小原洞窟恐竜ランド
2015.09.06
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和歌山県山中にひっそりと存在する小原洞窟恐竜ランドに行ってきました。ここは昭和30年代まで実際に
採掘が行われていた鉱山跡で、閉山後に残された坑道を活用して恐竜と地獄極楽のステキなテーマパーク
にしてしまったという、なんだかよく分からない施設であります。
当日は小雨のそぼ降る中、阪和自動車道をひた走って有田ICから一般道へ。その後は有田川沿いの国
道480号線を一時間ほど走った頃に、おお、見えてきました!路肩にそそり立つ恐竜館恐竜ランドの大きな
案内看板!ここからあと4kmだそうです。
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さらに勾配を増した山道を登って行くと、とうとう小原洞窟恐竜ランドに到着。白線が完全に剥げた駐車場
は閑散としていて、日曜日とは思えないステキな寂れ具合です。
それにしても、ここまで来るとかなり冷えますね。半袖だと鳥肌が立つ程で、いくら小雨が降っているとは言
えまさか9月初旬に上着が必要になるとは思いませんでした。
駐車場の脇にはログハウス風の休憩所があり、3Dバーチャルシアターによる恐竜や花火、万華鏡の展示
が行われている様ですが、もう随分前から締め切ってある雰囲気。どことなく秘宝館的な怪しさが漂っていた
ので、見てみたかったなあ。
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おおお、左手に異様な光景が。ベンチを置いた休憩所の様ですが、薄気味悪い翼竜が屋根になっていま
す(笑)。かなりでかいので少々の雨でも家族でお弁当ぐらいは出来そうですが、頭上の翼竜があまりにリア
ル過ぎるので、どうにも気持ち悪くリラックス出来そうにありません。色彩センスの悪趣味さも相まって、お母
さんお手製の唐揚げやタコさんウィンナーが5割引きぐらいの美味になること請け合いです。
そのまま坂道を上がって行くと、小原洞窟恐竜ランドの正門が見えてきました。これまた不気味な色をした
恐竜の上半身が突き出ていますが、なんというかもうちょっと可愛らしく作れなかったんでしょうか。2頭の恐
竜が掴みかからんばかりに睨みあっているその間を、ちょっとスンマヘンなと通る様な気まずさを感じます。
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ただ、小原の立体文字の一部が欠けたままになっているのは微笑ましいですね。昔の仕事場の近くにあっ
た焼肉屋の看板の『炭火焼肉酒家』が、ハイセンスな悪戯にあい『 人 肉酒家』にされていた事を思い出し
てしまいました。
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その奥に見えてきたのが『恐竜ランド☆極楽洞』と描かれた入場門。禍々しい雰囲気に似合わないポップ
な色使いに脱力感満点ですが、恐竜ランド代表のトリケラトプスはいいとして、極楽代表が閻魔大王というの
はどうなんだろう・・・。
そもそも恐竜と極楽という組み合わせからして無理があり、早くもトホホな雰囲気が漂いますが、よく見ると
両者の距離感が実に微妙。二人仲よくお出迎え・・・という感じじゃないんですよねえ。
「なんでこんなやつと一緒なんだよ・・・」
とお互いに牽制しあいつつお客さんを出迎えている様な、ぎくしゃくした雰囲気が堪りません。
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そんな微妙な空気が漂う看板の奥にいたのが、巨大な首長竜。ものすごくリアルな造り込みに度肝を抜か
れてしまいました。雨で全体がぬらぬらしているのも、その迫力に拍車をかけている様。ちなみにこの首長竜
はディプロドクスというらしく、体長20~25m、体重30~35㌧にも及ぶ巨大草食竜だそうです。
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その迫力に圧倒されながら橋を渡った所には、武家屋敷風の小さな門が。一体どういう時代設定なのか、
混乱せざるを得ません。
山肌の少し高いところには、休憩広場と売店兼事務所がありました。やたらデカイ白い犬が私を見てワン
ワンと吠えるのが恐ろしいのですが、ははあ、彼が地獄の番犬ケルベロスって奴ですね。吠えまくるケルベ
ロスをやり過ごしつつ受付にて入場料800円を支払うと、チケットの半券と一緒に小さなスタンプ帳を渡され
ます。どうやら洞窟内各所に恐竜スタンプがある様です。
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売店内の恐竜グッズや地元特産品を眺めていると、0900開門。どうやら朝イチの客は私だけの様で、ゆ
っくり楽しめそう。
