舞鶴地方隊サマーフェスタ2018

2018.07.21


       京都府舞鶴にて行われた、舞鶴地方隊サマーフェスタに行ってきました。当日はやや遅めの出発となってし
      まいましたが、まずは舞鶴航空基地に向かいます。駐車場は50台しかないとの事で少し心配でしたが、多く
      の人は北吸桟橋に近い赤レンガパークや東山の駐車場を利用したらしく、思ったよりも空いていました。よか
      ったよかった。
       意気揚々と準備を整えますが、それにしても舞鶴まで来てこの時間からこの暑さとは・・・今日一日が思い
      やられます。とは言え、真っ青な青空に浮かぶ白い雲、巨大な格納庫、管制塔、聳え立つレーダーマスト。
      かにもこの季節のイベントに来た!
という気分です。

       今頃北吸桟橋は人でごった返している頃ですが、こちらは人も少なくのんびりした雰囲気。まずは基地内を
      歩き回りですが、その前に押さえておきたいのが・・・あ、あった!昨年と同じレトルトカレーの屋台が出店
      しています!
       鼻息荒く突入すると、おお、未入手のカレーが結構ありますね。重複や買い漏らしのない様に冷静に一種類
      ずつチェックして、8種×2の合計16食、またしてもレトルトカレーに1万円以上の散財であります(笑)。
       しかしこれで横須賀海自カレー8種佐世保GC1グランプリカレー、あと新しくなったばかりの呉海自カ
      レーの3種
を一気にコンプリート。もうこれだけで舞鶴まで来た甲斐があったというものです!

       ほくほく顔でいったん車に戻り、レトルトカレーの塊をラゲッジに収納。こんなの抱えて歩いてたら身軽に
      動けませんし。桟橋の手荷物検査で隊員さんに失笑された、昨年の苦い思い出が蘇ります(笑)。
       レトルトカレーに関してはいきなりの大戦果。ホッとしたら急にお腹が減ってきました(笑)。まずは屋台
      の焼きそばで腹ごしらえをして、第一格納庫に向かいます。内部は真っ暗ですが、開け放たれた扉の外の風景
      が、映画館の大スクリーンみたいでとても美しい。海自の他の航空基地も、こんな景色の中にあるんでしょう
      か。館山や大村にも一度行ってみたいものです。

       ふと見ると、格納庫の片隅で子供用のヨーヨー釣りが開催されていました。プールになってるこれは、航空
      機に積み込まれている救命筏ですね。こんな風に活用されているのは初めて見ました。流石に実際に使用され
      る救命筏ではなく、教育用の教材の流用だと思いますが(笑)。

       格納庫からエプロンに出ると、どこまでも抜けていくような見事な青空。直射日光は強烈ですが、意外と風
      があるので思ったよりも楽ですね。駐機スポットにはSH-60K哨戒ヘリが展示されていましたが、胴体後
      部は排気のススで真っ黒。ピカピカに磨き上げた機体もカッコいいですが、これはこれで日夜厳しいフライト
      に就いている航空機らしさ
があって絵になります。

       パイロットの方に少しお話を伺ったところ、やはりヘリパイは腰にくるとの事。お世辞にも座り心地がイイ
      とは言えないシートに縛り付けられて、長時間座りっぱなしですからねえ。
       「ええ、もちろんそれも大きいですけど、振動も凄いんですよ(笑)。その上操縦中はずっと前かがみの姿
      勢が続きますし、背もたれがあってもリラックスできる姿勢にはなれませんね(笑)」

       時にはそんな姿勢のまま、まるまる6時間飛びっ放しになる事もあるとか。そうなるとトイレの問題も切実
      で、当日は暑くても朝から水分は控えるとの事。
       「まあ、途中で護衛艦に降りて給油することもありますので、その時に行こうと思えば行けますよ(笑)」

       そうこうしている間にも、先に飛び立っていたSH-60K哨戒ヘリが滑走路上に戻ってきて、低空でホバ
      リングを開始。どうやら救難展示飛行が始まるらしく、開放した機体側面のドアからは救難員がするすると降
      りてきました。
       無事地上に降り立った救難員は、オレンジ色のツナギを着た要救助者を確保。救助ホイストに要救助者を固
      定して上空のヘリに合図を送り、あっという間に機内への収容に成功。ヘリはローター音を鳴り響かせながら、
      現場から飛び立って行きました。

