護衛艦しらね入港in伏木港

2014.08.02


        富山県伏木港にて一般公開と体験航海を行う為にやってきた、DDH143護衛艦しらねの入港を見に行っ
       
てきました。しらねは先週の舞鶴地方隊展示訓練で乗艦させてもらったばかりなのですが、お陰様でしらねの
       体験航海は満喫出来たものの、よく考えてみれば動いているしらねを見損ねていたんですよね。
        ちなみに今回はイベント目的の遠征ではなく、別件でやってきた富山にまたま入港したしらねと再びの顔合
       わせ
です。本当は翌日午後かられる一般公開にも参加したかったのですが、ちょっと時間が取れそうになかっ
       たので、予定を強引に繰り上げて明け方に大阪を出発。せめて入港シーンだけでも見ようと、0830に伏木
       港
に到着しました。先週の舞鶴では舞鶴らしからぬ酷暑に襲われましたが、流石に北陸まで来ると涼しいなあ。


 0850、しらねが伏木港に入ってきました!しか
埠頭への立ち入りは0900まで制限され、やむな
くフェンスの金網越しにしらねを撮影。
 埠頭には車両整備や荷上げ関係の設備類があり、
影しにくい事この上なしであります(泣)。
 それにしてもしらね、基準排水量5200dという
数字以上に大きく感じますね
。流石に古臭さは否めな
い艦ではありますが、優美さと力強さを兼ね備えた
に惚れ惚れするデザイン
です。


 しらね入港と同時に岸壁から聞こえてきた万歳三唱
地元富山県の『富山県海上自衛隊を支援する会』『高
岡市自衛隊父兄会』『射水市自衛隊父兄会』の方達

した。
 上陸して来た隊員さん達が寄港地で羽を伸ばせるよ
う様々な支援
を行ったり、県内で行われるイベントの
手伝い
をしたり、地域と自衛隊の間に入って相互理解
の橋渡し
をしたり、退職自衛官の就職援護、さらには
隊員さん達と一体となって様々な社会奉仕活動等を行
っているそうです。


 曳船(タグボート)の助けを借りてくるりと180
度回頭
万が一の緊急事態の際には速やかに出港でき
る様、港内の出入り口方向に艦首を向けて接岸するの
『出船(でぶね)の精神』です。
 入港場所が海自の基地だった場合は、同様の理由で
燃料や真水の補給も速やかに済ませておきます。
 2隻の曳船のうち艦首側の曳船が舫綱を使って後方
に引っ張り、艦尾側の曳船が鼻面で押しながら、しら
ねを反時計回りに動かしています。


 ここで岸壁が開放され、港内に中に入る事が出来ま
した。入港作業中のしらねを真正面から撮影です。
 艦橋真下にちょっとだけ見えている背負い式の54
口径5インチ速射砲
が、地面から半分だけ顔を出した
モグラの兄弟
みたいでカワイイなあ(笑)。
 はつゆき型護衛艦は三段甲板が映える斜め後方から
のアングルが一番好きですが、しらね型は真正面から
が一番絵になる
気がします。



 少し離れた所から、岸壁を入れてしらねを撮影。こ
うして見ると、岸壁からかなり距離をとって回頭して
いる
のがわかります。しらねがあまりに大きいので、
すぐ目の前にいる様な気がしていましたが・・・。
 ちなみにこの伏木港、喫水が深く大型艦も楽々入港
出来る為、富山県では射水市の海王丸岸壁と並んで
自艦艇がしばしばやってくる場所
であります。
 以前はここで舞鶴地方隊展示訓練を行っていた事も
あったそうですが、海の向こうに立山連峰が見える風
光明媚な場所なので、またやってくれないかなあ。


 0906、護衛艦しらねは無事伏木港に入港。艦首
から舫綱に繋がれたサンドレッド(細いロープに繋が
れた重り)が投げ込まれ、地本職員の人達が引っ張っ
舫綱を引き出します。
 本日は来ていませんでしたが、陸自や空自の車両展
示が行われている場合は、手の空いている戦闘服姿の
隊員さんも接岸作業をお手伝い

 ちなみに入港時刻とは、一番最初のサンドレッドが
岸壁に投げ込まれた瞬間
の時刻を指します。


 舫綱が岸壁のビットにかけられ、甲板員達が引っ張
って艦を係留する作業が始まります。
 この舫綱ですが、入港期間中の海面の干満差に合わ
せてある程度の余裕を持たせねばならず、新しい舫綱
と古い舫綱では強度や伸び具合が異なる為、長年の経
験からその塩梅を心得たベテラン海曹の仕切りの見せ
どころ。
 一つ間違えば大事故につながりかねない危険な作業
なので、甲板にはピリピリとした空気が漂います。