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という訳で、リアルな恐竜たちが並んでいる洞窟入り口前の広場に移動。入口の脇には
『おもしろ不思議体験 地獄極楽 立体マンダラ オープン』
という看板がありますが、うーん、地獄とか極楽って、オープンするものなのか・・・。また、地獄極楽と銘打
っておきながら、描かれているのは燃え盛る憤怒の炎をバックにした閻魔大王だけ。力関係というかパワー
バランス的には、ここでは極楽よりも地獄の方が上みたいです。
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ちなみにこの小原洞窟恐竜ランドがある花園地区は、古くから真言密教の修行場として栄えた後に、銅山
として開発が進められたとの事。ははあ、それで地獄極楽繋がりなのか。
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という訳で、ヘルメットを借りてさっそく洞窟内へ入ります。うおお、内部の壁はかなりボコボコですね。これ
は演出でもなんでもなく、鉱石採掘の為に地中深く掘り進んだ坑道そのまんまなんでしょう。しかし安全の為
に取り付けられた蛍光灯は仕方ないとしても、このあちこちでピカピカ瞬いているLED照明は何なんでしょう
か。気合いを入れ過ぎたクリスマス前の一戸建てみたいで場違いも甚だしい気がしますが、ここまで来ると
むしろ一周回っていい塩梅に見えて来るのが不思議です。
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洞内は一年を通して12℃らしく、半袖だとかなり寒いなあ。おまけに湿度が高く、洞内のあちこちに設置さ
れたサイケデリックな照明が立ちこめる霧でぼやけ、なんとも幻想的な光景に。おどろおどろしい照明が、こ
れはこれで他に類を見ない一周余計に回った味わいになっているのは、素晴らしいなあ。
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足元をじゃりじゃり言わせつつ血の赤に染まる区画を抜けると、今度は真緑に染まった二股の分かれ道に
差しかかりました。とりあえず右側に進んで行くと、地面に巨大な卵が立っていて、その奥にはチワワサイズ
のトリケラトプスが呑気に草を食んでいるジオラマがありました。へー、トリケラトプスって肉食じゃなかったの
か。あんなに恐ろしげな顔をしているのに。
まるで安岡力也が「いや!ボクお肉きらい!」と言っているみたいでちょっと微笑ましい気がしますが、それ
にしてもこの模型、細かいところまでよく出来ているなあ。
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ちなみに地面に立っていた巨大な白い卵は、スタンプ台でした。さっそくトリケラトプススタンプを押印します
が、洞内の湿気で台全体がじっとりと濡れていて、スタンプ帳がいきなりびたびたに。インクもあっと今に裏面
に滲んでしまい、これまたトホホ感に拍車をかけてくれます。
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洞内はうねうねと複雑に曲がりくねり、すぐに方向感覚があやふやに。とりあえず道なりに進んで行くとしま
しょう。と、ここで新たな展示物を発見。巣の中で、トリケラトプスの赤ちゃんが誕生したところ。へー、あの恐
ろしげなトリケラトプスも、小さい頃は結構可愛かったんですねえ。
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さらに奥へ奥へと進んで行くと、壁面の穴ぼこの奥が真っ赤に染まった池になっていました。勾玉池とあり
ますが、よく見ると池の中に何かがいます。ぐるっと回り込んで見ると、水面にワニみたいなのが顔を出して
いました。クリダステスというそうですが、凶暴そうなわりに妙に憎めない顔をしています。
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また、水中にはイセエビをぺったんこに踏んづけた様なウミサソリもいましたが、照明が暗い上に噴水の流
が邪魔をして、上手く撮影出来ませんでした。
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その背後には、地獄突きのポーズをとった石像が。どうやら大昔にこの地で修行して即身仏となった、法
師海順というエライお坊さんだとか。巨人の澤村にそっくりなのが気になります。
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錆びて血の匂いがする鉄製の手すりを頼りに階段を上がって行くと洞内はさらに歪になり、斜め方向にひ
しゃげた天井の低い傾斜路は歩きづらい事この上なし。先程から天井に頭をぶつけまくりです。これはヘル
メットがないとかなり危険ですね。また、濡れた地面はぬるぬると滑って足元がおぼつかなく、ちゃんとした靴
でないと危険かも。