       続いては機動飛行展示。低空で進入してきたSH-60K哨戒ヘリが、滑走路中央で一気に機首を引き起こ
      して急上昇
。さらには滑走路上の一点でホバリングしたまま、機体を右に移動させたり左に移動させたり。一
      見してなんでもない動きに見えますが、単に操縦桿を右に左に動かせばいいというものではないんだろうなあ。
       様々な機動飛行を披露するSH-60Kのバックに見えるのは、抜ける様な青空、緑の山々、真っ青に輝く
      舞鶴湾
、そして純白のクレインブリッジ。こういう時はほんと絵になりますね、舞鶴航空基地。少々暑さにや
      られはしても、つくづく来てよかったと思えます。

       ちなみにエプロンには、京都府警のヘリコプターも展示してありました。メタリックブルーの機体にオレン
      ジ色のラインが入った実にカッコいいカラーリングで、警察というよりも今時の仮面ライダーとかに出てきそ
      う
。自衛隊機とは違って周囲の海や空に紛れ込ませる必要がないから、こんなド派手な塗装もアリなんですね。
      私としては、蛍光イエローで555と描いてしまいたい気がしますが(笑)。

       続いては機体の展示が行われている第2格納庫へ。床には赤テープで何かが貼り付けてあり、どうやら機体
      を最もカッコよく見せるために用意されたおすすめ撮影ポイント
みたいです。なるほど、隊員さんは自分の機
      体をこの角度から見て欲しい訳ですね。整備作業を終え万全の状態を取り戻した自慢のSH-60Kを、隊員
      さん達はこの角度から腕組みしつつ満足げに眺めている
のかなあ。

       その展示されていたSH-60Kですが、機体右側には訓練用魚雷とともにドアガンをアームに取り付けて
      展示してありました。そして機体左側のウイングには、隊員さん手作りのへるふぁいあくんのお姿が(笑)。
      コミカルなギロ目とシャークティースがキュート
ですが、本物のヘルファイアがこんなに可愛らしい訳がない
      ですね(笑)。

       格納庫の奥の方では、現在整備中のSH-60Kが3機展示してありました。分解されたローターブレード
      
水平安定板ギアボックスローターヘッド各種機体カバーなどが整然と並んだその様子は、まるでプラ
      モデルの製作途中
みたい。まな板の上できれいに捌かれた魚の様にも見えますが、そんなイメージが浮かんだ
      のは潮の香りの所為でしょうか(笑)。

       再び炎天下のエプロンに出ると、飛行展示を終えて帰って来たSH-60Kがウォッシュラックで水浴び
      終えたところ。飛行中に機体についたを洗い落とすためのウォッシュラックですが、なんだかSH-60K
      が
       「きもちいぃぃぃぃ!生き返った!」
       って言ってるみたい。お疲れ様の冷えたビールを差し入れてやりたくなりますね(笑)。

       そしてその水滴も乾かないうちに、SH-60Kは誘導員の指示を受けながら駐機スポットに移動。あれ?
      よく見ると誘導員の人、変なグローブをつけてますね。ヘルメットも妙な形ですが・・・どうやらミニー〇ウ
      スのお面
を被っている様です(笑)。隊員さんもお祭り気分なんですね。デ〇ズニーにバレたら文句を言われ
      そうなので、あえて伏字にしておこう・・・。

       あと、ヘリパイの人に夜間飛行についてお話を伺ってみました。夜間の真っ暗な海の上、視界が全く効かな
      い状況での計器の数字のみに頼ったフライト
になる訳ですが、その場合どうしても怖いのが空間識失調、いわ
      ゆるヴァーティゴ。まっすぐに飛んでいるのに旋回していると誤認識したり、実際は高度を下げているのに水
      平飛行していると錯覚してしまう、平衡感覚が正常に働かなくなる状況です。
       「一例を挙げますと、真正面の水平線上に漁船の明かりがあって、右下方手前にも漁船の明かりがあるとし
      ます。実際は真っすぐ一直線に飛んでいて、2隻の漁船は斜めの位置にあるんですけど、ヴァーティゴにかか
      ってしまうとこの2つの明かりがどちらも水平線上に並んだ明かりだと錯覚してしまうんです。そうなると誤
      認識した間違った水平線に合わせて飛ぼうとして、機体を大きく右斜め下に向けて飛んでしまうんですよ」

