阪神基地隊マリンフェスタ2017
2017.06.04
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阪神基地隊マリンフェスタに行って来ました。阪神基地隊は兵庫県の魚崎浜に所在し、艦艇への水、食糧、
燃料等の補給や整備を行い大阪湾から紀伊水道一帯の防衛警備を担当する、海自の近畿地方における一大拠点
であります。
当日は朝ゆっくりめに出発し、9時過ぎに阪神基地隊前に到着。既に200人近い開門待ちが出来ていて、
私の後にもあっというまに行列が。私は神戸市バスで来ましたが、シャトルバス乗り場もえらい事になってそ
うだなあ。そんな混雑を考慮してか、1000の予定が繰り上がって0935に開門。金属探知機と手荷物検
査を華麗にクリアして、敷地内に入ります。
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3月の掃海艦あわじ一般公開以来、3ヶ月ぶりの阪神基地隊。東側の岸壁に見えるのは掃海艇、その後方に
はおやしお型潜水艦の艦橋が見えています。そして南側の岸壁には、ゆき型護衛艦の姿が。おお、ゆき型を見
るのは随分久しぶりな気がしますね。
テニスコート中央の休憩テントを囲む形で屋台が並び、手前のイベントスペースには沢山の折りたたみ椅子
が整然と並べられています。お、ヘリパッドには陸自の車両も来ています。
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さて、どう動こうかなあ。やはり気になるのは潜水艦ですが、上甲板だけの公開なので少々行列が伸びたと
ころで消化は早いはず。これは後からでもいいでしょう。掃海艇は何が来ているのか分かりませんが、今年に
入ってからもう2回見ているので、これも優先順位は低いなあ。
ゆき型護衛艦もこれまで何回乗せて貰ったか分からない位ですが、護衛艦の中では一番好きな艦種ですし、
まずはこちらから見る事に決定。今まで乗艦した事のないまつゆきだったら嬉しいなあ・・・と思いつつ岸壁
に出ると、艦番号3519、練習艦やまゆきでありました。
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隊員さんの敬礼を受けながらやまゆきに乗艦。護衛艦時代も含めて、これで3~4回目ぐらいかな?程良く
深狭い舷側通路、今時の護衛艦に比べるとかなりごちゃごちゃした艦橋構造物回り・・・いいなあ、実に味わ
い艦です。
前甲板に聳え立っているのは、誘導魚雷をロケットモーターで打ち上げるアスロック発射機。現在は発射機
は空の状態ですが、装填後のアスロックのコンディションを一定に保つために内部は冷暖房と除湿が完備。夏
は強烈な陽射しに焙られ、冬は寒風にさらされ続けるだけに相当な電力が必要となりそうですが、そういう意
味でも甲板下の弾庫がそのまま発射機になっているVLS(垂直射出装置)の方が、管理も整備も楽なんだろ
うなあ。
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アスロック発射機の手前にいるのが、76㎜単装速射砲。すらりと伸びた細い砲身、海坊主の様な丸っこい
砲塔シールド・・・強力な兵器でありながら、不思議な愛嬌を感じさせる見た目です。確かに5000トンク
ラスの護衛艦に搭載される127㎜砲に比べると打撃力で見劣りしますが、小型艦には小型艦に合った装備が
必要。小型軽量ゆえの発射速度の速さもあって、世界中の海軍で採用されているベストセラー兵器です。
そして何よりも、富士山の様に美しいゆき型独特のシルエットを構成している大きな要因が、このコンパク
トな砲塔なんですよね。うーん、やっぱりゆき型はどこから見ても美しい・・・。
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前甲板を後にして、左舷舷側通路へ。煙突の横から大きく張り出したテラス状甲板にいるのが、艦対艦誘導
弾ハープーン。真下の通路には三連装魚雷発射管があり、小さな船体にやる気まんまんの重武装っぷりが、い
