加水式加熱剤でメインのレトルトを温めている間に、まずは『粉末オレンジビバレッジ』から用意します。相変わらず
入浴剤みたいなどきついニオイの粉末ですが、12オンス(約330ml)の冷水に溶かすと、これまた非常にケミカルな蛍光
オレンジの液体が出来上がります。最初はあまりの色合いに抵抗感を覚えましたが、なんかもう慣れたと言うかマヒし
たというか、これはこれで美味しそうに見えるから困りものです。もっとも、味の方は見た目と違って意外にもあっさりし
ています。個人的には12オンスよりもちょっと多めの水で作る方が飲みやすいかな。
もうお馴染みの『クラッカー』。やや粉っぽいですが、サクサクした口当たりと焼いた小麦粉の香ばしい風味、ほのかな
塩気が実にホッとする味わいです。ベジタブルクラッカーと言うのもあるのですが、最近当たって無いなあ。あれも緑黄
色野菜の風味が生きていて、カリカリした食感がいいのですが。
『ピーナッツバター』は、もうかれこれ10個位食べた様な気がしますが、未だに慣れませんね。口の中の、舌と言わず
歯と言わず、とにかくあらゆるところにべったりとへばりつく粘着質な鈍重さがなあ…。正直、食べるのがツライ一品です。
『チェダーチーズプレッツェル』。ああ、これ、美味しいんですよね。わくわくしながら開封すると、円筒型のプレッツェル
が20個ほど、ころころと転がり出て来ました。プレッツェルと言えば細長いお菓子かと思っていましたが、こういうのもあ
るんですね。見た目は、グリコの“コロン”というチョコレート菓子にそっくりですが、塩味の効いたチェダーチーズが実に
美味。ビールのつまみにピッタリですが、これをおかずにご飯を食べると言うのも意外と合うかもしれません。これ、市
販されてたら絶対買うんですが。
メインの『CHUNKED AND FORMED TURKEY BREAST IN GRAVY WITH POTATOES』ですが、どうやら今回の
加熱剤はハズレだったらしく、全然温まってくれません。仕方ないのでガスストーブで湯煎にかけて温めました。
熱々のレトルトを開封すると、粘度の高いソースにまみれた肉の塊が、角切りポテトを従えてゴロリと出て来ました。
七面鳥の胸肉を挽いて成形したものですが、よくみるとちゃんと胸肉の形になってます。芸が細かいなあ。
まずはポテトをソースに絡めて食べてみましょう。うむむ、ソース自体はかなり塩気がきついのですが、ジャガイモの
ほのかな甘味がいい具合に引き出されていて、結構美味しいです。
続いて胸肉。かなりみっちりと固めてあるので、付属のスプーンで切る時は皿をひっくり返さないように気をつける必要
があります。味の方は、ただでさえ旨みの乏しい胸肉からさらに味を抜いた感じで、七面鳥自体の風味は殆ど感じられ
ません。塩と化学調味料が主体となった味ですが、不思議なスモーキーフレイバーもあり、これはこんなもんだと思えば
そこそこ美味しいような気がします。言わば七面鳥の胸肉のハンバーグですが、混ぜものが無いのでかなり固く、必然
的に噛む回数が増えて見た目以上の満腹感がありました。
脂肪分は全くありませんが、冷えた状態で食べる事を考えるとそれで正解なのでしょう。しかし食物は冷えた状態の
方が塩気をきつく感じるので、やっぱり温めた方が美味しいでしょうね。
あと、このグレイビーソースですが、以前別のMREで食べた事があるような気がするなあと思ったら、メニューNo.4の
GRILLED CHICKEN BREASTと殆ど同じ味でした。ポテトが入っている分、こちらのソースの方が粘度が高く、味のふ
くらみもあるように思いました。
最後は『チョコレートスポーツバー』です。真っ黒に焦げた春巻を踏みつぶした様な外見ですが、齧ってみるとこれが
かなりの甘味。押し麦の入ったチョコ風味のエナジーバーです。この手の甘味は個人的には苦手なのですが、塩気の
味が続いたせいか、妙に美味しく頂けました。飲み込んだ後もドライフルーツの様な香りが口中に残り、もっちゃりした
食感とヘビーな甘味の割にはあとくちが軽いのが不思議ですね。
食べた瞬間からエネルギーになりそうな、実に戦闘糧食向きな一品と言えますが、むしろこれは食べずに取っておい
て、作業の中休みの間食として食べる方がいいのかも。いや、でもそれだと塩味だけのメニューになってしまうなあ。
個々の食品はどれも美味しいのですが、全体的に塩味に偏りがちなメニュー構成でした。スポーツバーは食事の合
間に食べる様な味ではないので(アメリカ人は違うのかなあ)、延々と続く塩味になんとかオレンジドリンクで変化をつけ
るしかない、と言ったところでしょうか。ピーナッツバターをジャムかゼリーにかえるだけでもぐっと豊かな味わいになる
と思うので、アメリカル社のエラい人は是非御一考下さい。まあ、見てる訳ないか…。
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