春日井駐屯地創立49周年記念行事

2016.03.06



       愛知県に所在する春日井駐屯地の創立記念行事に行ってきました。春日井駐屯地は第10後方支援連隊を中
      
核として、第10施設大隊第10偵察隊通信会計警務輸送駐屯地業務隊の各部隊が駐屯している
      第10師団の縁の下の力持ち的な存在であります。
       ちなみにこの春日井駐屯地で、地元第3師団に続いて私の第10師団駐屯地巡りは一応のコンプリート。実
      にのんびりしたペースではありますが、いつのまにやら・・・と感慨深いものを感じます。
       という訳で今年一発目のイベントとなる春日井駐屯地、早朝に大阪市内の自宅を出発です。気温は15℃
      暖かいものの、天気予報は午後から雨模様。第一戦目だけに快晴に恵まれたかったところですが、小牧ICか
      ら一般道に降り、0800に春日井駐屯地前に到着です。
       しかし敷地内の駐車場には0845の開門まで入る事は出来ず、駐屯地前の道路は狭いので開門待ちも出来
      そうにありません。やむなく別の場所でしばらく時間を潰してから、0845に再び春日井駐屯地正門前へ
       もう開門している筈ですが、駐屯地前の道路は結構な渋滞になっています。果たして先頭から何番手なのか
      分かりませんが、春日井は一般見学者にも観閲スタンドを準備してくれているので、少々出遅れても大した問
      題ではないでしょう。

       車列はゆるゆると進み、かれこれ20分ほどで駐車場へ。駐屯地内で車両のチェックがありましたが、時間
      がかかった原因はこれか。とは言え、こういうのはしっかりやった方がいいですからね。
       その後は手荷物検査を受けて、会場へ。おお、結構広いグラウンドです。西と南のL字型に大きな観閲スタ
      ンド
が設置され、収容人員に余裕があるせいか0915を過ぎてもまだスカスカです。
       隊員さんに訓練展示の流れを確認し、撮影し易そうな西側の観閲スタンドに拠点を確保。南側に比べると
      や逆光ですが、今日は薄曇りなのでそれほど不利ではないはず。さて、それでは駐屯地内をフラフラと歩いて
      回りましょう。

       厚生センター内の売店は、既に沢山の人で賑わっています。糧食ネタを探して回りますが、特にこれといっ
      たものは無し。しかしサボテンラーメンサボテンのど飴があるのが、実に春日井らしいなあ。
       ちなみにここ春日井市はサボテン栽培量日本一を誇り、サボテンを使った特産品も多い事でも知られていま
      す。毎年秋に伊丹駐屯地にて行われる中部方面隊創隊記念行事では、春日井駐屯地の隊員さん達がサボテン鉢
      の即売屋台
を出していますし。

       屋台を求めて外に出ると、あ、あったあった、通路の両側に業務用白テントが整然と並び、沢山のが立っ
      ています。すでに結構な賑わいを見せていて、今年一発目の駐屯地グルメ、期待できそうですよ。
       まずは一つ一つのテントを見て歩きますが、クロワッサン鯛焼き大分唐揚げネパール料理広島焼き
      オムライス丼富士宮焼きそば牛タン串焼きベーコンステーキスペアリブ炭火焼・・・と、なんかいつ
      もと違う雰囲気。よく見るとこれ、全部外部の業者の屋台です。うーん、楽しみにしていた春日井の隊員さん
      による屋台が一つもない
とは。陣容の豪華さに反比例して、これはちょっとがっかりだなあ。
       とは言え、頭数にものを言わせる事の出来る他の駐屯地とは違い、ここ春日井は後方支援と施設が中心の駐
      屯地
です。必然的に職人集団的な少数精鋭の人員構成になる上に、大きな弾薬庫があったり大型車両を扱う為
      に
格段に広くなる敷地の警備にも、多くの人手を割かれてしまいます。淋しい事ですが、屋台にまで回せる人
      的余裕はない
んでしょうね。これは仕方ないなあ。

