OSAKA防衛・防災フェスティバル2013

2013.03.10



        大阪南港ATCにて行われた、OSAKA防衛・防災フェスティバルに参加してきました。昨年の呉遠征から
       3ヶ月余りのインターバルを経て、今年一発目のイベント参加であります。
        明日11日で東日本大震災から2年が経過し、近い将来相当な確率で発生すると予測されている東南海
       大地震
に対する認識備えを今一度新たにするという意味では、やる側も見る側も非常に意義の大きな
       イベント
だと言えますね。


        地下鉄大阪港駅からニュートラムに乗り換え、すぐにトレードセンター前駅に到着。ATCから海側への玄
       関口に出ると、開門30分前だというのに既に沢山の人が行列を作っていました。係の人から貰ったパンフ
       レットによると、1000の開門と同時に掃海艇の一般公開が始まり、少し遅れて1045より護衛艦の一般公開
       が行われるとの事。うーん、この様子では、あっという間に乗艦待ちの行列になりそう。ここで時間を食って
       はその後の展示の見学に差し支えそうなので、一般公開は後にした方がよさそうです。
        という訳で、1000開門。会場西側の防衛コーナーへ向かう人の流れから離れて、東側の防災コーナー
       向かいます。すぐ近くで配っていた手提げ袋を貰いましたが、中にはペットボトルの水アルファ米乾パン
       の非常食セットが入っていました。自治体が備蓄していた期限切れ間近の非常食を配布していた模様。


        お、沖合からはDE232護衛艦せんだいが、タグボートを伴って入港して来ました。朝から曇り空の上に
       若干モヤっていますが、やっぱりあぶくま型はスマートでカッコイイなあ。


        もう3月半ばだというのにかなり冷え込んでいるので、まずは先着千名限定の豚汁の炊き出しに行ってみ
       ましょう。野外炊具1号(改)の周囲では隊員さん達が忙しそうに働いていて、係の人から豚汁引換券を貰い
       ました。配布開始は1100以降との事なので、それまでは防災展示を見学して回るとしましょう。


        消防コーナーでは、消防オリジナルのヒーローものらしき扮装をした人が、沢山の子供に囲まれていまし
       た。それよりも、その隣にある軽トラ消防車が気になります。チョロQみたいでかわいいなあ。こんな消防車
       もあるんですねえ、と係に人に尋ねてみると、
        「あ、いや、これは啓発用に作った広報車なんですよ」
        との事。なるほど、観艦式で展示される護衛艦ちびしまみたいなもんですね。消防の人もやるなあ。
        ちなみにこのちび消防車には愛称があり、『みらい』と言うそうです。うーん、なんか途中でタイムスリップ
       しそうで、安心して乗れない
ような・・・。


        その隣には巨大な黄色いテントが張ってあり、この中で煙中避難体験を行っているとの事。面白そうだっ
       たので入らせて貰いましたが、テント内は明るいものの充満した煙(人体には無害)がすごく、延ばした自分
       の手の指がどうにか見える程度。
実際の火災現場はこれよりずっと暗くて視界が効かない上に熱さも酷い
       そうで、火災現場で働く人達は大変だなあ。


        国土交通省からは対策本部車というトラックが参加。貨物室の側面が横に張り出して広い空間を作って
       いて、ちょうど自衛隊の野外手術システムと似た様な感じです。
        中を見学させて貰うと、災害現場で必要な通信機器映像機器トイレ冷蔵庫流し台を完備した小型
       オフィス
といった内容。係の人の説明によると、ここで現地での様々な情報を収集分析し、復旧作業を効率
       よく行う為の移動司令部
といった役割を果たすそうです。


        またこの車両そのものも先の東日本大震災では実際に岩手県陸前高田市に派遣され、自治体の支援を
       行ったとの事。よく頑張ったな、と、車両に声をかけてあげたい気分です。


        自衛隊防災コーナーに展開しているのは、第3後方支援連隊からの浄水セット揚水ポンプ貯水タンク
       水タンク車野外洗濯セットボイラー車野外入浴セット。辺り一帯がさながら出張千僧駐屯地ですね。先
       程の野外炊具1号(改)もそうですが、普段は野外演習等の円滑な実施を下支えし、大規模災害時には被災
       者の食事や入浴といった生活支援
を行う、非常に重要な仕事です。この人達がいなければ部隊はまともに
       動けませんし、被災地で命をすくわれたり勇気づけられた人達も多いんでしょう。


        目の前にはMSC677掃海艇まきしまが停泊していますが、ただでさえ狭い甲板から見学者がこぼれ落
       ちそう。
ちなみにまきしまが就役したのは平成6年。翌平成7年には阪神大震災が発生したので、まきしま
       の初めての大仕事は神戸での救援活動だったんでしょうか。
        またこのまきしまは、先の東日本大震災では岩手宮城県沖に展開して懸命の捜索救援活動にあたった
       との事。乗組員の人達にもそうですが、頭が下がる思いです。


