姫路駐屯地創立66周年記念行事

2017.11.12


       兵庫県姫路市に所在する、姫路駐屯地の創立記念行事に行ってきました。姫路駐屯地には第3特科隊第3
      高射特科大隊を中心に両部隊の直接支援隊会計隊基地通信中隊警務隊駐屯地業務隊が駐屯する、第3
      師団の砲兵どころであります。
       ちなみにここ姫路駐屯地、地元では『城攻め』と称される姫路城の大規模清掃協力でも有名で、毎年12月
      になると多くの隊員さん達が鍛え上げたラペリング技術を生かして石垣や城壁に取りつき、『白鷺城』名高
      い姫路城の雑草駆除や煤落としを担当し、地元の誇る観光資源の美観維持に努めているとか。一度その様子を
      見てみたいものですね。
       さて、当日は0920にJR姫路駅到着。既に駐屯地は開門している時間ですが、今回は式典会場の場所確
      保にはあえて拘らず、のんびりぶらぶらと晩秋の姫路駐屯地を満喫する予定。訓練展示は運が良ければどこか
      で見る事が出来るかな?という程度の、肩の力を抜いた参加であります。
       という訳で0950に姫路駐屯地正門に到着。うーん、姫路駐屯地は実に6年ぶり。式典会場には既に部隊
      が整列
し、周囲は人でいっぱい。とは言え、まだ最前列しか埋まっていないところもありますね。まあ今日は
      のんびり歩きましょう。

       まずは貼り出されてあるイベントスケジュールを確認。緩やかな坂道を上って屋台広場へ向かう途中で、音
      楽隊とすれ違いました。千僧の第3音楽隊かな?それにしても、この時間に式典会場にいない自分がなんだか
      新鮮。昨年の信太山駐屯地でもそうでしたが、セオリー通りではない動きというのも面白いなあ。今日は今ま
      で見落としていたもの
に気がつける事を期待しましょう。

       久しぶりの姫路の屋台広場ですが、この時間から結構な賑わいっぷり。第3特科隊第1中隊はフランクフル
      ト
、同第2中隊は焼きそば、第3高射特科大隊はたこ飯&フライドポテト、地本募集事務所はグッズ販売
       特に部隊表示のないたまごせんべいの屋台は、第3中隊かな?さらにくじ引き、綿菓子、射的と続き、曹友
      会からはふれあいパーティーご案内ブース焼き鳥、あと第4中隊の唐揚げ&飲み物、といった陣容です。
       それにしても、これだけ人が押し寄せる姫路なのに、外部業者の屋台がゼロとは。業者さんの助けは借りず
      とも、鍛え上げた屋台オペレーションで全てのお客さんを満足させてみせる!という決意の程が伺えます。ふ
      と気付いたのですが、FH-70榴弾砲81式短距離地対空誘導弾って、屋台と似た様な人員規模で動いて
      いるんですね。そういう意味では、他の部隊に比べて屋台を出しても連携が取りやすいのかな?

       まずは2中隊の焼きそば。鉄板の上では肉や野菜が豪快に炒められ、陸自の中で施設科と並んで気性が荒い
      
と恐れられている砲兵テイスト満点。いやあ、美味しそうだなあ。
       という訳で入手した2中隊焼きそばですが、おお、これこれ!この焼きそばが食べたかった!大きな豚肉と
      脂ツヤツヤのキャベツ、そしてセミウェット気味のしっとり甘酸っぱいソース。この味はほんと久しぶりです。
       焼き上がりはもう少しウェット寄りだったと思われますが、パックの中で軽く寝かせる事で中華麺がソース
      を程良く吸収し、丁度いい塩梅に蒸し上がった感じ。出来たて熱々ももちろん美味しいですが、少し寝かせ気
      味の焼きそば
もたまンないものがありますね。

       続いては曹友会の焼き鳥。ほほう、タレではなく塩味ですか。いや、よく見るとハーブらしきものもかかっ
      ていますね。これは・・・バジルかな?多分最初から色々入ったクレイジーソルト的なものを使っていると思
      われます。
       鉄板からおろしたての焼き鳥は、片面がばりんばりんに香ばしく焼かれ、もう片面は反対側からの熱で火を
      通したのかしっとり柔らかな焼き上がり。串焼きはつい頻繁に回しながら焼きたくなりますが、この焼き方な
      ら一本で2つの食感のコントラストが味わえて面白いなあ。これは狙ってやったのか、もしくは焼き係の隊員
      さんが単にものぐさだっただけなのか・・・(笑)。

