6年目のCAD授業

 6年目のCADといっても、初めてのCADからというわけではない。I-DEASからPro/Engineerにリプレースされてからだ。

 その間、機械工学科は理工学部の再編成により、機能創造理工学科の機械工学領域に大部分が、そして一部は情報理工学科へ移った。
 再編成から3年目となって、3年生が設計の授業を受け始めた。再編成後の学部の特徴として、授業選択の自由度が高く、過去にCADの授業を取っていなくても、いきなり設計授業を受けられる事が挙げられる。

 昨年までのようにCADに強い拘束を駆使してモデリングするのでは、使い方の比率が大きくなって設計どころでなくなるから、新人に困難なのは予想されていた。だからだろう。今年は、モデリング方法が変更された。
従来、部品点数が増えると、拘束が切れてエラーが頻発していた機能や、プロオペレータ向けの凝った操作は封印された。
まだ色々あるが、CAD導入時に教育された呪縛からは抜けられたようだ。

 ファイル間の拘束が壊れて修復に困っている学生は見掛けなかった。学生達は楽しそうにモデリングしていたように感じた。初めてCADを使用する学生からも質問を受けたが、順調のようだった。
 初めてCADを使用するという事は、それまでは、機械関連以外の授業を受けていたのだろう。大変欲張りで、視野を広げて、有意義だったのではないだろうか。秋の設計授業は廃止されたが、ついでに秋のCAE授業(2年次用)も受けたら、順序としても適当で良いのだが。

 再編成前の理工学部の場合、機械や電気といった専門分野への進路決定は、受験勉強中に行なう必要があった。しかし現在は、多くの分野を学んだ後に選択する事が可能だ。専門分野が明確でないため、秋に控えた就職活動がどうなるか不透明なところもある。個人的には、勉強の延長で資格に挑戦すればと思う。しかし広い視野を持った人材が育っているのは確実だ。
 又、何年も続いている設計課題のMCスピンドルだが、近年ベアリングやモータなど、構成機器の性能向上に伴って、大きく進化している。CADの頸木が緩んで、設計仕様もパワーアップしてくれればよいのだが。

 2年のCAD授業は2年目を迎えた。昨年は受講希望者が多くて抽選になった。今年も同様だが、抽選にもれた学生には、8月に集中講義が用意された。受講対象が理工学部全員だから、希望者も多くなって、将来CADを使用する機能創造理工学科の学生があまり受けられなかったから、と聞いている。

 この授業を、理工学部学生の必修にしたら、と言われた先生がいたと聞いた。CADの効能は知らないが、この授業を受けた学生とそうでない学生の間に、差違が見られたという事だろう。
 パソコン教育の延長のようにお考えなのかもしれない。確かにパソコンが苦手で、苦労してCAD授業を受けていた学生も終わるころには、パソコンはキチンと使えるようになるのは事実だ 。  (2010/9/2)


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