肉いため定食

2015.07.12



       今回で3度目となる日本海食堂来訪、本日は大物の『肉いため定食』であります。それにしても、このボリュ
      ームには驚かされました
。大きな白いオーバルプレートに、肉と野菜の炒め物が富士山の様にそびえ立って
      います(笑)。これは・・・大学運動部か陸上自衛隊、機動隊レベルのドカ盛りですね。
       まずはお肉を一口。ほほう、ピリ辛が効いた甘辛だれ牛肉に絡まり、脂肪が香ばしく焦げた風味が滅茶
      苦茶美味しい!野菜はタマネギもやしニンジンニラ茄子しめじピーマンとかなりの品目を誇り、添
      えられた生野菜のレタストマトキュウリ赤タマネギ具なしポテトサラダ、あとレモンまで合わせると、この
      一皿だけで実に14品目!ボリュームに圧倒されましたが、栄養バランスも言う事なしです。
       それにしても、食べても食べても全然減らないんですけど、この肉いため・・・。なんというか、肉体を酷使し
      た男の御馳走
、という感じですね。タレのピリ辛具合も舌に心地よく、白ご飯がいくらでも食べられそう

       しかしこの量だと、途中で飽きが来そうだな・・・と思いましたが、程良いところで生野菜にかかっていたノン
      オイル青じそドレッシング
の味わいが入り混じり、食べ始めよりもすっと爽やかな味に変化。さらに付け合わ
      せのレモンをひと搾りすると、より軽やかな味わいになりました。最初にガツンと来る濃厚な味から、徐々に
      さっぱりへと変化する味のグラデーション。計算され尽くした味わいだと言えるでしょう。
       わしわしと削岩機の様に食べ進んで行くうちに、生野菜に埋もれる様にして隠れていたポテトサラダにつき
      当たります。ひんやりマヨネーズ味が、地下の冷涼な水脈に突き当たった様な安らぎを覚えますね。そしてこ
      のポテトサラダが肉いためのタレや青じそドレッシングに浸食された部分の味わいも、これまた捨て難いもの
      があります。
       肉いため生野菜、そしてポテトサラダが一皿の上でマーブル模様を描きながら、ここ日本海食堂独特の
      混沌とした世界観を作り上げています。ある意味この食堂を象徴しているというか、1300円という最高価格
      帯としての看板メニューに相応しい存在感
だと言えるでしょう。

       柔らかめに炊き上げた白ご飯の他には、漬物小鉢、あと味噌汁がついていました。漬物はごくあっさりと
      したキュウリの浅漬け。小鉢はキュウリとショウガ、ワカメ、えのき、ちくわの薄切りを甘酢で和えたもの。この
      さっぱりと涼しげな優しい甘酸っぱさが、牛肉の脂肪感とよく合っています。

       それにしても・・・キュウリが八面六臂の大活躍であります(笑)。メインの肉いためにつけ合わされたキュウ
      リと、浅漬けのキュウリの化粧切りが同じところを見ると、この浅漬けは自家製っぽいですね。市販の業務用
      漬物でお茶を濁すお店が多い中、この辺りのこだわりというか手間の掛け方は、ここ日本海食堂の良心と言
      わざるを得ません。
       その強烈な個性故に、ネタ的な側面ばかりに目がいきがちな日本海食堂ですが、こういうところは素晴らし
      いなあ・・・と思いつつ味噌汁を手に取ると、え?味噌汁の具もキュウリなの!?
       箸ですくうと、ワカメ、えのきと一緒に煮込まれてクタッとなったキュウリが出てきました(笑)。うーん、キュウ
      リの味噌汁って初めてです。しかしこれが意外と悪くなく、塩味が強くあっさりした風味の北陸の味噌によくマ
      ッチしていますね。いやあ、これは意外だったなあ。一度自作してみたいかも。っていうか、ちゃんと写真撮っ
      とけよ俺!
食べるのに夢中で忘れてしまいました(笑)。

       それにしても肉いため、小鉢、漬物、味噌汁の全てにキュウリが入っているとは。これではキュウリ定食
      言っても過言ではありません(笑)。この定食が乗った黒いお盆を大陸に見立てると、4座ある8000m峰の
      全てにキュウリ登山隊が同時登頂したような感じ
。おめでとうキュウリ、よくやったキュウリ。心の中で拍手を
      贈ります。
       これはきっとアレだな、店主さんと親しくしている農家の人が突然やってきて、
       「これ店で使いなよ!」
       と大量のキュウリがつまった段ボール箱を置いて行ったとか、そんな舞台裏がありそうな気がするなあ。大
      量のもぎたてキュウリを前に、しばし腕を組んで悩む店主さん。
       「よーし、今日は何でもかんでもキュウリ入れるっちが!」
       最後はそんなのどかでおおらかな光景を思い浮かべつつ、味も量も大満足の肉いため定食を米一粒残す
      事なく完食です。いやあ、ほんと美味かった

       ちなみにこの日は午前中の所用がずれ込み、日本海食堂にはお昼2時を過ぎての来訪となりました。奥の
      座敷スペースには12~3名の団体さんが既に出来上がっていますが、草野球かサッカーの試合後の打ち上
      げ
みたいな雰囲気。さぞかしビールが美味かった事でしょう。
       7月初めの北陸は夏が始まったばかりで、程良く冷房が効いた店内の片隅では、巨大な年代物エアコンが
      ウゴゴゴゴゴゴゴゴと地鳴りのような作動音を響かせています。ああ、これもまた、日本海食堂の味わい・・・。
       あとはテレビかラジオで、高校野球中継がつけっ放しになっていると完璧だなあ。初めて訪れた時の、真冬
      の大雪の風情も捨て難いものがありましたが、一度甲子園のシーズンに来てみたいものだ・・・と思いつつ、
      日本海食堂を後にしました。




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