護衛艦かが一般公開in金沢港大浜埠頭
2017.07.15
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石川県の金沢港大浜埠頭で行われた、護衛艦かがの一般公開に参加してきました。DDH184護衛艦かが
はいずも型護衛艦の2番艦。今年3月に就役したばかりの、基準排水量19500㌧を誇る海自最大の艦であ
ります。
洋上での司令部機能と航空機運用に特化したこの護衛艦かがは、5機のヘリコプターの同時発着艦を管制で
きる広大な飛行甲板と、陸自のCH-47輸送ヘリや今後導入予定のオスプレイも運用可能なサイドエレベー
ターを持ち、災害派遣では情報通信、指揮統制、輸送、医療における洋上の一大拠点として、大きな期待を背
負った艦でもあります。
ちなみに今回の一般公開、毎年開催される『港フェスタ金沢』の一環として行われましたが、通常なら地方
隊のDEがやって来る事の多い本イベントで、今年はあの護衛艦かがのお国入りが実現すると聞けばいてもた
ってもいられません!しかも対象年齢を制限しない大規模な護衛艦かがの一般公開は今回が初めて。当日はワ
クワクしながら北陸自動車道をひた走り、0815に大浜埠頭入口に到着です。
そこから開門時刻までしばらく時間を潰し、0830の開門と同時に埠頭の敷地内へ。臨時駐車場に車を乗
り入れ、出発準備を整えます。ここまで来たら10人や20人に後れを取ったところで大した問題ではありま
せん。忘れ物なし、ドアロックOK、焦る時ほどゆっくりと!
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そして見えて来たのがいずも型2番艦、DDH184護衛艦かが!おおおおお、さすがに周囲を圧倒するデ
カさではありますが、んー、なんというか、ひゅうが型護衛艦とあんまり変わらない様な気がするなあ・・・。
ひゅうが型が全長197mの基準排水量13950㌧、いずも型が全長248mの基準排水量19500㌧
ですから、ざっと一回り以上大きい筈ですが、比較対象となるひゅうが型がそもそもとんでもなくデカいので、
特別大きくなったという実感はないんですよね。
艦橋回りも、目の肥えたマニアの人が見れば細かな違いをいくつも挙げられるんでしょうけど、あんまり違
いはない様な・・・(笑)。
とは言え、そんな私でも一つだけわかる艦橋構造物周りのいずも型らしさと言えば、やはり艦橋真下に配置
された近接防衛システムSeaRAMでしょう。甲板への取付部とレーダードームはファランクスそのまんま
ですが、通常なら真っ白なレーダードームが、船体に近い灰色で塗装されています。
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その後は1000の開門まで、埠頭のフェンス前で時間を潰します。後方を振り返ると、もはや最後尾が分
からない位の行列が出来ていますね。持ってきた文庫本を読むほど落ち着いた気分にもなれず、なんとなくそ
わそわしていると、にわかに行列が動き始めました。とりあえず埠頭に入り、かがのすぐ近くで時間待ちとな
る模様です。
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おお、目の前には護衛艦かがの巨大な右舷が立ちふさがっています。お、あれこそがいずも型護衛艦最大の
特徴、飛行甲板後部に配置されたデッキサイドエレベーター!大型ヘリを余裕で艦内に収容できる巨大な開口
部を見ていると、ああ、護衛艦かがを見に来たんだなあ・・・という実感が沸いてきます。今日は稼働すると
ころを見せてくれるのかなあ。
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さらに待ち時間が続きますが、ここで予定を15分繰り上げて、0945から一般公開を開始するとのアナ
ウンスが流れ、埠頭を埋めた人達からは大きな拍手が。へー、こんなところで拍手が沸き起こるとは。こうい
うノリって、今までなかったなあ。多くの人が自衛隊イベントに押し寄せる様になり、広報の現場の空気も変
わりつつあるという事か・・・。
15分でも早く艦内に入れる嬉しさももちろんありますが、これは海上自衛隊の日々の献身的な活動に対し
て贈られた拍手でもある様な気がします。誰に伝えればいいのかわからないぼんやりとした感謝の気持ちが、
なんとなく表に出た・・・というのは、楽観的でキレイ事すぎる解釈でしょうか。
隊員さん個人に伝えるのはなんだか照れくさい、不特定多数に向けて大きな声を上げるのもなんだか憚られ
る。そんな自衛隊に対する曖昧な感謝の気持ちは、きっと多くの日本人が持っている感情でしょう。その辺り
は曖昧に表現するので、受け取る隊員さんも曖昧に受け取って欲しい・・・というのが、実に日本人らしい気
がしました。
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ふと見ると、一等海佐の肩章をつけた幹部が支援者らしき人達と和やかに談笑中。もしやと思ってネームプ
レートを確認すると、おお、護衛艦かがの艦長さんでした!
