No.13 CHEESE TORTELLINI VEGETARIAN



        さて今回は、メニューNo.13『CHEESE TORTELLINI VEGETARIAN』です。これは随分以前に一
       回試食しているメニューですね。ベジタリアンメニューは総じて不味い・・・という前評判の悪さを覆す素晴
       らしいトマト風味
が好印象だったので、嬉しい再会だなあ。
        ちなみにトルテリーニとは、肉や野菜、チーズなどの具をシート状の生地に包んで捻った、パスタの一種
       です。子供の耳みたいな形状なので、イメージ的にはパスタよりも餃子に近いかもしれませんね。
        ワクワクしながらパッケージを開封すると、お、今回は見たことない食品がいくつか入っていました。この
       スティックシュガーっぽいのは、どうやらレモネードの模様。以前は使い捨てカイロ位の大きさがありました
       が、随分とコンパクトになったものです。
        その他、今回初めて見るエナジーバーも入っていて、これは試食が楽しみ。さっさと撮影を済ませて、頂
       いてみましょう。








【内容】
1:CHEESE TORTELLINI IN TOMATO SAUCE
2:APPLE PIECES IN SPICED SAUCE
3:チャンキーピーナッツバター   4:Pieces
5:粉末ドリンク    6:エナジーバー   
7:クラッカー   8:アクセサリーパケット
9:シーズニング   10:ホットビバレージバッグ
11:加水式加熱剤   12:スプーン







【アクセサリーパケット内容】
1:粉末ドリンク   2:ウェットティッシュ   3:塩
4:粒ガム   5:トイレットペーパー   6:マッチ














        まずはメインのレトルトを加熱剤にセットして、粉末のBEVERAGE BASE LEMONADEから作ってみます。
       パッケージが小さいから水も少ないのかと思いきや、20オンス(約600cc)も使用するとの事。へー、前の
       レモンライムドリンクは12オンスでしたから、随分増えましたね。
        バスクリンみたいな強烈な匂いの粉末をペットボトルに入れ、冷水を注いで一気にシェイク。ほほう、見た
       目はかなり本物っぽいレモネードです。前のレモンライムは実にUSAチックなわざとらしい緑色でしたから
       ねえ(笑)。まずは一口飲んでみましょう。


        ほほう、なかなか爽やかですっきりした味わい。以前試食したドイツ軍戦闘糧食に封入されていたグレー
       プフルーツドリンクに似ていて、かなりイケますよ。ちょっとのどに突き刺さる様な酸味のキツさはありますが、
       私は個人的に好きだなあ、こういう味。疲労回復にもガツンと効きそうですし。気になる人は、少し多めの水
       で溶かして調節すればいいでしょう。
        もう一つの粉末ドリンクは、すっかりおなじみのSPICED CIDER。爽やかに甘くほんのり酸味の効いたアッ
       プルドリンクであります。組み合わせるメニューによってはやや甘味の強さが気になる時もありますが、これ
       も水加減で微調整すればいいでしょう。いかにもケミカルなわざとらしい味なのに、妙に本物っぽいというか
       よく出来ているのはMREの醍醐味
ですね。


        CRACKERSはいつ食べても安心できる味わいで、サクサクコナコナな口当たりがいいなあ。今回は大量に
       ある爽やか系ドリンクとの相性もばっちり
で、まるで小隊に一人いてくれると凄く助かるベテラン軍曹の様な
       風格を漂わせています。


        こちらは今回初めてのCHUNKY PEANUT BUTTER。普通のピーナッツバターはもう何回食べたか分から
       ないぐらいですが、チャンキーってのはなんなんでしょう。確かまことちゃんが拾った犬につけた名前がチョン
       キー
だった筈ですが、何故こんな極めてどうでもいい事が記憶の底から突然浮かび上がってきたのか、自分
       でも不思議です。重要な事はすぐ忘れる癖に(笑)。
        とりあえず中身を押し出してみますが、見た目も匂いもいつもと変わらないピーナッツバターです。一口齧っ
       ても、特に変わった所は・・・ん?何だこりゃ。妙にサクサクした食感のツブツブが沢山入ってます。一つ取り
       出して確認してみると、ああこれ、ピーナッツを細かく砕いたものが入ってるんですね。なんだか手榴弾の破
       片みたい
で、ある意味戦闘糧食らしいというかなんというか(笑)。


