![宇治駐屯地桜まつり2014](logo1192.gif)
2014.04.06
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今年の桜は、京都府の宇治駐屯地で見てきました。同日程で近隣の大久保駐屯地でも桜まつりが行われまし
たが、個人的には古くて味わい深い隊舎がたくさん残っている宇治の方がそそられたんですよね。
本当は自転車で宇治まで行くつもりだったのですが、当日は朝から生憎の雨模様。あー、これはダメだあと
諦めかけたものの、午後からはどうにか回復の兆しが見えてきたので、1230に京阪電鉄黄檗駅に到着です。
随分遅い出発になってしまいましたが、屋台売り切れてないといいなあ。
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桜祭りだと言うのに妙に人気の少ない正門を通ると、駐屯地の敷地内には桜がいっぱいに咲き誇っていまし
た。折からの強風で早くも散り始めているのか、辺り一面に舞い散る花びらとバックに入る古びた木造隊舎と
とても調和しています。うーん、第3師団で一番桜が似合う駐屯地かもしれませんね、宇治は。
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空が曇り気味なので写りは今一つですが、やっぱり桜はいいなあ・・・等と分かった様な事を思いつつも、
歩く速度はどんどん早まり視線は屋台を探しています。正直に言いましょう、腹が減ったので桜なんかどうで
もいいんです(笑)。
すぐに通りに面した業務用白テント群が見えてきましたが、ヨーヨー釣り、桜もち(売り切れ)、たこせん、
ビール、子供向けのくじといった内容で、屋台グルメはたこせんのみ。うーん、これは期待外れか・・・とが
っかりしましたが、どうやら正門とは反対側の西門に面した広場がお花見会場になっていて、重量級の食べ物
屋台はそちらの方に配置されているとの事。
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空腹感に目眩を覚えつつ、桜の花びらが舞い散る駐屯地内を歩きます。あちこちにレンガ造りの古い倉庫が
あって、いかにも中部方面隊の補給業務の要である宇治らしい。
ちなみに各倉庫のレンガの積み方は、イギリス積み方式を採用しています。見栄えは今一つながら、施工期
間が短く頑丈で長持ち・・・と、これも明治期の旧陸軍から施設を引きついだ宇治らしい味わいですね。桜と
の相性も素晴らしく、やっぱりここにきて正解でした。
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雨こそどうにか免れたものの、冷たい風が吹くお花見通りは閑散としていて、お陰でゆっくりと桜を見る事
ができます。この空き具合のまま、晴れた青い空をバックに出来れば言う事なしなんですけどねえ。お、お花
見広場手前の屋台群が見えてきました。鼻息荒く一通りチェックした後は、まずは定番の焼きそばから行って
みましょう!
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300円払って受領した焼きそばは作り置きですが、そこは補給が使命の宇治駐屯地、スープウォーマーか
ら湧き上がる湯気で保温され、手に持つとしっかりと熱々なのが嬉しい気配りです。さすがに補給魂というか、
受け取る側の事をきっちりと考えた仕事ぶりが実に頼もしい。今年一発目の駐屯地焼きそば、さっそく頂いて
みましょう。
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おお、これは美味い!鉄板から降ろした作りたての荒々しさとは一味違うしばらく保温して寝かせたが故の
熟成というか、ソースのトゲトゲしさがとれて丸く穏やかな味わいの焼きそばになっています。ソース、豚肉、
キャベツ、麺、紅ショウガ、青ノリといった焼きそばを構成する全ての要素が、しっとりと調和している感じ。
もしかして焼きそばって、作りたてよりもしばらく馴染ませた方が美味しいのかな?と、眼からウロコを落と
される味わいであります。
味つけも濃すぎず薄すぎずの丁度いい塩梅ですが、この僅かに塩胡椒が突出している所が、ビールとの相性
の良さを感じさせますね。いやあお見事。一発目からやってくれます宇治駐屯地!