       という訳で、気を取り直してまずは一品目。居並ぶ屋台の中でも最も地域性が濃かった、春日井のサボテン
      ラーメン
行ってみましょう!麺そのものにサボテンを練り込んだ上に、トッピングとしてサボテンのすりおろ
      し
スライスしたものを使っているとか。サボテンを食べるのは初めてですが、アロエみたいなものかな?
       この屋台は地元春日井市内のラーメン屋さんが出張しているそうで、麺も蒸し麺ではなく半生タイプを使っ
      ているというこだわり様。その分注文してから少々の茹で時間がかかりますが、お陰で売り子のお姉さんに色
      々とお話を伺う事ができました。
       出てきたサボテンラーメンですが、大きな焼き豚ゆで卵、そしてキレイなライトグリーンのトロロみたい
      なの
が乗っています。これがすりおろしサボテンか。一口食べてみると、んん~?香りが薄くて瑞々しいキュ
      ウリ
の様な味わいです。意外なほど強い粘りがあり、ラーメンにこれは面白い組み合わせだなあ。

       薄切りのサボテンはしゃりしゃりした口あたりが対照的で、キヌサヤをもっと柔らかくして青臭さを抜いた
      感じ?
青ネギの様な芳香はありませんが、この涼しげな風味が濃厚なしょうゆとんこつスープの上で独特の存
      在感を放っています。もっとイロモノ的なラーメンかと思いきや、なかなか正統派な美味しさですね。
       サボテンを練り込んだパステルグリーンの中華麺ですが、うーん、これは特にどうという事はないな。ちな
      みに使用されているのは食用として栽培されたウチワサボテンという品種で、春日井市内の一部のスーパーで
      普通に買えるそうです。また、小学校の給食でもサボテンはお馴染みだとか。
       「大阪からいらしたんですか?じゃあ、給食にたこ焼きとか出てるんでしょうか(笑)」
       とお姉さんは笑っていましたが、今ならあるのかなあ。確かにやりかねませんが(笑)。

       続いては、美味しそうな香りを漂わせていたスペアリブ炭火焼。おお、これもなかなかのお味ですよ。焼き
      置きだったので残念ながら少し冷めていましたが、見た目に反してさっぱりとした甘辛醤油味がいい塩梅。そ
      してこの、変に柔らかすぎないのも好印象だなあ。焼く前に蒸したりして、妙に柔らかいスペアリブはがっか
      りですし。焼けて締まった肉を骨から引きちぎる、この野性味こそがスペアリブの醍醐味。うーん、これは朝
      からビールが欲しくなる・・・。
       ただ、さっきのサボテンラーメンもそうでしたが、プロが作ったが故の完成度の高さが逆に屋台グルメのト
      ホホな味わいを消している
というか、私が求める屋台テイストから外れてしまっているのがちょっと残念。隊
      員さんによる屋台は、真剣ながらも実は半分ぐらい遊んでいるというか、
       「休日潰れるし勘弁してくれよ・・・って最初は思ったけど、やってるうちにどんどん楽しくなってきたぞ!
      俺って実は、この仕事の方が向いてるんじゃ・・・(笑)」

       とでも言ってそうな、アマチュア故の無邪気な高揚感が伝わってくるのが好きなんですよね。

       さて、せっかくだからもう一品。二つあった焼きそば屋台のうち、富士宮ではない無印焼きそば行っちゃい
      ましょう。こちらも作り置きのやや冷め加減ですが、おお、これもなかなか。一見して大量のひき肉を使って
      いるのかと思いきや、これ、天カスなんですね。
       しかしこの天カスが結構な曲者で、豚バラ肉の脂キャベツの水気をしっとりと吸収し、それに自身が持つ
      まろやかなコク
を加え、寝かされている間に焼きそばに還元しているのが驚きです。
       この作り置きならではの、短期間熟成とでも言うべき旨味の引き出し方は、鉄板からおろしたての焼きそば
      にはない味わいだなあ。ここ数年、駐屯地の屋台焼きそばを食べ歩きながら
       「焼きそばってもしかして、焼いた後にしばらく寝かせた方が美味しくなる作り方があるのでは・・・」
       と模索していたので、この寝かせている間に天カスに仕事をさせるという手法は、まるで目からウロコが落
      ちた気分。そうか、これだったのか、ベストな寝かせ焼きそばは。

       焼きそば自体はさっぱりとした辛口ドライ系で、これがコクのある天カスとよく合っています。甘口ウェッ
      ト系だと、天カスが重く感じそうだしなあ。うん、今日またひとつ、この世の真理へと到達した気分です(大
      げさな)。
       それにしても、これだけ自衛隊イベントの人気が出ると、隊員さんの手が足りなくなって外部の業者が幅を
      利かせる流れ
になるのは仕方ないんだろうなあ。代々受け継がれてきた部隊の味が、自衛隊人気の盛り上がり
      故に途絶えてしまう
というのは、なんとも皮肉な気がします。

