練習艦しまゆき一般公開    in姫路港ふれあいフェスティバル

2014.07.21



       兵庫県姫路港で行われた、TV3513練習艦しまゆきの一般公開に参加して来ました。しまゆきはゆき型
      の末っ子
として1987年に就役し、1999年からは練習艦へと艦種変更されたはつゆき型護衛艦の12番
      艦
。現在は練習艦かしま、しらゆきとともに未来の海上防衛の担い手となる幹部自衛官のタマゴ達をびしびし
      と鍛え上げ、2013年には海上自衛隊初の女性護衛艦艦(正確には練習艦)を迎えたという記念すべき艦で
      あります。
       そのしまゆきですが、護衛艦として就役後わずか12年で練習艦になっているんですね。普通はどの国の海
      軍も退役間近の老朽艦を改修して練習艦にするので、そういう意味ではしまゆきは世界的に見ても非常に珍し
      い成り立ちの練習艦だそうです。
       これは実習幹部を急速に進んだ護衛艦の電子化、高度なシステム化に対応させる為に、キャパシティの少な
      い老朽艦ではなくあえて現役バリバリのしまゆきが選ばれた・・・という理由があったとの事。練習艦隊の旗
      艦であるかしま最初から練習艦としての運用を前提として建造されましたし(これも世界的に珍しいそうで
      す)、海自がいかに若手海軍士官の育成に力を入れているかの証左だと言えますね。
       ちなみに本日は、姫路港ふれあいフェスティバルに華を添えるためにTV3517練習艦しらゆきも来てい
      ます。イベント広場には兵庫県各地から集まった名産品やB級グルメの屋台も大集結していますし、これはも
      う
私の為に開催されたイベントと言ったら過言ですね(笑)。例によって朝食を抜いたせいで狼の眼になりな
      がら、安全運転を心掛けて0830に姫路港に到着です。 


 岸壁に停泊しているTV3513練習艦しまゆき
本日は海の日という事で、しまゆきも国際信号旗を
はためかせる満艦飾にてお祝いです。
 この満艦飾は自衛隊記念日観艦式、あと建国記
念日・天皇誕生日・憲法記念日・海の日・文化の日
に行われますが、寄港地のお祝いイベントに合わせ
て実施する場合もあるそうです。
 末っ子のしまゆきも艦齢27年となり、年々顔ぶ
れが寂しくなるはつゆき型ですが、最後まで頑張っ
てもらいたいものです。


 アスロック発射機艦橋、マスト、煙突、格納庫
が描くきれいな三角形が、はつゆき型の魅力です。
艦橋下部が斜めになっていて、若干低めの艦橋が
に力強く安定して見える
のも私のお気に入り。
 ちなみ艦橋下部は前方にあるアスロック発射機の
弾庫
になっており、再装填は全自動で行われます。
 一般公開では発射機の動く姿を見る事が出来ます
が、自動装填装置のギミックも見てみたいなあ。艦
橋前にアスロック発射機を配置している護衛艦も少
なくなってきましたし、是非お願いしたいところ。


 姫路港の旅客船ターミナルの外周通路から、しま
ゆきとしらゆきを撮影。
 艦橋を見たかった私はあえてかなり早めに来てし
まったのですが、会場設営駐車場の警備を考える
と、あまり早い時間から来るのも迷惑なのかも。
 イベント会場で迷惑ごとを起こせば海自に責任が
降りかかり、その結果イベントの規模や内容が縮小
されればツケを払うのは私達自身
に他なりません
自衛隊イベントに参加する人が激増しているだけに、
その辺りは自分でも気をつけたいところ。


 巨大な排気装置、丸っこい煙突と一体になった
部格納庫
、艦対艦誘導弾ハープーンの下を通る通路
衛星通信アンテナを搭載する為に張り出したスポン
ソン
、無理矢理つけた様なクレーン・・・。今どき
のすっきりした艦には見られない、古い艦ならでは
ごちゃごちゃした感じがたまりません。
 小柄な船体に対艦対潜対空の重武装、さらに格納
飛行甲板を盛り込んだお陰で、腰高でトップヘ
ビー
な印象が強いはつゆき型ですが、その微妙なバ
ランスの悪さが色気に見えてしまうのが不思議。


 しまゆきのマスコットキャラであるホッキョクグ
(POLAR BEAR)。水兵帽をかぶって敵潜水艦に
ヘッドロックをかましています(笑)。
 しまゆきが就役したのは東西冷戦が終結する直前
なので、これはやっぱりロシアの潜水艦かな?。
 ちなみにこのホッキョクグマ君、愛称はないとの
事。今からでもいいから是非ニックネームを募集
てあげてほしいなあ。