       そんな時は隣にいる副操縦士がすぐに指摘したり、場合によっては操縦を交代する事もあるとの事。自分の
      感覚と計器の数字が異なる場合、計器の方を信頼すべきという話ですが、これは口でいう程易しい事ではあり
      ません。自分の腕だけが頼りの誇り高いパイロット、頭では理解していても、計器が故障していたりや副操縦
      士の判断が間違っている
と思ってしまう事もあると思います。

       またこのヴァーティゴは能力の高さや経験年数に関係なく、パイロットなら誰にでも起こり得る事だとか。
      副操縦士がいればまだ指摘もしてくれますが、そう考えるとソロで飛ぶ戦闘機は本当に怖いなあ。もっとも、
      指摘してくれる副操縦士を心の底から信じられるか?という問題も、それはそれで別にありそうですが。
       結局は機体を預かる整備員達への信頼バディを組む副操縦士への信頼、そして自分の感覚が間違っている
      事もあると認める謙虚さ
が大事になるんでしょうね・・・って、なんかすごく偉そうだな私(笑)。ヘリなん
      か飛ばせもしないくせに(笑)。

       そんなことを考えていただけに、機動飛行展示を終えた乗組員達がぞろぞろ戻って来た時は、手早く撮影を
      済ませて心の底から拍手してしまいました。皆さん暑い中涼しい顔をしていますが、心も体もで出来ていな
      いと務まらない仕事・・・。
       ヘリを飛ばす人潜水艦を追い詰める人遭難者を救助する人整備する人も、そしてこの基地を維持する
      ために日夜頑張っている全ての人達
にいつも有難うとお疲れ様、そして次も気をつけてねの拍手です。

       時刻は1130、さて、そろそろ北吸桟橋に向かいます。航空基地から北吸まではシャトルバスが運行され
      ていますが、乗り込む前に一枚の紙きれを渡されました。手荷物検査済み?ああなるほど、北吸桟橋の手前で
      これを見せれば、手荷物検査なしでスムーズに入場できる訳ですね。
       その後乗り込んだシャトルバスですが、てっきり一般道通っていくのかと思いきや、山肌に開いた小さなト
      ンネルの前で信号待ち
。あれ?こんなトンネルあったっけ・・・と思ったら、どうやらこれは舞鶴航空基地と
      北吸桟橋の間にあるジャパンマリンユナイテッドの敷地内を通るための私有地のトンネルでした。
       航空基地と桟橋を繋ぐ山道が先日の豪雨災害で土砂崩れを起こしたため、イベントの間だけ敷地内のトンネ
      ルを使わせてもらう様です。柔軟に応じてもらえたJMUには感謝ですね。そのおかげでブロック工法で組み
      上げられる前の巨大な船体
や、いくつも積み上げられた甲板ハッチの蓋など、道中珍しいものを沢山見る事が
      出来ました。

       その後はジャパンマリンユナイテッドの正門から一般道に出て、久しぶりの北吸桟橋に到着。バスを降りる
      とDDG175護衛艦みょうこうの巨大な艦橋がお出迎えです。楔形にすぼまった後部煙突構造物が、いかつ
      いあたご型護衛艦にはない涼し気な印象。
       その護衛艦みょうこうですが、よく見ると艦首甲板からじょろじょろとを垂れ流しています。あんなとこ
      ろから漏水?甲板清掃の展示でもやってるのかな?と思いましたが、ああなるほど、艦首にミストシャワー
      設置してるんですね。この酷暑の中見学者の体調に気を配っての事ですが、残念ながら風向きが逆でミストが
      誰もいない艦首に流れていました。

