まずはメインディッシュのレトルトを取り出し、マニュアル通りに加水式加熱剤にセット。そのまましばらく温めます。
その間に『パウンドケーキ』から開封。中からは、大ぶりのコロッケ位の大きさのケーキが出て来ました。何故かソーセ
ージみたいな匂いがします。恐る恐る食べてみると、意外なしっとり感があり、甘さも上品でなかなか美味しい。アルミパ
ックにはバニラと印刷されていましたが、バニラらしい風味はあまり感じられませんでした。しかしこれ、普通に美味しい
なあ。嬉しい様な肩すかしを食った様な、複雑な気分です。
次は『アイスティー』を作ってみます。カップに入れた粉末は、何だかダシの素みたいですね。そこに8オンス(約220ml)
の冷水を注いでかき混ぜると、アイスティーの出来上がりです。うん、しっかりした紅茶の香りと軽い渋味があって、甘さ
も控えめで実に美味しいなあ。ちゃんとしたグラスに注いでレモンスライスでも浮かべれば、とても粉末の戦闘糧食とは
思えない味です。
『PEANUTS DRYROASTED SALTED』と書かれた袋からは、小粒のピーナッツがザラザラと出て来ました。香ばさと
コク、塩味が良くマッチしていて、これも普通に美味しいです。何だかビールが欲しくなりますね。
『クラッカー』は定番の塩味で、真空パックにしてあるせいかやや粉っぽく乾パンに近い味ですが、サクサクした歯応え
がいい食感です。
ここで『ピーナッツバター』を開封。かなり固く練ってあり、クラッカーに塗るというよりものせると言った感じです。このピ
ーナッツバター、甘味も塩味も殆ど添加されておらず、ピーナッツそのものの濃厚な味がダイレクトに舌にのしかかりま
す。味そのものは悪くないのですが、非常に重い味わいです。
食べた途端に口の中がコールタールで接着されたような状態になり、慌ててアイスティーで流し込みました。何と言うか、
口の中の水分を一気に持って行かれる感じです。小学校の給食で出て来たピーナッツバターはもっと柔らかく、塩気も甘
味もあったような気がするのですが、あれはまがい物みたいなもんだったんですね。しかし、砂漠でこれは食べたくないな
あ…。
次は『PEARS』のレトルトパック。開封すると、洋梨のシロップ煮が出て来ました。妙な茶色が何だか獰猛っぽく、甘いも
のが苦手な私はちょっと怯んでしまいましたが、意外にもあっさりした甘さで、洋梨独特のザリザリした舌触りもいい感じ
です。これ、プレーンヨーグルトに入れて食べたいなあ。熱い紅茶に落としてもいけるかもしれません。
『SPICED CIDER』を開封します。リンゴのイラストが描かれているのでアップルサイダーだと思うのですが、SPICED
と言うのが気になるなあ。リンゴだからシナモンかな?しかし粉末でサイダーと言う事は、昔駄菓子屋にあったジュース
の素みたいなものでしょうか。取り敢えず8オンス(約220ml)の冷水で溶かします。
うーん、何だろう、この味。昔あったファンタゴールド味から炭酸を抜いた様な…。というか、全然サイダーじゃないし、
これ。とは言えリンゴの風味もそれなりにあって甘さも控えめで、なかなか美味しいです。
さて、そろそろメインのレトルトが温まってきました。ワクワクしながら開封すると、ううっ、何だこの酸っぱいニオイは…。
見た目はさほど酷くありませんが、この喉の奥から何かがこみ上げてくるような異臭は一体何なんでしょう。料理そのも
のはシェルマカロニとミックスベジタブルをクリームソースで和えたもののようですが、この特殊なにおいはチーズか何か
かな?
恐る恐る一口。うーん、チーズと生クリームとホワイトソースとバター?物凄くもったりと重い味わいです。ニオイも含め
て、ちょっと勘弁してくれよ、と言う味。はっきり言って、
「ウアアアアアアン、ま、不味いよう(泣)!!」
そうだ、こういう時はタバスコ様だ!とアクセサリーパケットを漁りますが、今回はミニタバスコのビンが入っていません。
その代わりなのか、シーズニングの小袋が出てきました。すがるような気持ちで開封してニオイを嗅ぐと、実にスパイシー
で美味しそうな香りです。すぐにパスタに振りかけますが、元から悲惨な味だったパスタが、更に異様な味わいになってし
まいました。“二重遭難”という単語が脳裏をよぎります。途中から脂汗を流しながら、どうにか完食。ううう、お腹が気持
ち悪い…。
ローストピーナッツはなかなかいい味でしたが、ピーナッツバターと組み合わせると言うのは如何なものでしょう。フル
ーツジャムの方が良かったかもしれませんね。
小袋のシーズニングはかなりイケました。これ、単品で売ってないかなあ。ローストしたチキンやビーフにかけると、か
なり美味しくなると思います。
後で調べて分かったのですが、サイダーと言うのはヨーロッパではリンゴ酒の事を、アメリカではリンゴジュースの事を
指すそうです。これが日本では炭酸飲料になるのですから、言葉と言うのはイイ加減と言うか面白いものですね。戦闘
糧食のお陰で、一つ賢くなりました。
全体的にはベジタリアンメニューとは思えない位にこってりとした重量感のあるメニューでした。食べ終わってから、あ、
これ肉入って無かったんだ…と気づく位にです。日本で菜食主義と言えばイコール精進料理的なものを想像してしまい
がちですが、物足りなさは全然感じませんでした。
しかしこのメニューは、やっぱりアルフレッドソースに尽きますね。正確さを期す為とはいえ、かなり下品な表現なので
あえて読み難くしておきますが、まるでピザを食べた後に吐いたゲロを煮詰めてから改めて食べているかのような、異様な味でした。
それにしてもあの、ヘンな酸味は何だったのでしょう。紙箱の原材料表示にはチーズは見当たりませんでしたし、同封
されていた他の食品は全く問題なかったので、経年劣化とも思えません。
となると、保存料のニオイ、レトルトのニオイ、ミックスベジタブルの冷凍庫臭、その他もろもろが複雑に絡み合って化
学反応を起こした結果だったのでしょうか。それとも、そもそもこういう味がスタンダードなのでしょうか。うーん、恐ろしい。
エチオピアの難民でも突き返す味(Meal Rejected Etiopian)とは、まさにこの事なのかもしれません。とにかくお疲れ
様でした。いや、御馳走様でした。
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