大久保駐屯地桜まつり2017
2017.04.02
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大久保駐屯地桜まつりに行ってきました。当日はお昼前に京阪電鉄奈良線の大久保駅に到着。朝から穏やか
に晴れて風もなく、実に気分のいい春の一日です。例によって朝を抜いて来たので、屋台が非常に気になりま
すが(笑)、毎年5月に行われる創立記念行事では充実した屋台を展開してくれる大久保駐屯地。桜まつりも
期待しましょう。
駅を出てまず目に入るのが、駐屯地の敷地内にある巨大な鉄塔状の謎の物体です。恐らく給水塔と思われま
すが、何とも古臭くいい味出してますね。昔の特撮みたいに、小さい炎を上げながら飛んで行きそうです。
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正門前の橋には朱塗りの欄干があり、いかにも桜まつりらしく手荷物検査も金属探知機もないまま、ゆるゆ
ると駐屯地内へ。
まずグラウンド脇にて迎えてくれるのが、出発した部隊が無事帰って来る事を願って作られたかえる君。京
都らしくない随分な駄洒落ですが、第4施設団を中核とする大久保駐屯地は海外派遣にも縁が深く、この小さ
なかえる君に込められたものの大きさと重さが偲ばれます。
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ちなみに大久保の海外派遣では、カンボジアPKO第一次先遣隊としてタケオの宿営地建設を担ったのが大
きな実績の一つですが、おかげで第二次以降の派遣部隊の人達が現地のマーケットに行くたびに地元のカンボ
ジア商人から関西弁で話しかけられて面食らうという珍事が続発。こういうのを文化汚染って言うのかなあ。
なかなかお茶目な隊員さん達であります(笑)。
がらんと広いグラウンド中央のステージではチアリーディングショーが始まっていますが、人はぱらぱらと
散っている程度。今日は近隣の宇治駐屯地でも桜まつりが開催されている上に、他に桜の名所が幾らでもある
土地柄です。どうしても客足は分散してしまいますね。
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とは言え騒がしい大阪のお花見スポットに比べれば、こちらははるかに天国。乱痴気騒ぎよりものんびりゆ
るりと桜を楽しみたい私としては、断然こっちの方が好みです。
とりあえず広場の片隅に集まっている屋台群へ向かい、偵察隊の如く敵戦力の全容把握に努めます。えーと、
豚汁、フランクフルト、ビール、ポップコーン、もうひとつ豚汁、うどん、唐揚げか。意外と軽いというか水
気が多いというか、予想外に施設科っぽさが薄いラインナップだなあ。もっとどすこい!おりゃあ!的な陣容
かと思っていましたが。とは言え、豚汁がふたつと温かいうどんがある辺りは、春先でも結構冷える事の多い
この土地柄でしょうか。
最もボリュームがあって魅力的なのは唐揚げですが、どうやら外部業者の屋台みたいですね。それはそれで
悪くないものの、やはりS.A.S的には隊員さんの屋台がいいなあ。
という訳で、一発目は第4施設団本部付隊が出してる讃岐うどんに決定。結構な行列が出来ていましたが、
意外とさくさく消化してすぐに入手する事が出来ました。
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関西風の薄黄金色の出汁に太く角ばったうどん、刻んだ青ねぎと天カス、あとかまぼこまで乗っていてなか
なか美味しそう。屋台の隅には入れ放題の七味がありますが、いくらなんでもこんなにいらないだろと言いた
くなるようなすごい量。
とは言え、寒い時期の野外演習を考えると、これ位の七味は必要なのかもなあ。特科と並んで荒くれ者が多
いと恐れられる施設科、さすがにうどん一つとっても辛口です。
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へなちょこな私はごく控えめに七味を足して、まずは一口。ほほう、あっさりながらもカツオと昆布の出汁
がきいた、お手本の様な関西うどんです。青ネギの清涼感、天カスの軽快な食感と油のコク、滑らかなかまぼ
こ・・・実に美しいバランスです。市販の濃縮だしと冷凍うどんで作ったとは思えない出来であります。