 それにしてもこのホッキョクグマ君、何度見ても
うちの三等猫曹
にそっくりで笑ってしまいます。


 予定より50分も早めて、一般公開が始まりまし
た。最近は一般公開終了時刻になっても埠頭に乗艦
待ちの列
を作っている事も多く、その後に出港作業
等が控えている場合、どうしても時間が押してしま
う・・・
といった事情があるのかも。
 「はい一般公開はここまで!」
 と見学者を追い返すのも忍びないので、せめて開
始時刻を大幅に前倒しして、少しでも見学時間を確
保している
のかもしれません。
 という訳で、私も練習艦しまゆきに乗艦です。


 前甲板にそびえ立つアスロック発射機。ここから
対潜水艦魚雷をロケットで射出して、パラシュート
で海面に着水させる仕組みです。
 ちなみに練習潜水艦では、実習生が乗り込んでベ
ッドの数が足りなくなると空いている魚雷ラックで
魚雷と一緒に寝かされる
そうですが、やはり練習艦
でもベッドが足りなくなると、この中で寝る羽目
なるのでしょうか?
 意外と寝心地が良さそうな気がしますが、世界一
高価なベッドですね(笑)。


 前甲板の76mm単装速射砲。周囲の甲板には
射後に飛び出した薬莢がぶつかった跡
が沢山残って
いますが、その跡は速射砲の左右に集中していて、
真正面の甲板には見られません。これについて隊員
さんに質問してみると、
 「ああ、正面に向けて撃つと砲弾が艦首や航海灯
に当たる恐れがあるので、射撃は左右どちらかに向
けて行います。真正面と真後ろには撃てない仕組み
になっているんですよ(笑)」

 との事でした。


 練習艦名物、格納庫に設置された実習講堂。プレ
ハブですが、空調映像機器も完備されています。
 この航海では海上幹部要員に選抜された防衛大学
校の2年生が30人
乗り込んでいて、慣れない船酔
と闘いながら、日々知識と経験の吸収に汗を流し
ています。
 ちなみに格納庫には巨大な業務用アイスストッカ
が2つあり、隊員さんに尋ねてみると
 「この中身ですか?アイスクリームです(笑)」
 との事。艦内生活では貴重品です(笑)。


 艦内で消火作業で着用するツナギ式の対火服
展示してありました。胸の前にあるのはカートリッ
ジ式の呼吸装置
。20分間の呼吸が可能です。
 この服装だけでも結構な重量があり、慣れないと
動くのも大変だそうですが、万が一の火災の際は
動の1秒がその後を決定づける
ので、隊員さん達は
ストップウォッチを片手に素早く正確な着用手順
体に叩き込みます。
 体験航海等でこれを着用した隊員さんがいたら、
声をかけて是非お話を聞いてみて下さい。


 飛行甲板から見たシースパロー発射機。前甲板の
アスロック発射機と似ていますが、こちらは接近し
て来た敵航空
に対して対空ミサイルを発射します。
 アスロック同様にVLS(垂直射出装置)に取っ
て代わられつつありますが、炎を噴き上げつつ発射
機から猛然と飛び出すシースパローは、いかにもひ
と昔前の兵器らしい味わい
があります。
  また、真夏の体験航海では日除けのタープを張
る為の土台
になったりと、本来の用途とは違った
笑ましい活躍
を見せる装備品でもあります。


 以上で練習艦しまゆきの見学は終了。最後は特徴
的な後部三段甲板で締めます。上から順番にヘリの
運用を行う飛行甲板、防空を担当するシースパロー
甲板
、出入港時のもやい作業を行う後甲板と呼び分
けられ、はつゆき型護衛艦独特の優美で引き締まっ
た後ろ姿
を際立たせています。
 現在はより小型で島嶼部での運用性に優れた新型
多用途護衛艦
の建造計画が進んでいますが、数は減
ってもはつゆき型はまだまだ地方隊の最前線で戦う
。これからも頑張ってほしいですね。


 こちらはTV3517練習艦しらゆき。しまゆきと
同じはつゆき型ですが、建造された時期が違う為、
しまゆきと完全に同一ではありません。
 はつゆき型7番艦のはるゆきまでは上部構造物に
アルミ合金を多用した設計
になっていましたが、8
番艦のやまゆき以降は元の鋼鉄製に変更。重心位置
の上昇に伴うバラスト追加で、やまゆき以降は基準
排水量が100トン増加しています。
 ちなみにこのしらゆき、私はまだ未乗艦なんです
よね。乗艦できるのは果たしていつの日か・・・。。


 岸壁からしらゆきを眺めていて気がついたのです
が、76mm単装速射砲の砲身に妙なものがついて
いました。
 見たところ射撃レーダーか何かの様ですが、それ
にしては随分小さいなあ。なんであんなところにつ
いているんだろう。発射時の衝撃で、デリケートな
電子機器が壊れてしまいそう
ですが・・・。
 もしかして新型多用途護衛艦に関する新しい装備
品の運用試験
でも行っているんでしょうか?