こんな事を言うのは何ですが、なんというか・・・ごく普通の穏やかそうなおじさんですね。普通にスーツ
を着て普通に電車に乗って、普通に会社務めしてそうな普通のおじさん。とは言え、この若さで一等海佐の階
級章をつけ、海自を代表する護衛艦かがの指揮官を任される人物です。とんでもない切れ者である事は間違い
ありません。見た目ごく普通の、物腰柔らかなとんでもなく優秀な艦長・・・敵に回して一番怖いのは、こう
いうタイプに違いない・・・。
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その後は手荷物チェックをクリアし、いよいよ護衛艦かがに乗艦。しかしえらく急勾配のサイドランプだな
あ。航空機や救援物資を大量に積み込める護衛艦かが、その時々の潮汐状況もありますが、空身だとこんなに
喫水が上がってしまうのか。
サイドランプ入り口には大きなバナーが掲げてあり、大きく書かれた『加賀』の二文字の中央には、黒地に
金色の花と鳥をデザインした部隊章がレイアウトされていました。漆塗りの盆に金箔をあしらった様な、加賀
百万石らしい実に豪奢な図案ですね。
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そのサイドランプを上がり切ったところは、ひゅうが型護衛艦同様に長大な格納庫になっていました。艦の
外観はひゅうが型とそう変わらないサイズに見えましたが、内部は随分大きく感じるなあ。初めて輸送艦おお
すみに乗せて貰った時は、そのスケールの巨大さに驚きましたが、そこからひゅうが型護衛艦を経由して、海
自もとうとうここまでの艦を持つに至ったとは・・・。
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格納庫入ってすぐのところには大きなウォータージャグが置いてあり、熱中症対策のスポーツドリンクが飲
み放題になっています。今日も暑くなりそうなので、お年寄りや小さな子供には有り難い心配り。
格納庫壁面には、高さ7~8mはありそうな巨大なポスターバナーが張られ、これだけでも護衛艦かがのス
ケールの大きさが感じられます。普通の護衛艦ではこんなの張る場所ないですからね(笑)。ふと見ると、そ
のポスターバナーの前で先程の艦長さんが一般見学者相手に代わる代わる記念撮影に応じています。今日一日
息つく間もない忙しさなんでしょうねえ。
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右舷側の壁面には沢山の滑車が並び、太いケーブルが張り巡らされています。ああ、これがデッキサイドエ
レベーターの扉部か。和室の襖みたいに横に引いて開ける方式なんですね。その隣にぽっかりと口を開けてい
たのがエレベーターの開口部。暗い艦内から見ると完全逆光なので、なんだか映画館のスクリーンみたい。
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格納庫の高い天井部からは、朱、黄、青、藍、緑の5色の垂れ幕が下がっていて、華やかながらもどこか色
調を抑え気味にした風情が、まるで染物を思わせます。そっちの方は全く詳しくないのですが、この色の選択
にも加賀の国らしい謂れが込められているのかなあ。老舗の呉服屋や和菓子屋が静かに立ち並ぶ、『余所とは
ちょっと違うんですよ』的な空気が漂う古い街並みが思い浮かびます。
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さて、この格納庫から飛行甲板へ上がるルートは2つ。艦中央にあるインボードエレベーターで一気に上が
るか、もしくは艦内通路を通って上がるか。手っ取り早いのはインボードエレベーターの方ですが、これは護
衛艦ひゅうがやいせで何度も乗っていますし、ここは少々時間がかかっても艦内を実際に歩いてみて回りたい
ところ。迷わず行列の最後尾に並びます。
