試験艦あすか・ミサイル艇うみたか一般公開in敦賀港

2015.06.29


       福井県敦賀港にて行われた、試験艦あすかミサイル艇うみたかの一般公開行って来ました。今年は春先か
      らなかなか思うようにイベントに参加できず、直前の急用や天候不順に振り回されっ放しのシーズン開幕とな
      りましたが、
7月を前にしてようやく一発目です。実は4月に桜まつりで宇治駐屯地に行く事は行ったのです
      が、現着が昼過ぎとあってめぼしい屋台は売り切れでしたし、途中からは雨が強く降るという最悪のコンディ
      ションで、殆殆ど何も見れなかったんですよね・・・。
       そんな気分を吹き飛ばすべく、早朝から自宅を出発して北陸自動車道を飛ばして
勇躍敦賀入りしたのですが、
      今日も天候が怪しいなあ。
       ちなみに本日のメインである
ASE6201試験艦あすか。試験艦とはあまり聞き慣れない艦種ですが、海
      自艦艇に新たに搭載される
様々な装備品の実用試験を行うテストベッドであり、大きなところではソナー
      撃指揮装置
投射型静止式ジャマー自走式デコイ、さらには船体塗料窓ガラス等の素材分野に到るまで、
      数多くの新しい装備品がこの艦で
合格判定を受けてから実際に運用されています。
       乗員72名の居住区画以外に100名分もの宿泊設備を用意している点からも分かる様に、外部からの技術
      者が大勢乗り込んでくる事が珍しくない・・・というかなり特殊な艦であり、その為艦内には
およそ自衛艦ら
      しくないもの
が目につくのも、私的にはお気に入りです。


 金ヶ崎岸壁に佇む試験艦あすか。100名程が
開門待ちの行列を作っています。
 海の向こうに山が見える敦賀湾はどこか
舞鶴
似ていて、晴れた日は
実に美しい風景を楽しむ事
が出来ますが、今日は低く垂れこめた雲に蓋をさ
れた様。
 ここで富山県からやってきた
SAA水兵さん
RSさ
、あとその御友人と合流です。


 0930、一般公開開始。手荷物検査を受けて
岸壁に入ります。
機密の多い艦ではありますが、
今日は艦内や艦橋に入れるかな?
 ちなみに試験艦あすかに乗艦するのはこれで2
度目ですが、前回
広島県宇品港で行われた一般公
開でお会いしたあの
変な隊員さんと再会できるか
楽しみ。
あの謎の段ボール箱は、健在なのでしょ
うか・・・。


 格納庫上部に設置された大型クレーン。物資積
み込み用のクレーンは護衛艦にもありますが、こ
艦は中央部と格納庫上の2箇所に大型クレーン
を搭載しています。
 また、試験艦ならではの特徴は艦内の役職にも
反映されていて、艦長や副長、航海長、機関長等
の他に、
運用長試験長と呼ばれる幹部がいます。


 艦橋とマストの間にある構造物では射撃指揮装
置3型
FCS-3)のフェイズドアレイレーダ
が試験されていましたが、現在はひゅうがとい
せに移植され、中身は空。ここでRSさんが

 「頭空っぽか・・・僕と同じですねえ」
 と真顔で呟きましたが、まだ彼との人間関係が
こなれていない私は迂闊に
そうだねとも言えず、
 復元力が確保されていいんじゃないですか」
 と返すのが精一杯でありました。


 するどく尖った艦首もあすかの特徴ですが、こ
れは喫水線下に試験用の大型水中ソナーを装備し
ている為。錨がぶつからない様、
艦首先端を極端
に前方に突き出した形状
になったそうです。
 凌波性に優れ、速力は護衛艦の30ノットに匹
敵する
27ノット。試験艦にそこまでの速力は必
要ありませんが、装備品によっては
高速航行時も
問題なく機能するかどうか、
という試験も必要に
なるのでしょうね。


