桂駐屯地さくら並木一般公開
2016.04.02
京都市西京区に所在する桂駐屯地にて行われた、桜並木の一般公開に行ってきました。桂駐屯地には中部方
面後方支援隊を中核として、関西補給処桂支処、基地通信中隊、警務隊等が駐屯し、各種装備品の補給、整備、
輸送関連の支援を担っている、中部方面隊の兵站中枢といえる重要拠点であります。
当初は土日ともに雨が予想されましたが、参加した土曜日は曇り空ながらも、どうやら雨は免れそう。午前
の仕事を片付け、お腹を減らしたまま昼過ぎに阪急電鉄京都線洛西口(らくさいぐち)駅に到着。駅前交差点
を越えてすぐの所にある、桂駐屯地にやってきました。
5年ぶりとなる桂駐屯地。お昼を過ぎの時間にも
かかわらず、駐屯地に入って行く人は絶えません。
他にも多くのお花見スポットを誇る京都ですが、桂
駐屯地も負けてはいない模様。
駐屯地正門前の広さに驚かされますが、後方支援
隊の性質上、大型車両の頻繁な出入りを考えるとこ
れぐらいの広さが必要ですね。
ちなみに駐屯地外周の真っ白な塀は桂離宮を、警
衛詰所は古民家をイメージして設計されたそうです。
ちなみにこの桂駐屯地、昭和29年に旧三菱重工
跡地に宇治駐屯地の分屯地として産声を上げ、その
後駐屯地に昇格を果たしたのですが、それ故に私的
に非常にたまンないモノが敷地内に残っていたりし
ます(詳しくは後述)。
特に駐屯地創立記念行事の日に雨が降ると、それ
はもうとても美味しい目にあえるのですが、残念な
がら未だにその機会には恵まれず。
毎年雨が降る事を切望する駐屯地創立記念行事な
んて、全国でもココ位だと思いますね(笑)。
広いグラウンドを囲むように沢山の桜が植樹され、
沢山の人達が思い思いに花見を楽しんでいます。皆
さん場所柄を弁えていて派手な乱痴気騒ぎもなく、
穏やかで実にいい雰囲気。お花見としては超優良ス
ポットですね。
隊員さん達のゴミ箱オペレーションが行き届いて
いるお陰で、ゴミが山盛りになっている光景は皆無。
ただこれは、あくまでも屋台から出るゴミを捨て
るゴミ箱です。来年も気持ち良く花見を楽しむ為に、
持ち込んだゴミは必ず持ち帰りましょう。
お腹が減ったので、私は桜よりも屋台(笑)。炭
焼きフランクフルト、枝豆、ビール、カップスイー
ツ、焼きそば、おでん、唐揚げ、ラーメン、唐揚げ
丼・・・とかなりのラインナップです。ちなみにこ
れらは全て隊員さん達が出店する屋台。
まずは定番の焼きそばを狙いますが、昼過ぎなの
で長蛇の列。ここで時間を浪費するのはちょっとな
あ。涙をのんで桂駐屯地焼そばを諦めます(泣)。
来年は日曜日に朝から来よう・・・。
という訳で手にした第305輸送隊の唐揚げ丼。
手のひらにズシンと来る重量感とは裏腹に、なんと
も軽いサクサクの口当たりです。さっぱりした甘辛
たれと濃厚なマヨネーズ、そして青ネギの清涼感も
あり、非常に満足度の高い一品。
よく見ると上に乗っている唐揚げ、一口大にカッ
トしてありますね。唐揚げとは別に、丼の分だけい
ちいちカットしている模様。女性や子供でも食べ易
く、こういう細やかな気遣いこそが後方支援隊の真
骨頂でしょう。
続いては隣にあった第306輸送隊が出している
ラーメン。チキンベースの塩味スープにあっさり味
のチャーシューがよく合っていて、薄味なのに物足
りなさをまるで感じさせないところが京都らしい。
この変わり種ラーメンには、胡椒よりもゆず胡椒
が合う気がします。よし、来年は持参するか(笑)!