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乗組員の人達の乗艦規制の手際が良かったおかげか、思ったほど待つことなくラッタルまでたどり着きまし
た。ふと見ると、格納庫端に展示してあったSH-60K哨戒ヘリの前で、金沢大学の学生さん達による和楽
器演奏が行われていました。
先程から高い料理屋さんのトイレに流れてそうな曲が聞こえるなあ・・・と思っていましたが、生演奏だっ
たんですね。どうせならもっと格納庫の真ん中でやればいいのに。人垣の反対側で見えなかったので、CDか
なにかをBGMに流しているのかと思っていました。
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壁面に沿った通路からは、格納庫全体を見渡す事が出来ました。おお、この角度から眺めるのは初めて。今
回は護衛艦かが初の一般公開、しかも地元加賀の国へのお国入りというスペシャルイベントです。相当な混雑
が予想される為、本来なら飛行甲板への移動はインボードエレベーターのみに限ってもおかしくないところで
すが、そこは少々無理をしてでも実際に艦内を見てもらおう!という、護衛艦かがの本日のイベントに賭ける
意気込みを感じます。
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それにしても護衛艦かが、今年の3月に生まれたばかりとあってどこもかしこもピカピカです。とは言え、
あと30年もすればこの艦も退役間近となり、古き良きノスタルジーを感じさせる存在になっているのでしょ
うか。就役したてのピカピカのかがを見ていると、ちょっと想像できない光景であります。その頃には私もい
い爺さんになっている筈ですが、果たして生きているのかどうか・・・(笑)。
天井部には沢山の赤色灯がありますが、基部の暗灰色といい蛍光灯カバーの赤色といい、これが艦艇模型の
配色にそっくり(笑)。もしかしてわざとこんな色にしたのかな?大量の艦艇模型が吊るしてあるみたいに見
えました。
ちなみにこの赤色灯とは、夜間の外の暗闇に目が慣れやすいよう、日没後に白色灯に代わって点灯される夜
間用の艦内照明です。
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しばらくして、ようやく艦内通路に入る事が出来ました。おおー、これが護衛艦かがの艦内か・・・。当た
り前ですが、他の護衛艦と変わらないなあ。大型艦艇の割に通路が広くないのは、やはり格納庫から飛行甲板、
もしくは地上へ・・・という人の流れが殆どで、艦内をうろうろ歩く事は少ないせいかな?
また、乗員500名を越える人員規模とは言え、基準排水量で2万トン近い巨艦ゆえ人口密度はむしろ低い
方で、通路もこんなもんで十分なんでしょうね。それでも、壁面や天井部を這いまわる配管の類がやたらと太
いのが印象的。やっぱりとてつもなくデカい艦なんだなあ、護衛艦かが。
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しばらく通路を進んで行くと、おお、士官室が公開されていますよ!艦内故に天井が低いのは御愛嬌ですが、
アイボリーとチャコールを基調とした室内は、余裕のある広さとあいまってとても落ち着いた雰囲気。10人
掛けのテーブルが6セット、あとソファ席が10人分用意されています。
壁面には『行き足』の書が掲げられていますが、これは艦艇の出す速度以外に、仕事に対するやる気、前向
きな姿勢という意味でも使われます。これが艦長の指導方針だそうです。
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ここで係の隊員さんから、驚きの話を伺いました。通常幹部が三度の食事をとる士官室ですが、この護衛艦
かがでは幹部も曹士も一緒に科員食堂で食べているとの事。ええええ、なんでそんな事になってるんですか?
