目玉焼き・おにぎり(一人前)・肉じゃが
2016.12.17
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冷たい雨がそぼ降る中、3か月ぶりの日本海食堂に到着です。既に玄関は開いていて、本日アケの客として
入店。お、よく見ると前回来店時に忘れた傘がありました!まさか残っているとは思わなかったなあ。
本日の注文はかなり迷いましたが、目玉焼きとおにぎり(一人前)、あと一品ものから何か・・・よし、以
前食べたけどろくにレポできなかった肉じゃが、これいっときましょう。季節的には温かい蕎麦あたりを消化
しておきたいですが、今夜は豪華鍋焼きうどんですし、昼が蕎麦では被ってしまいますからね。
セルフサービスのお茶を入れ、いつもの席に。轟々と炎を上げる石油ストーブの熱気、そしてひんやりと冷
たいプラスチックの椅子の感触。初めてこの日本海食堂に来た雪の日を思い出します。もうかれこれ2年も前
の事になるのか。
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そんな思い出にひたっていると、あっという間に目玉焼き&おにぎり&肉じゃがが到着。冷めないうちに手
早く撮影を済ませ、まずは目玉焼きから行ってみましょう。
まさにシンプルそのものの二つの目玉焼きですが、黄身の表面には白い幕がしっかりとかかっていて、蓋を
して蒸し焼きにした模様です。懐かしいなあ、私も昔はそうやって作ったっけ。試行錯誤の末に、今は最初か
ら最後まで蓋なしの超弱火で焼き上げるスタイルに落ち着きましたが、表面はぱっちり固まりつつも黄身はレ
アなままのこの目玉焼き。なんだか嬉しくなりますね。
そうこうしている間にも、自身の熱を冷たい皿にどんどん奪われていく目玉焼き。寿命の短さという意味で
は、日本海食堂のメニューの中でも随一の存在でしょう。クラゲの如き儚げな風情についうっとりさせられま
すが、ぐずぐずしている訳にはいきません。
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以前食べたハムエッグと同様に、まずは普段使わないウスターソースでひとつ目を頂きます。うん、私は普
段目玉焼きには醤油ですが、たまに食べるソース味も悪くないなあ。醤油をかけた目玉焼きはご飯に合います
が、ソースの場合は野菜との相性の良さが際立ちますね。
付け合わせの野菜は刻みキャベツ、レタス、トマト、ポテトサラダ、あとキウイという色鮮やかなラインナ
ップ。それにしてもこの、摺りおろし胡麻ドレッシングのかかったキウイが不思議な味わいです。合わない様
で予想外に合っているというか、驚きの相性の良さですね。
あとこの、ポテトサラダに入っている黄色いのは何だろう。茹で卵の黄身?いや、この植物的な甘さ・・・
サツマイモかカボチャかな?どちらにしても、なかなか手が込んでいます。
もう片方の目玉焼きは醤油で頂きます。うん、やっぱりこちらの方が舌に馴染みますね。これだけシンプル
を極めた料理だと、かける調味料次第でまったく別の印象になるのが面白い。
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それにしてもこの目玉焼き、フチの部分がカリカリに焼かれているのが実にいい食感。多めの油で、文字通
り揚げる様に焼き上げられたフライドエッグです。自分で作る朝の目玉焼きだと、脂質摂取量を気にするあま
り最小限のサラダ油&テフロン加工のフライパンにしてしまいますからねえ。やっぱり油多めで作る方が美味
しい気がするなあ。店主さん愛用のフライパンは、きっと黒光りする年季の入った鉄製に違いない。たかが目
玉焼きと侮るなかれ、素人とプロではかくも違いが出てしまうのです。
その醤油味の目玉焼きの旨味をがっしりと受け止めるおにぎりですが、一つは海苔、もう一つは富山名物の
納豆昆布(がごめ昆布)をまぶしてありました。これ美味しいんですよねえ。熱々ご飯に乗せてもいいですし、
糸造りにした白身魚とさっと和えて醤油を落としても美味しいですし。
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そのおにぎりですが、食べてみるとほかほかと温かいのが驚き。注文が入ってから店主さんが型押しして作
った模様です。そしてこの、口に入れた途端にほろりと崩れる押し加減がまことに素晴らしい。具や海苔がし
っとり馴染んだおにぎりもいいですが、作りたてのふかふかおにぎりも悪くないですね。
中の具はどちらも梅干しで、きちんと種を抜いてあるという細やかな仕事っぷり。はっきりした酸っぱさが
舌をリフレッシュさせてくれます。ちなみに海苔で巻いた方のおにぎりですが、温かいご飯の放つ蒸気を吸っ
て、パリパリからしなしなへと変化していくグラデーションがいい感じ。パリパリ海苔が好みの人は海苔巻き
おにぎりから、しんなり海苔が好きな人は納豆昆布から先に・・・というのがお勧めの頂き方でしょう。
そしておにぎりに添えられているのが、白菜と大根のお漬物。ああ、これも旬の味です。恐らく夏は茄子や
ミョウガあたりがついてくるのかな?春は菜の花の一夜漬けだったりすると嬉しいですね。
そして問題の肉じゃがです。以前食べた時は、たまたま居合わせたオジサンのタイフーン級のトークに翻弄
され、ろくに味わって食べる事が出来ませんでしたからね。果たしてどのようなお味なのか。意味もなく一度
姿勢を正しつつ、まずは一口。
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ああ、そうそう、甘味が勝った北陸の醤油の味。これが日本海食堂の煮ものの基本形ですね。入っているの
は牛肉、じゃがいも、つきコンニャク、タマネギ、ニンジン、あとタケノコに焼豆腐という豪華な布陣。甘辛
い出汁を存分にしみこませた焼豆腐はうっとりしてしまう美味ですが、私個人的にはちょっと役者が豪華すぎ
て、本来の肉じゃがらしさを損ねている気もしますね。
最初の5品目、いや4品目までにとどめておいた方が、シンプルな肉じゃがらしい味わいになったと思いま
すが、まあこれはあくまでも私の主観に過ぎません。商売としてやっている以上、お客さんを満足させる見た
目の美しさも大事ですし。家庭の肉じゃがとは別になるのは当然でしょう。
それにしてもこの肉じゃが、見た目以上のボリュームがありますね。目玉焼きなしでも十分メインを張れる
存在感です。味も濃いめなので、これはおにぎりよりも白ご飯か熱燗を合わせたいところ。まずは肉いため単
品でビールを飲んで、肉じゃがと酢の物あたりで熱燗を並べて・・・ああ、すっかりご機嫌になっている自分
が想像できます(笑)。
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ふと見ると、町たんけん(職場体験的な学校の課外授業?)でここ日本海食堂を訪れた、水橋東部小学校の
ちびっこ達の感想文がレジの前に貼りだされてありました。地元にこんなお店があるのは羨ましい限りですが、
あまりに身近過ぎて、小さなよい子にこの食堂の価値がわかるのだろうか・・・と余計な心配をしてしまいま
す。
彼らが大人になった時、はたしてこの日本海食堂はまだ現存しているでしょうか。地元を離れ、やがて都会
に出た彼らは、知らないうちに失われてしまったものの大きさに気づき、そして何かを求めて歩き始めるので
しょうか。ならば私は、彼らにとっての語り部としてありたいものだ・・・。
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いやあ、今回も美味しかったですね。計1070円の満足感を噛み締めながら店を出ると、いつの間にか雨
はあがって雲間から青空が覗いていました。前回の忘れ物の傘を回収し、『雨上がりの天使』を口ずさみつつ
日本海食堂を後にしました。
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