護衛艦いずも一般公開in和歌山港
2018.07.15
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和歌山港西浜第3岸壁にて行われた、護衛艦いずもの一般公開に参加してきました。DDH183護衛艦い
ずもは2015年3月に就役した海自最大の護衛艦で、全長248mに基準排水量19500㌧。全通甲板型
のDDHとしてはひゅうが、いせに続く3隻目で、現在は横須賀地方隊にて第一護衛隊群第一護衛隊を構成し
ています。
当日は朝から強烈な暑さでしたが、0830に西浜第3岸壁に到着。張り切りすぎて一般公開開始90分前
に現地入りしてしまいましたが、既に2~300人位の乗艦待ちが出来ています。先頭の人はいったい何時か
らいるのやら。
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岸壁からはるか上を見上げる形になる、護衛艦いずもの巨大な艦尾。左舷隅にはSeaRAM、右舷隅には
ファランクス、そして中央にはM2重機関銃を搭載するための架台が設置されています。羊羹をすぱーんと切
り落とした様なひゅうが型の味気ないケツに比べると、格段にお色気度を増した感じ。ガンベルトに2丁拳銃
をぶらさげた西部劇の保安官みたいで、実に頼もしい雰囲気です。
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その後は岸壁からいずもの巨体を眺めつつ、ひたすら一般公開開始時刻を待ちます。後から後から見学者は
やってきて、もはや最後尾は確認できず。携帯の気温計を見ると、9時前にしてすでに34℃越えか・・・。
足元のコンクリの照り返しも強烈で、この様子なら開始時刻の前倒しもあるかもなあ。
0917、それまで座り込んでいた乗艦待ち最前列の人達が急に立ち上がり始めました。そして0930、
予定を30分繰り上げて護衛艦いずもの一般公開が開始。行列がぞろぞろと動き始めます。
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目の前に聳え立つデッキサイド型のエレベーターは、まるでダムの様。手前の白テントで手荷物検査をクリ
アして、いよいよ護衛艦いずもの艦内へ。まずは陽射しから逃れられたことにホッとして、そして格納庫の広
さに驚かされます。昨年2番艦の護衛艦かがを見る機会に恵まれましたが、やっぱりこの大きさは感動的。後
部の2番昇降機がデッキサイド型になった事も、格納庫をより効率的に運用できる一因ですね。
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傍にいた隊員さんに、艦内は涼しいですねと声をかけると、
「いやあ、普段はもうちょっと暑いですよ(笑)。今日はお客さんが沢山来られますので・・・(笑)」
との事でした。
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おおー、とどよめきが上がったので何事かと振り返ると、艦首側の第一昇降機が降下開始。初めて見る人に
は強烈なインパクトでしょうね。強い太陽光がエレベーターの隙間から入り込み、あっという間に暗く感じる
格納庫内。大勢の見学者と一緒にぞろぞろと乗り込むと、今度は滑らかに上昇し始め、目の前には飛行甲板に
聳え立つ艦橋が姿を現しました。
甲板から5センチほど上がりきったところで昇降機はいったん停止し、その後甲板下に突き出たストッパー
に乗る形で下降。周囲を囲っていたロープが取り外され、護衛艦いずもの飛行甲板への第一歩を踏みしめます。
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艦橋前に陣取っているのは、いずもの近接防御を担うSeaRAM。ファランクスに似ていますが、あちら
が20mm機銃弾をぶちまけて弾幕を展開するのに対し、こちらは細長い対空ロケットを発射する方式。超音
速で接近してくる対艦ミサイルへの対処は、発射から命中までの時間が短い分だけ余裕の持てるSeaRAM