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続いては焼き鳥。5本入って200円と言うのは、商売っ気の無い駐屯地の屋台の中でも群を抜いてお買い
得価格だなあ。甘辛醤油だれが炭火で焦げた風味も素晴らしく、焼きそばに続いてこれも大当り。やや小ぶり
なサイズですが、お花見の席でみんなで分け合うなら本数が多い方がいいですからね。まあ私は一人で全部食
べてしまうんですけど(笑)。
あとこのサイズなら、炭火の網の上に一度にたくさん載せて焼く事が出来るので、回転率が上がるのも見逃
せません。この辺りにも補給処ならではの高効率化したロジスティック的な側面が伺えます。
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たこせんの屋台では、一等陸佐の階級章をつけた高級幹部が美味しそうにたこせんを食べつつ売り子の隊員
さん達と談笑中。一等陸佐という事は副処長あたりかな?ミスも緩みも一切許さない厳しい姿勢で職務に当た
っている事は容易に想像できますが、やっぱりこうやって、緩める時はしっかり緩めないとなあ。
調子に乗ってもう一品。今日は冷え込んでるので、おでん行っときましょう。300円払って受領したおで
んはなかなかの豪華版で、平天、ちくわ、大根、コンニャク、ソーセージの堂々5品目。うっすら黄金色の澄
んだダシが、いかにも京都らしい上品な印象ですね。
遅い時間とあってか煮込みによる味の染みも十分で、これも実に美味しいなあ。大ぶりのコンニャクにはき
ちんと隠し包丁が入っていて、流石に芸が細かいですね。
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また、煮込みちくわではなく普通のちくわを使っているのも興味深い。ダシの染みこそ弱いものの、クタク
タに煮込まれているのにやけにぷりぷりしているのが妙に新鮮です。ソーセージは持てる旨味を全てダシに捧
げてしまったのか、まるで真っ白に燃え尽きた矢吹丈の如き佇まいになっていました。
そうこうしている間にも上空の雲が一気に切れ始め、抜ける様な青空が広がってきました。先程まで灰色が
かっていた桜の花も途端に鮮やかな色合いを取り戻し、おおお、これはのんびりおでん食べてる場合じゃあり
ません。
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ダシを一気に飲み干した後は、さっそく桜を撮影。とは言え、花を撮るなんて年に1回あるかないかなので、
どうすれば綺麗に写るのやら。コンデジ片手に四苦八苦しつつ、シャッターを切って行きます。
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今朝からの雨と強風のせいか、せっかく開放したお花見広場は閑散としていますが、これはこれでスカッと
していい気分。子供達も遠慮なしに走り回っていますし、ぐーっと深呼吸したくなるような風景です。
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太陽を浴びたレンガの色合いも一層鮮やかになり、桜とのコントラストも素晴らしいなあ。こういった古い
レンガ造り倉庫の内部も一般公開してほしいものですが、先月の舞鶴行き以来にわかレンガマニアと化した私
以外の需要が無さ過ぎるんでしょうねえ。見てみたいなあ。
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ジャズが流れる厚生センター前の広場には、61式戦車や60式装甲車、60式自走無反動砲、74式自走
榴弾砲といったレトロな装備品が展示されています。第一線を退き、余生を宇治で過ごす装備品達ですが、う
ららかな春の陽ざしと桜吹雪を浴びながらお互いに昔の思い出話を語り合っている様な雰囲気が、とてもいい
感じです。
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隊舎と隊舎の間には、これまた古い渡り廊下がありました。なんだか山奥の小学校風というか、自衛隊の建
物っぽくない風情がありますね。真っ赤に塗装したドラム缶の防火用水も、実に味わい深い。
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古びたトタン屋根に降り積もった落ち葉が腐葉土化して、そこから雑草が生い茂っているのも不思議な侘び
寂びを感じさせます。隊舎というより、庵って感じでしょうか。恐らくこれは、分かってる隊員さんがあえて
放置してあるに違いありません。是非ともそのまんまにしておいて欲しいものです。
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最後は、駐屯地にそびえ立つ展望塔を見学。ここは以前は給水塔として使用されていた建物ですが、現在は
京都と自衛隊、宇治駐屯地との関わりや歩みを紹介した資料館になっています。内部は鉄骨で補強されていま
すが、外観の古び具合はにわかレンガマニアには堪らないものがありますね。ざっと見て25mぐらいの高さ
ですが、独特の存在感を漂わせているのでもっと大きく見える気がします。
内部は外壁に沿った螺旋状の階段になっていて、駐屯地創設以来の歴史がパネル展示されています。各種訓
練や演習、自治体の防災訓練への参加、支援実績等が貼り出され、近年は各地への災害派遣や国際貢献活動で
も大きな結果を残しています。
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近年は被災地での救援活動や海外派遣等で、改めて補給の重要性がクローズアップされていますが、補給そ
のものに求められるものも世相とともに大きく変化し、自衛隊もそれに必死に対応しようとしているのがよく
見てとれます。
その一方で、昭和28年のNHKのど自慢大会開催や昭和44年の営内居住者クリスマスパーティー実施と
いった妙なものも混じっているのが微妙に興味深いなあ。それにしても、クリスマスパーティーを『実施』と
いうのが、いかにも自衛隊らしい堅い言い回しですね。クリスマスパーティーやったよヽ(≧▽≦)ノ"イェーイ !で
もいい気がしますが・・・いや、ダメか(笑)。
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また、昭和51年に行われた『なにわ演習』というのが非常に気になりました。なにわナンバーの車に乗っ
ている私が言うのもなんですが、どう考えても半笑いというか、真面目にやってるとは思えない名称なのが困
りものだなあ。たまたま通りかかった広報の隊員さんに質問してみましたが、その方も当時のなにわ演習なる
ものが果たしてどのような内容であったのか、皆目見当がつかないとの事。
もちろん至極まともな内容だったに違いありませんが、想像すればする程どおくまん的な光景しか脳裏に浮
かばないというか、もうちょっと別の名前にした方がよかったんじゃないかなあ。うーん・・・。
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以上で宇治駐屯地を後にしました。大久保駐屯地の桜まつりでは様々なアトラクションも行われたようです
が、静かに桜を見て屋台を楽しんで、あと古い建物も満喫して・・・宇治駐屯地はこれでいいんですよ、うん。
長閑な風景の中をごとごと走る京阪電鉄宇治線も実に趣が感じられ、少し寒かったもののいい春の一日を満
喫できた宇治駐屯地桜まつりでありました。
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