レトルトがしっかり温まったところで試食にかかります。火傷に気をつけつつメインのCHICKEN FAJITA
FILLINGを開封すると、んん~?なんじゃこりゃ。パッと見はチキンカレーっぽいのですが、この微妙に甘酸
っぱい香り・・・。とりあえずスプーンを突っ込んで一口食べてみますが、スィートチリソース系というか、酢豚
にパイナップル系というか・・・東南アジアテイストなのか中華テイストなのか、よくわからない味わいです。
鶏肉は胸肉を使用していて、結構ボリュームがあります。脂肪分は殆ど無く口当たりはパサついています
が、ソースにしっかりとしたとろみがあるので、結構食べやすいなあ。
入っている野菜はタマネギとレッドチリ、グリーンチリ?あとセロリや茄子っぽいものも確認できましたが、
どちらも原材料表示には載っていなかったので、タマネギの見間違いかもしれません。
それにしてもこれ、美味いのか不味いのか、ちょっと一言では言えない味だなあ。少なくとも食べる事が出
来ないレベルの酷い味ではありませんし、食べ慣れればこの甘酸っぱさが微妙に美味しい様な気がします
が、これはこれで完成した味なのでしょうか。大事な何かを忘れてる味というか、何かを足せばもっと美味し
くなるかもしれませんが、同時に迂闊に手を出すとあっという間に味が崩壊して酷い事になりそうな気もしま
す。
ぱっと見は捉えどころのない不思議ちゃん系ですが、ちょっとした事で怒らせると手がつけられない位にキ
レそうな人みたいな、非常にリスキーな味わいだなあ。
と、ここでシーズニングブレンドの小袋が入っていた事を思い出しました。でもこれ、下手に入れるとえらい
事になりそうな。このままの方がいいんじゃないのかなあと思いながら、ちょっとだけふりかけて食べてみる と・・・ああ、意外と合いますね、これ。両目の焦点があってない人に恐る恐る声をかけたら、ごく常識的な応
対が返ってきた様な安堵感を覚えます。
続いては、もう一つのレトルトであるMEXCAN STYLE RICE。MREのメキシコ系米料理は、トマトソー
スと並んでハズレ無しの鉄板メニューですが、これも期待を裏切らない素晴らしいお味。昔のメニューにあっ
たジャンバラヤに醤油を加えてぐっと濃厚にした様なテイストで、メインの「???」な後味、をしっかりと引き
締めてくれるのがいいなあ。
スパイスの辛味も香りもしっかりと効いていて、これはライムを絞ったコロナが欲しくなりますね(笑)。一つ
の加熱剤で無理矢理二つのレトルトを温めたせいか、お米はややロウっぽい固い口当たりですが、その分
よく噛んで食べる事になり、満腹感も十分。
ここでTORTILLAを開封。以前と同じく、二つ折りにした丸いトルティーヤが2枚出てきました。ほんのりと
湿り気があり、この香りも久しぶり。これが入っているという事は、メインの料理を包んで食べろ!という事で
すね。了解です、サー!
