舞鶴地方隊展示訓練2013

2013.07.27



        京都府若狭湾沖で行われた、舞鶴地方隊展示訓練に参加して参りました。この展示訓練、友人知人にお願
       いして応募した葉書がことごとく落選してしまい、北吸岸壁と航空基地で同日程で開催されている舞鶴サマーフ
       ェスタ
の方に参加するか・・・とがっかりしていたのですが、『J−NAVY World』HARUNAさんお知り合い
       の方
のご厚意により、前日になって急遽参加の運びとなりました。
        HARUNAさんには前回の呉地方隊展示訓練でもお声をかけて頂きましたし、他のイベントでもいろんな方に
       お世話になりっぱなしの当S.A.S
、もうどっちに足を向けて寝ればいいのやら・・・。逆立ちで寝るしかないなあ。
        当日はまだ暗いうちに大阪市内の自宅を出発し、6時過ぎに舞鶴着。とりあえず舞鶴地方総監部に隣接する
       赤れんがパークの駐車場に乗り入れます。北吸岸壁の方にはイージス艦が2隻多用途支援艦が1隻、そし
       て目の前の船溜まりからは出港ラッパが鳴り響き、MSC681掃海艇すがしまMSC682掃海艇のとじまが、
       煙突から白い排気煙をたなびかせながら出港。海面はかなりモヤがきついのですが、この時期の舞鶴はこん
       な感じの事が多いです。展示訓練が始まる昼前には、すっきり晴れてくれる事を祈りましょう。


        その後はHARUNAさんと合流し、お知り合いの方からDD112護衛艦まきなみの乗艦枠を頂きました。いや
       ー、本当に乗れるんだなあ・・・。前夜は気分が高揚してあまり寝れなかったのですが、ようやく実感が湧いてき
       ましたよ。
        しばらくして開門。港内では、先に出港したそうりゅう型潜水艦がゆっくりと回頭しています。うーん、この角度
       から見ると、]舵って変な形に見えるなあ。甲板作業を終えたそうりゅう型潜水艦は、視界の効かない真っ白
       な舞鶴湾
を慎重に出港して行きました。


        岸壁に停泊していた2隻のイージス艦は、DDG178あしがらDDG175みょうこう。みょうこうの隣に横付け
       されているのが、本日乗艦させて頂く護衛艦まきなみです。あしがらの飛行甲板では国旗掲揚前の分隊整列
       の真っ最中。恐らく招待者マスコミ関係者を一手に引き受けるので、準備も色々大変なんだろうなあ。


        まきなみ受付テントにて乗艦券の記入を済ませ、手荷物検査。一旦護衛艦みょうこうに上がり、後部VLSを
       ぐるっと回って左舷から護衛艦まきなみに乗艦します。うわあ、たかなみ型って久しぶり。汎用護衛艦とは言え、
       基準排水量で4650トンと一昔前のDDH並みのサイズなので、さすがにでかいなあ。見慣れたはつゆき型や
       あぶくま型とはえらい違います。


        とりあえず毛布をお借りして、飛行甲板左舷側に場所を確保。対岸のユニバーサル造船所岸壁には、DDH
       143護衛艦しらね
DD151護衛艦あさぎりの姿が。しらねは来月6日に進水式を迎える護衛艦いず・・・もとい
       22DDHと入れ替わる形で退役なので、お役目もあと1年ほど。最後の年次修理なのでしょうか。これまで色々
       と大変でしたが、最後まで頑張ってもらいたいものです。

        そして最新鋭イージス艦あしがらの後方には、射撃標的艦の塗装を施された護衛艦はまゆきの姿が・・・。や
       っぱりこう、いざ実物を目にすると、何とも言えない気持ちになります。


        AMS4302多用途支援艦ひうちの出港を見送った後は、前甲板に移動。艦首には巨大な54口径127o速
       射砲
が聳え立っています。うーん、流石にでかいな。
        今日は展示訓練なので、この後5〜6時間はゆっくり見て回れるのですが、体験航海は1年ぶり。どうしても
       気分が舞い上がり、用も無いのにあちこちうろつき回ってしまいます。


        そうこうしている間に、いつの間にやら自衛艦旗掲揚5分前。おっと、これは見逃せません。急いで艦尾に戻
       りましょう。
        後半分がクローズされた飛行甲板では、海上自衛隊独特の君が代ラッパに合わせて護衛艦まきなみの自衛
       艦旗
が掲げられます。そのすぐ正面では護衛艦あしがら艦首の国旗が掲げられ、この2つの旗の掲揚を同時
       に見る事が出来るのは意外と珍しいような。


