先ずはメインのレトルトを加水式加熱剤にセット。今回の試食は11月に行っているので、温かいコーヒーを作るために
ホットビバレージバッグに水を仕込み、一緒に温めます。
その間にもう一つの粉末飲料である、COCOA BEVERAGEを作ります。今回も上部にチャックの付いたパッケージに入
っていて、規定通りに6オンス(約170cc)の冷水を入れてしばらくシェイク。溶け残しも無く、美味しいココアの出来上がり
です。相変わらずの上品かつふくよかな味わいで、戦闘糧食に封入されているココアの中では、米軍のが一番美味しい気
がしますね。
続いてCRACKERSとCHEESE SPREADを開封。この両者の取り合わせが実にすばらしく、メインの料理が少々アレな味
でも、この2品が入っているだけで食事としての最低限の体裁が整う所が有り難い事であります。
クラッカーは相変わらずの粉っぽい口当たりで、口の中の水分を持って行かれますが、チーズスプレッドのきつい塩味が
唾液の分泌を促し、なおかつそのネッチリした口当たりで口の中のクラッカーの欠片をまとめ上げる…という、見事な連携
プレーを見せてくれました。
さらにFIG BARを開封。中からは、カロリーメイトを押しつぶした様な形のエナジーバーが2本出て来ました。真ん中には
イチヂクのフィリングが詰まっていてそれ自体はかなり甘いのですが、イチヂク独特の果実の風味がしっかりと生きている
ので、意外と食べやすいですね。
噛むとぷちぷち潰れる種子の食感もなかなか楽しく、甘味の苦手な私でも、MREに入っているお菓子類の中ではかなり
美味しい部類に入ると思います。
さて、そろそろメインのCHICKEN AND NOODLES WITH VEGETABLES IN SAUCEが温まってまいりました。今回も
加水式加熱剤はレトルトをガンガンに温めてくれたようで、一時期信頼を完全に失っていた頃とは別人の様な働きぶりを
見せてくれています。
皿にあけてみると、一口大よりもやや小さい鶏肉がごろごろと出てきました。具は鶏肉の他にニンジンやグリーンピース、
赤パプリカ。そしてタリアテッレと思われるパスタが粘度の高いソースに絡まっていて、見たところ以前試食したものと全く
変わっていない模様です。
味は薄めのホワイトソースに塩味を足して、僅かにトマトの風味を加えた様な、どこかその輪郭がはっきりしない茫洋とし
た味わいです。鶏肉は胸肉を使用していてかなりパサパサで、まるでツナ缶を食べている様な食感ですが、ソースがかな
りねっとり系なので食べづらさは感じませんね。
パスタは完全にふやけ切り、タリアテッレなのかうどんなのかよく分からない状態になっていますが、まあレトルトの長期保
存食ならこんなもんでしょう。パスタの代わりにジャガイモを入れた方が、まだ印象がいいかもしれません。
しかしこの、締まりのない味わいが独特だなあ。品目も多く栄養のバランスもいいのですが、何と言うか、昔の小学校の給
食っぽいこの味は、評価が分かれるところだなあ。
ここでアクセサリーパケットに入っていたタバスコ様を投入すると、どうにか一本芯の通った風味になりました。以前と比べ
ると随分美味しくなった感のあるMREではありますが、まだまだタバスコ様には現役で頑張って貰わないと。
あと、前回試食時に気になった魚介系のダシの香りですが、今回はなぜか気にならず。おかしいなあと思いつつレトルトの
入っていた紙箱を確認すると、原材料表記の欄にはカツオエキスはありませんでした。途中でレシピが変更になったのか、
それとも製造元が違うせいか?この辺はちょっと謎ですね。あのビミョーな魚の風味は、現場の兵隊さん達にはウケが悪か
ったのかもしれません
仕上げはホットビバレージバッグのお湯を注いだ粉末コーヒー。熱々、とまではいきませんが、食後に温かいコーヒーを飲
めるのは有り難いですね。加熱剤のコンディションがいいと言うだけで、MREの持っていた潜在能力が格段に引き出される
様な気がしました。
コーヒー自体はネスカフェのスティックタイプですが、この軽い苦味が、フィグバーの爽やかかつ濃厚な甘さとよく合ってい
て美味しく頂けました。
あ、Piecesがあったのを忘れていました。M&Mチョコみたいな形のピーナッツバターですが、うーん、なんだかこれはよく
分からない味だなあ。不味くはないですが決して美味しくもなく、Pieces本人も自分の立ち位置が見つからず所在なさげに
見えます。まあエネルギー効率のいい食品なので、必要カロリーに応じて食べればいいでしょう。
メインディッシュの個性がやや弱かったので、全体の印象としては随分ぼやけた感じのメニューでした。脇を固める食品類
も、今ひとつ主張のはっきりしない連中だったので、なんとなく食べ終わってしまった、という感じでしょうか。
その分、クラッカー&チーズスプレッドの安心コンビに随分助けられた様な気がしますが、ああも二者の相性がいいと、逆
に周囲の食品類から浮き上がってしまっている様な気がするのが不思議です。
なんと言うか、飲み会に2人でやってきて、独自のいちゃいちゃうふふ空間を展開して他を寄せつけようとしないアベックの
様な感じでしょうか。
ただ、あの伝説のパスタアルフレッドソースや、前々回試食したチーズベジタブルオムレツの様な、食べていて著しいストレ
スに苛まれる事は無く、まあこういう大人しいメニューもアリなのかもしれません。
それなりのエンジンをそれなりのシャシーに載せて、それなりの足回りを組み込んだらそれなり以上でも以下でもない車に
仕上がりましたが、走らせてみるとバランスがよく素直な操縦特性だったので、意外とドライブが楽しかった…そんな佳作メ
ニューでありました。
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