阪神基地隊KOBEカレー食堂
(仮屋磁気測定所風カレー)

2016.08.26


       という訳で、先月に引き続き2度目となるKOBEカレー食堂訪問であります。KOBEカレー食堂とは
      神基地隊の外部委託食堂
が今年4月から始めた、阪神基地隊隷下5部隊の金曜カレーをほぼ週替わりで一般に
      提供しよう!
というステキ極まる企画です。
       ちなみに本日提供されるのは、兵庫県淡路島に所在する仮屋磁気測定所風カレー。磁気に反応して爆発する
      タイプの水中機雷を避ける為に船体の磁気測定並びに消磁作業を行うという、国内では淡路島の仮屋と長崎県
      の佐世保にしかない専門性の高い特殊な部隊です。
       それにしても、磁気とカレーか・・・。食べ物にはちょっと反映させづらい部隊の特徴ですね。四方を豊か
      な漁場に恵まれた淡路島
だけにシーフードカレーというのもアリですが、そもそも海自の部隊の殆どが海に面
      した場所にある
ので、それをもって仮屋磁気測定所の特徴というのはいささか無理があるありますね。果たし
      てどんなカレーなんだろう。

       などと考えながら、1135に阪神基地隊着。正門脇の警衛所にて手続きを済ませ、厚生センター2階の
      OBEカレー食堂
へ向かいます。と、その前に売店で食券を買わないと。デラックスプレート800円なりを
      注文すると、22番の青札を渡されました。あれ?前回は青白の2枚組の札でしたが、その後シンプルな方式
      に変更された模様です。
       「番号が呼ばれるまで、食堂前の待合でお待ち下さい」
       とレジの人が言っていましたが、中で座って待つ訳にはいかないのかな?と何気なく店内を覗いてみると、
      うわっ、滅茶苦茶賑わってる!どうやら1130の開店と同時に、30名以上の来客があった様です。幾つか
      空き席はありますが、これは厨房内は大変だろうなあ。気長に待つとしましょうか。

       夏休みの終わり間際なので小さな子供を連れた家族が多いと予想していましたが、意外な事に子供よりも高
      齢者の姿が目立ちます
。食堂の中央には10名位の高齢者の団体さんもいますし、揺り籠から墓場まで幅広い
      世代に周知されている様ですね、KOBEカレー食堂。
       ここで私の持つ青札を見た人から、それはどこで貰えるんですかと質問されました。隣の売店で先に食券を
      買い求めてから食堂に向かうというKOBEカレー食堂の方式
ですが、当の阪神基地隊のHPにも明記されて
      いないので初めて来た人は分かりづらいだろうなあ。食堂の前にもそれを説明した掲示物はなく、知らない人
      は食券を買わないまま入口の前に並んでしまいそう。

       この頃には第一陣のお客さん達がぼちぼちと帰り始め、テーブルに空席が増えてきましたが、店員さんはな
      かなか次のお客さんを入れようとしません。あれ?よく見ると前回来た時よりも店員さんの数が少ない様な
      時折売店の店員さんも手伝いに入ってますが、売店のレジ業務もあるので実質厨房内の2人だけで食堂内を切
      り盛り
する形になっています。ああ、これでは店内が回らないのも仕方ありません。直前で急な欠勤か何かが
      あったのかなあ。
       懸命に働く店員さんの様子や、下げられた器で早くも一杯になりつつある返却台を見ればおおよその察しは
      つきますが、この辺りは飲食店勤務の経験がないとピンとこないかも。私の後ろに並んだ人達からは、手際が
      悪すぎるとのイライラした声
も上がり始めました。

       とは言え、既にテーブルの2/3近くが空いているにもかかわらず、まだ次のお客さんを入れようとしない
      のは流石にまずいなあ。キャパを完全に越えた作業量に追われる中、全体の立て直しに必死なのは痛いほどわ
      かりますが、これでは文句を言いだすお客さんがいても仕方ない気もします。
       仮に私が「海自カレーを食べる事が出来る食堂が阪神基地隊にあるよ!」友人を誘ったとして、そこでこ
      れだけ食堂内の混乱を見せられて待たされたら・・・退屈そうな顔をしている友人を気遣うあまり、自分の方
      から食堂側に対する文句の一つも洩らしたくなる
かもしれませんし。

       食べ終えて食堂から出て行った高齢者一個小隊ですが、どうやら引率者がいるらしく、トイレの方から
       「便器は洋式が一つ!和式が一つありまーす!」
       という大声が響いて来て非常にブルーな気分にさせられます。確かに高齢者にとって、外出先のトイレのあ
      るなし
は大きな問題ですね。膝の悪い人にとっては洋式か和式かというのも大事でしょう。でも今からカレー
      を食べようという時に、そんな大声は聞きたくなかったなあ(泣)
。これがネイビーブルーって奴か・・・と
      トホホな気分でいると、
       「お待たせしてすみません、20番から25番の方は、中へどうぞ!」
       おお、ようやく食堂内の立て直しが出来た様です。さっそくカウンターに番号札を提出。しばらくして出て
      きた仮屋磁気測定所風カレー。福神漬をのせてバスケットに入った缶飲料を一つ選んで、まずは手早く撮影を
      済ませます。お腹も減りましたし、とにかく一口。

