カレーうどん・おから
2016.01.09
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2016年一発目となる日本海食堂に到着。駐車場には先客が乗った車が一台、すぐにもう一台が入って来
ましたが、どちらも車内にて待機。そりゃそうか、この寒いのに外で開店を待つ様なおっちょこちょいは、地元
にはいないでしょうね。ちなみに私、外で待っていますが(笑)。
1130を少し過ぎて、いつものおばちゃんが玄関を開けてくれました。店内は結構冷え込んでいますが、こ
こ日本海食堂は広い上に天井が高いので、空気が暖まるまで少し時間がかかりそう。とは言え、このひんや
りと湿った埃くさい様なニオイ、嫌いじゃありません。
さて本日はカレーうどんと、陳列途中のおかずの中から何か一品。うーん、夜は少し早い時間から飲みに行
くし、あまりボリュームのあるものは避けたいな。お刺身や酢の物は合わなさそうだし・・・よしこれ、小鉢のお
からいっときましょう。量も程々ですし、素材が淡白なだけに作り手の力量が色濃く反映される一品です。
セルフサービスのお茶を淹れ、いつもの席へ。轟々と燃え盛る石油ストーブが頼もしいなあ。しばしレトログ
ッズを見て歩くと、赤ランプを振るマネキン人形に迎春ポスターが貼ってありました。
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ふと座敷を見ると、壁一面が高層ビル群の大きなパネルになっています。手前に川がある摩天楼と言えば、
マンハッタンかな?畳敷きの大広間に並んだテーブル、石油ストーブ、柱の扇風機、古びたポスター類とのコ
ントラストが異様で、これほど日本海食堂に似つかわしくない風景もない気がします。そして摩天楼のど真ん
中にぺたりと貼られた『お茶・水はセルフサービスです』の紙切れ・・・。これも日本海食堂の、たまンない味わ
いの一つです。
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しばらくしてカレーうどんとおからがやってきました。うどん鉢はかなり大きく、ちょっとした土鍋サイズ。そこ
にたっぷりと注がれたカレー出汁が、もうもうと湯気を上げています。水面、いやカレー面に散らばっているの
はラフに刻まれた白ネギと、あとこれは海老?と思ったら、富山名物の紅白ぐるぐるかまぼこを刻んだもので
した。
手早く撮影を済ませ、まずはカレー出汁をひと口。うおお、熱い!まるで煮えたぎるマグマを口に含んだ様
なものすごい熱さ。アヒアヒと苦労しながら飲み込むと、そのスパイシーさと合わさって一瞬で胃袋のイグニッ
ションが入った感じ。今日は雪こそ降っていませんが、1月の北陸でこの熱さはご馳走ですね。
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いかにもカレーそのもののカレー出汁ですが、その中にもしっかりと和風出汁の風味が感じられますね。こ
れはサバ節でしょうか。北陸の甘い薄口醤油の風味もあり、カレーの辛さと香りを楽しませつつきっちりと和
風の出汁っ気も感じられるベストバランスに、心の底からホッとさせられます。
たくさん入っている具は、牛肉、ニンジン、タマネギ、刻んだ紅白ぐるぐるかまぼこ。あと薬味とは別に斜め
切りの白ネギも入っていました。
そしてこの、細かく刻まれた紅白ぐるぐるかまぼこがいい塩梅だなあ。富山県ではうどんやラーメンの上で
薄切りになっている事の多いこのかまぼこですが、そのアイデンティティとも言うべき独特のデザインを捨て去
る事で一枚ものの時よりも表面積を大幅に増やし、自身の旨みを惜しげもなく出汁に提供しています。またそ
れだけでなく、自身の風味でより一層濃厚になった出汁の味わいをもう一度吸い込む事で、おでんに於ける
ネリモノ的な存在になっているのも見逃せません。
うむむ、定石どおりに一枚ものとして出汁に浮かべるだけでは、到底ここまでの味にはならなかったはず。
やりますねご主人。
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うどんはあくまでも太く四角く、旨みの塊であるカレー出汁に全く力負けしていないのが素晴らしい。細めの
つるつるうどんもあれはあれで官能的な口当たりですが、やはりこれくらい堂々とした図太いうどんでないと、
個性の強いカレー味に飲み込まれてしまいます。
それにしてもこの、カレー出汁のたっぷりさには驚かされます。とろみも十分で、食べていても一向に冷める
気配なし。相対的にうどんの量が少なく感じられ、替え玉が欲しくなりますが、それだけこのカレー出汁が質量
ともに高い完成度を誇っているという事でしょう。
山海の幸を惜しげもなく投入した美味しいよせ鍋の残り汁に、固形のカレールウをぶちこんだ感じ。そのま
ま飲んでも十分美味しいですが、ここはやはりうどん玉の追加か白ご飯が欲しいですね。
それにしても、繊細な和風出汁がカレーに対して一歩も引かず、むしろカレーと組む事でその輪郭が強調さ
れているのが実に不思議。地味なようでもそれだけ和風出汁の力が凄いのか、それとも和風出汁を飲み込
みつつもその個性を決して殺さないカレーの懐が深いのか・・・。
揚げたてのエビ天をのせたりチーズをトッピングしたりと、凝りに凝ったカレーうどんで名を成している名店
は数多いですが、そういった派手な要素を悉く排除した、じんわりと舌に効かせるこの伝統的なカレーうどん。
いやあ、タマラナイものがありますね。最新鋭のあきづき型やいずも型に魅かれつつも、やはりゆき型護衛
艦に乗ってしまう様な私にとっては、どストライクの味わいでありました。
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一方のおからですが、しっとり絹挽きの滑らかな口当たりで、具はちくわ、こんにゃく、ニンジン、ワラビ、白
ネギ、キクラゲ、ゴボウと実に賑やかな顔ぶれ。おからそのものの素朴な味わいと相まって、地味ながらも相
当な実力を感じさせる一品です。
淡い見た目に反して、味付けは結構濃いですね。これは単品で食べるよりもご飯のおかずとして・・・いや、
甘口の熱燗や焼酎のお湯割りなんかが似合うかも。
日本海食堂には昼間に車で来る事がほとんどなので、こういうよく出来た一品でビールや日本酒を楽しめ
ないのがつくづく残念なんですよねえ。うーん、何とかして夜に飲みに来る段取りを立ててみるか・・・。こんな
食堂が近くにある地元の人が羨ましいなあ。
それにしても、今日は家族連れのお客さんが多い気がします。あちこちのテーブルに、家庭の食卓がその
まま移動して来た様。お正月気分もようやく一段落した一月半ばの週末、たまには外でお昼ご飯を・・・という
なんとものんびりした雰囲気が漂う日本海食堂。慌ただしかった年末年始もあっという間に終わり、またいつ
もの日常に戻る・・・そんな2016年のオープニングに相応しい日本海食堂のカレーうどんでありました。
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