       それにしても、先程からヤケクソ気味に大声を張り上げている4中隊の唐揚げが気になります。朝からテン
      ション上げまくりですが、まあ姫路の部隊だからなあ・・・これが普通か(笑)。派手なルアーに釣られてし
      まった魚
みたいな気分を味わいつつ、3品目は唐揚げに決定。
       ほほう、売り子の騒々しさとは裏腹に、しっとり落ち着き系の唐揚げですね。高温でカラリと揚がった鶏肉
      が、自身の豊富な肉汁で内部から蒸し上げられた様な一品。なかなかイケます。
       それにしてもさっきの焼き鳥といいこの唐揚げといい、結構味が濃いというかしょっぱいのが気になりまし
      た。まあ駐屯地の隊員さんの屋台グルメですから、これぐらい荒っぽい方が味わいが増しますが、もしかして
      これは塩を効かせ気味にして飲み物も売ろうという巧みな作戦なのか(笑)?いや、単に毎日の厳しい訓練
      汗まみれになり、体が塩の効いた味付けを無意識に求めているだけと思われます。

       曹友会が出しているふれあいパーティーの案内所に行ってみると、なんだこりゃ(笑)。彼女募集中の隊員
      さん達が、なぜか上半身裸でそれぞれ不可解なポーズで自己PRしている写真がずらりと並んでいます。趣味
      :献血
という隊員さんの『いっしょに血を抜きましょう』というコメントは、女性視点からは果たしてどうな
      んだろう。せっかく善行を重ねているのに、それが上手く伝わらない気がします・・・(笑)。

       その他、趣味:サイコショッカー(?)という隊員さんは何故か嬉しそうに扇風機を持っていますし、『酒
      が飲みたい』
という隊員さんは自己PRというものをきちんと理解していない模様。
       さらに『体は常に異状あり』という彼女募集よりも先に病院に行くべき隊員さんもいれば、趣味:雪だるま
      の事を考える
という隊員さんのコメントは『雪雪雪雪雪雪雪雪』。この人も病院が必要なクチか・・・。
       そして趣味:危険予測という隊員さんに至っては、『路上の危険予測は苦手ですが、恋愛の危険予測は得意
      です』
と意味不明すぎるポーズ。先に女性の方が危険予測すると思います。

       なんというか、別に笑いを取らなくていいところで無理矢理取りに来るのは、やっぱり姫路の隊員さんだな
      あ・・・と納得しつつ、後ずさりする様にその場を離れる私に対して、係の隊員さんは笑顔で
       「ありがとうございましたー」
       やっぱりなんかおかしいぞ、この駐屯地は・・・。
       その後はホテホテと駐屯地歩き。野点会場の隣では兵庫県のゆるキャラひょうちんが、迷彩服を着て愛想を
      振りまいています。姫路城とFH-70榴弾砲をバックに64式小銃を構えた顔出しパネルも、いかにも観光
      地姫路らしいなあ。
       歴史の風雪を感じさせる立哨所もありましたが、これは昭和55年まで正門脇にあったものをここに移築し
      たとの事。ああ、その頃の姫路駐屯地を見てみたかった・・・。

       売店の入った厚生センターへ行ってみます。姫路の軟式野球大会で1位に輝いた駐屯地内野球部の表彰状が
      飾ってありましたが、チーム名はファランクスか。なんか長打一切無しで、ひたすらシングルヒットを連打し
      て来そう
なチーム名です。また、別にレンジャーズという野球部もある様ですが、こっちはやっぱりレンジャ
      ー隊員しか入れないのかなあ。
       おっ、ここも久しぶりです。駐屯地資料館。入ってすぐのところには日露戦争で活躍した三一式速射野砲
      展示してありますが、FH-70榴弾砲の大先輩・・・というかご先祖様ですね。

       館内には旧軍時代の軍服、銃、刀剣、書画、手紙、寄せ書き等が整然と展示してありますが、一番興味を引
      かれたのが初代司令から先代の第31代司令の写真をずらりと並べたコーナー。最初の頃の司令達はいかにも
      一軍の将らしい重厚な貫禄を漂わせているのに対し、近年の司令は穏やかで俊敏そうな超切れ者・・・という
      印象。僅か6~70年でこんなにも変化したんですね、日本の武人の顔って。

       一角には、熊本大震災で被災した現地の人達から送られた感謝の色紙が飾ってありました。一つ一つの言葉
      に込められた思いが伝わってきますが、特に心に染みたのは
       『ストレスから皆様に間違った言葉をかけてしまった熊本の人もいると思います。でも、本当に心から「あ
      りがたい」と想った熊本の人も沢山います。気を悪くされていたら申し訳ありません。皆様のお陰で私達は優
      しい気持ち、感謝の気持ちを強く感じる事が出来ました』

       という一文。沢山の人に知ってもらいたい言葉ですが、これは記念館よりも隊員食堂や生活隊舎に掲示して
      欲しい
なあ。それとも今日は記念行事だから、特別にここに展示したのかな?