       厚生センターの前では、駐屯地曹友会の隊員さんがコンプレッサーを使って風船を膨らませていました。半
      長靴についた泥を落とす為の機械ですが、成程こんな使い方も出来るのか。隊員さんに話しかけてみると、
       「ええ、イベントの時はこうやって使ってますよ(笑)。普段は青いブラシの部分で靴底の泥を落としてか
      ら高圧水流で洗い流し、最後にこのコンプレッサーで水滴を吹き飛ばすんですけど(笑)」

       との事でした。おっと、時刻はいつの間にか0840を回っています。そろそろ部隊の入場が始まりますね。
      観閲スタンドの拠点に戻るとちょうど部隊の整列が終わったところで、各部隊の紹介が行われました。向かっ
      て左から第10後方支援連隊の連隊本部及び付隊第1整備大隊第2整備大隊補給隊輸送隊衛生隊。
      
そして第10施設大隊第10偵察隊。あれ?音楽隊の紹介は無し?聞き間違えたのかな?

       ここで突然爆発音が響き渡り、会場の後方から白煙が噴き上がりました。一体何事かと思ったら、屋台のポ
      ン菓子
が出来上がった様です。なんだ紛らわしい(笑)。もっと離れた場所に配置すればいいのに、これは来
      来場者を驚かせようという春日井駐屯地のお茶目心でしょうか(笑)。

       観閲部隊指揮官を務める第10後方支援連隊副連隊長肥田2等陸佐連隊幕僚を伴って入場し、部隊は指揮
      官に敬礼。そして本式典の観閲官である第10後方支援連隊長兼ねて春日井駐屯地司令である星指吉見1等陸
      佐
が、黒塗りのクラウンで入場します。
       続いて部隊は着け剣、国旗の入場です。登壇した国旗に対し、部隊は捧げ銃(ささげつつ)。音楽隊は国歌
      君が代
を厳かに演奏します。

       その後は観閲官による部隊巡閲及び式辞来賓祝辞来賓紹介感謝状贈呈者の紹介祝電の紹介が滞りな
      く進められ、部隊はこのあと行われる観閲行進の準備の為に、ここで一旦退場。一斉の駆け足ですが、それだ
      けで砂煙がもうもうと立ち上がりますね。式典の最中もちょっとした風で砂塵が舞っていました。

       そして観閲行進が始まりました。第10音楽隊行進曲『大空』で先頭を切り、観閲部隊指揮官を乗せた
      ジェロ
が続きます。
       続いて第10偵察隊から指揮通信車偵察オート軽装甲機動車87式偵察警戒車、通信関連と思われる
      シェルターを搭載したトラック

       第10施設大隊の各中隊からはパジェロ高機動車発煙機3型バケットローダトラッククレーン
      大型ダンプ中型ドーザ及び油圧ショベルを積載した中型セミトレーラ渡河ボートを牽引したトラック、そ
      して資材運搬車を積載したトラック。いやあ、施設科がいる駐屯地の観閲行進はやっぱりいいですねえ。バラ
      エティ豊かな働くくるまが続々登場です。

       第10後方支援連隊各隊からはパジェロシェルターを搭載したトラック重レッカ浄水セット逆浸透型、
      
燃料タンク車トラック特大型セミトレーラ救急車、そして野外手術システムが続々とやってきました。

       以上で大迫力の観閲行進は終了。ほほう、余所から呼んだ車両のない、春日井駐屯地自前100%による観
      閲行進
とは。偵察、施設、後方支援といった多種多様な車両を擁する部隊ならではの強みですね。戦車や榴弾
      砲がないと物足りない・・・という意見もあるでしょうけど、春日井の独自色を表に出したという意味で、私
      はこっちの方が好みかも。

       しかし春日井のパウダーサンドのお陰で、最前列にいた私はコナコナに・・・(笑)。慌ててブロアーでカ
      メラについた砂塵を吹き飛ばします。行進前に散水が行われなかったので覚悟はしていましたが、ちょっと地
      面に水を撒いた程度では大した効果は無い
んだろうなあ。
       この後は観閲官が降壇し、国旗も退場。式典参加者が起立で見送った後は第10音楽隊による音楽演奏が披
      