       そのみょうこうの手前にいたのが、これまた巨大なDDH181護衛艦ひゅうが。先週和歌山港で一回り大
      きい護衛艦いずもを見て来たばかりなので流石に感動は薄れますが、やっぱりこの全通甲板型護衛艦の頼もし
      さ
がいいなあ。右舷サイドランプから舷梯が伸びていますが、流石にこの時間になると降りてくる人の方が多
      い様です。
       その後は屋台広場へ。お昼前とあって結構な賑わいで、中でも舞鶴市内の飲食店が各艦艇のレシピをもとに
      作った海自カレーが長蛇の列を誇っています。5つに区切られたトレーの中央にご飯を盛ったものを1000
      円で購入し、残った4区画に好きな艦のカレーを入れてもらって4つの味の食べ比べが楽しめるのか。なかな
      か面白いよくできたシステムです。
       しかし私がここで選んだのは、舞鶴名物肉じゃが。甘辛味のバランスが程よく、大きくカットされたジャガ
      イモの芯まで味が染みて美味しいなあ。屋台の奥では大量の肉じゃがが煮られていましたが、でかい鍋で作っ
      た煮物ってなんでこんなに美味しいんだろう
。たまンない味わいですね。

       その後は隊舎の日陰で涼んでいたSAA水兵さん達と合流。海自カレーではなく肉じゃがを片手に現れた私
      にSAA水兵さんは意外そうな表情でしたが、この手のちょっとずつ食べ比べるカレーというのは、個人的に
      あんまりそそられないんですよね。やっぱりカレーの試食って、ある程度以上の量がないと難しい気がします。
      特に私の場合は感覚やイメージに偏ったレポになるので、食べ始めと食べ終わりで全く印象が違う事がしばし
      ば
。しっかり噛み締め味わい尽くした上でそのカレーを語るには、やはり一人前の量は必要です。

       そういう意味で、各艦のカレーを少しずつ味わう事が出来る素晴らしい試みである事は理解しながらも、今
      ひとつこの手のイベントに参加する気にはなれず・・・。どうせ食べるなら、各艦のカレーを再現しているお
      店を一軒一軒回って、何年かかってでもしっかり一人前を食べてから語りたいところであります。
       その後は私は桟橋の艦艇一般公開に、SAA水兵さん達はジャパンマリンユナイテッドの資料館を見学して
      から航空基地へと向かいます。

       まずは桟橋の西橋に停泊していたPG824ミサイル艇はやぶさから。朝はかなり混雑したであろう狭い前
      甲板も、今は割と空いています。とは言え76mm速射砲の前にいる人達に動く気配がなく、説明も聞きづら
      い場所だったので先に艇内に入ってしまいましょう。
       艦橋真下のハッチから艇内に入ると、すぐ右手にある士官室が公開されていました。へー、これは珍しい。
      乗員20名ほどのミサイル艇の士官室はごく簡素な造りで、6名座ればもういっぱいいっぱい。狭い区画に必
      要なものをぎっちり詰め込んであるので、かなり無理矢理感がありますね。大型護衛艦のそれの様なスペシャ
      ル感はまるでなく、殺風景そのもの。まあそれも、速力と攻撃力に全振りしたミサイル艇らしさがあっていい
      かも。

       武器庫のある奥の区画からラッタルを一層上がると、もう艦橋。見学者ですし詰め状態なので一旦右舷のチ
      ャフ甲板
に出ると、妙な掲示物を発見。アットホームはやぶさ限定、おもしろ教養系展示(講座)・・・?
      うやら乗組員に声をかければ、それぞれの得意分野である何かについて熱く語って貰える様です。内容につい
      てざっと見たところ、
        高橋3曹:『新婚生活の極意ってなんですか・・・』
        木村2曹:『続・空手道について』
        西田2曹:『今の日本に必要なもの。。。』
        野上2曹:『六日町にあって十日町にないもの講習』
        西谷3曹:『代休日に嫁に見つからずパチンコに行く方法』
        黒木2曹:『海開きしました。日本海で注意することとは』

       な、なんじゃこりゃ・・・。高橋3曹は講習と銘打ちながら普通に質問だし、西谷3曹はむしろ奥さんに告
      げ口してやりたくなる
し(笑)。さらに
        中田2曹:『なぜ北陸3県では食パンを「ショッパン」と言うのか?』
             『モンハン攻略法』