「はい、この護衛艦かがは幹部だけでも50人近く乗っていますので、給仕を担当する士官室係の負担も相
当なものになってしまうんです。そこに労力を割くのはもったいないという事で、艦長以下幹部の人達も、全
員科員食堂で一緒に食べてます。食器も鉄板を使ってるんですよ(笑)」
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なるほど。ただでさえ増える一方の仕事、そしてなかなか足りない人手。省人力化を進めておきながら士官
室係制度を続けるのは、確かに非合理的な発想ではありますね。旧海軍から続く伝統が失われてしまうのは正
直ちょっと残念な気もしないではありませんが、これだけ巨大な艦を維持するとなると、隊員さん一人当たり
の負担は増える一方。それを少しでも減らす為に、まずは幹部の特権とでも言うべき士官室係制度を幹部が率
先して廃止する・・・そんな決断だったのでしょう。
またこれは別の隊員さんから伺った話ですが、最高責任者の艦長と言えども科員食堂で決められた席が用意
される訳ではなく、配食レーンに普通に並んで鉄板に自分で食事を盛ったあとは、空いている席を探してウロ
ウロするとの事。うーん、なんだかちょっと想像できない風景ですね。若手の曹士も、慣れないうちはかなり
落ち着かない気分だったのでは。
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ちなみに艦の外からVIPやゲストを招いて食事会を行う場合は、その時だけ例外的に士官室を使用して、
ちゃんとした立派な食器と給仕係の海士を用意するとの事。
「ただそういう場ですと、参加するのはあくまでも科長クラス(3等海佐ぐらい)になりますね。若手幹部
の同席は、まずないと思います」
との事でした。
ふと見ると士官室の片隅に、高速道路のSAでよく見る無料のお茶のサーバーが置いてありました。うーん、
これを海自艦艇の士官室で見るとは思わなかったなあ。会議や日常の事務仕事中にお茶を飲みたい幹部は、自
分で勝手に入れて飲んでね!という事でしょう。
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恐らくこれからは、どの艦もこういう流れになるんだろうなあ。士官室係が忙しそうに動き回り、24時間
コーヒーの香りに包まれた士官室・・・なんてのは、そう遠くないうちに昔話になってしまうのでしょう。旧
海軍から引き継がれた伝統や美風も確かに大切ですが、海上自衛隊が守ろうとしているのは今現在の日本。そ
の為には、海自自身も時代に合わせて大きく変化していかざるを得ない・・・。ちょっと考えさせられるお話
でした。
その士官室の隣にあったのが、司令公室。乗艦してくる司令や幕僚達が会議や事務仕事を行う為の、オフィ
ス的なフロアです。簡素で質実剛健な作りですが、テーブルに専用のクロスが掛けられているのが、唯一の司
令公室らしさでしょうか。
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その後は、艦を左から右に横断する細い通路へ。医療区画を抜けたところにあったのが、215倉庫。内部
は護衛艦かがミュージアムになっていて、かがに関する書画や写真、グッズ、建造中から就役までの記録等が
が展示されてありました。
ん?なんだこりゃ?ガラスケースの中にホワイトベースのプラモデルが誇らしく飾ってありますが、他の展
示品がごく真面目な雰囲気だけに、この小さなプラモデルが猛烈に浮いています。ここを管理している隊員さ
んのお茶目かな?それにしてもよく出来ているなあ・・・。
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さらに艦内通路を進んで行くと、おお、扉の向こうが真っ白に光っています。プチ艦内旅行はこれにて終了、
いよいよ外に出る模様です。
防水ドアを潜り抜けると、うわっ!ここに出るとは思いませんでした!左舷キャットウォーク!目線よりも
少し低い位置に広大な飛行甲板が広がっていて、遥か彼方に艦橋構造物が見えます。これはちょっとした感動
だなあ。飛行甲板には4機のSH-60K哨戒ヘリが駐機していますが、あまりに広いので遠くの方にぽつぽ
つと散らばっている程度。こんなの普通の護衛艦ではありえない感覚です。
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そして右舷に屹立する艦橋構造物ですが、なるほどこれはアイランドと呼ぶに相応しい。ひゅうがやいせで
もその大きさに度肝を抜かれましたが、やっぱり凄い艦だなあ、護衛艦かが・・・。
隣にいたヘリパイの人にデカイ艦ですね!と話しかけると、
「ええ、ホントに(笑)。これだけ甲板が広いと、私達も着艦する時に余裕があるというか、安心感があり
ますねえ(笑)」
ただ、デカイはデカイなりに難しい事もあるそうで、縦に5つ並んだ発着艦スポットの先端部を指定された
場合、艦が前後に長い分だけ揺れた時の上下のピッチが大きくなり、通常の護衛艦に着艦するよりも苦労させ
られるそうです。
「もちろん甲板の上下も計算に入れながら着艦するんですけど、上手くタイミングを合わせないと着艦寸前
で下からドーンって甲板に突きあげられたり、逆に甲板が急に下がって機体がストンって落とされたりするん
ですよ。一番上下の差が少ないのは真ん中のスポットで、出来るだけそっちに降りるように調整してくれるん
ですけど、常にそういう訳にはいきませんから・・・(笑)」
なるほどなあ。普通の護衛艦でも波浪による飛行甲板の上下はつきものですが、全長248mともなると、
揺れの幅も別物なんでしょう。
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また、別のヘリパイの人からは、機種ごとに異なるヘリコプターの操縦特性についてお話を伺う事が出来ま
した。どうやら操縦席とメインローターの軸部分の位置関係が、操縦のしやすさに大きく関わって来る様です。
「前に乗っていたレモン・・・いやOH-6Dは、殆ど頭の真上に軸があったんですけど、こっちのSH-
60はかなり離れているので、慣れるまでは結構大変でしたね」
うーん、隊員さんからはレモンって呼ばれてたのか、OH-6D(笑)。カワイイな!いっそ真っ黄色に塗
装してみたいものです。
ふと見ると、艦橋構造物の横っ腹に巨大な自衛艦旗が掲げられてありました。『加賀』と大書きされていま
すが、この小さく書いてあるWHITE BASEってのはなんなんだろう。傍にいた隊員さんに訊ねてみる
と、これが護衛艦かがのコールサインで、石川県の白山比咩神社から艦内神社を頂いた事と、多くの回転翼機
の洋上基地として機能する事からこう名付けられたそうです。
「なんだ、てっきり上の人がガンダム好きだったのかと思いました(笑)」
「いや、実はそれもあるって話ですよ(笑)」
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別の隊員さんにもひとつ質問。2万㌧近い巨体を誇るこの護衛艦かがですが、やっぱり他の艦と比べると揺
れは少ない方ですか?