       それにしても、記念式典が行われているこの時間にウロウロしてるのって不思議な感じ・・・と思いつつ式
      典会場に移動すると、ちょうど観閲行進の真っ最中。巨大な155mmFH-70榴弾砲が、7㌧トラック
      牽引されて次々と観閲壇前を通過して行くところでした。さすがにこの時間だと、入れそうな場所はないか。
       今まで足を踏み入れた事のない会場南側に移動すると、最前列こそ埋まっていますが、3列目辺りなら空い
      た場所がちらほらありました。幸い最前列の人達は座ってくれていますし、撮影条件は悪くありませんね。よ
      し、訓練展示はここから見学しましょう
       観閲行進は無事終了し、第3音楽隊が演奏を開始。この後の訓練展示に向けて、消防車が出てきて地面に放
      水を始めました。

       さて、いよいよ訓練展示です。ここで目の前に来た隊員さんが
       「この場所はすぐ近くまでヘリが降りてきますので、ダウンウォッシュで小石や砂粒が飛んできて大変な事
      になりまーす!カメラ等はカバーをかけて、小さいお子様は離れた方がいいと思います!この場に留まられる
      方は、くれぐれも気をつけてください!まあ、気をつけようがないんですけど・・・(笑)」

       周囲の見学者からは笑い声があがり、つられて私も笑ってしまいました。この数分後にはえらい目に合うと
      も知らずに・・・。
       ここでふと気がついたのですが、前にいる人が少しずつ左に動いています。ん?もしかして場所を空けてく
      れているのかな?
それが明らかな空け方ではなく、本当にじり・・・じり・・・と微妙な感じで、これはちゃ
      んとお礼を言った方がいいのだろうか
。もし私の勘違いなら、ちょっと微妙な空気になりそうですが・・・。

       などと逡巡しているうちに状況開始ラッパが鳴り響き、訓練展示が始まりました。まずは第3飛行隊からの
      OH-6D観測ヘリ
がやってきて、敵ゲリラに占領された地域の航空偵察を開始。さらに本隊からUH-1J
      多用途ヘリ
が出撃。レンジャーの先行班を降ろすべく、降下地点を探り始めました。

       機体側面のカーゴドアから4本のロープが投げ降ろされ、ヘリはぐっと高度を下げ始めます。途端にグラウ
      ンドの砂粒や小石が竜巻の如く舞い上がり、散弾の様に会場南側に襲いかかりました。周囲から湧き上がる
      鳴とうめき声・・・

       うわあああああ、これは凄い!カメラ大丈夫か!?全然大丈夫じゃない状況ですが、思い切ってヘリのいる
      方に向けて撮影。写っているかどうかまるで自信がありませんが、頼む!虎の子カメラ壊れないでくれ!
       会場南側を荒らしまくったヘリは無事レンジャーを降ろし、後方の本隊へと去って行きました。冗談抜きで
      全身砂まみれ
になってしまいましたが、周囲の人達は全員揃って同じ酷い目にあった連帯感か、皆さん半笑い
      
で妙に楽しそう(笑)。

       ここでごくさりげなく場所を空けてくれたお礼に、カメラ大丈夫ですかねえ・・・と笑いあいながら隣の人
      にブロアーを貸して差し上げます。しかし・・・ん?あれ?なんだこりゃ?シャッターを半押ししてもAFが
      動いてくれませんよ?

       目の前では第3高射特科81式短距離地対空誘導弾93式近距離地対空誘導弾がやってきて、射撃陣地
      の構築を開始。隊員さんが早送り画像の様に動いていますが、肝心のカメラが動きません!うああああああ、
      カメラ壊れたああああああ!

       慌てて電源を切ったり入れたり、バッテリーを出し入れしますが、砂まみれになったカメラはウンともスン
      とも言わず
。シャッターそのものは動くので、最悪マニュアルでピントを合わせれば撮影は出来ますが、そん
      なのやった事ないし・・・。試しにAFを解除してピント調節リングを回してみると、明らかに細かい砂粒が
      噛み込んだザリザリとした動き
。あちゃー、流石にこれはもう・・・。

       その間にも訓練展示会場には第3特科隊先遣部隊がやってきて、155mmFH-70榴弾砲を牽引した
      7㌧トラックを誘導。切り離されたFH-70榴弾砲は、マシーンの様な動きを見せる特科隊員によって射撃
      準備が進められます。私も半泣きになりながらザリザリと異音をあげるピント調節リングを動かして、マニュ
      アル撮影
を試みますが、でもこれ、絶対ピント甘いよね・・・(泣)。