        大阪府警からは、白と青の色合いも鮮やかなレスキュー車が。油圧カッター削岩機発電機担架
       命救助セット
等を搭載し、消防が保有しているレスキュー車と同程度の能力を誇るとの事。
        会場西側の防衛コーナーは自衛隊の独壇場で、既に沢山の人だかりが出来ています。航空自衛隊から
       参加の地対空誘導弾ペトリオットの所には何故か幼稚園児の集団がいて、係の人の説明を聞いています。
        陸上自衛隊中部方面航空隊から参加のAH−1S対戦車ヘリコブラは操縦席も公開していて、沢山の人
       が順番待ち。


        操縦席下部の機関砲弾格納庫は今日はすっからかんですが、片隅にはビニール袋にくるまれた物が置
       いてあり、よく見ると戦闘糧食でした。へー、このタイプは初めて見るなあ。OD色パッケージの正規品では
       なく、数が不足した際に民間業者に発注して納入される、所謂ボーディングアウトとかパック弁当とか呼ば
       れているタイプのものです。
        よく見ると『SEN−SYOKU』と書かれてありますが、米兵が見ても意味が分からないだろうし、英語で表
       記する意味があるのかなあ。
        隊員さんに尋ねてみると、肝心のヘリではなく変なものに食い付いた私を面白がったのか、色々と親切に
       教えてくれました。ちなみに副食は『ふっくら卵のオムレツカレー』。へー、どんな味なんだろう。今日は加熱
       剤
も持参しているらしく、ちゃんと熱々で食べる事が出来る様で何より。もっとも隊員さんは、隣のATCのフ
       ードコートで食べたいかもしれませんね。


        AH−1Sの機首下部にある20o機関砲を見ると、車の走行距離メーターみたいなのがついていました。
       これは機関砲の発射弾数をカウントして、砲身や部品の交換の目安にするそうです。ちなみにこの機関砲
       の累計発射回数は52270発。多いのか少ないのか分かりませんが、何となく大槻ケンヂ著『グミ・チョコ
       レート・パイン』の冒頭部
を思い出してしまいました(笑)。


        AH−64D攻撃ヘリアパッチも展示されていましたが、こちらは周囲にロープが張り巡らされて近づけず。
       気さくで明るいコブラと比べると、周囲に人を寄せつけない強烈な威圧感を感じますね。このヘリはあまり
       怒らせない方が良さそうです。


        その隣では、アパッチの放つピリピリした殺気を中和する様に、大阪地本のマスコットキャラ『たこる君』
       愛嬌を振りまいていました(扉画像参照)。大阪名物のたこ焼き『守る』を掛けたみたいですが、よく考える
       と全然掛かってないし

        ・・・ここで訂正ですが、彼の本名は『まもる君』だったようです!どうやら私はテレビ大阪の『たこる君』と混
       同していました・・・。まったく我ながらいい加減すぎて泣けて来ます。俺のバカ(泣)!
        そんな間抜けな私を尻目に、まもる君は子供達には大人気で、しきりに記念撮影をせがまれて忙しそう。
        その他沢山の装備品が展示され、地元大阪のみならず北は今津から南は和歌山まで、第3師団の装備
       品が勢ぞろい
であります。小火器のコーナーでは、小さな子供が隊員さんに手伝って貰いながら87式対戦
       車誘導弾
を構えていましたが、得意そうな満面の笑顔が実に男の子ですねえ。


        とある車輛の前には先程の幼稚園児部隊が集合していて、引率の先生と一緒に隊員さんの説明に聞き
       入っています。隊員さんは同じぐらいの年齢のお子さんがいるのか、通常の3倍ぐらいの笑顔で妙に嬉しそ
       う。聞き終わった後は声を揃えて
        「ありがとうございましたー」
        と、ちゃんと一同礼をしているのが微笑ましいなあ。
        その後手の空いた頃に隊員さんに少しお話を伺うと、先程の幼稚園児用特盛笑顔から急におっさん用笑
       顔
にダウングレード(笑)。多数目標の評価判定を一瞬で正確に行える、まるでフェイズドアレイレーダーの
       如き隊員さん
で頼もしい事この上なしであります。まあ、幼稚園児用笑顔で対応されても困るのですが(笑)。
        おっと、そろそろ1100です。先程の豚汁を頂きに行くとしましょう。野外炊具1号(改)の前には沢山の行列
       が出来ていましたが、お手伝いの大阪防衛協会の人達の手際が素晴らしく、さくさくと行列は消化してすぐ
       に豚汁を頂く事が出来ました。出来たての豚汁は熱々でとても美味しそう。さっそく頂きましょう。


