No.19 BEEF AND MUSHROOMS





    今回が記念すべき私の戦闘糧食試食一回目、メニューは米軍MREのNo.19 BEEF AND MUSHROOMです。
    話はいろいろと聞いていましたが、果たして戦闘糧食とは、そしてMREとは一体どういうものなのでしょう?はやる心を
   押さえながら、まずは内容物を確認です。
    今回入手したのは検品後一年以内の比較的新しいものです。









【メニューNo.19 内容】
1:BEEF WITH MUSHROOM IN SAUCE (牛肉とマッシュルームの
煮込み)
2:YELLOW AND WILD RICE PILAF (ワイルドライスのピラフ)
3:オートミールクッキー   4:クラッカー   5:ココアドリンク
6:ストロベリージャム   7:スプーン   8:アクセサリーパケット
9:加水式加熱剤









【アクセサリーパケット内容】
1:ウェットティッシュ    2:粉末コーヒー    3:粉末ミルク
4:砂糖    5:塩    6:トイレットペーパー    7:タバスコ
8:マッチ    9:ガム







 


    まずはウェットティッシュで手をキレイにします。これが水分たっぷりのジューシーなシロモノで、あっという間に手がビタ
   ビタになってしまいました。

    牛肉とマッシュルームの煮込みとワイルドライスピラフの紙箱を開封。中からはアーミーグリーンのレトルトが出てきて、
   いかにも戦闘糧食!
と言う感じです。しかしこのレトルト、やけに固いですね。ぺらぺらなアルミではなく、薄い金属板みた
   いな固さです。
    まずは煮込みのレトルトを加熱剤と重ねて緑色のビニール袋に入れ、少量の水を注ぎます。袋の下の二重線のところ
   までですから、本当に少量ですね。こんなものでちゃんと料理が温まるのかなあ。とりあえず袋の上端を折り畳んで紙箱
   に入れ直し、その辺にうっちゃっておきます。紙箱には分かりやすいイラストで一連の作業が描かれているので、意外と
   簡単でした。
    しばらくすると水と加熱剤が化学反応を起こし、ポコポコという小さな音が聞こえて来ました。すぐに微かに塩素っぽいニ
   オイが漂います。
    さて、メインはこのまま温めるとして、その間に『OATMEAL COOKIES(オートミールのクッキー)』を開封です。中からは
   ぶ厚い大ぶりなクッキーが4枚出て来ました。ひとつ齧ってみると、シナモンとココナッツの風味が効いた甘めのフレーバ
   ー。サクサクした軽い食感で、市販のものに比べても遜色ありませんね。


    次は『COCOA BEVERAGE POWDER(粉末ココア)』です。袋を開けると、かなり細かい粉末ココアが見えます。これを
   オンス(1オンス=28ml)
のお湯か冷水で溶かすのですが、今日は暑いので冷水で作ってみます。
    まずはカップの中に少量の水を入れ、パウダーがダマにならないようにスプーンで練っていきます。しっかり溶けてドロ
   ドロになった所で、残りの冷水を加えて完成。これが思ったよりもあっさり上品な味わいで、それでいて香りも豊かで実に
   美味しい。
甘味も控えめなので、はっきりした味のクッキーとよく合います。
    次は『CRACKERS(クラッカー)』。パックの中ですでに割れていたのですが、そのまま齧ってみるとほのかな塩気と甘味
   があってこれもなかなか美味しいなあ。サクサク感は少なく、やや粉っぽいみっしりした歯応えですが、これは固い真空パ
   ックのせいかな。
    ここで『STRAWBERRY JAM(イチゴのジャム)』を開封。パックからは、ジャムと言うよりもシロップみたいなのが出て来ま
   した。いかにもアメリカらしいストレートな甘さのジャムが、ほのかな塩気のクラッカーといい相性ですね。


    さて、この辺でメインディッシュを出してみましょう。かれこれ10分近く温めたので、取り出したレトルトパックはかなり熱く
   なっています。で、出て来たのが下の画像。
    うーん、凄く…不味そうです。はっきり言って、画像の方が数段美味しそうに見えます。実物はもっとこう、ゴジラ対ヘドラ
   っぽいというか、とにかく見る者を暗い気持ちにさせるビジュアル
でした。今なら、自分の料理の下手さを全く自覚してい
   ないおせっかい系の幼馴染が隣に住んでいる主人公の気持ちが分かる
ような気がします。