       砲身を旋回し、脚部を広げたFH-70榴弾砲。しかしここで敵部隊の攻撃ヘリが急接近。すぐ後方に控え
      た第3高射特科大隊対空戦闘を開始し、敵のヘリを追い散らします。

       そして射撃準備の整ったFH-70榴弾砲は砲身を高く掲げ、敵陣地に向けて一斉に攻撃開始。バン!と空
      包発射音が周囲の空気を震わせると、見学者からは大きなどよめきが沸き起こります。
       発射後すぐに尾栓を開放し、装填係は長いロッドを使って次弾と装薬を装填。敵の部隊が立てこもる陣地に
      向けて、ドカドカと撃ちまくります。

       第3特科隊が砲弾を雨あられと撃ち込む中、後方からは74式戦車96式装輪装甲車軽装甲機動車がや
      って来ました。FH-70榴弾砲はさらに敵陣地に対して砲撃を浴びせ、突っ込んで来た74式戦車も急停車
      と同時に砲撃開始。バン!と内臓に響く音をたてて砲口から白煙を噴き上げます。

       戦車砲榴弾砲機関銃の射撃音で訳が分からなくなる中、普通科小銃小隊の突撃準備が完了。そして最終
      弾の弾着と同時に、一斉に突撃開始。次々と敵陣地になだれ込み、占領された地域の奪還に成功。特科ならで
      はのド迫力の訓練展示に、大きな拍手が送られました。

       さて、その後は坂道を上ったところにある、隊舎と隊舎の間のレンジャー訓練展示会場へ移動。その会場で
      は地面にウレタンマットが敷き詰められ、レンジャー隊員達が低い位置に一本のロープを張り渡し始めました。
      ああ、子供レンジャー体験の準備ですね。綱引きの様にロープを引っ張るレンジャー隊員達は、
       「引ーけ、引ーけ」
       と低い号令をあげながらギリギリとロープにテンションをかけています。そして一人のレンジャーがロープ
      にぶら下がり、しばし味わう様な表情を見せたのちに
       「うーん、もう3回!」
       会場にはささやかな笑い声が広がります。

       その後はまず一名のレンジャーがロープに取り付いて、セーラーのお手本を披露。レンジャー隊長の
       「前へ!」
       という号令とともに、
       「レンジャー!レンジャー!」
       と声を上げながらスルスルといとも簡単そうに渡りきり、会場からは拍手が送られました。

       そして始まった子供レンジャー隊員募集。頼もしい事に沢山の子供達が駆けつけて、整然と列を作っていま
      す
。多くの子供達が興奮した面持ちで渡り切りますが、中にはよほど恐ろしいのかぎゃんぎゃん泣く子もいて、
      ほのぼのとした笑いが広がります。しかし意外とこういう子の方が、大きくなると豪胆な人間になったりしま
      すからねえ。もしかして20年後には、レンジャー徽章をつけているのかも。

       また、なぜか大人の女性まで渡り始めましたが、ミニスカートでよくもまあ(笑)。見かねたレンジャーの
      一人が、毛布をかけて隠していました(笑)。
       そんな風景を眺めながらカメラに降り積もった細かい砂を落としたり、ザリザリなピント調節リングを動か
      す等の切ない努力を重ねていると、不意にリングの動きが滑らかになり、AF機能が復活!やったああああ!
      いやあ、ダメもとでやるだけやった甲斐がありました(涙)!修理や買い替えでまた何万も飛ぶのかと覚悟し
      ましたが、これでレンジャー訓練展示は問題なく撮影できそう。いやーほんと焦った・・・(笑)。
       という訳で、大盛り上がりの中終了した子供レンジャー訓練体験。いよいよアトラクションの時間です。と、
      ここで私の目の前に運び込まれるお立ち台。そうだ、この場所は目の前に隊長が来るんだった・・・。久しぶ
      りの姫路ですっかり忘れていました。まあそれならそれで、結構面白い構図になりますが。

       まずは安全係が屋上から降ろされたロープをテスト。大太鼓の横では6名の隊員さんが円陣を組んで、大き
      な気合
を入れています。おおお、ワクワクしてきましたよ。
       と、ここで第3音楽隊がやってきて、2曲だけのミニコンサートを開始。まず一曲目は星野源『恋』。観客
      達も手拍子で演奏を盛り上げます。曲が終わったところで司会役の3曹さんが出てきて、
       「さて、早いもので次が最期の曲です(笑)」
       そりゃ2曲だけですからね(笑)。それにしても、音楽隊が笑わせに来るのは珍しいなあ。これも姫路の空
      気
に当てられた所為でしょうか(笑)。そして2曲目は、NHK朝の連ドラひよっこの主題歌『みんなの広場』
      さらにオマケでもう一曲短い演奏をサービスして、音楽隊は拍手に送られながら退場です。パチパチパチ。