        ふと見ると、目の前のあしがらのハルナンバーの後方に、不思議な格子状の文様が浮かんでいます。タグボ
       ートが鼻を押しつけた跡にしては変な位置ですし、何なんだろうあれって。
        傍にいた隊員さんに尋ねると、艦内の丁度あのあたりに巨大な冷房機があって、冷えて結露を起こしている
       との事。へー、そうだったのか。やっぱりイージス艦ともなるとシステムの稼働や冷却に膨大な電力を必要とす
       る
ので、発電機冷房機もそうとう強力なのを搭載しているんだろうなあ。


        舷側通路では、隊員さんが出入港時に使用する赤白の旗竿を取りだしていますが、なんだか随分短い旗竿
       です。はつゆき型やあさぎり型の小柄な護衛艦でも、まるで物干し竿のごとく長い旗竿を使っているのに。この
       巨大なたかなみ型が、そんな小さな旗竿で間に合うのかなあ。
        ちょっと質問してみると、たかなみ型やむらさめ型の比較的新しい護衛艦は、ウイングからの後方視界が抜
       群に効く
ので、この程度の長さの旗竿で十分事足りるそうです。成程、単純に艦が大きくなった訳ではなく、ち
       ゃんとそのあたりも考えて設計されているんですね。
        ちなみにこの赤白の旗がついた竿、正しくは『小旗』と呼ばれているそうです。出入港作業時に、スクリュー
       が海面に放たれた舫綱を巻き込まないよう、後甲板と艦橋との通信連絡に使用しています。


        飛行甲板に半分埋め込まれているLSOには、結露の水滴がびっしり。中を覗き込んでも扇風機の類は見当
       たらないので、ここも新しい艦だけに空調がよく効くみたいです。古い艦だと、気休め程度の扇風機やうちわ
       置いてあるんですけどね。やっぱり新しい艦はいいなあ。
        いよいよ出港準備が始まります。2隻のタグボートがやってきて、甲板士官を務める砲術長の号令一下、甲
       板作業員達が各部署について、忙しそうに動き回っています。左舷に横付けしたタグボートからはサンドレッド
       が投げ込まれ、重そうな舫綱ボラードに固定。


        「両舷、軸を回せ!」
        「4番(の舫綱を)放せー!」

        鋭い警笛とともに大声の号令ハンドサインが飛び交い、護衛艦まきなみは出港。タグボートが力強くまきな
       みを牽引し、艦尾から見える風景の角度が少しずつ変わって行きます。速やかに甲板作業を終えた作業員は
       艦尾に整列
し、その奥では射撃標的艦となったはまゆきが、若いまきなみ乗組員達を見送っているよう。


        いやあ、とうとう舞鶴地方隊展示訓練の始まりです。すぐ左舷に見えてきた舞鶴航空基地は白く霞み、海面
       はモヤがきついままですが、こうして参加できるだけでも夢のようですね。
        まるでトレーシングペーパーを掛けたように、白く霞む舞鶴湾。晴れていたら、青い空や緑の小島、豊かな生
       物圏を成していそうな穏やかな海が素晴らしく美しいのですが、まあ直射日光がないお陰で過ごしやすくはあり
       ます。
        546名の乗艦者を乗せた護衛艦まきなみは、舞鶴湾の複雑な地形を縫うようにして展示訓練海域を目指し
       ます。後方には、続いて出港してきた護衛艦みょうこうの姿が見えてきました。
        ここで少し空が明るくなり、海面も夏の日本海らしい群青色に。真っ白に砕ける波がしらもとても美しく、この
       ままいってほしいなあ。


        さて、訓練海域まではあと2時間ほど。時間はたっぷりあります。まずはラッタルを下りて、艦内をあちこち見
       て歩く事にしましょう。
        艦内通路に降りると、さすがに大型艦だけあってスペースに余裕がありますね。どこもかしこもピカピカで、埃
       ひとつ見当たりません。


        機関室兼操縦室が公開されているものの、写真撮影は禁止。他の艦は普通に撮影できるのに、何か特別な
       機器類でも入れてあるのかな?もしかしたらまきなみ機関科は、シャイな隊員さん揃いなのかも。
        訓練成績掲示板のには、『平成20年度優秀艦』の黒プレートが燦然と輝いていました。