露されました。曲目はジョン・P・スーザ『美中の美』、AKB48『365日の紙飛行機』、そして星野源
      『SUN』の3曲。見事な演奏に、会場からは大きな拍手が贈られます。

       それにしても会場を見渡すと意外なほど人が少ないのが驚きです。観閲スタンドのあちこちに空席があるし、
      会場外周の立ち見もまばら。大きな観閲スタンドが3セットも奢られた事もありますが、陸自イベントでは今
      やすっかり当たり前の光景となった3重4重の人垣なんて、どこにも見当たりません。
       なんというか、式典や訓練展示の最中も好きなように場所を移動して撮影する事ができた、7~8年位前の
      駐屯地創立記念行事
を見ている様。余りにのんびりしているので気が抜けてしまいますが、天候も悪くないし
      名古屋という大都市圏にも近いのに、なんでこんなに空いているんだろう。嬉しい様な残念な様な・・・

       音楽隊と入れ替わる様にして、春日井駐屯地選抜ラッパ隊によるラッパ吹奏が始まりました。整然とした行
      進で会場中央まで来た後は、起床点呼食事課業開始課業終了消灯といった駐屯地の一日の中で様々
      に吹奏されるラッパを披露です。
       ああ、こういうラッパ隊だけのシンプルな吹奏展示というのも久しぶりだなあ。最近は音楽隊とコラボした
      
ドリルと組み合わせて工夫を凝らす事の多いラッパですが、こういうシンプルな展示は、快活ながらもどこ
      かしんみりしたラッパ独特の雰囲気
が味わえますね。最後の消灯ラッパなんかは、特に感慨深いものがありま
      した。山の中で塩味だけのおにぎりをしみじみ味わっている気分かも。

       ラッパ隊が駆け足で退場した後は、いよいよ訓練展示の始まりです。春日井駐屯地の訓練展示は二部構成
      なっていて、前半は第10偵察隊によるオートバイドリルが披露されるとの事。会場中央には軌道を交差させ
      る形で2台のジャンプ台が設置され、徐々に期待が盛り上がってきます。
       まずは1両の偵察オートと、2両のトラックが入って来ました。まだ何か小物を降ろすのかな?と思ってい
      たら、停車したトラックの荷台から偵察オートが次々と飛び出してきてびっくり。おおお、これは派手なオー
      プニング。それにしてもあのトラック、荷台の高さが1m位ありそうなんですけど、あそこから飛び降りると
      は。

       合わせて6両出てきた偵察オートは一旦会場奥に移動し、そこから次々と高いジャンプを披露。そして中央
      の指揮官を囲む形で集合し、その場で一斉にアクセルターン。さらにアナウンスによる紹介を受ける度に、1
      人ずつがその場でぐりんぐりんと回転しますが、お陰でもうもうたる砂塵が巻き起こり、結構な演出になって
      います。

       その後は偵察オートを使った様々な演目を披露。指揮官を中心として同心円状に6両並んだ状態でゆっくり
      と回り始めますが、内側と外側ではまるで旋回半径が違うのに、鼻面をぴたりと合わせて回っているのが凄い
      なあ。めて微速でバランスを取らざるを得ない、一番内側の隊員さんの操縦技術が光ります

       さらに3両ずつに分かれ、前後がひっつきそうな接近状態で次々とジャンプ。前の車両がまだ宙に浮いてい
      るのに次の車両がジャンプ
するので、いざ転倒すると目も当てられない事になります。これは余程お互いの技
      量を信頼していないと出来ない技でしょう。
       最後はジャンプウイリーを決めながら退場。最後の最後までカメラで追いかけていたので、偵察隊に見え
      る様に拍手が出来なかった
のが申し訳なかったような・・・(笑)。

       いやー、凄かったですね。千僧の第3偵察隊のオートバイドリルも大したものですが、春日井は観閲スタン
      ドの少し高い位置から見る事が出来るので、より立体的に見えるのが好印象。お陰でこの後の戦闘訓練展示に
      向けて、会場の空気が実にいい感じで温まってきました。さあ後半が始まるよ!とワクワクしていると、何故
      かここで変な着ぐるみショーが始まりました。春日井駐屯地のイメージキャラクター、春日井3兄妹だそうで
      す。
       長男のみはる君(偵察)、次男のこうじ君(施設)、長女のまもりちゃん(後方支援)が、春日井市のゆる
      キャラ道風(とうふう)君となにやら小芝居を繰り広げています。