        小林1曹:『楽しいフィリピン人の方々との付き合い方』
        機関長:『有難~いプレミア説教』
        佐藤2曹:『火災時に間違わない消火ホースの選択法』
        小田曹長:『新型アルファードと旧型の違いについて』
        寺田曹長:『幹部になるための近道について』
        機関長:『なぜ阪神ファンのおっさんはガラケーなのか?』
        横山1曹:『なぜ猫娘は八頭身になったか?』
        名部3曹:『階段でつまづいて前歯を折った時の対処法』
        中野3曹:『酒が飲めないのに信号長に連れていかれない為の対処方法を教えてください!』
        砲〇長:『嫁に敷かれる方が楽』

       うーん、改めてなんじゃこりゃ・・・。機関長は怖そうだし佐藤2曹と名部3曹は過去にやらかしたっぽい
      し、小田曹長は単に新車を自慢したいだけっぽいし、中田2曹と横山1曹は何考えてるか分からないし、中野
      2曹は切実すぎて笑えないし。あと砲〇長は、奥様の尻に敷かれる方が楽といいたいのかな?もしかして、お
      二人で仲良く鉄道のレールの敷設作業をするのが趣味なんだろうか・・・。あと私もガラケーのおっさんです
      が、全然阪神ファンじゃないし・・・なんなんでしょうこのツッコミどころだらけの乗組員は。艦橋でひとり
      頭を抱えている艇長の姿が目に浮かぶようです。

       その後は少し空いてきた頃合いを見計らって艦橋へ。やっぱりこのコックピット感満点の狭苦しい艦橋がミ
      サイル艇ならではですねえ。あらゆるものを無理矢理詰め込んだようなタイト感がたまりません。そしてミサ
      イル艇と言えば最大44ノット(時速約79km)という韋駄天ぶりが最大の魅力ですが、隊員さん曰く
       「朝早く出発すれば、北海道でも九州でもその日のうちに着きますよ!その代わり、乗組員はもうボロボロ
      になりますが(笑)」

       うーん、一体どんなレベルの揺れになるんだろう。一度体験してみたい様な、絶対したくない様な・・・。

       その後は後部甲板へ。そこには
       『なんとっ昨年はミサイル艇なのにミサイルがなかった!』
       『昨年はミサイルありませんでしたが!今年はちゃーんとあります』

       という掲示物が。そういえば昨年は、ミサイル艇なのにミサイルを積んでない状態で展示してあったっけ。
      エロマンガ島の国立図書館にエロマンガが置いてないのと同じぐらい非常識な話です。恐らく船体整備スケジ
      ュールの中、無理してサマーフェスタに合わせて参加してくれたんでしょうけど、それを逆手にとって翌年こ
      んなネタ掲示物を作ってしまうところが私的にグッときますね(笑)。素晴らしいぞミサイル艇はやぶさ!
       最後は港内巡りに出港した曳船を見送って、はやぶさの見学は以上で終了です。

       続いてはDDG175護衛艦みょうこうへ。いやー、でかい艦の高いマストが、舞鶴の広い空に一際映えます
      ね。こんごう型も随分とお疲れな艦齢になってきましたが、まだまだ頑張ってもらわないと。

       右舷の艦橋構造物内通路を抜けて前甲板に出ると、ちょうど武器操法展示で艦首の54口径127mm単装
      速射砲
が動き始めるところ。司会を務めるメガホン片手の砲術の隊員さんが
       「右向け、右!」
       と号令をかけると、ギュイイイイインと唸りをあげながら右回転する巨大な砲塔。前甲板の見学者からはど
      よめきの声が上がります。
       続いては、艦に接近してくるミサイルを迎撃するまでの様子を再現するとの事。レーダーが艦に近づいてき
      た超音速ミサイルを発見し、捕捉、追尾を開始。

       「エンゲージ、ガン!」
       の号令とともに砲塔はぐるりと左に回り、上空の一点にピタリと砲口を向けます。
       「それでは、皆さんの号令で発射します!いきますよー!せーのっ」
       「てーっ」
       「声が小さいです!もう一度行きますよ!せーのっ」
       
「てーっ!!」
       と、ここで司会の隣にいた隊員さんがクラッカーを掲げ、パーンと鳴らします。ああ、まさかそんなネタ
      仕込んでいたとは。美味しいところを撮影し損ねてしまいました(笑)。