 と言う訳で、試験艦あすかに乗艦。前甲板は何
もなくまっ平ら
に見えますが、少し高い場所に
直発射装置
VLS)がありました。
 ちなみに搭載されているVLSは
全8セル
験を行う事が目的
なので、これだけあれば十分な
のでしょう。
 基準排水量4250㌧と、
たかなみ型護衛艦に
匹敵
する大きさの試験艦あすかですが、VLSは
艦内容積を食う
ので8セルがギリギリなのかも。


 甲板上で面白いものを発見。斜めボラードです。
艦を岸壁に繋ぎ止める
舫綱を巻きつける円柱です
が、自衛艦に斜めボラードは珍しいなあ。普通は
垂直か十字ボラードなのに。もしかしてこれも試
験されたのでしょうか。
 ちなみにこの斜めボラード、巻き付けた舫綱が
引っ張られた際に
下方向にずれる事で、より強固
に固定される
という利点があります。


 担架固定された溺者救助訓練用のお人形。ここ
で元護衛艦乗りであるSAA水兵さんが、
 「私がゆうべつに乗ってた時は、実際に乗組員
を海に放り込んでやってましたけどねえ」

 ええっ、そりゃキツい(笑)。やっぱりドライ
スーツか何か着せてたんですか?

 「いやー、パンイチでしたよ」
 確かゆうべつは大湊地方隊所属・・・。水温を
考えると
ゾッとする話でした(笑)。


 左舷の舷側通路。やはり装備品や重量物の揚げ
降ろし
が多い艦だけあってすっきりしています。
 通路を跨ぐ様に写っている2本の太いフレーム
は、
内火艇を下ろす際のダビットフレーム。この
上をゆっくりと滑らせるようにして、内火艇を降
します。

 人員や物資の移動装備品の回収等、様々な場
面で使用される内火艇ですが
、やはりこれぐらい
通路が広い方が作業し易そう。


 格納庫内の様子です。あすかは細身ながらも全
幅に余裕がありますが、格納庫右側には
クレーン
があるので、
格納庫自体はかなり手狭な印象。
き型やきり型護衛艦と同じ程度です。

 SH-60K哨戒ヘリ運用や格納庫内での
は十分に行えますが、ヘリの収容よりも、装備
品運用試験の際の作業スペース
として使う事の方
が多いそうです。


 格納庫内で見かけた壁掛けの時計。何故か救命
浮環が取り付けられていました(笑)
。万が一の
際には、隊員さんや技術者よりも
時計の方が優先
的に救助される
のか・・・(笑)。
 一見してごく普通の壁掛け時計ですが、実は
当価値のある装備品
の模様です。○国や○国には
内緒にせねば(笑)。


 飛行甲板です。急に風が強くなってきたので、
皆さん格納庫内に避難。
それにしても、格納庫上
にクレーンを配置すればもっと広々と使えるんじ
ゃ・・・と隊員さんに尋ねると、

 「あ、あのクレーンは結構重いんですよ(笑)。
格納庫の上だと、強度的にちょっと無理ですね。
クレーンだけでなく持ち上げる物の重量もかかり
ますし・・・」

 との事でした。なるほど。


 舷側通路に設置された三連装短魚雷発射管。ど
の護衛艦にもある装備品ですが、よく見ると
フタ
の形状
が、他のものとは異なっている気がします。
 もしかしたら
全長が少し増えた新型魚雷の試験
を行う為に、発射管ではなく
蓋の部分を延長した
のかな?コスト的にもそっちの方が安くつきそう
ですし。
あくまで私の想像にすぎませんが・・・。



 次はミサイル艇うみたかに向かいます。上甲板
のみの公開だった試験艦あすか、
艦内もかなり特
徴的な艦
だけに、見せてほしかったなあ。
 
重要な評価試験の最中の一般公開だったので、
部外者の艦内への立ち入りは難しかったのかもし
れませんが、まさかあの時計では・・・(笑)。
 あすかに比べて大人気に見えるうみたかですが、
これはミサイル艇が小さいからそう見えるだけ

すね(笑)。


 うみたか前甲板の76㎜単装速射砲。きり型、
ゆき型護衛艦に比べてうみたか
は船体が小さい
で、随分といかつく見えます。
 舷門のステップには
20㎜砲弾の木箱が使われ
ていました。それを見た
RSさん曰く、
 「おかしいな、はやぶさ型には20㎜口径の武
装はない筈ですが・・・」

