No.19 BEEF ROAST WITH VEGETABLES


       さて今回は、メニューNo.19『BEEF ROAST WITH VEGETABLES』です。牛肉の塊沢山の野菜
      をオーブンで焼き上げるアメリカ一般家庭のごちそう、いわゆるローストビーフですね。日本で言えばすき焼
      にあたる存在なのでしょうか。
       まあレトルトの長期保存食なので、中はしっとりピンク色・・・という訳にはいかないでしょうが、異国の地で
      闘うアメリカ軍の兵隊さんにとってふるさとの家庭の食卓を思い出させるであろうメニューなだけに、そうそう
      変なものは出せない筈。とは言え、そこをガスッと裏切ってくれるのがMREなんですよね(笑)。
       最近はMREも本当に味が良くなりましたが、ここはやはりいろんな意味で期待に応えるMREであって欲し
      い
と思ってしまうのが、性根の歪んだ糧食マニアの困ったところであります。

       とりあえずパッケージを開封。お、今回はまた随分と品目が多いなあ。アメリカ軍が家庭のごちそうの代表
      格であるローストビーフ
を製品化するにあたり、満を持して万全のスタッフを揃えて来た感があります。これ
      は食べる方も気合いを入れてかからねば。


【内容】
1:BEEF ROAST WITH VEGETABLES AND
GRAVY
   2:クラッカー   3:粉末ココアドリンク
4:ドライクランベリー   5:バニラパウンドケーキ
6:ステーキソース   7:チョコレートピーナッツバター
8:アクセサリーパケット   9:ホットビバレージバッグ
10:加水式加熱剤   11:スプーン








【アクセサリーパケット内容】
1:粉末クリーム   2:塩   3:ウェットティッシュ
4:砂糖   5:ティッシュペーパー   6:マッチ
7:粒ガム   8:粉末コーヒー












       まずはメインのレトルトを加熱剤にセット。水を注いで、そのまましばらく待ちます。その間に粉末ドリンク
      作りましょう。今回封入されていたのはCOCOA BEVERAGE POWDER。6オンス(約180cc)の冷水を
      注いでパッケージのチャックを締め直し、しっかりシェイクすれば出来上がりです。うん、相変わらず美味しい
      ココア
だなあ。今回は冷水で作りましたが、加熱剤で一緒に温めたお湯を使っても美味しく出来上がります。

       続いてはCRANBERRY OSMOTIC。以前食べたレーズンが異様にまっ黒な劇薬っぽい味わいだったの
      で、ちょっと身構えてしまいましたが、開封したパッケージから出て来たのは普通のドライクランベリー。余計
      な甘さもありませんし、さっぱり甘酸っぱいクランベリーの風味が生きています。
       これだけ別に取っておいて、ちょっとした小休止の時につまむと疲労回復に効きそうだなあ。MREと言えば
      激甘系スイーツが充実している印象が強いですが、エグイ甘味が苦手な私としては、こういうドライフルーツ
      を充実させてくれると助かりますね。まあ私は遊び半分で食べてるだけですが(笑)。

       次はCHOCOLATE PEANUT BUTTER。ほほう、チョコ入りのピーナッツバターは初めてです。こんな
      のもあったのか。とりあえず一口食べてみますが、うーん・・・意外と悪くないかも。アーモンドチョコに近い味
      ですね。
       しかしMREのピーナッツバター特有のねっちょりぺっちゃりした粘着質な食感は相変わらずで、そこにチョ
      コの濃厚な味わい
が加わって手強さ100倍。慌ててサクサクしたCRACKERSをぶつけて中和を図りました
      が、やっぱり口当たりがヘビーだなあ。
       飲み物で流し込もうにも、今回封入されているのはココアドリンクなので、さらに口の中が重甘い感じに。お
      好きな方にはたまンない組み合わせかもしれませんが、甘味の苦手な私にとってはまるでダウンジャケットを
      着たお相撲さんが真夏の電話ボックスの中にいるみたいな味わい
。この局面では、ココアよりもレモンライム
      やグレープドリンクが欲しい・・・。