        続いては科員食堂。大型艦らしく広々としていて、3台の空気清浄機がフル稼働中。よく見ると食堂の隅には
       ジュースディスペンサーがあり、見学者用に麦茶が用意されています。その下には製氷機がありましたが、
        『種氷を残すこと!!  しゃり番』
        という注意書きが。しゃり番・・・宇宙刑事?気になったので傍にいた隊員さんに尋ねてみると、給養室内で主
       にお皿を洗う係
をしゃり番と呼んでいて、製氷機の維持管理も担当しているとの事。そうか、宇宙刑事を退職し
       た後は、護衛艦で働いているのかシャリバン・・・。
やっぱりこのご時世だから、安定した公務員に魅力を感じた
       んだろうなあ・・・いや、そもそも宇宙刑事って公務員じゃなかったの?


        艦尾のラッタルを上がると、格納庫に出ました。早くも毛布を敷いて寝転がっている人達の間を縫うようにして
       飛行甲板に出ると、ちょうど後方についていた護衛艦みょうこうが、速度を上げてまきなみの右舷から前方に出
       ようとしているところ。ファインダーの中で刻一刻と角度を変えつつ、距離を詰めて来るみょうこうが実に美しい!
        しかしここで一隻のプレジャーボートが執拗にみょうこうに纏わりつき始め、モヤによる視界の悪さもあって
       なり危険な状態
に。珍しいものを間近で見たいという気持ちは分からないでもありませんが、舵の効きにくい大
       型船舶を挑発するように小型船舶が周囲をうろつき回るのは、自殺行為と言っても過言ではありません。まし
       てや相手は自衛艦。テロ行為と判断されて撃沈されても、文句など言えない訳です(言うだろうけど)。


        もしかして船尾に朝○新聞社の社旗でも立てているのかと思いましたが、遠距離の上にモヤがきつくて確認
       できず。どうにかテロまがいの朝○・・・いや小型船舶から逃れる事が出来たみょうこうは、まきなみの乗艦者
       にむけて、
        『お早うございます、今日は楽しんでください』
        と発光信号を送ってきました。すかさずまきなみも、
        『短い航海ですが、どうぞお楽しみください』
        と返信。その後みょうこうは速度を上げて、ゆっくりと右舷からまきなみを追い抜いて行きました。


        飛行甲板のSH−60J哨戒ヘリの前では、まきなみ航海科員によるラッパ吹奏&手旗信号実演展示が始ま
       りました。少し緊張した面持ちの3曹士長が、艦内生活の様々な場面で吹奏されるラッパを披露。
        また手旗信号の実演では、超高速の手旗が披露されましたが、まるで壊れた隊員さんが一人で暴れている
       みたい
。読み取る3曹はにやにや笑いながら余裕の表情で読み取っています。どんなエロい内容なんだろう
       固唾を飲んで見守っていると、
        『先輩ごくろうさまです、いつもお世話になっています』
        というごく大人しい内容でした。なんだ、テレてただけだったのか。


        その後は、SH−60J哨戒ヘリの所にいたヘリパイの方に色々質問。この人が実に話し上手な上にサービス
       精神が旺盛
で、いろんな話を分かりやすく教えて頂けました。
        お、まきなみの後方には、いつの間にやらDD114護衛艦すずなみが。舞鶴西港から出港して合流した模様
       です。ちょうど変針点に差しかかったのか、すずなみは右に左に艦首を振り、期せずして様々な角度からすず
       なみ正面を撮影する機会
に恵まれました。


        クローズした飛行甲板の後半分の向うでは、潜水員の人が万が一の事態に備えて待機中。今日はそれほど
       暑くは無いし海風は快適だし、乗艦者で賑やかな甲板上とは違って、穏やかで静かなひと時ですね。
        凪いだ海面はいかにも日本海らしい深い青。先程まで見えいていた陸地もいつの間にか見えなくなり、舞鶴
       湾の沖合まで出てきたみたいです。前方にいる護衛艦みょうこうとの距離も縮まってきて、時刻は1120。訓練海
       域到着を前にして、そろそろ別の艦隊との合流が始まる頃合いです。
        真っ白に霞む左舷前方を睨んでいると、おお、多用途支援艦の独特のシルエットがかすかに見えてきました!
        ここで前方にいる護衛艦みょうこうが、大きく面舵(右折)。左舷前方から近づいてくる艦隊に対して、正面に出
       る様に右に転舵
します。後続のまきなみ、すずなみもそれに続き、きっちりと右90度回頭した護衛艦隊の後ろ
       に、多用途支援艦ひうちがぴたりとつけます。