       そして大きな号令とともに飛び出してきたのは、各部隊から選抜された6名による格闘訓練展示部隊。まず
      はミットを使った突き蹴りの基本稽古を披露します。続いては投げ技。相手の攻撃を巧みにさばき、組んでか
      らの背負い投げと巴投げを披露。

       その後は着剣した小銃を使っての基本動作。突く、掃う、打つ、切るといった様々な技術を、大きな気合と
      ともにキビキビと見せています。小銃対小銃の格闘展示では、足払いで相手を崩したあとすぐに突きを入れた
      り、蹴りで引き離した直後に距離を取って射撃で仕留めたりという様々な状況に応じたパターンを展開。続い
      て不審人物に誰何して襲いかかって来た時の対処要領を、コミカルな寸劇仕立てで披露しました。

       続いては、レンジャー1名vsゲリラ2名の徒手格闘。レンジャーを挟んでじりじりと距離を詰める2名の
      ゲリラですが、いきなり奇声を上げながら子供チックなぐるぐるパンチで突っ込むゲリラ(笑)。緊迫した空
      気が一発で台無し
になり、会場からは失笑が湧きあがります。
       ぐるぐるパンチゲリラは簡単に蹴り倒され、後から組みついて来たもう一人のゲリラも投げ飛ばしたレンジ
      ャーは、すかさず肩関節を極めました。再び襲いかかるぐるぐるパンチゲリラですが、今度はレンジャーの
      き込みからの腕十字
を喰らって敢え無く降参。レンジャーの見事な立ち回りに大きな拍手が送られました。

       さて、いよいよ姫路名物、すごくいい意味で頭のネジが外れてる隊員さん達によるレンジャー劇場の始まり
      です。なお今回の訓練展示は2段構成になっていて、前段は山地潜入の基礎訓練の一部を、後段は相互に連携
      を取りつつゲリラの攻撃に対処する実戦的な応用訓練
を見せてくれるとの事。
       まずはレンジャー訓練展示部隊の隊長を務める朝日2曹がやってきて、
       「集まれー!」
       「レンジャー!」

       総勢16名のレンジャー隊員が整列し、アナウンスが一人一人の紹介を行います。さらに今訓練展示の概要
      と注意事項
が隊長により伝達され、号令一下各自の持ち場へ。そして私の眼前にすっくと立つ隊長・・・うぬ
      ぬ、これは仕方ないか。まずは3階建て隊舎の屋上からの懸垂降下です。

       「レンジャー○○!準備よし!」
       「降下!」

       隊舎屋上からさーっと降りてくる4名のレンジャー。会場からは大きなどよめきと拍手が送られます。続い
      ては左手隊舎から、セーラーによるロープ渡り。
       「前へ!」
       「レンジャー!レンジャー!」

       と掛け声を上げながら、地上10mの一本のロープ上をミズスマシの様に進んで行くレンジャー。日々の厳
      しい訓練の賜物ではありますが、なんであんな細いロープの上を転がり落ちずに進めるんだろう・・・。

       再び右隊舎屋上から、飛び込み懸垂降下。屋上の端に立った4名のレンジャーが、いとも簡単そうにジャン
      プして飛び降りて来ました。途中の壁面を蹴ってバランスをとり、そのまま『く』の字で一気に地上まで。地
      面寸前で急ブレーキをかけてふわりと着地する様は、まるでしなやかな山猫の様。
       次は左から。今度はロープの下にぶら下がって前へ進むモンキーを披露。ロープに引っ掛けた左右の足をリ
      ズミカルに入れ替えつつ、体が浮いた一瞬に両腕を使って前へ進む訳ですが、見てるだけで腹筋が攣りそう

       続いてはフォール。文字通りロープからわざと落下する事で肝力ロープに対する信頼を養成するとともに、
      ぶら下がった状態からの復旧を身につける訓練です。と、ここで右手より妙ないでたちをした隊員さんが、ワ
      ニワニとロープ中央までやってきました。ああ、また何かやるつもりですね(笑)

       首にはでかいリボン、そして股間には『66』と大書きした丸板をつけています。会場のあちこちから期待
      に満ちた笑い声が上がる中、まずは隊長による弄りが始まります。

       「あー、レンジャー北條」
       「レンジャー!」
       「もうみんな察してるけど、何なん、その格好・・・」
       「今年は、姫路駐屯地66周年を祝います!」
       「それはええけど、風で何か見えそうになっとるぞ」
       「レンジャー!」