に軍配が上がるんでしょうね。11本のミサイルを収納したキャニスターは完全密閉式なので、海上でのメン
テナンスも容易と聞きますし。
実射の様子は動画サイトで検索すれば見る事が出来ますが、前後の丸いフタをぺちこーんと弾き飛ばしてか
ら発射するところが、カワイイんだか力強いんだかよく分からない魅力に感じました。
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その艦橋の前方に展示されてあったのは、艦内で火災事故が発生した際に活躍する救難作業車。全身銀色の
特殊防火衣を着用した隊員さんが乗っていますが、よく見るとヘルメットにドラレコみたいなものがついてい
ます。作業の様子を録画して、あとで分析するためのカメラかな?と思いましたが、説明係の隊員さん曰く
「あ、それライトなんですよ。ヘルメットのシールド自体に色がついていて、暗い所では視界が効きません
ので。夜間に使う事もありますからね」
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ちなみにこの特殊防火衣、通気性などある訳がないので想像以上に暑いそうです。通常の防火訓練は短時間
で終了するのでまだマシですが、正直今日の様な炎天下の甲板で展示するために着る方が過酷との事。は、早
めに交代させてあげてくださいね(笑)。
艦首先端は流石にクローズされていますが、それでもロープ際に立つだけで相当な高さを感じます。海面ま
で20mはありそうだなあ。船というよりも、まるで低空飛行している様な気分。
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艦首右舷隅には、艦尾と同じく近接防衛システムファランクスが佇立しています。電源と冷却水があればど
こにでもポン付けできる、西側艦艇のベストセラー兵器。一応台座部分に免振ゴムを噛ませてありますが、実
射時の振動と騒音は相当なものらしく、
「真下の甲板にいたら会話できないレベルですよ(笑)。この艦の最下層区画にいても、あ、いま上で撃っ
てるな、って分かると思います」
との事。20mm機銃弾を一秒間で75発も発射するんだから、そりゃそうだろうなあ。
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艦首から振り返ると、いずもの艦橋がはるか彼方に感じます。ひゅうが型護衛艦から全長で50m、基準排
水量で6000㌧も大型化した護衛艦いずもですが、そもそもひゅうが型からしてデカいので、飛行甲板にい
るとあまり変わらない気がしますね。床にいるノミにとっては、六畳間も四畳半も大して違いはないのでし
ょう。
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艦の外周を取り囲んでいるのは、万が一の事故の際に甲板員が退避するキャットウォーク。ひゅうが型では
左舷だけでしたが、いずも型からは左右両側に設計される事でさらに航空機の運用能力を高めています。昨年
の金沢港での護衛艦かが一般公開では、艦内からキャットウォークを歩いて飛行甲板に上がる事が出来ました
が、今回は残念ながらクローズ。うちの三等猫曹も、ネコとして生まれたからには一度はここを歩かせてやり
たいものです。
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ここで珍しい職種の隊員さんにお話を伺う事が出来ました。気象庁ならぬ『気象長』さんです。海域の気象
変化を予測してリコメンドを行う海曹の気象員はどの艦艇にも一人はいますが、幹部が拝命する気象長は、海
自全体でもわずか4名しかいないそうです。
「その4名全員が、DDH(ひゅうが、いせ、いずも、かが)に配属されているんです」
個艦のみならず、艦隊全体が展開する広範囲な海域の気象予測を行う、気象員よりもさらに責任の重い立場
なんでしょう。という事は、やっぱり気象予報士の資格を取得しているんでしょうか?