        ひうちの後方にはMSC681掃海艇すがしまMSC682掃海艇のとじま。そして小さな掃海艇を後から見守
       るように、AOE425補給艦ましゅうの巨大なシルエットが重なっています。うーん、実に鮮やかな艦隊合流から
       の単縦陣形成。すごいなあ。左舷前方からは、潜水艦の潜望鏡も近づいています。いよいよですね。


        そして登舷礼の準備が始まりました。乗組員達が駆け足で左舷に整列し、私の目の前には防大の乗艦実習
       で乗り込んで来た海上要員の3年生
が、ずらりと並んでいます。


        そしてまずは、舞鶴地方総監が座乗するDDG178護衛艦あしがらがやってきました。うーん、この隊員さん
       の肩越しに見る登舷礼というのも、なかなか雰囲気あるなあ。


        続いては、敦賀港から出港してきたDD104護衛艦きりさめ。3番手を務める護衛艦みょうこうが目の前で大
       きく取舵、180度回頭を始めたところで登舷礼の隊員さん達は解散。我がまきなみも、みょうこうの航跡をトレ
       ースするように大きく左に舵を切ります。


        おお、先行するあしがら、きりさめ、みょうこうの後姿が右手に、後続のすずなみ、ひうち、すがしま、のとじま、
       ましゅうの正面
が左手に。展示訓練ならではの大パノラマですが、やっぱりこのモヤが勿体なさすぎる・・・。


        ここで完璧なタイミングでやってきた、舞鶴航空基地からのSH−60J&Kの3機編隊が上空をパス。まきな
       みは後続艦とすれ違いながら、先行する3隻の後方にぴたりとついていきます。
        最後尾のましゅうが通り過ぎて行った後は、救難飛行艇US−1Aが着水・・・が、余りに海面が遠すぎてよく見
       えません(泣)。
すると前方からは洋上迷彩のUS−2がやってきて、今にも失速して墜落するのでは・・・と心配
       になるほどの超低速飛行を披露。主翼のフラップをいっぱいに下げていますが、お世辞にもスリムとは言い難
       い機体
なのに、よくもまああんな低速で揚力を確保できるもんだなあ。凄いぞ救難飛行艇。


        そして、右舷前方からそうりゅう型潜水艦が浮上するとのアナウンスが。急いで右舷に移動するも、うーん、全
       然見えません。ただでさえ真っ白な海面なのに、遥か前方の護衛艦あしがらの真横で浮上したので、どうにか
       潜水艦らしき姿が見えた時には既に浮上航行中でした。
        しかしそうりゅう型潜水艦、甲板どころか艦橋にも潜舵の上にも誰もいません。完全に潜望鏡による間接目視
       のみで航行している模様です。


        そして艦隊は再びに大きく舵を切り、180度回頭。その内側ではヘリコプターからのダイバー降下訓練展
       示
が行われますが、先ほどよりも少し上空が明るさを増した上に、ヘリのダウンウォッシュで巻き上げられた海
       水が乱反射して余計に視界が効かない状態に。ヘリの救助ホイストからウェットスーツ姿の救難員がロープ降
       下していく様子が辛うじて見えましたが、もうちょっと視界がクリアだったなら・・・。


        舵を戻したところで、先行するあしがら、きりさめ、みょうこうが一直線に並びます。うーん、絵になるなあ。


        そして艦隊が一直線になったところで、右舷後方からPG824ミサイル艇はやぶさPG828うみたかが、海
       面を飛び跳ねる様にして急接近してきました。ウォータージェット推進ならではの超高速で、まさに海の猛禽類
       と呼ぶにふさわしい獰猛かつ俊敏な機動を見せつけます。
        惜しむらくは、以前とは違って艦橋後部の旗甲板で手を振る隊員さん達がいなかった事ですが、今日は霧中
       航行
に近いコンディションなので、万全を期して艦橋で海面警戒にあたっているのでしょう。


        それでも2隻のミサイル艇は、サービス精神たっぷりに何度も何度も艦隊を追い抜いてその足の速さをアピー
       ル。最後は派手に赤外線デコイを撒き散らし、もうもうと吹きあがる白煙の中を突っ切って行きました。


        ちなみにこの赤外線デコイ、高温で燃焼する発煙筒の様なものを打ち上げて辺り一面に漂わせ、ミサイル艇
       の発する赤外線を探知して接近してくる対艦ミサイルのセンサーにエラーを起こさせる為のものですが、いくら
       海域の安全を確認しているとはいえ、あの超高速で視界の効かない真っ白な煙の中に飛び込むって、そうとう
       腹が据わっていないとちびってしまいそう。 