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苦労しながら洞窟内を進んで行くと、大天井と呼ばれる斜め上方向に広がった地中の亀裂みたいな空間
に出ました。内部には、見るから危険そうなヤクザ顔丸出しのティラノサウルスとステゴザウルスが。その足
元には孵化したばかりのティラノサウルスの赤ちゃんがいて、卵の殻の中でプルプルダンスを披露していま
す。うーん、なんかカワイイな(笑)。
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しかしこの地底の恐竜ランド、恐竜の叫び声や足音、雷鳴が轟く音をBGMとして流していますが、それら
が落盤音に聞こえてしまい、いちいちドキッとさせられます。まあ、これはこれで面白いですが(笑)。
しばらく歩いて行くと、トラコドンとかいう奴が両手をヒコヒコさせている所に遭遇。黄色っぽい体色といいそ
の動きといい、両腕で相手を撹乱しながら距離を詰めて来るブルース・リーみたいで笑ってしまいます。しか
しなんかビミョーにムカつく顔をしているなあ、トラコドン。
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複雑にうねった洞窟内を下って行くと、『のぞくティラノサウルス』とだけ書かれた看板がぽつんとありました。
なんじゃそりゃ、と思いつつ角を曲がると、岩肌から巨大なティラノサウルスの首が突き出ていてびっくり。し
かしこのティラノサウルス、美輪明宏にそっくりだなあ。いや、むしろ美輪明宏がティラノサウルスに似ている
のか・・・。
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その傍らには、何故か金属の檻に入れられた石の塊が置いてありました。どうやら檻の中の石を手で持ち
上げて重さを推測し、ぴったり正解だったら事務所にて記念品を貰えるそうです。ほう、どれどれ・・・と持ち上
げてみますが、ん~、6kg・・・ぐらいかな?とりあえず半券の裏に6kgと記入します。
それにしても、幸運の力石というネーミングには無理がある様な。少年院に放り込まれたり原作者と漫画家
の打ち合わせ不足から無茶苦茶な減量をする羽目になったり、その挙句試合後に死亡したりで、幸運の象
徴には程遠い様な気がするのですが・・・力石・・・。
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続いては『光るトンネル』。あれ?なんだこりゃ?ガラスケースに入った岩石が、ぼんやりと光を放っていま
すよ。どうやらケース上のブラックライトから照射された紫外線に反応して、何の変哲もない石ころが赤や緑、
青、黄の不思議な光を放っている様です。蛍光鉱物、と呼ばれているとの事。
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なんというか、ボーっと見ていると一時間位あっと今に過ぎてしまいそうな幻想的な光景。こんな岩石が普
通に自然界にあるんだなあ。ちなみに紫外線に反応して様々に光る鉱物は、実は自然界ではそれほど珍し
いものではないらしく、放つ光の波長が長すぎたり短すぎたりで、人間の可視範囲外であることが多いとか。
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また、特定の金属を探す際に、採集した鉱石に紫外線を当ててその光り具合から鉱脈の有無を判断する
事もあるそうです。一例を挙げると、タングステンを多く含んだ鉱石は紫外線を浴びると青白く、亜鉛が多く
含んだ鉱石は緑色に光るそうです。へー、面白いもんだなあ。
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さてこの後は、『天道入口』と書かれた方向に向かいます。扉の前にあるのは、触れると勇気と力が授かる
鬼の金棒。うーん、胡散臭い。扉の向こうは緩やかな下り坂になっていて、派手なLED照明に彩られた通路
はまるで夜の滑走路の様。それにしても、あの世も地球環境を考える時代になったのか。それとも電気料金
がキツイのか。
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まずは基本的な説明として、六道界(六道輪廻)についての解説があります。どうやら人間は死んだあと、
生前に犯した罪の重さを10回にわたって審査されるそうで、その結果極楽に行けるか地獄に落ちるかが決
定されるそうです。ちなみにその第一回目は、初七日に泰広大王とかいう人が担当してくれるとの事。へー、
初七日ってそういう言われがあったのか。知りませんでした。
それにしても、最後の三回忌まで都合10回も審査が行われるとは。人間界だと地裁、高裁、最高裁の三
段階がせいぜいなのに、このあたりはあの世の方が丁寧というか、冤罪の防止に万全を期すシステムにな
っている模様です。進んでるな。