       慌てて股間をもぞもぞとチェックするレンジャー北條。
       「それでは、安全装置を外します!」
       「あ、安全装置あるの、それ。まあ自衛官やからね(笑)」

       しかし肝心の安全装置がうまく外れず、ロープ上でモタモタしてしまうレンジャー北條。
       「・・・大丈夫?」
       と隊長が心配すると、会場から沸き起こる失笑(笑)。 
       「それでは、今からこの板をくるっと回して66周年を祝います!」
       「ポロリはすんなよ、アカンで」
       「大丈夫です!でも、もし何か見えたら、言って下さい!」

       盛り上がるBGM。固唾を飲んでレンジャー北條の股間を見守る見学者達。
       「じゃあ、行きまーす!・・・・・・ハイッ!」

       見事一瞬にしてひっくり返った丸板。会場からはレンジャー北條に大きな拍手が送られます。隊長は素直に
      感心した様子で
       「やるやん!」
       「じゃあもう一回、今度は難易度を上げまして、腕を替えまーす!」

       おおおおお、とどよめく会場。しかし
       「ちょ、ちょっと風が出て来ました(泣)!」
       と泣き事を言うレンジャー北條。そりゃそうだよなあ、姫路のレンジャー訓練展示を見ているとつい忘れが
      ちですが、これ地上10mなんですよね(笑)。そしてレンジャー北條は風が収まったタイミングを見計らい、
       「じゃあ、いきまーす!・・・・・・・・・ハイッ!」

       丸板は股間から微動だにしないまま、一瞬にして左右の腕を入れ替えたレンジャー北條に、大きな拍手が送
      られました。凄いな、一瞬だけとはいえ、両足だけであのロープの上に立ってましたよ。っていうか、なんで
      姫路の人達は地上10mのロープ上でいちいち笑いを取ろうとするのだろう・・・。すると
       「じゃあレンジャー北條、今度は板を回しながら腕も替えてみよか」
       と、ものすごい無茶ぶりをするレンジャー隊長。
       「そんなんできるかー!」
       と子供達が叫ぶ中、ロープ上のレンジャー北條は
       「えーと・・・それは練習でもやってなかったので・・・成功したら拍手お願いします!」
       おおー、とどよめく見学者達。
       「ち○こ見える!ち○こ見える!」
       と心配する子供達が叫ぶ中、一瞬で丸板をひっ繰り返しつつ左右の腕を入れ替えたレンジャー北條に、割れ
      んばかりの拍手が送られました。

       しかし丸板をひっくり返す時に股間の物体がちょっとだけ見えてしまったため、会場のよい子達から
       「ち○こ見えたー!」
       「ち○こ見えたち○こー!」

       と、容赦ないツッコミをくらうレンジャー北條。ええい!ち○こち○こち○こち○こ
   うるさいわっ!
       それにしても、こんなにち○こち○こ連呼される訓練展示は初めて見ました。間違いなく全国でもここ姫路
      ぐらい
だと思います。
       っていうか、今日の為に一生懸命これを練習していたのかレンジャー北條・・・。6年ぶりですが、全く変
      わってないな姫路レンジャー・・・。
       「も、もういいですか(泣)?」
       と、再び泣きが入るレンジャー北條。

       という訳で隊長から許可が下り、ロープ上からダイブしてまっさかさまにぶら下がるレンジャー北條。会場
      からは大きな悲鳴が上がりましたが、空中逆さ吊りになったレンジャー北條は股間に仕込んであった派手な風
      車
を取り外し、鉄帽に取り付けようと必死になっています。恐怖心すらマヒさせる姫路レンジャーのお笑いへ
      の執着
に軽い寒気を覚えますが、地上10mでいったい何やってるんだこの人は(笑)。

       しかし鉄帽への取り付けに失敗。風車はぽとりと地上に落ちますが、レンジャー北條はそれに全く気がつい
      ていない
模様。
       「あー・・・後で見たらわかると思うけど、残念な事になってるからね・・・」
       と労う隊長。安全索に片足を絡めて無事ロープ上に復旧したレンジャー北條は、地面に落ちている風車を発
      見して
       「あっ・・・」
       「気づいた?」

       と隊長。ものすごく頑張ったのに最後の最後でやらかしてしまったレンジャー北條に対し、温かい拍手が送
      られました。

       続いては、右側隊舎屋上からの立姿による飛び込み懸垂降下。ロープ片手のレンジャー4名があらよっと飛
      び降りますが、誰も全く躊躇ってないのが凄いなあ。直前になって
       「・・・・・・やっぱり無理(涙)!」
       とかならないの?ならないんだろうなあ・・・。