       うーん、まあ、こういうのもあってもいいですが、この順番はちょっとなあ・・・。展示内容に緩急をつけ
      ようという意図なんでしょうけど、これでは第10偵察隊が体を張って上げまくった会場のテンションが台無
      し
です。この場合、音楽演奏→着ぐるみショー→オートバイドリル→戦闘訓練展示、という流れであるべきだ
      よなあ。
       ちなみに次男のこうじ君の大好物はお酒らしく、弾帯に吊り下げた一升瓶を豪快にラッパ飲みしていました。
      目の前で繰り広げられる隊員の重大な服務命令違反にビキビキしている駐屯地司令の表情が、まぶたに浮かび
      ます(笑)。

       なんだか非常に微妙な流れのままに、着ぐるみショーは終了。すっかり下がってしまったテンションが今一
      つ戻らない中、会場東側では鉄条網の構築が始まりました。そして本戦闘訓練展示の概要がアナウンスされ、
      どうやら春日井市内のビル3階に立てこもった敵ゲリラ数名を、陸自部隊が攻め込んで制圧するというシナリ
      オ。すぐに会場の準備が整い、状況開始のラッパが鳴り響きました。
       建物内の敵ゲリラに対し、第10師団情報収集を開始。命令を受けた第10偵察隊の指揮通信車軽装甲
      機動車
が、第10後方支援連隊の96式装輪装甲車の援護を受けながら前進して来ました。

       隊舎3階の窓からは、敵ゲリラが身を乗り出して攻撃開始。ここでまたしてもポン菓子の屋台から爆発音
      ともに白煙が噴き上がり、装輪装甲車の射手がまるで思わぬ方向から奇襲を受けた様に『あれっ?』と注視し
      ていた
のがちょっと面白い。あまりに見事なタイミングだったので、まるで狙ってやったみたいです(笑)。

       ここで敵ゲリラが放った対戦車弾が指揮通信車に命中し、乗員に負傷者が発生。後部ハッチから引きずり出
      された負傷者役の隊員さんが、その場で心肺蘇生法による応急処置を受けています。
       装輪装甲車がすかさず反撃を行う中、進入して来た軽装甲機動車からは一人の施設科隊員が飛び出してきま
      したが、あれ?あの鉄帽の左側についている、六角形の黒い集音器みたいなのは何だろう。隊員さんはすぐに
      地面に滑り込み、匍匐前進で素早く鉄条網の手前まで辿り着きます。

       続いて後方から破壊筒と呼ばれる細長い鉄パイプを抱えた隊員さんがやってきて、先行した隊員さんの援護
      を受けながら素早い匍匐前進で鉄条網に取り付きます。二人は敵ゲリラからの反撃に耐えながら、鉄条網の下
      に破壊筒をセット。

       偵察警戒車が援護射撃を浴びせる中、駆け付けた重装輪回収車が行動不能になった指揮通信車の回収作業に
      着手。おおお、これは初めて見るなあ。後方支援の部隊ならではの展示です。

       やってきた救急車が負傷者の収容を開始。その一方で、重装輪回収車から飛び出してきた隊員さん達はテキ
      パキと準備を進め、クレーンに吊るされた巨大な錨の様なものを動かしています。

       ここで仕掛けられた火薬が爆発し、派手な白煙とともに鉄条網が真っ二つにされました。再び最前線まで飛
      び込んできた施設科隊員が障害物の爆破と突撃経路の確保を確認し、脱兎のごとく後退。うーん、やっぱりこ
      ういう確認作業も、銃弾の中に身を晒して目視で行わないといけないのか。
       自分達が爆破処理した障害物を踏み越えて、この後小銃小隊が敵ゲリラが立てこもる建物内に命がけで突入
      する訳です。やっぱり出来ていませんでしたで済まないのは当然でしょう。しかし、確かに自分達の仕事に対
      する責任
とは言え、こんな所はロボットなりドローンなりを使って早く無人化してほしいものですね。

       ここで敵ゲリラ側のOH-6D観測ヘリが飛来。会場上空をぐりんぐりんと飛び回り、前線に展開した陸自
      部隊に上空から航空攻撃を開始します。すかさず偵察隊は後方の陸自本隊に対空戦闘部隊の出撃を要請。ただ
      ちに駆け付けたパジェロトラックに搭載された重機関銃が火を吹き、敵航空機はたまらず退却して行きます。

       おっと、視線が上空を向いていた間に、行動不能になった指揮通信車が重装輪回収車によって牽引されてい
      ます。その回収作業を支援すべく前進した96式装輪装甲車の後部ハッチからは、5名の小銃小隊が次々と飛
      び出して来ました。おおお、これはいいポジション!