「いえいえ、これでもやっぱり揺れる時は揺れますよ(笑)。特に私はその辺が敏感な方でして、普段停泊
している時でも、あ、いまちょっと右下がりに傾いてるな・・・とか気になってしまいますし(笑)」
ははあ、こんなデカイ艦でもやっぱりそうなるのか。
「あと、今日はサイドランプの歩板の傾斜が結構急だったでしょ?満潮の時間帯にぶつかると、ああなっち
ゃうんです。母港の呉は浮き桟橋なので、海面に合わせて上下してくれるからまだマシなんですけど。ここだ
とかなりの角度になってしまいますね(笑)」
上陸して遊んで飲んで帰って来た時は、結構キツい坂道になりそうですね(笑)。
「ええ、キツかったです(笑)」
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艦橋構造物の脇には青い天幕が張られ、護衛艦かがグッズ販売所になっていました。裏には段ボール箱が山
積みで、グッズを求める人達が長蛇の列を成しています。凄い人気だなあ。ここで列の中ほどに並んでいる富
山県から参加のSAA水兵さんとRSさん、あとお二人のお仲間と合流。
「何か一緒に買っておきましょうか?」
というSAA水兵さんのお言葉に甘えて、護衛艦かがの蒔絵シールを一緒にお願いしました。
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さて、その間私は艦首の方を見に行きます。艦橋前に仁王立ちしているのは、先程埠頭から見上げた近接防
御システムSeaRAM。これまでのファランクスでは対応しきれなかった超音速で接近する目標に対しての
迎撃が可能な、艦の新たな守り神です。
多数のミサイルを一気に発射して敵航空機や対艦ミサイルを撃ち落とす訳ですが、ミサイルを収納したキャ
ニスターは密閉状態で搭載される為塩害や湿気に強く、発射機構に関してはほぼメンテナンスフリーで運用で
きるのも売りのひとつ。
![](2017kaga34.jpg)
そして艦首右側に配置されているのがファランクス。SeaRAMと共に護衛艦かがの近接防衛を担う20
mm高性能機関砲です。こちらもレーダードーム部をSeaRAM同様にグレーで塗装されているので、ぐっ
と精悍さを増していますね。普通のファランクスは白なので、オバQみたいで脱力感満点ですから(笑)。
ちなみにこのレイセオン社のファランクス、アメリカ海軍では『R2D2』のニックネームで親しまれてい
るとか。やっぱりコミカルなイメージなんですねえ(笑)。
![](2017kaga49.jpg)
右舷に張り出したスポンソンの上には、M2重機関銃が架台に搭載された状態で展示してありました。構造
のシンプルさ故に故障が少なく、かれこれ80年近く大きな設計変更なしに活躍している超ベテラン機関銃で
す。
ちなみにかがに搭載されたこれはQCBと呼ばれる改良型で、連続射撃で高熱化した銃身の交換をより簡単
かつ安全に出来るタイプとの事。かがの規模から見れば豆鉄砲以下のシロモノですが、ハイテク兵器でも対処
しきれない小規模なテロに対しては、まだまだ有用みたいです。
![](2017kaga36.jpg)
その後はSAA水兵さん達と合流。一緒に購入してもらった蒔絵シールを受け取ります。おおお、やっぱり
部隊章がデザインされていました。カッコイイなあ。グッズ類にはあまり興味のない私ですが、これは確保し
てもらって正解。SAA水兵さんありがとうございました。
その後は甲板上をうろうろと見て歩きます。残念ながら本日は稼働しないデッキサイドエレベーターですが、
こうしていると普通に甲板の一部で、エレベーターの上に居る実感が湧きませんね。あまりに大きすぎて全容