    やや怯みつつも、とにかく一口。うん?意外と悪くないですよ。肉は結構ゴロゴロ入っているし、マッシュルームの食感
   もしっかりしています。味付けは少し粉っぽい薄味のブラウンソース。酸味がちょっと気になりますが、そもそもこういう味
   なんでしょうか。
    クラッカーの小片にのせて食べると、ちょっと美味しくなりますね。ふと思いついてそこにタバスコをひとたらしすると、よ
   うやく芯の入った味になりました。
    ただ、全体がかなりもったりしているので、残り半分位から食べるのがしんどくなってきました。また、冷めると急に不味
   くなる
ので、出来るだけ加熱してから一気に食べきるのがいいと思います。
    最後の方は結構キツかったですが、何とか腹に収めました。口直しのジャムをクラッカーにのせますが、ここでようやく
   固形のジャムが出て来ました。パックの中でシロップと固形分が分離していたみたいですね。次回からは、開封する前に
   しっかり揉んで混ぜておいた方がいいみたいです。


    続いて、煮込みと入れ替わりに温めておいた『YELLOW AND WILD RICE PILAF(ワイルドライスのピラフ)』を取り出しま
   す。皿にあけたピラフは、なんというか板そのもの。これをスプーンで突き崩して行くと、どうにかピラフっぽくなりました。
    食べてみると、けっこうスパイシーです。ただ、何と言うか、何味なんだこれは…。決して不味くは無いのですが、何にも
   形容し難い、特殊な味です。具はかなりの種類が入っていて、ざっと見ただけでニンジン、グリーンピース、マッシュルーム、
   黒く細長い米、チキン
。これをカリフォルニア米らしき長粒種の米で炊き込んでありますが、ボソボソしたプリンみたいな
   食感のソース
が絡まっていて一種異様な味わいになっています。ちなみにワイルドライスとはこの黒く細長い粒の米で、も
   ともとアメリカやメキシコに自生していた米の一種だそうです。見た目はヒジキみたいですが、噛んでみると米と言うよりも
   ツルツルした豆みたいな食感です。うん、これはちょっと面白い食材ですね。


    しかしこのピラフ、最初は物珍しさもあって食が進んだのですが、半分食べたあたりからどんどつらくなってきました…。
   給食に嫌いなものが出て、放課後になっても全部食べるまで帰して貰えない小学生の気分を満喫です。あ、今はそんな
   事もないんでしょうけどね。
    これもタバスコ様の力を借りて、何とか完食。ちなみにこのタバスコ、何だか静脈血のような妙にドス黒い色合いで、ち
   ょっと不気味でした。市販のタバスコと余りにも色が違うのですが、特に問題は無かったので全部使ってしまいました。




    味については正直微妙なところがありましたが、ボリュームはかなりのもので満腹です。ネタ的にも素晴らしく、なにより
   も食後の変な達成感が印象的でしたね。

    クラッカーとココアは十分満足のいく味でした。しかし飲み物がココアとコーヒーというのはいかがなものでしょうか。他の
   メニューにはレモンやチェリー風味の飲み物もあるようなので、さっぱり系の飲み物も欲しかった所です。
    加水式加熱剤に関しては、結局一時間近くポコポコと音を立てて発熱していました。便利なもんですねえ。
    全体としては、その味わいに若干の問題はあるものの、戦場でこれだけ食べる事が出来れば十分満足でしょう。見た
   目もアレでしたが、実際の現場ではレトルトに直接スプーンを突っ込んで食べているみたいですし、皿に空けるの見た目
   がどうのと言うような食事風景ではないので、これはこれでよし。よく見るとレトルトパックには、上の方と真ん中あたりに
   開封用の切れ込みがあり、底の方まで楽に食べる事が出来る工夫がされています。この辺は合理的でアメリカらしいなあ。
    ただ、ジャムとクッキーが食事に組み込まれているのは、甘いものが苦手な私にとってはちょっと辛かったです。まあ、
   極めて個人的な感想ではありますが。
    あと、ご丁寧にもトイレットペーパーがついていたのには驚きです。何だか詰まりそうだったので使いませんでしたが、
   いつか活躍してくれる日が来るかもしれないので、いつも使っているカバンの中に眠らせておこうと思いました。 




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