かにもゆき型護衛艦だなあ。予算的に許されたという当時の事情もありますが、最盛期は全12隻もの数を誇
った、海上自衛隊の一時代を築いた汎用護衛艦であります。
頭上のダビッドフレーム上に設置されているのは、やまゆき固有の内火艇。訓練魚雷の回収や乗員の上陸等
に使用するエンジン付きの小型船舶、やまゆき乗組員のゲタであります。緊急時には救命ボートとしても使用
される為、内部には飲料水や食料、燃料の他に、手旗や六分儀、星座盤、釣り具まで搭載されているそうです。
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そのまま通路を艦尾まで進むと短SAM甲板に出ました。ゆき型名物後部三段甲板の中段にあたる場所です。
その中央につっ立っているシースパロー発射機ですが、スリムな対空ミサイルを収納しているだけあって、先
程のアスロック発射機に比べてぐっと精悍な雰囲気。体験航海等では巨体に似合わない俊敏な動きを見せてく
れますが、これもVLSからの発射方式が主流となった昨今では、やがて消えていく兵器。いかにもメカっぽ
い動きとギミックが味わい深いので、ちょっと残念です。
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一層上の飛行甲板はずいぶん空いているな・・・と思ったら、今回は飛行甲板の公開は無しとの事。えええ
えええ、これは残念。対潜水艦戦で大きな威力を発揮する艦載ヘリを運用する格納庫と飛行甲板は、是非とも
公開して欲しかったのですが・・・。
とは言え、強力なヘリ運用能力を誇る護衛艦ひゅうがやいせ、最新鋭のいずも、かがが登場した現代では、
ゆき型護衛艦で艦載ヘリを運用する機会は少なくなっているとの事。時代や情勢が変われば、当然求められる
役割も変化しますからねえ。一時期は海上防衛の花形であったゆき型護衛艦も退役が進み、今や残り5隻を残
すのみ。なんだかしみじみした気分で上陸です。
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そのやまゆきの角向こうに停泊しているのは、おやしお型潜水艦6番艦のSS595潜水艦なるしお。横須
賀基地からの参加です。黒々とした巨体は迫力満点で、喫水下のカキガラや茶ゴケがほとんどないところを見
ると、前回のドック入りからさほど経っていない模様。
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ちなみにこのなるしおはおやしお型潜水艦なので、潜航中はあの悪名高い潜水艦スメルがつきもの。艦内で
発生する生活排水は浄化槽での生物処理を経てサニタリータンクに溜めこまれ、一定量になると海中へと排出
(ブロー)されますが、このブローを行えるのは潜望鏡深度、おおむね15~20m位の深さと言われていま
す。
その深度での水圧以上の圧搾空気で生物処理済みの汚水をブローする訳ですが、ブロー後のサニタリータン
ク内に残った空気は3気圧程度の圧力がかかったまま。この状態でトイレを使うと、いろんなものが便器から
逆噴出して地獄絵図になってしまうので、仕方なくサニタリータンク内の圧縮された空気は艦内に放出されま
す。これがいわゆる潜水艦スメル、潜航中の艦内がものすごいニオイになってしまう原因ですね。
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とは言え最近は換気装置の高性能化のお陰もあり、浮上後や入港中の潜水艦内はそんなニオイは全くありま
せん。また、最新のそうりゅう型潜水艦からはブロー専用の排出ポンプが装備され、それまでは当り前だった
艦内への悪臭の逆流もめでたく根絶。AIP機関を搭載したせいで艦内生活スペースが前のおやしお型よりも
狭くなった・・・という声もあるそうりゅう型潜水艦ですが、ことこの問題に限っては、格段の進歩を遂げた
と言えますね。
それにしても、昔のはるしお型潜水艦に比べると随分と前後に長い艦橋だなあ。乗組員が行き来する昇降筒
に操舵装置、前後の航海灯、昼用夜用の2本の潜望鏡、あと吸排気用のスノーケル以外に何が入っているんだ