 こちらはしらゆきのシースパロー発射機。あれ?
こちらも発射機の上に妙なものがついています。
ノコみたいな形
ですが、なんなんだろうアレは。
タンゴ
にでも襲われているのでしょうか?
 雨よけがついた通風塔の様にも見えますが、結露
対策で冷暖房完備のシースパロー発射機にそんなも
のが必要とも思えません。
 やっぱり中で人が寝ているのでは・・・。謎は深
まるばかりです(笑)。


 その後は隣接する飾万津臨海公園にて行われてい
姫路港ふれあいフェスティバルのメイン会場へ移
動。ヒャッハー!屋台が俺を呼んでるぜ!
 広場には30を超える屋台が集結し、中播磨の特
産品やご当地グルメがてんこ盛り
で目移りしますが、
一発目は『じごろの豚しょうが焼きそば』から。
 しょうが焼風味の焼きそばは初耳でしたが、これ
が驚きの美味!
甘辛加減にショウガの香りもよく合
い、試合開始早々に奇襲技で一本取られた気分です。
これは帰って試してみねば


 続いては明石名物玉子焼き。見た目はタコ焼きそ
っくり
ですがその歴史はタコ焼きよりもずっと古く、
あっさりしたかつお出汁で食べると絶品。
 まるで玉子豆腐か茶碗蒸しを香ばしく焼き上げた
様な、
優しい甘さと柔らかさが実にホッとします。
ソース味のタコ焼きはアッパー系屋台グルメの代表
ですが、この玉子焼きは食べれば食べるほど心が
穏やかに澄んでいく
というか、食後の日本茶が欲し
くなる癒し系の味わいですね。


 さらに西宮名物の甲子園ヒーロー揚げ。にんにく
醤油味の手羽中の唐揚げですが、これも実に美味!
姫路駐屯地もそうですが、姫路の屋台はほんとレベ
ル高いですね。
いつ来ても大満足であります。
 立て続けに3軒の屋台に襲い掛かりましたが、も
う一品食べたいなあ。しかし私も、いい加減血圧
中性脂肪とか尿酸値とかγ‐GDPといった単語が、
脳裏をよぎるお年頃になってしまいました。それに
これ以上お腹に入れてしまうと、帰りの高速道路で
寝てしまいそう・・・。


 私が屋台にうつつを抜かしている間にも沢山の見
学者
がしまゆきに押し寄せ、混雑は凄い事に。
 あれ?よく見ると、隊員さん達が飛行甲板の手す
りを順番に倒しています
。まさかこの場にヘリが着
艦する様な事はないでしょうけど、何なんだろう。
とりあえず珍しい場面を見る事が出来てラッキーで
した。
 ちなみに練習艦への艦種変更に伴って、飛行甲板
に設置されていた降着装置一式(ベアトラップ)は
全て取り払われています。


 岸壁では、しまゆき航海科員によるラッパ吹奏展
が始まりました。司会役の隊員さんが
 「次は出港ラッパです。艦長!お願いします!」
 と言った途端、私の真後ろにいた幹部の方が
 「しゅこーよーい!」
 と大声で号令を掛けたので驚いてしまいました
(笑)。大勢の実習生を預かる立場にあるしまゆき
艦長
は、いかにもデキる幹部自衛官っぽい長身痩躯
の風貌
でしたが、やっぱり本物の艦長の号令は迫力
ありますね。


       さて、いよいよ始まった2014年イベントシーズン中盤戦ですが、一発目の姫路港の練習艦しまゆき、
      台グルメも含めて実に楽しめました
。艦内に入れなかったのは少し残念でしたが、また次のお楽しみに取って
      おきましょう。
       次回はいよいよ舞鶴地方隊展示訓練、舞鶴西港より出港の護衛艦しらねに乗艦して参ります。展示訓練に自
      力で当選したのはいつ以来なんだろう。しかも、いよいよ退役が間近に迫った護衛艦しらねにまる一日乗る事
      が出来るとは!
当日の好天を祈りつつ、姫路港を後にしました。




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