2014.11.16
大阪府八尾駐屯地で行われた、中部方面航空隊創隊記念行事に参加して来ました。八尾駐屯地には中部方面
航空隊本部と第3飛行隊を中核として、会計隊や基地通信中隊、警務隊、駐屯地業務隊、さらには中部方面通
信群空中伝送班が置かれ、西日本における人員物資の輸送拠点や災害派遣、空中偵察任務で活躍している中部
方面隊の空の要であります。
この八尾駐屯地、私の自宅から自転車で行ける貴重な地元駐屯地なのですが、創立記念行事は毎年土曜日開
催なのでなかなか参加しづらかったんですよね。今年は珍しく日曜日にやってくれたので小躍りしつつ参加を
決めたのですが、あいにく所用のため朝イチからの参加はかなわず、当日駐屯地に到着したのは既に記念式典
が始まった頃となりました。
もはやベストな撮影ポジションなど望むべくもありませんが、たまには駐屯地をのんびり歩きながら・・・
というのも悪くありません。今年のイベント参加はこれが最終戦ですし、今年を振り返りつつ冬の訪れを晴れ
た河内平野でしみじみ迎えるとしましょうか。
駐屯地西側の臨時駐輪場に自転車を乗り入れますが、その奥の駐車場からは続々と人の波が押し寄せていま
す。旗を持った人もいますが、旅行会社のパックツアーか何かかな?航空祭みたいになってるんだなあ。まあ
確かに、航空祭的な色合いが濃い記念行事ではありますが。
手荷物検査をクリアして、駐屯地内へ。うはあ、なにこの人混み・・・滑走路前にはぶ厚い人の壁が出来て
いて、最前列から何重の人垣なのか見当もつきません。地べたには色とりどりのレジャーシートが敷かれ、小
さな子供を連れた家族連れが沢山いるエプロンはまるで遊園地かレジャーランドの様。そんな中、カメラを持
ったおっさんが一人で歩いているとなんだか実に変質者っぽく、なんとも理不尽な気分にさせられます。
今はどこの自衛隊イベントも大賑わいですが、3年ぶりに訪れた八尾も、やっぱりこうなっているんだなあ。
少子化が進む中、小さな子供連れの家族をこれだけ引きつけているのは素晴らしい事ですね。
とりあえず屋台広場を目指して歩きますが、駅に近い正門の方からは、文字通り人の波が押し寄せています。
うーん、これはしみじみどころじゃないな・・・と思いつつ屋台広場に出ますが、あれ?なんか屋台の数が随
分減っている様な・・・。
見たところ食べ物系の屋台は3つだけで、既にこの時間から長い長い行列が出来ています。以前はこの3倍
ぐらいの規模の屋台群があったのですが・・・。
とは言えこれだけの来場者を抱えるとなると、駐屯地内や駐車場の警備や交通整理等、以前よりもはるかに
多くの人手が必要になります。ただでさえ広大な敷地を持つ航空基地、しかも十分ではない人員でやりくりす
るとなると、必然的に屋台要員を縮小せざるを得ないんだろうなあ。
とりあえず行列の最後尾につきます。この屋台は焼きそば、唐揚げ、揚げタコ焼き、枝豆を取り揃えていま
すが、よく見ると全部パック詰めの物を持ち込んでいて、テントの中には食品を詰めた大量の段ボール箱とい
くつものビアサーバーが並んでいるだけ。ソースが焦げる香りも無ければ、唐揚げを揚げる音もなし。うーん、
例えはちょっと微妙ですが、なんか配給を貰っている気分になります。
入手できた焼きそばはもう冷め冷めで、ごく僅かのキャベツとニンジンが麺に絡まっているだけ。袖まくり
の太い腕の隊員さんが、でかい鉄板の前でテンションを上げながら作っていた八尾駐屯地焼きそばは、もう遠
い昔の話になってしまったのか・・・。
複雑な気分で平らげた後は、フランクフルトの屋台へ。こちらは目の前の鉄板でじゅうじゅう焼いていて、
熱々なのが嬉しいなあ。パリッと焼けた皮が口の中ではじけ、塩気の効いた肉汁とフワフワの口当たりが実に
いい塩梅。安っぽいマスタードとケチャップも、高い次元で低いバランスを保っている感じ。これぞまさしく
屋台グルメ!と言えるでしょう。
会場では記念式典の真っ最中ですが、正門から押し寄せて来る人波に逆らって厚生センターを目指します。
あれ?この行列はなんなんだろう。戦車体験試乗の整理券かな?と思ったら、なんと駐屯地資料館に入る為の
行列でした。えええええ、資料館に入るのに、行列が出来るの!?