       さらにもう一品、甘味が続きます。MREではもうお馴染みの、Vanilla Pound Cake。バターの香りが濃
      厚で、これはこれでとても美味しいのですが、よりによってこのタイミングで現れるか・・・。
       これもさっぱり系ドリンクの方が合う気がしますが、アクセサリーパケットに入っている粉末コーヒーはちょっ
      と違うなあ。せめてこの粉末コーヒーがティーバッグであれば・・・。以前はアクセサリーパケットにリプトンのテ
      ィーバッグ
が入っている事が多かったのですが、最近は見なくなりました。

       ああヤバイ、今回もMREに押し切られると言うか、畳みかけて来る甘味攻撃でコーナーに追い詰められ、
      防戦一方になりそうな・・・と思ったところで、メインのレトルトが加熱終了。まるでゴングに救われたボクサー
      の様な気分
で、ふらふらとレトルトを開封します。
       お皿の上には、巨大な肉の塊が転げ出てきました。おおお、これはなかなかの迫力。周囲に沢山の野菜
      まとっていますが、マルシンハンバーグを一回り大きくした様なサイズのローストビーフが、見た目の頼もしさ
      満点。まずはソースをつけず、そのまま頂いてみましょう。
       うーん・・・確かに牛赤身肉の味わいですが、良くも悪くも素材任せで止まっているというか、もうひと味あっ
      てもいいんじゃないかなあ
。赤身の成型肉はスプーンで簡単に押し切れる程度の固さで、口当たりは柔らか
      めのサラミみたいな感じ。

       とは言え、これはこれでアメリカの大味な牛肉をほおばっている感じがあって悪くありません。ところどころ
      肉の繊維っぽい部分とミンチが押し固められた様な部分が混ざっていますが、それよりもこの、微妙に酸っ
      ぱい風味
が気になるなあ。結着剤かなにかかな?そして口の中に漂うレトルト臭さも、かなり気になります。
       という訳で、今度はSTEAK SAUCEをかけて頂いてみましょう。あ、こっちの方が断然美味しいですね!
      他のメニューに入っていたBBQソースによく似た、フルーティーとんかつソースみたいな味わいですが、こち
      らの方がよりさっぱりと軽やかな感じかな?

       最初に気になった妙な酸っぱさはソースのフレッシュな酸味で消し飛ばし、赤身成型肉特有のパサついた
      口当たり
独特のとろみで上手く包み込む感じです。ジューシーな酸味が先程までの甘味攻撃で弱った舌を
      活性化させ、唾液の分泌を促す事でクラッカーとの相性も良くしてくれるのも地味にありがたい。
       そしてこのステーキソースの力を借りて、存在感が希薄だった野菜類も一気に目を覚ました感じです。入っ
      ているのはジャガイモニンジン、あとこれはマッシュルームかな?クニュクニュしたこの食感が、一皿の中
      で不思議な存在感を放っています。めちゃくちゃ美味しい!という訳ではありませんが、メインディッシュとし
      ての実力は十分に感じられる一品
でありました。
       いやあ、最初から連打で来る甘味に一時はどうなる事かと思いましたが、最後はステーキソースが全部持
      って行ってしまった
というか、なんとか無事ゴールにたどり着いた感じですね。正直このステーキソースそのも
      のは大して美味しくもありませんが、やはり戦闘糧食を一つのメニューとしてとらえた場合、いろんな組み合
      わせの妙
があり、食べる順番一つとっても満足度は大きく変わるんだなあ・・・と、今更ながら思い知らされま
      した。

       それにしても、やはりもっとあっさり味のドリンクが欲しかった気がしますね(笑)。最後はスティックタイプの
      粉末コーヒー
で締めましたが、せめてこれがいつもの粉末アイスティーであったなら・・・と、少し残念ではあり
      ました。
       とは言え、これはあくまでも純日本人的な私の舌で味わった感想にすぎず、やはりアメリカの兵隊さんにと
      っては、これこそが遠く離れたふるさとを思い出させる懐かしい味わいなのでしょう。
       コーラを飲みながら夕食をとったり、オレンジジュースの1ガロンボトルが巨大な冷蔵庫にドンと置いてある
      様な、アメリカの一般家庭の食卓の風景になんとなく思いを馳せてしまった試食でありました。




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