       最後は砲塔を左に向けて固定して、武器操法展示は終了。ミサイル迎撃までの一連の流れは緊迫感があって、
      なかなか魅せてくれましたね。パチパチパチ。
       その後舷側通路を通って後甲板に向かう途中、見学者を満載した高速艇がみょうこうスレスレを突っ走って
      いきました。ああ、涼しそうだなあ。私も応募すればよかった。

       という訳で後甲板。足元にずらりと並んだ板チョコみたいなVLSがこんごう型らしさです。あたご型は
      載ヘリ格納庫
を作ったおかげで後部VLSが見えなくなりましたし。それにしてもあきづき型が就役しひゅう
      が型、いずも型が就役し・・・とうとうこんごう型が古臭くなる日が来てしまうとは実に感慨深い。

       その後は前方に停泊しているDDH181護衛艦ひゅうがへ。艦の形はいずもとそっくりなのに、なんと真
      っ平らで色気に乏しいお尻
でしょうか。左舷隅に突き出たファランクスのスポンソンが、でかいおできに見え
      てしまいます。このお尻だけは頂けない・・・とブツクサ言いつつ、一年ぶりの護衛艦ひゅうがに乗艦。

       格納庫内部の涼しさにホッとしますが、やっぱり先週見たいずもに比べると狭く感じます。こんな立派な艦
      を小さく感じるとは・・・贅沢に慣れるって怖いなあ。

       ちょうど降りて来た第2昇降機に乗り、ぎゅいいいんと飛行甲板へ。振り返ると、さっきまで乗っていた
      衛艦みょうこうを見下ろす高さ
にいました。うーん、やっぱりデカいわ護衛艦ひゅうが。大きく感じたり小さ
      く感じたり、全く忙しい事です。

       広大な飛行甲板の右後隅には、16セルのVLSが。基本的に個艦としての強力な攻撃能力を持たないいず
      も型とは違い、ひゅうが型は最低限の対空対潜攻撃は出来る様になってます。とは言え洋上におけるヘリ運用
      
に専念できるよう、普段は防空能力の高いイージス艦やあきづき型護衛艦とコンビを組んでいるんでしょう。

       艦橋のふもとでは、航海科員によるラッパ吹奏展示が始まりました。3名の隊員さんがびしっと整列し、
      床、君が代、巡検ラッパ
を次々と披露。その後は手旗信号展示も行われ、甲板を埋めた見学者からは拍手が送
      られました。

       艦首右隅で妙にシブい角度で佇んでいるのは20mm高性能機関砲、通称ファランクスです。それにしても
      どこかで見た角度だな・・・と思ったら、若い頃の大山倍達の写真でした。確かこんな角度で腕を組み、左斜
      め上目線
の写真がありましたよね(笑)。

       その後は前方にある第1昇降機で艦内に降りますが、待ち時間の間は飛行科の隊員さんが軽妙なトークで間
      を繋いでいました。建前よりも本音言っちゃうよ系の方の様で、結構な危険球を得意技としている模様。お陰
      でこのクソ暑い中、聞いてるこっちが冷や冷やしてしまいました(笑)。
       最後はお互いの『敬礼!』を合図に昇降機が動き出し、見事な締めくくりを見せてくれましたが、どっちか
      というと敬礼よりも、こまわり君の『死刑!』の方が似合いそう(笑)。とは言え、この隊員さんを見て
       「このトークスキルは盗まねば・・・」
       と思った人は多かったのではないでしょうか。それぐらいにお見事なツナギを見せてくれました。

       ひゅうがの前にはAOE425補給艦ましゅうDD154護衛艦あまぎりがいましたが、残念ながら今回
      は公開なし。売店も屋台も見ましたし、暑さもいよいよ酷くなってきました。さて、そろそろクーラーの効い
      たシャトルバスで航空基地に向かうとしますか。
       と、その前に東郷邸に寄ってみましょう。シャトルバスを途中下車してなだらかな坂道をのんびり歩いて行
      くと、北吸桟橋よりも高台にある東郷邸に到着。緑に囲まれているお陰で随分涼しく感じます

