バルバス・バウ

 戦艦大和で有名だが、船の造波抵抗を減らすために先端の潜水部を球状に突き出す構造がある。バルバス・バウというのだが、1911年にアメリカで考案された。1960年代に乾崇夫らによって研究が進んだ。

 古代の船にもこの形状が見られるが、それは武器として相手の船を破壊するためのものだった。最近起きた、米イージス艦とコンテナ船の衝突事故では、上から見ればそれほどの損傷と見えないが、水面下ではバルバス・バウが相手に深く突き刺さって死亡者を出した。
但し、最新の技術ではバルバス・バウがない船が作られているという。何より作り易いが、細身の船向きの様だ。

 クロールで泳ぐ時、息継ぎは顔を横に向けて口を開けるのは皆同じだが。その時、ある程度スピードが出ていると、波が口のあたりでは低くなってさほど口を上に向けなくても、口に水が入る事はない。そして頭の先の方は水が盛り上がって、水をかき分けているのが分かる。
 息継ぎをしない時は、上目使いで前方を見ると教わっている。だから頭は息継ぎ時と同様に水をかき分け続けるのだろう。

 私がクロールを泳ぐ時は、このバルバス・バウを意識して泳ぐようにしている。つまり、息継ぎ時以外は頭を水中に沈めるように心がけている。だから、壁近くで瞬間的に前を見る事はあっても、目線を前に向けて泳ぐ事はない。特に息継ぎと反対側のストロークの時は、顔を横に向けて首を傾け頭が更に下がるようにしている。
 すると頭を下げた反動で腰が上がるようで、お尻が水面から出ている感覚が分かる。体が立たない分投影面積が減ってこちらの方でも水の抵抗が少なくなるのではと思っている。どちらが効いているか分からないが、泳ぎが軽くなる気がする。
 私はピッチを上げて泳ぐ方ではないから、息継ぎ側のストロークは短く、反対側は長く時間を掛けて駆いた惰性で進むのを楽しみながら泳ぐ。顔を下げると鼻に水が入りやすいが、鼻栓をしているから問題ない。腰が浮きすぎるとキックがしずらいが、2ビートで推進力は期待しないから関係ない。

 バルバス・バウの効果がどれほどのものかだが、乾氏の論文をしっかり読めばいいのだろうが、もうその根気はない。ネットで探すと、効果の説明は沢山出ているが、どれほどの効果があるかについて書いたものはなかなか見つからなかった。やっと条件は不明だが、馬力減少13%、速度にして0.55ノット(1km/h)の増加(63頁)という記述を見つけた。
 これをクロールで実施するとしたら、どの程度の効果と評価されるのだろうか。  (2018/12/1)


閉じる  Home