 気合いの入ったマニアは目の付けどころが違い
ますね。
私は全然気がつきませんでした・・・。


 小さな体に重武装、水中ソナーは無し。俊足を
生かして一気に目標に切り込んで、
対艦ミサイル
をぶっ放したあとは脱兎の如く逃げ帰る・・

んな極めて男らしいミサイル艇ですが、一方で前
甲板の
錨鎖巻揚げ機ボラード等の装備品が
ままごとの道具の様に小さく可愛いらしい
のが、
ミサイル艇のもう一つの魅力です。
 名前こそ
猛禽類ですが、私には筋肉質な野生の
山猫
に見えますね。


 うみたか艦橋。ギリギリのスペースしかなく、
計器やスイッチ類が天井にまで広がっています。

時速44ノット(約80㎞/h)を誇るが故に揺れ
も強烈
で、乗員は着席の上、5点式シートベルト
で体を固定します。 他の艦では立って仕事をす
る事が殆どなので、
座れるミサイル艇は楽ちんそ
ですが、乗組員の方によると
 「いやいや、シートが良すぎて逆に腰にきます
よ。腰痛に悩む乗組員が多いです(笑)」


 艇長席右手にある操作スティック。これで76
㎜単装速射砲
をぶっ放す・・・訳ではなく、実際
艦橋上部に取り付けられた赤外線カメラを操作
する為のもの
だそうです。
 ミサイル艇の乗員はわずか21名。その為一人
で何役もこなせる優秀な隊員
が求められるとの事。
こぢんまりとした船体ですが、上下関係は厳しい
ながらも
艇内に家族的なまとまりが生まれやすい
のもミサイル艇の特徴
です。


 艦尾には向かい合わせ式になった90式艦対艦
誘導弾
が搭載されていますが、最近この対艦ミサ
イルの
キャニスターの後部が、赤っぽい灰色で塗
装されているのをよく見る様な気がします。
 発射時の
ロケットブースターによる噴射炎は、
基本的に
全て艦の外側に逃がされる様に設置され
ていますが、もしかしたら
耐熱性の塗装が新たに
施されているのかな?


 艦尾に3つ並んだウォータージェット推進装置
の噴射口。
船底部から引き込んだダクト内でスク
リューを回転させ、
無駄な回転流キャビテーシ
ョン
(推進力を低下させる泡)を発生させる事な
効率的に推進力に換える方式です。
 噴射装置自体を動かして方向を変える為、
機動
性と超高速の両立が可能
という大きな長所がある
反面、
燃費が悪く建造コストも高価。海面や水中
浮遊物にも弱いという短所もあります。


 画像では2本しか写っていませんが、上部に3
本突き出た黒い円柱
が、排気を行う煙突です。
 構造物の外側に
不思議な形状のものが取り付け
られていますが、回り込んだ後ろ側には
冷却装置
の様なものがあったので、恐らく
排気温度を下げ
る為のエアロパーツ的なもの
でしょうか。艦艇と
いうより
レーシングカーみたいな感覚です。
 いっそ
巨大なリアウイングも取り付けたいとこ
ろですが、ステルス性を考えると難しそう(笑)。


       以上、試験艦あすかとミサイル艇うみたかの一般公開でした。それにしてもミサイル艇と一緒に入港したと
      いう事は、
何かの装備品の評価試験を2隻で行っていたのかな?隊員さんに尋ねてみると、
       「いえいえ、たまたま近くにいたもので、2隻とも公開しちゃえ!って感じです(笑)」
       との事でした。こういった艦艇広報を通じて、多くの見学者が海上防衛の重要さについて思いを巡らせてく
      れる事を祈りたいですね。
       特に今年の夏は、
富山地本新潟地本まるで狂ったかのように海自イベントを連発してくれているので、
      沢山の人が見に来てくれたらいいなあ。私も見たい艦艇が沢山ありますが、流石に新潟は遠い・・・。
       とは言え、ようやく私も2015シーズンのイベントめぐりをスタートさせる事ができました。今年は
観艦
      式
もありますし、色々楽しみです。




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