       初めて訪れた東郷邸は、白ペンキの洋風建築茶色い日本家屋がニコイチでひっついた不思議な建物でした。
      舞鶴鎮守府初代司令長官を務めた東郷平八郎中将以来、歴代長官がここを住まいにしたそうです。

       正面入り口で靴を脱ぎ、静まり返った邸内へ。まずは洋館からですが、なんというか非常に明るい造り。大
      窓が多用され外光が入りやすい構造もありますが、壁紙がうっすらと模様の入った白で統一されていて、実に
      涼し気で清潔な印象を与えます。
       たまたまこの時間がそうだったのかもしれませんが、窓が大きいわりに直射日光が差し込む事が殆どなく、
      邸宅を取り囲んだ緑の樹々でワンクッション置いた太陽光
が建物全体を柔らかく包んでいる感じ。この時期の
      殺す気満々の太陽光線とは全く異なる、穏やかで優しい明るさに満ちています。

       とは言え流石に今はクーラーがないと危険な気温ですが、昔は部屋の窓を開け放しておけば、木陰で程よく
      冷却された涼しい海風
が建物中を通り抜けたんだろうなあ。
       邸内には様々な展示物がありますが、それらが全然展示品っぽくないというか、調度品の一部として室内の
      雰囲気に完全に溶け込んでいる
のも素晴らしい。初代長官として重責の最中にあった東郷平八郎中将も、この
      邸宅で過ごす時だけは心の底からリラックスしていたんでしょうね。

       逆に言えば、今の舞鶴総監はこんなレベルの家に住めているんだろうか。さすがにここまではないとしても、
      その立場や責任の重さに見合った待遇なのか気になってしまいます。
       続いては日本家屋エリア。扉一枚でガラッと雰囲気が変わるところは呉の入船山記念館と同じですが、あち
      らが豪奢で煌びやかな雰囲気だったのに対し、こちらはぐっと落ち着いた印象。入船山記念館が外交の場的な
      意味合いを持つ公邸だとすれば、こちらは公的な役割を果たしながらも私邸としての安堵感を重視した設計思
      想に思えます。
       広い和室の中央には、純白のカバーをかけた長いテーブルが。今にも要人達による極秘会議が始まりそうな
      雰囲気です。

       外はセミの鳴き声がうるさい位なのに、しんと静まり返ったようなこの空気。身が引き締まる美しさと同時
      に、それこそパンツ一丁で寝転がってアイスキャンデーを食べたくなるようなくつろぎ感もあって、なんとも
      不思議な感じだなあ。
       先ほどの洋館エリアは周囲の樹々でワンクッション置いた明るさだったのに対し、こちらの日本間はさらに
      もうワンクッション入れた明るさ
になっています。障子や襖、廊下の曲がり角に出来た暗がりに玄妙な美しさ
      
を感じてしまうのは、日本建築特有の美意識なのかも。

       そういう意味では、東郷司令長官に招待されて私的にこの邸宅を訪問した当時の諸外国の高官は、この和風
      建築を見てどう感じたんでしょう。陰の作り方の中に日本人の美学を感じ取ったか、それても暗くて貧乏くさ
      い部屋だな!
と思ったか。

       酷暑を忘れるひと時を過ごして、東郷邸を後にします。外の太陽光をどう加工して室内に取り込むか。これ
      がこの建物のキモだったと思いました。そういう意味では今回はたまたま真夏の見学となりましたが、秋には
      秋の、春には春の東郷邸の光の風景
があるはず。次は是非、雪の降り積もる真冬に訪れてみたいものです。

       その後はシャトルバスに乗り込んで、舞鶴航空基地へ。午前中に一通り見ているので、SAA水兵さん達
      合流したあとは第2格納庫の休憩スペースで陽射しを避けてまったり過ごします。すっかり人の数も減ってき
      た舞鶴航空基地。サマーフェスタもそろそろお開きの時間です。遅い時間にやって来たという事もありますが、
      北吸桟橋と航空基地の同時公開とあって見るべきものが多く、あっという間でしたね。
       その後は私の趣味である地元スーパー巡りなどを楽しんで、大阪に帰投。神戸JCTからのお約束の大渋滞
      を大幅に減らしてくれた新名神高速道路の有難みを満喫しつつ、至ってスムーズに帰宅しました。




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