それにしても、京都で讃岐うどんというのが不思議な取り合わせだなあ。イメージ的には、もっとフワフワ
で丸断面なお公家様っぽいうどんが似合う気がしますが、そこは陸自屈指のガテン系職種である施設科。生半
可なうどんが出てくると思うなよ!という感じでしょうか。
美味しい第4施設団本部付隊うどんを堪能したあとは、屋台の裏手に回ってみましょう。沢山の隊員さんが
大鍋を囲んでうどんを茹でていますが、その中に小さな子供が混じっています。
「家で遊んでるなら父ちゃんを手伝え!」
と、お父さんに連れてこられたのかな?最初は嫌々手伝っていたのかもしれませんが、すぐにうどん作りの
面白さに目覚めたのか、テンション上げまくりなのが微笑ましいなあ。ぜひお父さんの背中を追って、立派な
自衛官になってもらいたいですが、間違ってうどん職人になってしまいそうな気が・・・(笑)。いや、この
場合は合ってるのか・・・(笑)。
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続いては、第3施設大隊第2中隊が出している豚汁。今日はそれほど寒くないですが、やぱり熱々の豚汁は
魅力的です。
「おいしいぶー!おかわりだぶー!」
と豚汁をお勧めしてる可愛らしいブタ君に、何とも言えない切なさを憶えます。
すぐに入手できた3施大2中の豚汁ですが、ううう、箸袋にまでいるのかブタ君。微妙に食べづらい・・・
まあ、食べちゃうんですけどね。
入っている具は、豚バラ肉、大根、ゴボウ、ニンジン、こんにゃく。いかにも京都らしい白味噌仕立てです
が、ゴボウで微妙に土気色に染まっているのが、戦う土木作業員である施設科テイスト満点。具材をしっかり
煮込んだ感じが食欲をそそります。
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一口食べると、まさに大地の恵みそのもの。大根は軟らかく、ゴボウの土臭さもニンジンの甘味もいい塩梅
で、これぞまさに豚汁!と瞑目させられる味わいです。それにしても、この微かに感じられる塩味・・・不思
議な後味が残ります。白味噌由来の塩味ではない気がしますが、もしかして味噌を入れる前、具を煮込む段階
で、めんつゆか何かを下味として加えてあるのかな?微かな塩気が、根菜の隠し持っていた甘さをしっかりと
引き出している様。実に美味しい豚汁でした。
もう一品いっときたいところですが、あとは外部業者の唐揚げとお菓子みたいなポップコーン、部隊の特色
が出にくいフランクフルトか。もうひとつの豚汁を出している第102施設機材隊はまだ準備中だし・・・よ
し、厚生センターに行ってみましょう。屋台は無くても、売店に何かあるかもしれませんし。
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という訳で厚生センターへ移動。グラウンドのステージでは、第3音楽隊ではなく大久保駐屯地吹奏楽部が
演奏を披露していました。へー、そんな課外活動もあるんですね。やっぱり音楽隊への転属を熱望している人
達が、課業終了後に腕を磨いているんでしょうか。音楽隊の空きポストはなかなかない上に、希望者も多くか
なりの難関と聞きますが、夢の実現に向けて頑張ってほしいですね。
それにしても大久保桜まつり、どの木もまだ蕾ばかりで、ほとんど咲いていません。早い段階から開催日を
決めないといけないので開花予測は難しいですが、一週間早かったかな(笑)。たぶん宇治も桂も、似た様な
状態だろうなあ。
っていうか、桜まつりに来てすぐ屋台に直行し、今頃そんな事に気がつく私も大概ですが(笑)。
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厚生センターに向かう途中、すれ違った隊員さんに例の謎の鉄塔について質問してみます。
「ええ、あれは給水塔です。戦後米軍がここを接収していた時期に作られたらしいですよ」
なるほど、米軍が作ったのか。今も現役で活躍しているとは驚きです。
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厚生センターの隣にあるのは、隊員食堂。大久保の糧食班は掲示物にも力を入れているので、毎回ひそかに
楽しみにしているんですよね。今回張り出されてあったのは、美味しそうに見えるごはんの盛り方のコツ。茶