 ウイング中央で腕組みしているのが、護衛艦しらね
の艦長
さんです
 しらねの様な大型艦の艦長を任される幹部は、海上
よりも陸上配置が長くなりがちな出世コース驀進中の
が多いそうですが、陸の上でも潮気をぷんぷんさせ
てそうな、百戦錬磨の海の男という雰囲気が漂ってい
ます。
 艦長の左側で無線機片手に鋭い口調で指示を飛ばし
ている人は当直士官、画像左下にいるウイングマーク
の人は飛行長兼副長ですね。


 接岸後は速やかにラッタル(舷梯)を設置します。
舷側から展開したラッタルを艦のウインチで吊り上げ、
岸壁にいる地本職員が定位置まで牽引。古い艦はこう
いうところも基本的にマンパワーなんですね。
 この後は地面とラッタルの間に保護の為の木材を挟
みこみ、側面に艦名が書かれた幕を張り、隊員さんが
実際に歩いて正しく設置されているかどうかを確認

ていました。
 また一般見学者が乗艦する場合は、落下物防止のネ
ット
がラッタルの下に張り巡らされます。


 こちらは前甲板に設置されたラッタル。しらねから
降りて来た隊員さん達が、巨大なジャングルジムの様
な足場
をゴロゴロと押してきて、艦側から水平なラッ
タル
を人力で差し渡します。
 上の画像のラッタルよりも安全に登れるので、こち
らは午後から行われる一般公開の見学者用と思われま
す。




 後甲板にもラッタルが設置されました。手早く玉掛
けを行った後は、納庫上にあるクレーンで一気に引き
上げて、艦と足場の上に設置。
 こちらは少人数であっという間に終わってしまいま
した。






 以上で入港作業は終了。この後は、午後からの艦内
一般公開や明日の体験航海に向けての準備
が始まる模
様です。
 退役間近という事で、日本海側を中心に春先からあ
ちこちで一般公開を行っていた護衛艦しらね。この3
日間で、しらねとの最後の別れを惜しむ多くの北陸の
ファン
が押し寄せた事でしょう。秋頃には大阪湾にも
来てくれるかな?
 さて、時間が押し迫ってきたので、そろそろ私は撤
です。


 翌朝、午前の体験航海で出港したしらねを、氷見海
から水平線の彼方に発見です。うっすらとモヤって
はいますが、昔の戦艦を彷彿とさせるしらねのシルエ
ット
に見惚れてしまいます。
 そう言えば、ちょうど今頃SAA水兵さんが体験航
海でしらねに乗艦しているんだっけ・・・とメールし
てみると、
 「只今左ウイングにて、蒸気タービン音を収録中」
 との事。一体何やってるんだあの人は(笑)。



        さて来週は、2014イベントシーズン中盤戦のもう一つの山場とも言うべき呉地方隊展示訓練に参加して
       まいります。和歌山出港の潜水艦救難艦ちはやに乗艦し、翌日曜日は愛媛県八幡浜港にて行われる護衛艦おお
       よどの体験航海に参加
という、この夏を締めくくるにふさわしい遠征計画となりました!
        ・・・のはずだったのですが、無情にも台風11号が西日本を直撃し、週末の遠征計画は見事に白紙・・・。
       えええええ、これで私の夏は終了なのか・・・。

        なんというか、9回裏ノーアウト満塁、俺の一打でサヨナラにしてやるぜ!とネクストバッターズサークル
       にて集中力を高めていたら、前の打者が初球をひっかけてトリプルプレーになった気分です。え?これで俺の
       夏が終わっちゃうの?ウソだろ?マジ?
とでも言えばいいのでしょうか・・・。
        とは言え、9月からは秋の陸自イベント巡りが始まります。第10師団や第13、14旅団の未踏駐屯地
       視野に入れた遠征計画がメインになるので、ガソリン代はそれまで取っとけ!という屋台の神様からの有難い
       リコメンド
だったのかもしれません。
        今年は地元第3師団のイベント日程が若干シャッフルされていますし、これまでとはまた違った雰囲気の終
       盤戦
になりそうな気がします。シーズンの締めはにするか舞鶴にするか、久々に横須賀にも足を伸ばしてみ
       たい気がするなあ。
        しばらくは溜まりっぱなしになっている戦闘糧食試食レポの更新がメインになりますが、お手すきの時にで
       もご笑覧頂ければ幸いです。




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