        続いては、多用途支援艦ひうちによる放水展示。先程までの堂々たる艦隊運動スピード感あふれるミサイ
       ル艇の高速機動
とは対照的な、なんとも脱力系の展示内容。ウルトラセブンにエメリウム光線を教えて貰って
       いい気になってるクッキングパパ
みたいですね。艦橋トップで放水を担当している隊員さんは、律儀に分厚い耐
       熱服
を着込んでいますが、どうせなら同じく超脱力系のまもる君(大阪地本のマスコットキャラ)にやってもらえば
       いい様な気がします。


        最後は後続の護衛艦すずなみの後方から飛び出してきた、機動船の高速航行展示。水中処分員や特別警
       備隊の人達が乗っている、めちゃくちゃ早い複合艇です。あまりの高速ゆえに、このベタ凪の海面ですら飛び
       跳ねそうに揺れているのですが、乗り込んでいる隊員さん達は片手で必死に手すりを握りながら、見学者にむ
       けて手を振ってくれていました。


        以上で本展示訓練のプログラムはすべて終了。あとは出港してきた各港に向けて戻るだけです。いやあ、や
       っぱり迫力あるなあ展示訓練は。
        そしてなんと、今頃になってようやく頭上に青空が(笑)。うーん、天気ばっかりはどうにも・・・。


        お祭りが終わった甲板には、真夏の午後らしい何とも言えないけだるい雰囲気が。多くの人達は格納庫や艦
       内に逃げ込んで暑さを凌いでいますが、やっぱり真夏の体験航海、陽射しを浴びて海風に吹かれるのは格別
       ですね。

        舞鶴入港まではあと2時間ほどありますが、乗艦者を退屈させないようにまきなみのみなさんは様々な企画
       を用意してくれていて、飛行甲板では『まきなみファッションショー』が始まりました。礼服(第1種夏服)、戦闘服
       (作業服)、立入検査隊潜水員等の制服や装備品に身を包んだ隊員さん達が入れ替わり立ち替わりやって
       きて、それぞれの特徴や機能を紹介していきます。


        耐熱服の紹介では、司会役の隊員さんが
        「想定、火災!格納庫!」
        ち叫ぶと、すぐに青い戦闘服姿の士長が飛び出してきて、
        「格納庫!火災!」
        と応答しながら耐熱服を着込み、酸素ボンベやヘルメット等を着用していきます。艦内のどの場所で火災が
       発生しても、3分以内に装備を身につけて現場に到着できる
よう、日頃から何度も何度も訓練を繰り返してい
       るとの事。司会役の隊員さんは、
        「今日はちょっと遅いですねえ〜(笑)、緊張してるんでしょうか(ニヤニヤ)」
        と、士長にプレッシャーをかけて行きます。


        続いてはヘリの発着艦を誘導する艦上列線整備員が、黄色と黒の派手なジャケットで登場。そして着艦した
       ヘリが火災を起こしたという設定で、今度は全身銀色の耐火服に身を包んだ艦上救難員が登場。
        「ヘリコプター、飛行甲板で不時着!艦上救難員、出動!」
        しかし艦上救難員は呑気そうに手を振りながら登場し、茶目っ気たっぷりの気取った仕草でご挨拶。まきなみ
       はいかにも大湊所属らしい控えめな雰囲気の隊員さんが多いのですが、やっぱりこういうおっちょこちょい系
       一人いるとホッとします(笑)。


        この隊員さん、実は凄いイケメンらしい(あくまで本人の供述による)のですが、本人がテレ屋なので(嘘つけ)
       出しはNG
。ちなみに趣味は虫とりだそうです。
        その後はヘリコプターのパイロット防大の学生さんが登場し、最後は参加全隊員が整列して敬礼。観客から
       は大きな拍手が送られていました。


        まきなみはここで速度を上げ、一路舞鶴港北吸岸壁へ。しばらくすると周囲に緑の山々小島が見え始め、
       上空には舞鶴基地からやってきたSH−60J哨戒ヘリがお出迎え。なかなか心憎い気配りです。
        しばらくすると甲板のクローズが始まり、北吸岸壁はもう目の前。既にあしがらみょうこうは接岸していて、や
       ってきたタグボートがテキパキとまきなみの入港支援に動き回ります。


        まきなみはあしがらの後方に接岸したので、図らずも射撃標的艦の塗装が施された護衛艦はまゆきをすぐ真
       横から見る事のできるポジション
に。うわあ、なんというか・・・本当に死に装束ですね。