碗7分目を3回にわけて、真ん中を小高くふんわり盛ればいいのか。
また、ダイエット中の隊員さんでも満足できるよう、お茶碗は大小2種類を用意してるとの事。大きいお茶
椀にちょっぴりご飯は、確かに悲しくなるからなあ。これは地味に嬉しい配慮です。その他にも肉と魚の特徴
を分かりやすく比較したり、大久保の糧食班はやっぱり頑張っていました。一度ご馳走になってみたいなあ。
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大久保の売店も久しぶりですが、防水ポーチや色とりどりのビニテ、大量のプロテイン、そしてばら売りの
トイレットペーパーが並んでいるのが、実に自衛隊の売店ですね。
建物内にあるコンビニは、デイリーヤマザキ。糧食関連のネタはありませんでしたが、ふなぐち菊水やミレ
ービスケットの自衛隊バージョンを発見。これは初めて見ました。
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その後は人気のない駐屯地を、ホテホテと散歩。毎年大賑わいになる駐屯地創立記念行事の印象が強いので、
こんなに静かな大久保は新鮮です。固い蕾ばかりの桜の木ですが、よく見ると蕾1000個に1つ位の割合で
花が咲いていました。
グラウンド外周の小道の一角が、第3施設大隊のお花見会場になっていました。他の駐屯地から転属して来
た隊員さんの家族や、結婚した隊員さんのパートナー紹介も兼ねた懇親会でもあるそうです。いまどき民間企
業でそこまでやるところは少ないと思いますが、異動が頻繁にある上に、演習等で長期間家を離れる事が多い
隊員さんとしては、家族同士の相互扶助的なコミュニケーションは欠かせないのでしょう。
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ビニールシート脇に並んだ隊員さんのゴツイ半長靴と子供の小さな靴が、うららかな春の陽ざしを浴びて何
とも微笑ましい光景。是非一枚撮影させて頂きたかったのですが、撮影意図を理解してもらうのが難しそうだ
なあ。不審者にしか見えない行動なので(笑)、ここは自粛。
来た時よりも少し人が増えたグラウンド。桜の花なんて殆ど咲いていませんが、この広い青空と白い雲は実
にいい気分。と、ここで突然悲鳴が上がってびっくり。ん?なんだありゃ?ハンググライダーの様なものが低
空を旋回していますが、まさかテロ!?
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・・・と思ったら、単に地面に敷いてあった黒のビニールシートが突風で巻き上げられただけでした。なん
だ人騒がせな(笑)。幸いビニールシートは人のいない場所に墜落し、事なきを得ました。
続いては正門近くにある駐屯地資料館へ。残念ながら今日は閉まっていましたが、トイレは開放してありま
した。せっかくなので、ちょっと古い隊舎を味わわせてもらいましょう。ああ、いいなあ、この古い木造隊舎
の湿った匂いと空気感。光と影のコントラストがたまりません。
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医務室の表を歩いていると、妙な車を発見。なんだこりゃ?白の軽ワンボックスですが、某強襲揚陸艦の大
久保支部の方々が来られているようです(笑)。地球連邦軍から来賓を招くとは、流石にやりますね大久保駐
屯地(笑)。それにしても、艦内に大久保支部なんてあったのか。面白かったので富山県のSAA水兵さんに
写メ撮って送ります。
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その後は再びグラウンドの屋台群へ。おっ、さっきは準備中だった第102施設機材隊の豚汁屋台が開いて
いました!さっそく屋台へ向かうと、売り子の隊員さんは愛想のいい人で、
「大変お待たせしました!ほんとあっつあつですから、気をつけてくださいね~。私ヤケドしました(笑)」
100円払って受領した豚汁は、カップ大の可愛らしいサイズ。屋台では色々食べて回りたいので、一つの
量が少ないのはありがたいなあ。第102施設機材隊特製の豚汁、先ほどの第3施設大隊第2中隊の豚汁と果
たしてどう違うのかな?