「いえ、それは必要ないんです。ほとんどが海の上、波や風に関する内容になりますから、通常の気象予報
士の範囲とは大きく異なるんですよ。また、気象予報士の資格を持ってると、艦艇勤務ではなく陸上の航空基
地に回されると思います。そちらの方が資格を生かせる内容ですので」
自分のリコメンド一つでベテラン艦長や飛行長、船務長、航海長、引いては全艦隊の判断を左右するのです
から、その重責たるや相当なものに違いありません。
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「気象の勉強をしてみないか?と上の人に勧められ、訳も分からないままに始めたこの仕事です(笑)」
と気象長さんは笑っていましたが、天気なんて自分の力で同行できるものではないですし、ある意味正確な
予報を出して当然と思われている所もあるでしょう。航海中はさぞかし胃の痛い思いをする事が多いんだろう
なあ。まだまだお若いのに大変ですね、頑張ってください。
「有難うございます(笑)」
ちなみにいずもの食事は非常に美味しいらしく、おかげで気象長さんはここ半年で大幅に体重を増やしてし
まったとの事。腕利き給養員揃いの艦に配属になると、このあたりが大変そう(笑)。
その後は飛行甲板に展示されていたSH-60K哨戒ヘリを見に行きます。たくさんの人が群がって隊員さ
んの話を聞いていますが、周囲をロープで囲ってあって機体に近づけないのが少し残念。ここでヘリパイの人
に、夜間飛行訓練についてお話を伺ってみました。
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「発着艦と夜間飛行だけは、どれだけ乗っていても緊張するというか震えがきますね(笑)。外の暗さに対
応できなくなるのを防ぐために、機内の明かりはぎりぎりまで絞っているんですけど、当然外は真っ暗ですし。
上空が晴れて星があるだけでもかなり助かります」
えええええ、星明りだけでも違うもんなんですか?
「全然違いますよ(笑)。月が出てたらもっと楽というか、ほとんど昼間と同じ感覚で飛べますね。そのぶ
ん雲が出てる時はほんと大変なんです・・・(笑)」
もはや真っ暗な洞窟内を飛ぶコウモリみたいな感覚なんだろうなあ。ヘリパイってすごい・・・。
あとこのSH-60K、一応機内に空調はついているものの、視界を確保するための温室みたいな構造のお
陰で、この時期は殆ど気休め程度にしかならないとの事。
「実は以前、派遣先のソマリア沖上空で空調がストップした事がありまして・・・その時はもう大変でした
(笑)。なんとか甲板に着艦させたあとは、もう全員でバケツの水を乗組員にぶっかけましたから(笑)」
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その後は先ほどの第一昇降機で艦内に戻ります。あれ?よく見ると昇降機内の左舷側の壁が、真っ平な鋼板
で覆われています。ひゅうがやいせでは、昇降機を動かすケーブルやドラム、気蓄機、油圧装置の類がむき出
しになっていましたが・・・かがはどうだったかな?
いやあ、やっぱり格納庫内は涼しいですね、気分がホッとします(笑)。隅の方にはSH-60Kが展示さ
れていましたが、炎天下の甲板にいた機体に比べるとなんとも涼し気な佇まい。
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よく見ると機体には女神のイラストが描かれてありますが、基本ヘリは艦固有の装備品ではなく、艦の任務
内容に応じて陸上の航空基地から必要数が割り当てられるので、これは実任務につくヘリではなく、艦内での
移動や整備訓練のために搭載された教材としてのヘリでしょう。確かひゅうがにもそんなヘリがあったはず。
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そのSH-60Kの脇に置いてある黄色い物体は、訓練用の対潜魚雷。高度なソナーで居場所を突き止めた
潜水艦を、これで攻撃する訳ですね。また、その隣には黄色いブラスチック性のバットのようなものが並べて
ありますが、これは機体から漏れ出るオイル類を受ける皿だそうです。
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暗い格納庫からデッキサイドエレベーターの開口部を見ると、岸壁には乗艦待ちの列がとぐろを巻いていま
す。何か月か前に大阪港で行われた護衛艦かが一般公開では、なんと2時間もの乗艦待ちとなったそうですが、
流石に今日はそこまでかかる事はないかな。とは言え、外気温は既に35℃を超えているでしょう。倒れる人
が出なければいいのですが。
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以上で護衛艦いずもの見学を終了。昨年のかがの様に艦内を見れなかったのは残念ですが、隊員さんに色々
とお話を伺う事が出来ましたし、暑い中やってきてよかったなあ。それにしても、これで全通甲板型DDHは
4艦とも乗艦出来ました。次は是非体験航海でお願いしたいものですね。
さて、来週はいよいよ舞鶴地方隊サマーフェスタです!現時点では参加できるかどうか微妙だったのですが、
とりあえず日焼け止めだけは忘れない様にしないと・・・と思いつつ、和歌山港を後にしました。
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