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続いて現れたのが、不思議おもしろミラー。一見して自分の姿が映るだけのごく普通の鏡ですが、前に立
ってしばらく待つといきなり青鬼が出て来るのが驚き。うーん、これはどういう仕組みなんだろう。しかし地獄
にはあんまり関係無さそうで、正直言ってだから何なんだという気もしないでもありません。
ちなみにこの青鬼氏は、魔除けと幸運を呼ぶ鬼だそうです。鬼的にはまるで畑違いの仕事を嫌々やらされ
ている様に見えますが、彼も地獄勤めのサラリーマンみたいなものですから、色々あったんだろうなあ・・・。
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その次は六道界の解説part2。六道界とはラクチンな順に天界、人間界、修羅界、餓鬼界、畜生界、あと
地獄界にクラス分けされていて、ここでは修羅界以下についての説明が行われています。
続いて見えてきたのが、これ。著しく肌色の悪い三匹の餓鬼と、牛の顔をしたおっさんがいますが、これは
地獄の入口で亡者をいたぶる牛頭馬頭の牛頭でしょうか。色使いこそおどろおどろしいものの、ぎょろりと目
を剥いた三匹の餓鬼は妙なカワイさがありますし、牛頭は牛頭でピカピカ光るブルーの腹巻を着て、ちょっと
嬉しそうなポーズ。
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なんというか、焚火にあたりながらワイワイ盛り上がっている三匹の餓鬼を遠目に眺めつつ、仲間に入れ
てほしいのに内気なのでどう声をかけていいのか分からない牛頭ちゃん・・・という風に見えてしまいます。で
かい図体に似合わず引っ込み思案なところは、いわゆるギャップ萌えって奴なんでしょうか。
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そんなほのぼの地獄ランド的な雰囲気を引き締める様に、今度は八大地獄についての解説版が。等活地
獄、黒縄地獄、衆合地獄、叫喚地獄、大叫喚地獄、焦熱地獄、大焦熱地獄、阿鼻地獄という、バラエティに
富んだ8つのコースが用意されています。風俗かよ。
さらにその奥には、火の車地獄の3Dシアターが待っていました。ってこれ、見る角度をちょっと変えると画
像がちらちら動いて見える、駄菓子屋のくじ引きの景品をでっかくしただけのシロモノです。これを3Dシアタ
ーと言い切る小原洞窟恐竜ランドのセンスには、さすがの私も脱帽であります。
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鬼が転がす火の車に追われ針の山地獄に突き落とされる亡者のうちの一人が、宮崎県の東国原元知事
にそっくりなのが気になりますが、あの人も芸人時代は色々と業を重ねてそうだよなあ。
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しばらく歩くと、閻魔大王が亡者に対して死後の裁きを行っている場面に出くわしました。目をぴかぴか光
らせている閻魔大王は髭面が妙にホモっぽく、その脇で巻物を広げている小柄な親父もいい塩梅にカワイ
くて、特定の層から変な人気が出そう。
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その足元にうごめいているのは、炎に包まれながら逃げ惑う亡者、諦め顔で座り込む亡者、そして少し離
れたところには、隙を見て脱出を試みるも針山に突き刺さって苦しみ悶える亡者など、実に細かな造り込み
が素晴らしい。
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ちなみにこのインスタレーション、本来は音声付きで楽しめる仕組みでしたが、落雷のせいで故障したまま
になっているそうです。御丁寧にも手書きの音声解説が貼りだされていて、
『ここは地獄の一丁目、おかした罪の軽重により行き先が決まります。「バカメ~、舌抜きじゃ~、釜ゆでじ
ゃ~(閻魔大王の声)」』
との事。このあたりの程良いトホホ加減も好感度高いなあ。音響装置の一刻も早い復旧が待たれます。
さらに続いては、人を殺めた罪により燃えさかる炎の中で鬼に舌を抜かれる亡者の様子。ここも最新の3
D映像装置(笑)が大活躍です。うーん、いいなあ、このチープな味わい。ちょっと体を動かせば、哀れな亡者
の舌が伸びたり縮んだり。
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そして強烈だったのがこれ。真っ暗な中に巨大な寿司桶みたいなものがあり、何だこりゃと思ったらうぃん
うぃんがっしょんがっしょんと独特の機械作動音を響かせて、その背後から恐ろしげな表情の鬼がせり上が
ってきました。そして照明に照らされたのは、地獄の釜で煮られている哀れな亡者達。うおおおおおお、これ
は怖い!小さな子供が見たら一発でトラウマ間違いなしです!