ろう。機密の塊である潜水艦、さすがにそのあたりは質問できません。
なるしお上甲板の一般公開には長蛇の列ができていましたが、さほど待たされることなく上甲板に上がる事
が出来ました。残念ながら上甲板での写真撮影は禁止でしたが、『ご遠慮ください』という柔らかな物腰がい
かにも自衛隊だなあ。こういう施設の禁止された場所での写真撮影なんて、本来なら牢屋に放り込まれてもお
かしくない行為ですから。
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いかにも潜水艦らしい、真っ黒な鋼鉄のカタマリ感をしばし堪能してから上陸。上甲板をわずか10m程歩
くだけですが、それでも一般人にとっては滅多にない経験。これからも頑張って、いろんな潜水艦を持ってき
て欲しいなあ。
続いて掃海艇を見に行きますが、こちらもかなりの行列。狭い上甲板から艦橋内部まで公開しているので、
行列の消化がなかなか進んでいない模様。おなかも減ったので、先に屋台へ向かうとしましょう。ちなみに本
日公開されていたのは、横須賀の第41掃海隊からやってきたMSC604掃海艇えのしま。えのしま型の1
番艇、海自初の強化プラスチック製掃海艇です。隣にはMSC683掃海艇つのしまもいましたが、こちらは
本日は非公開。
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まだお昼には早い時間ですが、テニスコートの屋台広場はけっこうな賑わいを見せています。例によって朝
食を抜いて来たので目が回りそうですが、まずは一回りして全容の把握に努めます。えーと、肉巻きおにぎり、
アメリカンロングポテト、佐世保バーガー、カレー、ネパール料理、ドネルケバブ、冷やしうどん、サメカツ
サンド、グリルセット、かき氷、あとカフェの移動販売車。この一見無節操とも思える多国籍っぷりが、いか
にも港町神戸らしいなあ。
中でも個人的に一番注目したいのは、昨年のウインターフェスタでは出していなかった気仙沼のサメカツサ
ンド。あれ、美味しかったんですよねえ。という訳で、まずはサメカツサンド行ってみましょう!
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たっぷりのタルタルソースを奢られたサメカツは、さっぱりとクセのない味わいでロールパンともよく合っ
ています。私的フライものランキングで、かなり上位にランキングされる味わい。阪基のお楽しみが気仙沼と
いうのも変な感じですが、どちらも過去の自然災害で大変な目にあった場所。やはりよその土地以上に通じ合
うものがあるのかもしれません。とは言え、そんな事情を抜きにしてもほんと美味しいですよサメカツサンド。
私にとっては気仙沼ではなく、もはや阪神基地隊の味になりつつありますが(笑)。普通にスーパーで売って
くれないかなあ、これ。
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続いてはネパール料理の屋台へ。ネパールカレーライス、チキンカレー&ナン、チキンサンド等どれも美味
しそうですが、今日はタンドリーチキンいっときましょう。
真っ赤なスパイスにまみれたチキンが鉄鍋の上でじゅうじゅう音を立てていて、これはたまらなく美味しそ
う。注文を受けたネパール人シェフは、焼き上がった鶏肉をキッチンバサミでちょきちょきカット。鍋中央で
煮えたぎる脂にしばし浸してからサーブしてくれました。まずは一口。
おお、スパイスの香りと刺激が強烈ですが、辛さは意外とマイルドで食べやすいですね。ビールにもご飯に
も合いそうですが、一番相性がよさそうなのは生野菜だろうなあ。次はタッパーに入れて持参しようかな(笑)。
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立て続けの2品で胃袋はかなり落ち着きましたが、折角なのでもうひと品、『本格カレー』の屋台に向かい
ます。鮮やかな宣伝POPで飾り付けた他のテントに比べると、商売っ気の感じられないやけに地味な屋台で
すが・・・あ、もしかして、阪神基地隊が誇る『KOBEカレー食堂』の屋台なのかな?