        岸壁にはサンドレッドが投げ込まれ、引き出された舫綱をビットに固定。舷梯が掛けられて、護衛艦まきなみ
       の楽しい展示訓練はこれにて終了。
皆様本当にお疲れさまでした。舞鶴の夏のお祭りも、これで終わったんだ
       なあ・・・。
        上陸する人の流れに乗って舷側通路を進みますが、ここで何人かの乗艦者が熱中症でダウン。お年を召し
       た方は仕方ないとしても、この季節のイベントでは前日はしっかりと睡眠をとり、帽子を被って風通しのいい服
       装
を心がけ、水分塩分の補給は十分に行いましょう。


        さて上陸。この後は明日高知新港にて行われる護衛艦あきづき体験航海のために、高知県へ一気に移動!
       ・・・の前に、岸壁に停泊しているはまゆきのもとへ。おそらくこれが最後のお別れでしょう。せめて近くに寄って、
       これまでの労をねぎらいたい。
        改めて間近で見ると、やっぱりショッキングな光景です。錨を切り落とされて力なく垂れ下がる錨鎖全身を覆
       った塗装、塗りつぶされた艦橋の窓・・・。
もうこの艦は、本当に二度と使われる事は無くなったんだなあ。


        よく見ると、前後の甲板には布製の的の様なものが取り付けられています。対艦ミサイルは直接機関部
       薬庫
燃料庫などにぶち当てるだろうから、これは艦砲射撃や機銃掃射の的にでもするのかもしれません。
        取り外されたアスロック発射機の前には、屋根つきのドラム缶が。重油でも燃やして、赤外線探知ミサイル用
       の標的熱源
にでもするんだろうか。このはまゆきには、3年前にちょうどここ舞鶴で乗艦しているだけに、何とも
       言えない巡り合わせ痛々しさが・・・。


        しかしこのはまゆきは、射撃標的艦としての最後の大仕事を果たす事により、艦が被弾した際の貴重なデー
       タ
武器弾薬の実戦時に近い性能評価を残します。そしてそこから得られた様々な情報は、次なる護衛艦建
       造の礎
となり、より精密で強力な国産兵器設計の礎となるのです。
        来月には22DDHが進水し、その後も次世代護衛艦の設計建造は次々と続いて行くでしょう。はまゆきがそ
       の身と引き換えに残した大切な遺産は、将来の海上自衛隊に脈々と受け継がれていくはずです。

        最後まで、そしてこれまで本当にごくろうさまでした。心の中で、敬礼。


        色々と名残は尽きませんが、HARUNAさんに今日のお礼お別れを告げ、来月の呉での再会を約束し、柔
       らかなセミの鳴き声に送られるようにして舞鶴地方隊を後にする・・・前に、屋台で腹ごしらえです!だって昼食
       は適当だったし!この後高知県まで移動だし!夕食は22時過ぎになりそうだからお腹が持ちそうにないし!

       屋台大好きだし!
        訓練展示と並行して行われていた舞鶴地方隊サマーフェスタ、立ち並ぶ沢山の屋台からは美味しそうな香り
       がプンプン
漂っています。一通りチェックして、一番舞鶴っぽい“舞鶴の味 ホルモン焼きうどん”をチョイス。


        このホルモン焼きうどん大当たりで、実に美味。味付けはなんというか、マイルドな甘ラー油味?牛小腸は
       脂肪の旨味たっぷり
くにゅくにゅだし、独特の味付けホルモンの旨味を浴びたキャベツタマネギは甘くて
       シャキシャキの歯ごたえ。焼きうどんらしい力技の食べごたえもあり、まるで蓄電池にフル充電した潜水艦の様
       な気分
です。よし、これで高知まで行けるぞ!
        1610、赤れんがパーク駐車場を出発。途中土砂降りの雨に見舞われながら、瀬戸内海を越えて2115には高
       知市内のホテルに到着です。日本海から太平洋まで、たった5時間。日本は狭いなあ。
        その後は酔っ払いてんこ盛りの高知市街に出て、本場もののカツオ塩たたきハランボ塩焼きを頂きました。
       いやあ美味かった!酒が止まりませんでした(笑)。
        さあ、明日はいよいよ護衛艦あきづき体験航海に参加です。今日一日の展示訓練と長距離移動の心地よい
       疲労感に酔いが加わって、部屋に戻るとあっという間に寝入ってしまいました。




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