       後方からの支援射撃を貰いながら、小銃小隊は前進開始。地面に伏せて反撃をかわしつつ、爆破処理された
      鉄条網の手前まで辿り着きます。そして小隊長
       「前へ!」
       の号令とともに、一気呵成に突撃開始。障害物を乗り越えて、敵ゲリラが立てこもる建物の入口に取り付き
      ました。

       すぐに2人の隊員が周囲を警戒小隊長がドアノブを握り締め、一気に開放した瞬間にまずは2名が建物内
      に飛び込み
、残り3名も後方を警戒しながらそれに続きます。
       突入した小銃小隊は建物内のゲリラの掃討に成功し、以上で戦闘訓練展示は終了。状況終わりのラッパが鳴
      り響きました。

       いやー、戦車の参加もヘリからのレンジャーのロープ降下もない地味めの戦闘訓練展示でしたが、それを忘
      れる位に見事な内容でした。後方支援だろうと施設だろうと、普段から戦闘訓練を当たり前にこなしている
      もありますが、自前の部隊だけでここまで内容の濃い戦闘訓練展示を行えるというのは非常に心強いものがあ
      りますね。
       しかしあえて突っ込みを入れるなら、敵ゲリラを掃討した後に隊員さんが降っていた旗が白旗というのはな
      んだかなあ(笑)。これでは突入した陸自側が降参したみたいです。ここはやっぱり自衛隊旗の方がよかった
      のでは。旗を振る隊員さんがニコニコ顔だっただけに、見ていて余計に変な感じでした(笑)。

       あと、状況終了後に参加車両が鉄条網の間を抜けて退場して行きましたが、この戦闘車両の退場を、敵ゲリ
      ラが占拠した地域への突入として使う手もあった
と思います。爆破処理された鉄条網を踏み越えて行く戦闘車
      両がとても絵になっていたので、ただ退場させるだけでは勿体なかったんですよね。どうせ見せる為の展示な
      んですから、使えるものは何でも使っちゃえ!でいいと思います。

       とまあ、色々と勝手な感想を述べてみましたが、それでも全体としての満足度はかなり高かったなあ。戦車
      や火砲、レンジャーのロープ降下も使わずに春日井の独自色だけで勝負をかけた姿勢には、大きな拍手を送り
      たくなりました。
       それでは式典会場を後にします。ふと見ると木々の奥に、第10施設大隊が保有する資材運搬車がずらりと
      並んでいました。おおお、やっぱりカワイイな資材運搬車は(笑)。全部で10両もあるので、資材運搬車好
      きにはたまらんものがありますね。これだけの数を目の当たりにすると、なんかお立ち台に立って彼らに訓示
      の一つも垂れたくなります(笑)

       古い木造隊舎とかないかな・・・と敷地内を歩いていると、一般駐車場の片隅に巨大な土管の様な建物を発
      見。直径2m、長さ12m程の円筒形のコンクリ造りで、前後の角ばった形状がまるで01式軽対戦車誘導弾
      を思わせます。
       近くにいた隊員さんに尋ねると、これは随分昔からあった建物で今は倉庫として使用しているとの事。傷み
      加減は相当なもので、まるで戦時中の地下指揮所か何かをまるごと引っこ抜いたみたいな感じ。恐らくこれも
      戦争遺跡の一つだろうなあ・・・とじっくり観察していると、交通整理の隊員さんが不審な眼差しを向けてい
      たので、慌ててその場を離れます。うーん、余計に怪しまれる行動だなこりゃ(笑)

       別に立ち入り禁止でも悪い事をしていた訳でもないのですから、堂々とすべきでした。それにしても、中も
      見てみたかったなあ。
       その後は装備品展示を見て歩きます。バケットローダ掩体掘削機が並んでいるのが、施設や後方支援らし
      くていいなあ。よく見ると155㎜FH-70榴弾砲化学防護車がありますが、戦闘訓練展示に出てこなか
      ったところを見ると、整備の為にたまたま後方支援連隊に送り込まれていたんでしょうか。