        しかしこのサクサクとしたピーナッツ片がいい仕事をしていて、ピーナッツバター特有のネチネチベタベタと
       した重い口当たり
が随分と軽やかになります。正直、MREのピーナッツバターを美味しいと思った事は一度
       もないのですが、これなら美味しく頂けます。こういうちょっとした改良がこまめに行われるのは、流石に世界
       中で大規模な活動を展開しているアメリカ軍ならではだなあ。
        続いては、2つあるレトルトのうちのひとつ、APPLE PIECES IN SPICED SAUSE。いわゆるリンゴのシ
       ロップ煮
です。味付け自体はかなり甘いのですが、酸味とシナモンのバランスが絶妙でなかなかイケますね。
       シロップの粘度が高いので、サクサクコナコナのクラッカーとの相性も抜群。一緒に食べるとアップルパイみ
       たいな味わい
になるのが、これも米軍らしいかも。


        さて、そろそろ加熱剤にセットしたレトルトが温まってきました。火傷に気をつけつつCHEESE TORTELLINI
       IN TOMATO SAUCE
を開封。お皿にあけます。
        うん、これこれ。以前試食した時と同じ、実に美味しいトマトソースのトルテリーニ。長期保存のレトルトなの
       で、さすがに丁度いい茹で加減とは行きませんが、バジルの香りが効いたトマトソースは戦闘糧食とは思え
       ないほど質が高く、自然に表情が綻んできます。
レトルト臭さも殆どなく、毎年メニューが更新されるMREの
       中で延々と生き延びているだけはありますね。


        丸っこい一口大のトルテリーニは見た目もかわいく、トマトの鮮やかな赤も食欲を刺激します。MRE初体
       験でトマトソースが嫌いでなければ、是非このメニューから入ってもらいたい
位。MRE界の山本小鉄、まさ
       にチェリーキラーとでも言うべき一品だと言えますね。
        そしてこのトマトソースの適度なとろみが、コナコナしたクラッカーと実に合います。うーん、これはスナック
       ブレッドやスコーンでは決して味わいえない、組み合わせの妙ですね。
        ちなみにトルテリーニの中に入っているのはチーズですが、分解してそれだけ食べてもチーズらしい風味
       は微かにあるかないか。チーズの香りが苦手な方でも、問題なく食べる事が出来ると思います。


        最後はNUTRITIOUS ENERGY BAR。名前がFIRST STRIKEというのが、これも米軍らしいなあ。どうやら
       アップルシナモン風味の様ですが、とりあえず一口齧ってみましょう。
        うーん、微妙に湿ってるのにこのミシミシした食感・・・。湿気って古くなったおかきみたい。そしてこの、襲い
       掛かってくる様な強烈な甘さ
。これ一つで結構なカロリーが摂れそうですが、個人的にはちょっと苦手かなあ。
        シナモンアップル風味そのものは悪くないのですが、1/4まで食べてギブアップ。残りは何日かかけて、ち
       びちび食べるとしましょう。


        あ、Piecesを忘れていました。M&Mチョコみたいな見た目のピーナッツバター粒ですね。まあ大して美味
       くも不味くもない一品ですが、既にピーナッツバターがあるのに、更にもう一品重ねて来るかMRE・・・。アメ
       リカ人は本当に好きなんだなあ、ピーナッツバター。確かに保存がきく上にエネルギー効率のいい食品では
       ありますが。


        全体的にみると、甘酸っぱい系の食品に偏り過ぎた上にピーナッツバター味が2品もある、随分とイビツな
       メニュー構成
でした。それだけに、クラッカーの安定したいい仕事っぷりが際立っていた気がします。お世辞
       にもバランスが取れていたとは言えませんが、それぞれの食品はクラッカーと組んで自分の持ち味をしっか
       りと発揮していた感じですね。
        あ、そうか、このメニューの主役は実はクラッカー君だったんですね!普段は殆ど自己主張を行わず、地
       味な脇役として周囲を引き立てる事に専念していたクラッカー君に対し、全員が感謝の気持ちで用意した
       ラッカー君いつもありがとうパーティー
の様な趣です。
        いきなり花束をプレゼントされてパーティー会場の中央に引きずり出されたクラッカー君が、
        「な、なんだよお前ら!びっくりさせるなよもう・・・」
        と困り顔になりながらも、ちょっとだけ涙ぐんでいるようなメニューに見えてきました。
        確かに全体としてのバランスの悪さは否めないメニュー構成でしたが、まあそういう事情なら、あまり野暮
       な事は言いっこなしでしょう。

        すっかり歳を食って、物分かりがよくなってしまった海原雄山の様な心境で、ささやかながらも盛り上がりを
       見せているクラッカー君いつもありがとうパーティーを見守った試食でありました。




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