しかしこのラーメン、薄黄金色のダシにカマボコ
があしらわれているせいか、ぱっと見でうどんなの
かラーメンなのか分かりませんね(笑)。
桜まつりに華やぐ駐屯地内にあった、今月の目標。
こんな厳めしいものが置いてあるお花見会場は、自
衛隊の駐屯地ぐらいでしょう(笑)。
普通科、特科、機甲科、施設科といった様々な部
隊が継続的にその力を発揮できるのは、あくまで後
方支援の部隊が万全の働きをしてこそ。この言葉が
持つ意味は非常に重いと言わざるを得ません。
また、ここはあくまでも自衛隊の施設であり、楽
しませて貰う側の立ち振る舞いも考えさせられるい
い看板だとも思いました。
次に向かったのは、桂駐屯地資料館。桜はどうし
た(笑)という気もしますが、好きなんですよね、
駐屯地の資料館って。その部隊独自の気風や価値観
が垣間見えて、興味深いです。
出来れば歴史の風雪にさらされた古い建物であっ
て欲しいのですが、初めて訪れた桂の資料館は味も
素っ気もないフツーの建物でした。
マイベスト駐屯地資料館は八尾駐屯地ですが、最
近は人が多すぎて、静かに雰囲気を楽しめないのが
ちょっと残念かも。
駐屯地資料館の前に展示してあった、米国製の2
000ポンド(1㌧)爆弾。ここ桂駐屯地には第1
03不発弾処理隊がいて、発掘された大戦中の不発
弾の処理を行っています。
この爆弾に跨って遊んでいた子供に、お父さんが
「コラッ!そんなもんに触ったら爆発すんぞ!」と
怒っていたのですが、その子は「そんな訳ないやろ」
と素で返していて笑ってしまいました。最近の子供
はやりにくいですなあ、お父さん(笑)。
資料館の内部。展示内容の多くを第103不発弾
処理隊が占めているのが桂ならでは。
また桂駐屯地のこれまでの沿革についての展示も
ありましたが、様々な災害派遣や海外派遣任務、さ
らに中国天安門事件や北朝鮮ミサイル発射、大規模
テロ等の国際的な大事件に混じって、なぜか
『2010.4 桂駐屯地コンビニオープン』
という超ローカルな項目がありました。桂では大事
件扱いだったのか、コンビニ開店・・・。
ガラスケースに納められているのは、国産の64
式小銃と62式機関銃。制式採用が2年しか違わな
いにも関わらず、62式から漂う強烈な古臭いオー
ラが堪りません。
ちなみにこの62式機関銃、殺人的な重さと頻発
する故障のお陰で隊員さんからの評価は最悪に近い
シロモノ。中には一度引き金を引いたら連射が止
まらない個体もあったらしく、ついたあだ名が『言
う事聞かん銃』(笑)。カッコイイのになあ・・・。
再びお花見会場へ。グラウンドを囲む様に植えら
れた桜の周りにはレジャーシートが控えめに並び、
なんとものんびりした雰囲気。人の少ない中央部で
は子供達が走りまわっています。
ギスギスした場所取りや非常識なマナー違反、馬
鹿騒ぎとは一切無縁の静かで穏やかなお花見・・・
ずっとこの雰囲気でいて欲しいですね、駐屯地の桜
一般公開は。
上の方で書いた私的にたまンないものがこれ、広
大な桂駐屯地の敷地の1/4近くを占める、巨大な
工場群のノコギリ屋根であります!
内部はものすごく広い上にものすごく古いらしく、
雨漏りなんか当たり前。古い建物好きにはもうたま
ンない物件であります。
ちなみに創立記念行事の日に雨が降った場合は表
のグラウンドではなくこの工場内にて記念式典が開
催されるそうで、その日だけは一般見学者も内部に
入る事が許されるとの事。嗚呼、入りたい・・・。
工場群の周囲の側溝に、サビた橋が掛けられてい
ました。しかしこの橋、どこかで見た様な・・・欄
干の形状を見るに、トラックの荷台部分では?
咲き誇る桜には目もくれず、古い工場や錆びた橋
を興奮しながら撮影する私を見ていた警衛の隊員さ
んの不審そうな視線が痛かったです(笑)。
その他にも、工場前の看板の土台が古い車両のホ
イールだったりと、装備品のメンテナンスを手掛け
る後方支援隊らしさが随所に垣間見えました。
広大な面積を誇るノコギリ屋根の工場群。地図で
調べると縦340m、横200m程ありました。内
部に戦艦大和を5隻並べてもまだ余る広さです。
それにしてもこの味わい、見ているだけでも飽き
ません。世の中には工場萌えというジャンルがある
そうですが、その気持ちは非常に共感できますね。
出来れば私も追っかけてみたいのですが、これ以
上やりたい事が増えると、休日が一日何時間あって
も足らなくなるなあ・・・。
久しぶりの桂駐屯地、いやあ楽しめましたね。ちなみに今年の桂駐屯地創立記念行事は9月18日に開催さ
れるとの事。今から大雨が降る事を必死で祈りたいと思います。みんな!俺に力を貸してくれ(笑)!
あと、美味しい唐揚げ丼を出していた第305輸送隊のテント内に、『俺は金しか信じねえ!』と書いたシ
ャツを着た隊員さんがいたのが気になりました。清々しい位に素直で好感が持てましたが、一体何があった?
っていうか、ルビがなかったので確認できませんでしたが、金は金でも正○君の方の金じゃないだ
ろうな・・・一体何があった!?
日本に忍び寄る脅威の陰を見て見ぬふりしつつ、桂駐屯地を後にしました。
桂駐屯地にあったのか、ポプラ通りって。
夢が帰るところ・・・(←状況、加齢臭)。
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