        ほほう、たっぷりの大根ニンジンゴボウ青ネギ豚肉の旨味味噌の風味が染み込んで、実に美味
       い!。味付けは濃すぎず薄すぎずで、ぱらりとかけられた七味唐辛子も体が温まっていい感じです。
        メインステージでは音楽隊の演奏が始まり、すり鉢状の観覧スペースは大賑わい。本日の演奏を担当す
       るのは、伊丹駐屯地の中部方面音楽隊と千僧駐屯地の第3師団音楽隊による合同音楽隊。天候はいよい
       よ怪しくなって今にも降り始めそうですが、司会の隊員さんは明るくノリノリです。


        「続いて演奏する曲は、子供達と・・・あと一部の大人に大人気の、スマイルプリキュアです!」
        と、巧みに笑いを誘っています。ちなみに隊員さん達は全員戦闘服姿。いつものビシッとした礼装もカッコ
       イイですが、やっぱりこっちの方が自衛隊らしいですね。
        その後は大久保駐屯地の三施太鼓と信太山駐屯地の菊水太鼓による、合同自衛太鼓。この頃にはぽつ
       ぽつと雨が降ってきましたが、最後まで勇壮な和太鼓を披露して大きな拍手が送られました。
        駐屯地創立記念行事ではよく見る自衛太鼓ですが、掃海艇や護衛艦、攻撃ヘリ、地対空誘導弾といった
       陸海空の装備品をバックにした和太鼓演奏は珍しい気がします。


        そして背後のATCの建物屋上からは、信太山駐屯地の第37普通科連隊レンジャー隊員によるロープ降
       下展示
が。優に5〜6階はありそうな建物屋上から5名の隊員さんが飛び降りて来て、会場からは大きなど
       よめきが上がります。さらに次の5名は、体の正面を真下に向けた状態で懸垂降下を開始。うーん、想像す
       るだけで○○の裏がキュッと縮みそう・・・。
それでも降りて来た10名の隊員さんにとってはごく普通の事
       のか、『さあさっさと片付けて昼飯昼飯〜』みたいな表情だったのがすごいなあ。


        トリは本イベントに華を添えるべく駆け付けた、開成幼稚園鼓笛隊による演奏展示。ああ、さっきの子供
       たちですね。大きな楽器にややふらつきながらも、普段の練習の成果を見事に発揮して大きな拍手を浴び
       ていました。


        さて、最後は海自艦艇を見学して帰りましょう。しかしMSC677掃海艇まきしまは、甲板にびっちりと人を
       乗せてまさに立錐の余地もない状態。これでは乗艦しても人の頭しか見えそうにないなあ・・・。
        奥の方のDE232護衛艦せんだいは、まだ甲板が広いだけ余裕がありそう。まきしまは諦めて、せんだい
       を見に行く事にします。


        とは言えせんだいも満員御礼状態で、艦橋まではなんと45分待ち!いや凄いですね、最近の自衛隊人
       気は。震災の記憶がまだ生々しいという事もありますが、これだけ沢山の人達が自衛隊を見に来るという
       のは、きっといい事なんだと思います。
        と言う訳で、艦橋はパス。昨年の玉野港でもそうでしたが、せんだいには異様に人を集める何かがあるの
       かなあ。
確かに艦長さんは若いスマートなイケメンでしたが・・・。出来ればゆっくり見たいんですけどね(笑)。
        艦中央部のアスロック発射機の脇には、せんだいのアイドル『せんぞう君』のお姿が。キュートな横眼使い
       も相変わらずで、沢山の人が入れ替わりで撮影していました。しかし本当にカワイイな(笑)。


        最後は後甲板を見学して、上陸。混雑と悪天候は覚悟の上でしたが、2013年のイベントシーズンの開幕
       戦としては、非常に有意義でしたね。帰りのニュートラムに乗る前にATCのショッピングモールを少し冷やか
       してみると、なんと『岩国海軍飛行艇カレー』を発見しました!なんでまたこんな所に(笑)。このレトルトの存
       在は以前から知っていましたが、呉には遠征しても岩国までは足を延ばす事が無かったので、入手は半ば
       諦めていた
んですよね。いやはや、思わぬところで思わぬお宝に遭遇してしまいました。近々試食して、レ
       ポートするとしましょう。


        今後30年以内に80%以上の確率で発生すると予測されている東南海大地震、自衛隊を始め警察や消
       防、各自治体による準備は着々と進められている模様です。とは言え、自分でやれる事は出来る限り自分
       で準備しておきたい
ものですね。非常用の水や食料は足りているか、賞味期限は大丈夫か、ラジオライ
       ト
はちゃんと使える状態か、予備の電池は大丈夫か、家の中に倒れやすいものはないか・・・。私もそうです
       がこのイベントをきっかけにして多くの人が、大規模災害に対する認識を新たに出来たと思いました。




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