うどん
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さて、今回でとうとうラストとなった日本海食堂全品制覇チャレンジ。最後に残ったのはうどんであります。
締めくくりの一品としてはずいぶん地味な気がしますが、これまでの足跡をしみじみ振り返りながら頂くには
ちょうどいいメニューだと言えるでしょう。
当日は1130に日本海食堂到着。まだ玄関は開いておらず、しばし時間を潰します。ああ、初めて来た時
もこうして開店を待っていたんだよなあ。あれからもう4年以上経つんですねえ。
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そんな感慨に耽っていると、おばちゃんが玄関を開けにきました。前回と同様明けのお客として入店・・・
と思いきや、あれ?奥の座敷に20名ぐらいの団体がいますよ。鍋を囲んでいる様ですが、地元の青年会か草
野球チームの懇親会かな?
とりあえずおばちゃんに注文を告げ、ショーケース内を撮影してから席に着きます。今日は後から後からお
客さんがやってきて、なかなか賑やかですね。入店するなりさっさと席に着く人、物珍し気に店内を見て歩く
人、写真を撮影する人・・・皆さんそれぞれに、この食堂の雰囲気を楽しんでいます。
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すぐに注文したうどんが到着。刻んだ白ネギと紅白ぐるぐるカマボコが乗った、とてもシンプルなうどんで
す。このうどん以上でもうどん以下でもない清々しさ。4年間の最後を締め括るに相応しい一品です。
大きな器越しに伝わってくる出汁の熱さをしばし掌で味わったのちに、まずは黄金色の出汁をひとすすり。
あれ?なんか以前食べたうどんの出汁とちょっと違う様な・・・。いかにも北陸の醤油らしい甘味の効いたう
どん出汁だったのに、今日の出汁は塩気の方が立っている気がします。
いわゆる関西風に近い味なので、私の舌にはとても馴染むのですが、北陸らしい味わいを求めてやって来た
私としては、正直ちょっと微妙かも・・・。
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ひょっとして醤油を変えたのかな?と思いましたが、新しい食材やメニューにチャレンジする事はあっても、
味つけの根幹となる味噌や醤油を長年使い慣れたものから変えるのは、かなり勇気がいると思います。まして
や古くから地域に密着してやってきた食堂なら、なおさらでしょう。
・・・もしかして店主さんは、いまだに自分のうどん出汁の味つけに満足していないのだろうか。さる高名
な空手家は、晩年になってもまだ正拳の握り方に疑問を覚え続けたといいますが、これだけ年輪を重ねた日本
海食堂なのに、店主さんはまだ試行錯誤を続ける事を諦めていないのか・・・。
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私のメニュー全品制覇チャレンジは今回をもって一つの区切りを迎える事となりましたが、日本海食堂の営
業はこれから先もずっと続きます。一年後には一年分、三年後には三年分、十年後にはきっと十年分進化した
うどん出汁が出てくる事でしょう。
現状に決して満足する事なく、常に次のベストを追い続けよう。店主さんはそんな思いを込めて、この一杯
のうどんを作ってくれたのかも。もちろん今回のうどんが私の日本海食堂全品制覇チャレンジの締めであった
事を店主さんが知る由もないのですが、これまでの4年3ヶ月をこれ以上美しく締め括ってくれるメニューは
他に考えられません。やはりこのうどんを最後の一品に持ってきたのは間違いではなかった・・・。
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そんな進化の途上にある日本海食堂うどんの出汁を一滴残さず飲み干して、500円を支払い店を出ます。
4年3ヶ月に渡った日本海食堂全品制覇チャレンジ、以上で完遂。2014年の年末に初来店してハートを鷲
掴みにされて以来の、長い、本当に長い旅路でありました。
来た時はどんよりと立ち込めていた雲が切れ、頭上には青空が。実に晴れやかな、そして少し寂しい気分で
車に乗り込みます。この車で、大阪と富山をいったい何往復したんだろう・・・。
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すぐにバックミラー越しに遠ざかっていく日本海食堂。遠ざかっているのは車を運転している私の方なのに、
なぜか日本海食堂という名の長距離列車が走り去っていくのをホームの端から見送っている様な気分になった
私でありました。
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