思わず目を疑ってしまいましたが、ざっと見て100人以上はいると思われる行列は、確かに資料館の入口
に続いています。ちなみにこの資料室、旧軍時代の陸軍航空隊戦闘指揮所を改修して造られた非常に雰囲気の
ある建物なので、廃墟カフェ風(そんなのあるのかな?)のインパクト抜群の物件ではありますが、まさかここ
に行列ができるとは。
記念式典で会場が賑わっている間は、人気の少ない静かな資料館で過ごそうとか甘い事を考えていた自分に
乾いた笑いが出ます。
厚生センターもすごい人混み。何か糧食ネタでも・・・と考えていましたが、これはちょっと店内に入れそ
うにないなあ。押し出される様にして文化展のコーナーへ向かいます。外部の人達による沢山の生け花が飾ら
れ、陸自らしからぬ華やいだ雰囲気。他にも近隣のデイサービスセンターからの出品もあり、なかなかの盛況
ですね。
人気投票は行われていませんが、毎回毎回一方的に押し付けるS.A.S大賞として、中辻2等陸尉の奥様が
出品された見事な水墨画を選出させて頂きました。旦那さんが幹部航空操縦課程を見事クリアした記念らしく、
UH−1J多用途ヘリが静かな迫力で描かれています。うーん、ヘリコプターの水墨画というのは初めて見た
なあ。いやはや、見事な出来栄えでありました。
さて、そろそろ式典も終わる頃ですね。ヘリコプターの機動飛行展示を見ようと外に出ると、エンジンの
爆音が鳴り響くエプロンは文字通りの人の海。自分の足元以外の地面がまるで見えない人口密度です。
うーん、八尾で冬の訪れを感じつつ今年を締めくくるとか、無理だなこりゃ(笑)。もちろん滑走路など見え
る筈もありませんが、沢山の人の頭越しにヘリコプターが次々と離陸して行く様子が見えました。
その後は、当HPにいつも感想を寄せて頂いているヒロさんとユウくんとお会いして、話に花を咲かせてい
る間に、先程飛び立ったヘリコプター編隊が一機ずつ帰って来ました。
そして機動飛行展示が行われます。丸っこいOH−6D観測ヘリが、軽快に上空を旋回。あの操縦席から見
た駐屯地は、一体どんな感じなんだろう。あまりの人出に、機内の隊員さんも驚いているんじゃないかなあ。
そのうちこの自衛隊人気もごく当たり前の事になり、毎年記念式典前になるとベテラン隊員が、
「昔はな、ほんと来場者も少なくて、上空からエプロンを見てもスッカスカだったんだよなー」
とか古参気取りのマニアみたいな事を言い出して(ちょっと自分に刺さってます)、毎年それを聞かされる
若手ヘリパイも
「はー、そうだったんですかー(その話もう何回目かなあ・・・)」
とか、そんな光景が普通になるんだろうなあ。
続いてはUH−1J多用途ヘリによる救難展示。地上にいる要救助者を、ヘリのホイストから吊り下げられ
た救難員が確保して、上空をホバリングしている機内に無事収容。
さらに水バスケットを吊り下げた2機のUH−1J多用途ヘリによる消火展示。恐らく地上では発煙筒が焚
かれているんでしょう。その上空まで来たUH−1J多用途ヘリは重そうなバスケットの底を開き、大量の水
をぶっかけて鎮火していました。
その後はOH−1観測ヘリによる機動飛行。薄い機体をぎゅんぎゅん翻し、先程のOH−6Dよりも遥かに
アグレッシブに、自慢の運動性能をアピールしていました。
そして締めは、UH−1J多用途ヘリからのレンジャーによるロープ降下。どうやらこの辺りから戦闘訓練
展示が始まっていた様で、途中からドカンドカンと戦車や榴弾砲の空包発射音が鳴り響き始めます。
エプロン後方からではその様子が全く見えないので、いきなり鳴り響く発射音は普段の倍位大きく聞こえま
す。デジカメのファインダー越しに見ていると、音って意外と小さく聞こえるんですね。
結局人垣の向こうで何が行われていたのかさっぱりわからないまま、戦闘訓練展示は終了。この後は装備品
の地上展示とヘリの地上滑走ですが、もう帰るのか多くの人達が正門へと流れて行きます。うーん、私もなん
だか人疲れしてしまいました。遅く来て屋台で食べただけなのに(笑)。
なんとなく人がいない方へいない方へと、駐屯地内をホテホテ歩きます。ふと電波塔を見上げると、11月
の河内平野らしい高く澄んだ乾いた空。ああ、これだけは以前と変わらないんだなぁ・・・等と、安っぽい事
を言ってみたりして。
制服試着コーナーでは、戦闘服姿のマモルくんが大人気。言わずと知れた、大阪地本のマスコットキャラク
ターであります。頑張って沢山のお子様ファンを掴んでほしいなあ。
今シーズン最終戦となった八尾駐屯地、何だか来場者の多さに当てられた様な結末ではありましたが、これ
だけ沢山の人が自衛隊イベントに押し寄せるのは、間違いなくいい事ですね。今日のこのイベントに連れて来
て貰った事がきっかけで、十数年後に自衛官になりました!という人が出てきたらいいなあ。
ただ、飛行展示はともかく模擬戦闘訓練展示は、最前列付近のごく一部の人しか見る事が出来なかったのが
残念でしたね。小さな子供を連れた家族連れが沢山来ているんですから、伊丹みたいに巨大な観閲壇を作って
欲しいところ。とは言え、あれは施設科の人達が資材を運び込んで作っているので、これ以上現場に負担が積
み重なるというのもちょっとどうかなあ・・・。
消化不良気味だったようなこれはこれで面白かった様な、不思議なイベント参加となった3年ぶりの八尾で
ありました。
さて、次回は今年を締めくくる舞鶴遠征です。舞鶴湾を囲む様にして今も山の中に埋もれている戦争遺跡を
探して歩いたり、北吸岸壁の一般公開、港めぐり遊覧船・・・あとレトロ銭湯にも行きたいなあ。年々早くな
る時間の流れになんとも言えない気分になりながら、帰路につきました。
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