       次は右側隊舎からの消防モンキー。先程のモンキーとは違い、カラビナとロープに体重を預けた状態でぶら
      下がり、両手両足であっという間に渡り切る速度重視のモンキーです。これは猿というよりむしろ蜘蛛

       再び右側隊舎屋上から、今度は前懸垂降下。頭を下にして降下地点を警戒しつつ、時には射撃まで行うとい
      う危険極まりない降下方法です。飛び降りた次の瞬間には頭を真下にして、左手の握力だけで降下スピードを
      調整。地面寸前でくるりと態勢を入れ替え、まるで羽毛の様にふわりと着地して見せました。

       続いては再びロープ上からのフォール。ん?また何か怪しげな人がやってきましたよ(笑)。真っ赤な蝶ネ
      クタイ姿のアフロヘアー
が、妙なダンスを踊りながらロープ上を進んで行きます。
       「みんな、見に来てくれてありがとう!」
       お尻を振り振り、見学者に感謝の意を伝える不審人物。子供達が大喜びなところを見ると、今流行ってるお
      笑いのネタかな?

       「この日の為に、私が何回このロープから飛んだと思いますか?・・・・・・35億」
       子供達はまたしても大笑い。これが姫路レンジャーの基礎訓練か・・・。別の駐屯地でレンジャー資格を取
      った隊員さんでも、さすがについて行けない人は多いだろうなあ(笑)。
       とりあえず地上10mのロープ上で踊りたいだけ躍った不審人物は、レンジャー隊長と掛け合いを始めます。
       「えーと、何回飛んだっけ?」
       「35億」
       「ほんまは?」
       「・・・34回」

       どっと笑う子供達。そしていよいよフォールの態勢に入る不審人物。
       「点検!ロープよし!右安全環よし!左安全環よし!結びよし!蝶ネクタイよし!アフロよし!」

       そして何の躊躇もなくロープ上からダイブする不審人物。再び短い悲鳴が上がり、宙吊りになった不審人物
      に大きな拍手が送られました。

       そして右側隊舎屋上からは、立姿での飛び込み前懸垂降下。屋上の縁からぴょんと飛び出したレンジャーが、
      頭を下にしてまっさかさまに降下してきました。
       最後はロープ上からの懸垂降下。ほんと、蜘蛛みたいな人達だな・・・。数々の離れ技をこれでもかと見せ
      つけて、以上で前段の基礎訓練は終了。次は応用編、レンジャーの特殊技術をこれでもかと詰め込んだ姫路名
      物レンジャー劇場
の始まりです。

       会場右手の隊舎の裏から、なにやら不思議なファッションセンスの2人がやってきました。
       「今日もバブリーっスねえ、仮屋さん」
       「栗山君、今日も皆さんいっぱい来てて、めっちゃバブリーやで」

       ここでアナウンスが
       「みなさん、どうやら敵のゲリラの模様です。気を付けてください!」

       へ?これがゲリラ?こんなの大阪にいっぱいいますけど・・・姫路の隊員さんのゲリラ観に一抹の不安を覚
      えますが、むしろこんなのがいっぱいいる大阪の心配をすべきか・・・

       ここで会場に詰めかけた人達に、現金を配り始めるゲリラ2人。我先にと群がる子供達。しかし紙幣を受け
      取った子供の一人が
       「こんなんニセ金や!」
       と糾弾すると、
       「金も紙も紙一重や」
       すごく上手い事言ってやったぜという表情の栗山君。反応に困る見学者達。仮屋さんはすかさず取り出した
      水色スリッパでスパーンとツッコミを入れ、
       「お前スベっとるやんけ!どないしてくれんねんこの寒ーい空気!」

       っていうか、普段からスリッパ持ち歩いているのか仮屋さん。しかも片方だけ・・・。ますます姫路の隊員
      さんのゲリラ観が分からなくなります

       冷え冷えとした会場の雰囲気をなんとか盛り返そうと、今度は一発芸を披露する栗山君。

       「じゃあ、必殺のマジックをお見せします。このダイヤの4を消します!」
       「そんなん消えへんわ!」

      とツッコミを入れる会場のよい子。しかし栗山君は自信たっぷりに
       「1、2、3、はい消えた!」

       おおお、ほんとに消えましたよ!会場からは栗山君を見直した様な拍手が沸き起こり、今度はとても気持ち
      よさそうな表情になる栗山君。しかし右手の後ろに隠していたダイヤの4が見つかってしまい、
       「お前バレバレやないけー!」
       と、またしてもスリッパによるツッコミを喰らうも、全く懲りない栗山君は
       「客層が悪いんや」
       と苦しい言い訳。