まずはCHICKEN FAJITAをひと口分すくって、1/2枚のトルティーヤで包んで食べてみましょう。ほほう、
なかなかイケますよ。トルティーヤの湿りつつもボソボソした食感が、とろみのあるソースといい塩梅でマッチ
しています。得体の知れない奴をもきっちりと受け止めて包み込む、トルティーヤの主食としての懐の深さを
感じます。
そして不思議な事に、このCHICKEN FAJITAをトルティーヤと合わせると、もともと持っていた甘酸っぱ
さが際立つというか、妙にフルーティな味わいになります。うん、このメニューはトルティーヤに包んでこそ、と
いう気がしますね。
続いてはMEXCAN STYLE RICEをひと口分、トルティーヤに包んで食べてみます。おおう、これも美味
い!感覚としてはスパイシーな焼きそばパン風というか、いかにもメキシコテイストだった米料理が、トルティ
ーヤに包まれた途端にシンプルなソース焼きそばっぽい味になるのが面白いなあ。お米&粉モノ、という組
み合わせですが、私個人的にはストライクです。
そしてCHEESE SPREADとトルティーヤ。うん、なんだかんだでこれが一番しっくりくる組み合わせかな
あ。確かに先程のメキシカンライス&トルティーヤは、ちょっと笑ってしまうぐらいの美味でしたが、安定感や
完成度の高さと言う意味では、こちらの方が一枚上な気がします。
それにしても、チーズスプレッドはスナックブレッドと組み合わせるのが一番だと思っていましたが、トルテ
ィーヤにはその固定概念に足払いをかけられた気分です。私の普段の食生活にはあまり馴染みのない食
材ですが、なかなか大した実力派ですね、トルティーヤ。
通常とは順番が逆になりましたが、ここで飲み物を2つ。IRISH CREAM CAPPUCCINOを開封して
6オンス(約180㏄)の冷水を入れ、素早くシェイクします。中からはとろとろのシェイクが出てきましたが、
うん、この香り高い甘苦さがいい感じだなあ。これの何をもってアイルランド風なのかは不明ですが、メイン
の味わいを引き立てつつ、舌を洗う様な優しい甘さにホッとさせられます。
粉末のSPICED CIDERも、同じく6オンス(約180㏄)の冷水で作ります。人工的ながらも違和感のない
リンゴの甘酸っぱさが、チーズスプレッドのしょっぱい後味をふんわりと包みこんでくれます。粉末アイスティ
ーと並んで、MREの良心といっても過言ではない、安心の味わいでありました。
最後はBAKED SNACK CRACKERS。これも今回初めて見る食品です。切手大のチェダーチーズ風
味のクラッカーで、粉っぽいながらもサクサクカリカリした口当たりが印象的。強めの塩味とチェダーチーズ
特有のコクもしっかりとあり、これも美味しいなあ。新幹線でビールを飲みながら食べたい味です。
いやあ、今回のメニューは当たりでしたね。MREにしては珍しく塩味の強い組み合わせでしたが、試食を
行ったのが気温35度を超える真夏だった事もあり、するりと口の中に入りました。
メインはやや癖のある味わいだったので、好き嫌いが分かれそうですが、なんだかんだで私としては美味
しかったです。あの甘酸っぱさも、夏向きかもしれませんし。メニュー全体としての評価はかなり高いレベル
にあったと言えますね。
それにしても、得体の知れないCHICKEN FAJITAや自己主張の強いMEXCAN STYLE RISE、塩
味のきついチーズスプレッドをきっちりと受け止め、相手の味を際立たせつつも自身の持ち味をも発揮する
トルティーヤの実力には唸らされました。MREの主食系としては、クラッカーやスナックブレッドが強固な地
位を築き上げていますが、トルティーヤには3強の一角となるべく、今後もどんどん活躍の場を広げて頂き
たいものです。
あと、このメニューの欠点をあえて挙げるとすれば・・・ビールがついていない事でしょうか(笑)。それ位に満
足の高いメニューでしたが、ここは米軍に粉末ビールを開発してもらいたいですね。流石にアルコール入りは
無理がありそうですが、ノンアルコールの粉末ビール!いいじゃないですか!これまで数々の常識を覆してき
たMREなら、きっとやれるはず!
ボリュームや味覚面で十分な満足度を誇りながら、さらにこの先の伸びしろに期待が持てる・・・と言う意味
味で、◎評価に値するメニューでありました。
≪追記≫
後から調べてみたのですが、FAJITA(ファヒータ)とは、レタスやチーズ、トマトなどと一緒にトルティーヤに
のせて食べるメキシコ料理のひとつで、本来は牛ハラミを指す言葉だそうです。
ただ現在は、牛ハラミ以外にも鶏肉や豚肉など様々な肉料理をのせて食べる方法が一般的で、鶏肉を使
えばチキンファヒータと呼ばれるとの事。メキシコ料理のお店に行く機会があれば、是非とも食べてみたいも
のです。
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