今回の加熱剤も実にパワフルで、レトルトとホットビバレージバッグの水をガンガンと温めています。その間に、まず
は粉末ドリンクから作りましょう。GRAPEと書かれた大きなアルミパックですが、パッケージの注意書きにはチョコシェ
イクと同じく、水を入れて30秒シェイクせよ、と書かれてありました。取り敢えず開封して12オンス(約340cc)の水を入
れ、袋の上部をしっかりと折り畳んで握りしめた状態で30秒シェイク。圧着式のチャックではないので、ちょっと手が滑
ると辺り一面にグレープジュースを撒き散らす羽目になるのが恐ろしいなあ。
という訳で無事シェイクを終了し、コップに注いでみると…あれ?ドロドロのシェイクじゃなくて、普通のドリンクでした。
これだったら別に苦労してシェイクしなくても、いつも通りにペットボトルに入れて溶かせばよかったなあ。何でわざわざ
シェイクと同じ大袋にしたんでしょう?
しかもこの青銅色、化学薬品か毒物系の雰囲気がプンプンです。どうもアメリカ人の食べ物に関する色彩感覚には
ついていけないものがあるなあ…と思いつつ一口飲んでみますが、これがあっさりした甘味で実に美味しい!ニセモノ
臭い割にちゃんとグレープの味がしますし、中国の河川みたいな色合いのクセになかなかどうして、ゴクゴクと飲める
味なのが驚きです。
続いてBEEF SNACK。これは以前別メニューで食べたものと同じですね。いわゆるビーフジャーキーなのですが、
ペッパー醤油味とでも言うべき味付けがかなり美味しく、ビールのおつまみには滅茶苦茶合いそう。乾燥レバーみたい
なボソボソした食感はちょっと賛否が分かれそうですが、厚みが1cmぐらいあるので噛み切る快感も楽しめ、私は好き
ですね。このキツイ味付けもいい意味で乱暴というか、どこか憎めないガサツさを感じます。
TOASTER PASTRYは、内部にアンコみたいなフィリングが入った平べったい焼き菓子です。さっぱりとした甘さの
中に、干し葡萄の様なイチヂクの様なほのかな香りがあり、これもなかなかの美味。二重包装でかなり圧迫されたのか、
中央部が潰れて割れてしまっていましたが、上等な輸入物のお菓子みたいで美味しいなあ、これ。
VEGETABLE CRACKERS。おお。これも久しぶりだなあ。無印のクラッカーみたいな粉っぽさは無く、サクサクと
言うよりもカリカリとした食感がいいですね。ちゃんと緑黄色野菜の風味も効いていて、カルビーのサッポロポテトBBQ
味みたいな風味がお気に入りです。繊維も多そうで、体に良さそうな気がしますね。
そしてCHEESE SPRED WITH JALAPENOS!これ、美味しいんですよね。塩気の効いた柔らかチェダーチ
ーズにハラペーニョのストレートな辛みと青臭さが加わり、なんだかこのメニューは私の好きな食品が多いなあ。テスト
で奇跡的に100点をとり、夕食に御馳走が並んでテンションが上がっている子供みたいな気分です。ベジタブルクラッ
カーとの相性も素晴らしく、ついちびちびと長持ちさせるように食べてしまいました。
さて、いよいよメインのBEEF RAVIOLI IN MEATSAUCEを開封です。今回もしっかりと温まっているので、実
に美味しそうなトマトソースの香りが堪りません。ラビオリ自体は切手大の小さなものですが、パチンコ玉大の牛肉と
粘度の高いトマトソースにまみれてとても美味しそう。まずは一口。
おお、やっぱりトマト味のMREにハズレはありませんね。バジルの香りが豊かで、軽やかで甘酸っぱいトマトソース
に牛肉の渋味とコクが加わってかなり美味しいです。ラビオリ自体はふにゃふにゃで、頼りないネリモノみたいな食感
ですが、これはまあ長期保存食ですから仕方ないでしょう。むしろ、レトルトでよくここまで頑張ったと賞賛されてもいい
出来だと思いました。
ラビオリの中心には少量の餡が入っていますが、その滑らかな口当たりと牛肉の荒々しい食感が好対照ですね。ア
クセサリーパケットのタバスコ様を入れるともっと美味しくなる様な気がしましたが、辛味に関してはビーフスナックとハ
ラペーニョチーズスプレッドがいい仕事をしてくれているので、全体のバランスを考慮してあえて使用しませんでした。
うん、この甘酸っぱい個性を大切にしたいですね。
最後はTOFFEE COOKIES。トフィーとはキャラメル生地の事です。開封すると500円玉大のぶ厚いクッキーが、
ざらざらと17枚も出て来ました。口当たりはサクサクと軽く、バターの香りが効いていて結構イケます。甘味は意外と
控えめで、ホットビバレージバッグで温めたお湯で作ったブラックコーヒーとの相性もなかなか。流石に全部は食べき
れませんでしたが、甘味の苦手な私でも美味しいと思いました。
甘味、辛味ともにはっきりした食品が多い中、爽やかに甘酸っぱいトマトソースのラビオリが、上手く全員をまとめた
様なメニューでしたね。主役として自分の個性を存分に発揮しつつも、周囲をまとめて盛りたてる気づかいも決して忘
れない…老練な舞台役者を彷彿とさせる、実力派のメニューでありました。
それにしても、最近のMREは昔と違って美味しいなあ。2008年検品メニューをこれで3つ食べたのですが、今の
ところ3打席3安打うち1本が本塁打、という上出来のスコアです。こうなるとあの、一口食べるたびに寿命が100日
ずつ縮まるという、戦闘糧食界の朝…いや恐怖新聞と言われた(いや、私が一人で言ってるんですけど)パスタアルフ
レッドソースが懐かしくなってきますが、もうあんな白色矮星級の超イカレ系メニューに出会う事もないのでしょうか?
そう考えると、不味い時にはとにかくコレ!と、手を取り合って何度もピンチをくぐりぬけて来たタバスコ様の存在が、
今更ながら何とも愛おしく感じます。
「もう俺が必要とされる時代じゃなくなったのかなあ…」
と、寂しげにつぶやくタバスコ様を見ていると切なくなるので、MREにはそろそろ、太平の眠りを覚ますドギツイ一発
をお見舞いして頂きたいものですね。
トップページに戻る
MREメニュー目次に戻る
|