       と、ここでアップテンポなBGMが流れ、不思議なダンスを踊り始めるゲリラ2人。しかし何かにつけて
      所
を選ばず踊りたがるな、姫路のレンジャーは。インド映画みたい。そんなノリノリのダンスを披露する2人
      ですが、
       「なんか一人バブリーなんがおるぞ!」

       と、会場から一人の見学者を引っ張って来た栗山君。あっ、さっき子供レンジャー体験のロープに挑戦して
      いた、ミニスカ姿のちょっと藤原紀香似のお姉さんです(笑)。一瞬仕込みのネタなのか?と思いましたが、
      立ち振る舞いは完全に普通の人ですね。本当に一般人を引っ張り出してしまったのか(笑)。さすが姫路レン
      ジャー、もうなんでもアリすぎる・・・。

       そして3人で始まった謎ダンス。ゲリラ2人以上にノリノリのお姉さんのダンスが大ウケですが、その場で
      一度説明されただけで、よくまあここまで踊れるもんだなあ。私だったら一人だけ盆踊りみたいになってた筈
      です(笑)。 
       音楽に乗って散々踊り狂った3人ですが、
       「じゃあ、お立ち台へどうぞ!」
       という栗山君のお誘いに乗せられて、お姉さんは嬉しそうに隊舎2階へ。ここでアナウンスが普通に
       「人質がとられました」

       えっ、今のって人質拉致の瞬間だったの!?ノリの良過ぎるお姉さんが変な2人にナンパされて仲良くなっ
      たのかと思っていました。凄いなゲリラ2人。周囲にも本人にも人質だと一切気付かせずに拉致するとか、な
      かなか出来ない事です。
       そして2階の踊り場から身を乗り出したお姉さんは、会場に向かって両手を振りながら
       「助けてバブリー!!」

       あ、やっぱり人質としての自覚はあったのか。でもめっちゃ嬉しそうですね(笑)。ここでゲリラに拉致さ
      れた人質を救出すべく、レンジャー部隊が作戦開始。
       「狙撃班、突入班は配置につけ!」
       おお、踊り場の上に4名の突入班がスタンバイし、左右の隊舎屋上には狙撃班が準備完了。突入班のバック
      アップ
をすべく、地上にも2人のレンジャーが前進してきました。

       「こちら狙撃班、配置完了、目標確認!」
       「こちら突入班、屋上確保よし!突入準備完了!」
       「こちら隊長、了解!各班指示を待て!」

       と、ここでとても都合よく見張りに出て来た栗山君。パンパンと銃声が響き渡り、あっという間に狙撃され
      てしまいました。

       続いて突入班に偵察命令が下り、まずは一人のレンジャーが拳銃片手に屋上からまっさかさまに降りて来ま
      した。上の階の踊り場に身をひそめながらゲリラの立てこもる2階部分を覗きこみ、室内の様子を偵察。その
      まま物音ひとつたてずに地上まで降りて来ました。

       偵察隊員からの情報をもとに、レンジャー隊長は突入を指示。屋上にすっくと立った4名の突入班が、巧み
      にロープを操りながら次々と2階の踊り場へと飛び込んで行きます

       地上にいる2名も2階へと駆け上がり、室内からはパンパンと銃声が。そしてしばしの沈黙のあと、
       「こちらレンジャー!人質救出、成功!」
       人質になったお姉さんを警護しつつ出て来たレンジャー突入班に、大きな拍手が送られました。いやあ、面
      白かった!パチパチパチ。

       その後はこの訓練展示を支えた裏方の安全係が紹介され、会場中央にレンジャー一同が整列。よく見ると
      質役のお姉さんもしれっと整列してるし(笑)。いったい何者なんだあの人・・・(笑)。
       「また来年も来てください!」
       とレンジャー隊長が締め括って、再び大きな拍手が送られました。

       さて、そろそろ西日も弱くなってきましたし、この辺りで姫路駐屯地を後にします。幸い帰路のバスは姫路
      城周辺の渋滞に巻き込まれる事もなく、スムーズに姫路駅に到着。いつもとは違う動き方だったので式典と観
      閲行進
こそ見逃しましたが、普段時間をかける事が出来ない場所もゆっくり見れましたし、訓練展示も予想外
      にいい場所
から見る事が出来ました。さりげなく場所を開けてくれた人には、心から感謝です。
       カメラに関しては本当にハラハラさせられましたが、結果としては十分オーライ(笑)。6年ぶりの参加で
      したが、姫路ならではの個性を存分に楽しめた姫路駐屯地創立記念行事でありました。




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