       おお、これは何というか・・・実にフルーティな味わいだなあ。爽やかで甘酸っぱい果物の香りが、スパイ
      スとともに口の中一杯に広がります。肉と野菜のしっかりした太い味わいもありますが、この舌の上で軽やか
      にステップを踏む様な甘さ
はフルーツ独特のもの。しかもこの味わいの瑞々しさ・・・熟成された味わいのチ
      ャツネではなく、果実のピュレや摩り下ろしたフルーツをダイレクトに使ったのかな?
       そしてこの、濃厚なのに爽やかで涼しげな甘味と香り・・・白桃の缶詰をシロップごとミキサーにかけたも
      の
を使ったと見ましたが、果たしてどうでしょうか。

       は繊維レベルまで煮溶けていてぱっと見で何の肉なのか判別が難しいですが、このフルーツの甘さとの親
      和性から察するに、薄切りの豚肉を使ってあるのかな?野菜類もその殆どが形を失うまで煮込まれていて、僅
      かにニンジンらしい小片が認められるのみ。
       しかしこのフルーツの甘さ(と私は思いましたが)を押し出したカレー、めちゃくちゃ美味しいですね。甘
      口ですが決してお子様風ではなく、大人のカレー好きが頷かざるを得ない見事な甘口カレーです。
       強い陽射しが斜面に降り注ぎ、爽やかな海風がたわわに実った桃の実を微かに揺らしている淡路島の高台に
      ある果樹園
。収穫作業の途中で一息つくと、眼下の真っ青な海には航跡を引いて進む小さな船・・・食べてい
      る最中の私の脳裏に浮かんだ心象風景は、こんな感じでしょうか。なるほど磁気測定所の個性は生かしづらく
      とも、温暖な気候と肥沃な土壌に恵まれた淡路島らしい個性は、こんな形で表現する事が出来るんですねえ。

       となると、和歌山県の由良基地分遣隊のカレーみかんの風味を生かしているのかな?いや、和歌山には
      がありますね。そちらの方がカレーとの相性は良さそうだな・・・等と考えているうちに、あっという間にカ
      レーを食べ終えてしまいました

       うーん、デラックスプレートは揚げ物やサラダ、デザート類が充実している分だけ、やはりカレーそのもの
      のボリュームが少ないなあ
。品目が多く栄養バランスもとれていますが、やはり主役であるカレーをもう少し
      ガツンと食べたい
ものです。

       ちなみに添えられた揚げ物は、大ぶりの鶏唐揚げビーフコロッケ。前回と同じ内容ですが、食べるのを後
      回しにしてしまった割には温かいな
。前回は冷めた揚げ置きでしたが、今回はどうやら揚げたてに近い状態で
      
提供されていた様です。人手が足りないせいで、事前の揚げ置きが出来なかったんでしょうね。でも、これは
      むしろ有難かったかも・・・等と思ってしまうのですから、食べる方は勝手なものだなあ(笑)

       小鉢の生野菜は千切りキャベツトマトコーン。これも前回と同じですが、添えられた半切りゆで卵の黄
      身が白身から飛び出しかけていた
のは、ばたばたしてしまった食堂の状態を表している様。
       同じく小鉢のヨーグルトには、パイン、もも、ぶどう、洋梨のシロップ煮が入っています。コレも前回と同
      じですが、あれ?ヨーグルトの甘さが控えめになっている様な・・・。前回はもっとしつこい甘さだったと思
      いますが、気のせいかな?もしかしたら全体のバランスを見直して、甘さを抑えたのかもしれません。

       あとデザートですが、ミックスベリーのタルトが乗っていました。こちらも甘さは控えめで、むしろスッキ
      リした酸味
を楽しめます。恐らく冷凍物のケーキを切り分けたと思われますが、このしっとりと冷たい水分の
      多さ
がいい塩梅ですね。一枚だけ添えられた小さなクッキーのサクサクな口当たりも、いいコントラスト。い
      やはや、前回の掃海艇つのしま風カレーとはまた違った美味しさを楽しめました、仮屋磁気測定所風カレー

       先程まで下げられたトレーで一杯になっていた返却台ですが、ふと見ると食器の種類ごとにキレイに纏めて
      積み重ねられてありました
。食堂内の混乱を見兼ねたお客さんの一人が、次の人が置きやすい様に、そして忙
      しい店員さんが少しでも洗い場に下げやすい様に
気をきかせた模様です。
       もちろんお客さんとしてやってきたお客さんではありますが、人手が足りず食堂内は大変な様子・・・じゃ
      あ自分には何が出来るか、どうすればみんなが気分よく金曜カレーを楽しめるか・・・
それを考えた上での、
      その人のごく自然な振る舞いだったのでしょう。
       確かに今日の食堂内の混乱はちょっと残念ではありましたが、もっと残念なのは運営に限界を感じた食堂の
      人達が、海自の金曜カレーに親しめる折角のこの試みを断念してしまう事
。なにぶん平日に行っている企画な
      ので、昼休みの時間に限りがある人も多いでしょうが、少し位待たされたり混乱があっても、温かい目でこの
      KOBEカレー食堂を見守り育てて行きたい
ものですね。
       阪神基地隊と地域住民。平和とカレーを一緒に紡いでいける頼もしいパートナーとして、今後も支えあい応
      援しあえる関係でありたい。乱雑になった食器返却台をきれいに整理して帰った人も、そしてその気持ちと行
      為に倣った人達も、きっと同じ思いでいるに違いない・・・
そんな事を考えつつ、KOBEカレー食堂を後に
      しました。




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