店員さんに質問するとまさにその通りで、これは嬉しい不意打ち。前回のウインターフェスタでも開店して
いたKOBEカレー食堂ですが、いつもの食堂を使っていたので席数以上のお客さんを収容する事が出来ず、
長蛇の列がなかなか消化されていなかったんですよね。
その反省を生かしてか、今回は屋台形式による出店。販売が席数に縛られないいい意味での売りっぱなしな
ので待ち時間が大幅に短縮し、これは非常に嬉しい判断であります。
阪神基地隊、掃海艇つのしま、なおしま、仮屋磁気測定所、由良基地分遣隊の5種類のカレーを週替わりで
楽しめるKOBEカレー食堂ですが、本日提供されるのは阪神基地隊オリジナルカレー。500円払って受領
して、さっそく試食に移ります。
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ほほう、なるほどなるほど。どっしりとした重量感のある旨みをもった、清々しい位に正統派路線のカレー
です。福神漬けがないのが絵的にちょっと寂しいですが、青い空と白い雲の下、海風に吹かれながら芝生の上
で食べる海自カレーはたまらないものがありますね。普段隊員さん達が利用している外部委託食堂で提供され
る、ステンレスの鉄板に盛られた金曜カレーもスペシャル感があって最高ですが、この場所で食べるだけでも
5割がた旨みが増す気がします。
いやあ満腹満腹、3品ともほんと美味しかったなあ。久々に100点満点を出したい自衛隊イベントの屋台
巡りでありました。
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その後は厚生センターの売店を回り、掃海艇えのしまへ。そろそろ空いてきたかな・・・と思っていました
が、正門から入って来る人達はまだ途切れることなく、乗艦待ちの列も増える一方。これは一時間やそこらの
待ち時間で済みそうにないなあ。初めての掃海艇えのしまは魅力的でしたが、時間も押している事ですしまた
の機会を待つとしますか。
お昼時のこの頃になると、芝生広場のあちこちでレジャーシートを広げてお弁当タイムを楽しむ家族連れの
姿が。芝生にごろりと寝転ぶ人もいて、それぞれにのんびりゆったりとイベントを楽しんでいます。殺風景な
埋め立て地の片隅にこんな場所があったなんて、今日初めて知った人も多かっただろうなあ。
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なんとなく屋台広場の物販テントに向かうと、海自グッズの隙間から鉄帽姿のゴルゴが覗きこんでいて非常
に不気味。どうにも落ち着かないというか気まずいというか、商品を手にとってゆっくり見る事ができません。
あまりに目ヂカラが強すぎて、客商売には絶対向いていないなあ、ゴルゴ13・・・。今でこそ殺し屋稼業で
名を成していますが、小さい頃はケーキ屋さんになりたいとかお花屋さんになりたいとか、可愛らしい夢を描
いていたのかもなあ。小学生時代ゴルゴの卒業文集とか、見てみたいですね(悪趣味)。
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隊舎内の掲示物を眺めていたら、たまたま通りかかった一等海尉さんが私の識別帽(江田島の幹部候補生学
校のもの)を見て話しかけてこられました。
「これを被っていると、時々隊員さんに声をかけられるんです(笑)。昔の数々のつらい思い出が甦って、
ドキッとしました・・・ってみなさん言われますね(笑)」
と言うと、一等海尉さんも色々と思い当たる節があったらしく、大笑いされていました(笑)。
ちなみに変わったところでは、某大型家電量販店で元隊員さんにいきなり声を掛けられた事も。どうやら以
前江田島にいた頃にものすごくシゴかれ・・・もといお世話になった幹事付の方が私とそっくりだったらしく、
久しぶりに目にした幹候の識別帽もあって非常に驚いたとか(笑)。
結局そのまま30分ぐらい初対面の人と立ち話で盛り上がってしまいましたが、私そっくりの隊員さん、今
頃どこでどんな役職についているんだろう。一度どこかのイベントでお会いしてみたいものであります(笑)。
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最後は厚生センター外の階段通路から、えのしまとなるしお、やまゆきを撮影。晴天に恵まれながらも海風
が爽やかという、最高のコンディションに恵まれましたね、阪神基地隊マリンフェスタ。屋台も大満足でした
し、また夏のイベントも参加したいなあ・・・と思いつつ、魚崎浜を後にしました。
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