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「お助け下さい、赤鬼様ぁ~!」
「ばーかーめー!もう遅いわ!苦しめ!苦しむんじゃ~!」
と、赤鬼様は何故か最後だけ大仁田厚調。煮えたぎる血の色の大鍋の中では3人の亡者がうめき声をあ
げていて、手前の男は蟹江敬三、奥の女は中野良子そっくり。いやー、この造り込みはすごい!執念すら感
じるレベルです。
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その一方で、右側にいる女性はなぜか南極一号みたいにぽかんと口をあけていて、脱力感満点。なんで
この人だけ、こんなマヌケな顔になってるんでしょう。頭の上にたたんだ手ぬぐいを乗せてやりたいなあ。造
り手の意図がよく分からない・・・。
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憤怒の形相の鬼が左手で掴んでいるのは、次に大鍋に放り込まれる亡者でしょうか。緑と赤の照明がフラ
ッシュ状に切り替わる悪趣味さも、これまた言う事無し。いやー、なんかもう、すごいものを見せられてしまっ
たなあ。
畳みかける様な地獄めぐりに身も心もぐったりさせれらた後は、いよいよ極楽へ参ります。
『極楽(須弥山)は美しい花や音楽、おいしい食べ物にあふれ、願う事が全てかなう世界です』
といった甘い誘い文句に若干胡散臭いものを覚えつつ歩いて行くと、不思議変身ミラーなるものが見えて
来ました。鬼が出るか菩薩が出るか、鏡の前に立つ者の日頃の行いが試される・・・との事。
どれどれ、と鏡の前に立つと、ぱっと現れたのは・・・これ、菩薩様なのか?目の前にいる私と決して目を合
わせようとしない菩薩様は、半眼というよりも何か後ろ暗いものを抱えた様な、腹にイチモツありげな表情な
のが気になります。この菩薩、腹の中では絶対別の事を考えてるな・・・。
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もやもやした気分のまま先程までの地獄めぐりと大して変わらない暗い坑道を進んで行くと、ん?なんだこ
りゃ?生命感に欠ける造花の向うにピカピカ光るでかいキノコみたいなものがあり、その背後には羽衣を纏
った天女達が舞っています。んん~?これが・・・極楽?
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その極楽ですが、気軽に立ち寄れない様にしっかりとバリケードで封鎖されていて、先程までの気さくな地
獄に比べると随分と突き放されたというか、距離を取られた感じ。見せるだけ見せて中に入れる気はさらさら
無さそうな、なんとも感じの悪い極楽です。
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そこから少し離れたところにあるのが、これ。んん~?なんだこりゃ。神社かなにかのプラモデル?
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と言う訳で、極楽はこれにて終了。えっ?これだけ?微に入り細を穿った地獄めぐりの執拗な描写に比べ
ると、極楽のあまりのあっさり具合に拍子抜けです。
とは言え、自分が造る側の立場に立ってみると、極楽よりも地獄を作ってる方が断然楽しそう。うん、作品
には嘘はつけないものだ・・・。
なんだ極楽つまんねえとボヤキながら歩いて行くと、先程の不思議変身ミラーの前に来ました。もう一度鏡
の前に立ってみると、やはり決して私と目を合わせようとしない菩薩が登場。やっぱりこの菩薩も心の中では
地獄の方が楽しそうとか思っているのかなあ。本音を言えない極楽の息苦しさを物語っている様な、なんとも
微妙な菩薩様の表情でありました。
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最後は一番最初の分岐点を左に曲がり、スティラコサウルスを見ます。っていっても、穴ぼこのなかにいる
だけなんですが。
以上で小原洞窟恐竜ランドの見学は終了。いやー、かなり面白かったですよ。恐竜には大して興味がなか
った私でも楽しめましたし、何よりも渾身の地獄めぐりが圧巻でした。極楽の方は・・・まああれはあれでいい
として(笑)、何よりも地底好き洞窟好きの私としては大満足でありました。
最後は売店に寄って、光る石観察セットなるものを購入。坑道内で見た、あの蛍光鉱石が入っている模様
です。ちなみに6㎏かと思った力石徹ですが、実際は・・・内緒です。興味を持たれた方は、是非行って見て、
その手で確かめてみて下さい。
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ちなみにこの小原洞窟恐竜ランドがオープンした1992年と言えば、日本経済がバブル崩壊に伴う『失わ
れた20年』に突入し始めた頃。ノリと勢いだけで進められた無責任な開発計画が日本中で次々と不良債権
化していったその時期に、地獄重視の方針を打ち出した小原洞窟恐竜ランドは、ある意味時代の先行きを
見越していたのかもしれません。
また、90年代に恐竜ブームを巻き起こした映画『ジュラシック・パーク』の封切りが1993年だった事を考
えると、それよりももっと早い時期から立ちあげられたであろう小原洞窟恐竜ランド開発計画は、のちの恐竜
ブームよりもずっと先を歩いていたとも言えますね。
バブル時代のあだ花がしぶとく生き残り、しっかりと花を咲かせて実を成したというか、実に興味深い小原
洞窟恐竜ランドでありました。
![](2015obaradll71.jpg)
時刻は1030を回ったところ。この小雨の中、ぽつぽつながらもお客さんがやってきています。細々でもか
まわないので、この先も末永く生きながらえてもしいものだ・・・と思いつつ、大満足の小原洞窟恐竜ランドを
後にしました。
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