がつかめないというか、ナスカの地上絵を地上から見ている様な感じ。
とは言え、埠頭に突き出したこのエレベーターの甲板の下には何もない・・・と思うと、ちょっとゾッとす
るものがあります。エレベーター自体が外れて落下する事などあり得ませんが、気の小さい私としてはそそく
さとその場から離れたい気分。
![](2017kaga37.jpg)
艦橋の反対側、飛行甲板の後ろ半分を見晴らせる位置に航空管制室がありますが、ひゅうが型にはあった足
元の窓が、いずも型からは無くなっているんですね。その分外側への張り出しがやや大きくなり窓も縦長の形
状になっているので、これで十分視界は確保できるのでしょう。これもひゅうが型の運用実績からの、フィー
ドバックの一つなんですね。
![](2017kaga31.jpg)
時刻はいつの間にか12時を過ぎ、随分と陽が高くなってきました。甲板の混雑もいよいよきつくなってき
たので、そろそろ格納庫へ降りる事に。2回待ってようやく乗り込めたインボードエレベーターですが、やっ
ぱりこの、甲板全体が艦内に降りて行く感覚は独特のもの。そうそう、初めて護衛艦ひゅうがでこのエレベー
ターを体験した時は、まるで井戸の底の貞子の気分だな・・・と感じた事を思い出しました。
![](2017kaga40.jpg)
ひんやり涼しい格納庫を抜けて、上陸。その後は艦尾に向かって埠頭を歩きます。おおお、やはりこの、間
近で見上げるデッキサイドエレベーターの重量感が強烈。ほとんどダムに近い存在感です。真下から見上げた
エレベーターの甲板部は、さっきのインボードエレベーター同様何本もの半円形のピンで固定してありました。
いつの日か、このエレベーターにも乗ってみたいなあ。
![](2017kaga41.jpg)
艦尾から眺める護衛艦かが。巨大なデッキサイドエレベーターを持ついずも型護衛艦は、やはりこの角度か
ら見るのが一番カッコイイ気がします。
![](2017kaga44.jpg)
左角にSeaRAM、右角にファランクス、中央にはM2重機関銃の架台を搭載したスポンソンがあり、そ
れらを横一直線に繋ぐ通路もあって、艦尾はなかなか賑やか。まっ平らな絶壁でしかなかった愛想のないひゅ
うが型の艦尾に比べると、格段にお色気度を増したお尻と言えます。
![](2017kaga43.jpg)
続いては艦首へ向かいます。おおお、やっぱりデカイ!真下から見上げるとすさまじい圧迫感です。レンズ
を広角一杯までもってきても、ファインダーに収まりません。まさに海自を代表するに相応しい威容。心強い
事この上なしだなあ。
![](2017kaga46.jpg)
最後は埠頭角の駐車場の岸壁から、護衛艦かがを撮影。手前に立ちふさがる照明灯の柱が残念ですが、これ
は仕方ないか。いつの日か、正面と左舷方向からの撮影ポイントに恵まれた神戸港第4突堤に来てくれる日を
日を待つとしましょう。
既に数多くの運用実績を積んでいる護衛艦ひゅうが、いせ。そしてその発展型として華々しいデビューを飾
った護衛艦いずも。さらに生まれたばかりの護衛艦かがを合わせて、海上自衛隊の全通甲板型護衛艦もとうと
う4隻体制となりました。
海上防衛における航空機運用能力の飛躍的な向上、そして大規模災害時での救援活動をよりスムーズに行う
為の洋上基地として、これから大きな期待に応えてくれる事でしょう。今回縁あって乗艦する機会に恵まれた
護衛艦かがの安全な航海と乗組員の皆様の健康を祈りつつ、金沢港大浜埠頭を後にしました。
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