       化学防護車を見るのも久しぶり。車体後部に折り畳まれているのは、汚染された土壌の試料を採集して車内
      で分析を行う為のロボットアーム。凄く高度なUFOキャッチャーみたいなものですね。ただ非常に高価な上
      に点検整備も大変で、教育時間もかかるため最新のNBC偵察車からはこのロボットアームは省かれ、車体の
      外に取り付けられた丈夫なゴム手袋に車内から腕を突っ込んで、試料を直接拾い上げて回収容器に載せる仕組
      みになったとの事。
       高度なハイテク機器を採用したのに、一周回って極めて単純で原始的、安価な仕組みに落ち着いた・・・と
      いうのがなんだか面白いなあ。

       式典会場には沢山の車両が展示されています。頑丈そうなアウトリガーを踏ん張った巨大なトラッククレー
      ン。
6つのアタッチメントを付け替える事で様々な働きをこなす道路障害作業車は、なんだかアーミーナイフ
      みたい
でワクワクします。

       ごく普通の幌付きトラックがありますが、よく見ると荷台部分が前方指揮所に改装されていました。暗く殺
      風景な室内には粗末なテーブルパイプ椅子が並び、前線の過酷な環境が偲ばれます。辛うじて小さな換気扇
      
があるだけで、当然ながらクーラーの類は一切無し。真夏の蒸し暑さは想像を絶するものがありそう。
       「いやあ、それでも木陰を選んで停めると、かなりマシですよ(笑)」
       と説明してくれた隊員さんは事もなげでしたが、この厳しい環境下で集中力を保ちながら、常にギリギリの
      判断を迫られる
訳か・・・。

       こちらは救急車です。先程の粗末極まりない前方指揮所に比べると、まるで一流企業のオフィスみたいに見
      えますね(笑)。よく見ると隅っこの天井部にラジカセみたいなものがありますが、何だこりゃ。
       「あ、それエアコンです。一応ついてるんですよ、普段は外してるんですけど(笑)」
       と隊員さん。流石に救急車にはエアコンがある様ですが、それでも普段は外してるのか。

       その他様々な車両を見て歩いた後は、少し離れたところにあった野外手術システムへ。手術室を拡張させた
      状態で手術準備車と連結させてありましたが、通常はこの2両以外に滅菌補給車を含めて3両ワンセットで行
      動するとの事。その滅菌補給車を見る事が殆ど無いので、何か重要な機密でもあるのかと思いましたが、
       「いえいえ、ただの収納庫というか、内部には棚しかない車両なので全然面白くないんですよ(笑)。だか
      ら展示しても仕方ないかな、と」

       との事でした。

       その後は、厚生センター内の作品展を見学。隊員さんやそのご家族による絵画や写真、書、工芸品がずらり
      と展示されていましたが、この作品名『お面』ってのはなんなんだ(笑)。施設の隊員さんの息子さんの作品
      ですが、お面か・・・まあ、間違ってはいないな(笑)。面白かったので、今回のS.A.S大賞を一方的に
      あげちゃいましょう(笑)。

       次点としては、同じく施設大隊の隊員さんが描いた『本人』というイラスト。脳天気なナルシストぶりがな
      んともトホホでありました。うーん、一体どんな隊員さんなんだろ(笑)

       最後は駐屯地の奥の方で行われていた、78式戦車回収車による体験試乗を見に行きます。屋外で動けなく
      なった74式戦車を助けに行ったり、エンジンの交換を行う車両です。足回りは74式戦車と共通ですが、
      殊な用途に特化したゴテゴテな風貌
はすごくカッコイイものがありますね。これが目の前を走り回るのを見る
      のは初めてなので、ちょっとした感動です。
       しかしこの春日井駐屯地、地質の関係なのかこの場所もパウダーサンドが酷く、目の前を78式戦車回収車
      が走り抜けると煙幕でも焚いた様な状態になり、私もカメラもあっという間にコナコナに(泣)。うーん、帰
      宅後は念入りにカメラの手入れをせねば・・・。

       という訳で、私の2016イベントシーズンも無事開幕。結局最後まで雨に降られる事もなく、春日井なら
      ではのものも見る事が出来ましたし、一発目のイベントとしては大満足でしたね。
       4月以降の各地のイベントスケジュールもぼちぼち出てきましたし、今年は中部方面隊以外への遠征も含め
      て昨年の借りを返すつもりであちこち出歩きたいなあ・・・と思いつつ、春日井駐屯地を後にしました。




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