなと思い始めた。10年間通って今更だが。
図書館の階段だが、主階段と非常階段(4箇所)がある。主階段は洋館のように閲覧室の中にあって、1階から2階や地下1階に行く階段だ。
他に、地下1階から下に降りる階段は閲覧室の真ん中にあって、映画タイタニックで見るような素晴らしい雰囲気だ。しかもこの階段は歩いても音がしない。コンクリート製だろうか。
足音が響くのは先述の主階段と地上側の非常階段だ。ビルで非常階段を歩いた事がある人ならば実感が湧くだろう。
非常階段は地下側はコンクリート製、地上側は鋼板製でアスタイル敷きだ。地上側階段の裏側は踏板長手方向に2本、曲げリブが飛出している構造だ。そして裏側からノンスリップ金物を止めるねじ頭が見えるから、踏板と裏板の間には何もないようだ。
非常階段は階段室にあるから、扉が閉じてさえいれば、閲覧室には音もあまり響かない。但し1階は防火扉だから常時開で多少我慢だが。
一方主階段は、外観は地階のタイタニック風階段と変わらず、カーペットが敷いてあり、階段の裏側も200ミリくらいの厚さがある。この階段は音が同じ感じだから非常階段と同じ構造だろうか。裏側の中は空洞の様でたたくとポコポコ音がする。
私が執務する製図室の前にも、鋼板製の階段がある。ササラ桁(フレーム)は16ミリ厚の鋼板製で、踏板にはアスタイルが敷かれている。蹴込み板も鋼板だ。裏側は階段形状に沿って鋼板がボルトで止められている。間に数センチ厚の何かを挟んでいるようだ。
歩いた時の騒音は、踏板を直接叩くような音はさほどしないが、階段全体が振動するような音がする。コンクリート製の上階の階段とは比ぶべくもないが、図書館のそれよりは気持マシのようだ。
本学には建築学科はないが、振動騒音の専門家は皆無ではないだろう。そんな先生方を差し置いて恐縮だが、どうすれば主階段の音を低減できるか考えてみた。
簡単に思い付くのは踏面とカーペットの間にゲルシートを挟む事だろう。
階段室にある非常階段と閲覧室にある主階段が同じ構造だなんて考えたくもないが、同じならば踏面はリンク先の下から2番目YS階段踏板断面図・右図のようにモルタル充填が必須だろう。
ちなみに、現状の非常階段は左図のようになっている。リンク先のメーカーと本学の階段の関係は不明だが、大体こんな感じだ。
又、ササラ桁の剛性も気になる。非常階段のササラ桁は12ミリ厚だが、主階段はカバーで分からない。デザイン優先の両刃ノコギリ形状で、桁幅が犠牲になっているのではないだろうか。
折返し構造の階段は一応サポートはあるが、片持ち梁のように踊り場側が振動して足音を増幅しそうだ。それに、踏板下の空間が共鳴箱になる可能性もある。これらについては、図面を見てみないと具体的な対策はすぐには提案できない。
階段の設計施工には専門業者がいる。どうやらそんな専門家に診断してもらった方が良さそうだ。対処療法ではなく、もっと良い提案があるかも知れない。餅は餅屋に、階段は階段屋にだ。
(2013/6/18)
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