本当に熱々だったのでやけどに気をつけながら蓋を取ってみると、ほほう、こちらは随分明るい色合いの豚
汁です。ゴボウやキノコ等の色が出易い具材を使っていないのか、もしくはつい先程出来たばかりなのか。
箸で具をすくってみると、おお、小さいながらこちらも具だくさんですよ。豚バラ肉、大根、白ネギ、ニン
ジン、タマネギ、キャベツ、青ネギか。まずは一口いってみましょう。
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ほほう、これもなかなか。キャベツとタマネギの瑞々しい甘さが生きた、すっきり透明感のある豚汁です。
白味噌独特の洗練された軽やかな味わいとよくマッチして、3施大2中の大地パワーもりもりの豚汁とはいい
意味で好対照。これも部隊の個性が表れているんでしょうか。
冷たい雨に打たれながらの厳しい野外演習。寒さに震え寝不足と疲労に耐え抜き、ようやく一息つけた時に
振舞われる熱々の豚汁・・・想像しただけでタマラナイものがあるなあ。もしかしたらこの人達は、日本でい
ちばん豚汁を美味しく食べている人達なのかもなあ。
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ステージ広場に目をやると、キタユウレイクラゲみたいな服に身を包んだ女の子が2人出てきて、源氏物語
の説明を開始。地元の『宇治っ子朗読劇団☆Genji』による、源氏物語の朗読劇が始まる模様です。
その名前は誰もが知っていても、なかなかとっつきにくい古典中の古典ですが、軽妙な掛け合いトークを交
えたりクイズ形式を取り入れたりと、少しでも親しみ易いように様々な工夫を凝らしているのが好印象。桜は
咲いていなかったけど、陽ざしは温かく豚汁も美味い。こんな古都の休日も悪くありません。
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最初は折角の屋台に豚汁が2つ被っているのがもったいない気がしましたが、食べ比べが出来たのは面白か
ったなあ。いっそ全ての屋台を豚汁にして、各部隊自慢の味を競い合う大久保豚汁グランプリというのも面白
い気がしますね。実現の折には、是非提唱者として招待してください(笑)。
ふと道路際の案内板を見ると、支柱の先端をとがらせた杭の形をしていました。これも施設科らしさでしょ
う。鋭い鉈で丸太を削ったり、大きなハンマーで地面に打ち込んでいく隊員さんの太い二の腕が想像できる、
とても気の効いたデザインです。
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ん?なんだか変わった建物が見えてきました。ぱっと見は体育館っぽいですが、この建物だけが妙に浮いて
いるというか、周囲の隊舎に馴染んでない感じ。もしかして、これも米軍接収時代に建てられたんでしょうか。
教会にでも使われていたのかな?
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第104施設直接支援大隊の駐車場に、不思議なものを発見。野外炊具1号みたいな牽引車両ですが、赤紫
っぽい灰色です。OD色が褪色してこんな色になったのかな?相当古い装備品と思われます。
撮影画像を拡大して見ると、どうやら不要決定申請中の電気溶接トレーラとの事。初めて目にする装備品で
すが、工場ではなく野外での修理作業で活躍していたのかな。これまで沢山の隊員さん達と一緒に、部隊の行
動をずーっと支え続けてきたんだろうなあ。
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昨日は生まれたばかりの掃海艦あわじを祝福し、今日は静かに去っていく電気溶接トレーラを見送る。これ
も出会いと別れが交錯する、この季節ならではの光景・・・。
これまで長年お疲れ様でした。最後は大久保の満開の桜を目に焼きつけながら、威風堂々の誇り高い退役を
果たしてほしいものです。そんな事を考えながら、桜抜きの大久保桜まつり会場を後にしました。
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