護衛艦ちくま一般公開in伏木港

2013.08.03



        富山県伏木港で行われた、護衛艦ちくま一般公開に参加してきました。DE233護衛艦ちくまあぶくま型
       護衛艦の5番艦
として建造され、DD155はまぎり、DE231おおよどとともに第15護衛隊を編成しています。
        青森県の大湊地方隊を母港とし、主に北海道や青森県を中心とした沿岸海域の警備を担任。まさに北の
       守
りの最前線にいる艦ですね。
        イベント当日の午前中は石川県金沢港にてミサイル艇うみたか、はやぶさ及び掃海艇ししじまの一般公開
       を見て回り、午後からは富山県に移動して護衛艦ちくまの一般公開。1日で2箇所のイベントを見て回るのは
       久しぶりだなあ。午前中に続いて文句のつけようがない晴天ですし、いい一般公開になりそう。



 伏木港の広大な万葉埠頭ですが、午後一番から早くも
駐車場は埋まっております。その向こうには、DE233護
衛艦ちくま
の姿が。午前中に行われた体験航海こそ外し
てしまいましたが、ちくまは今回が初乗艦なので楽しみ。
 基準排水量2000トンと、先週乗艦した護衛艦まきなみ
やあきづきの半分以下
というサイズですが、あぶくま型な
らではの精悍なカッコよさがあります。
 艦の形状のステルス化や科員居住区の2段ベッド化
これまでのDE(沿岸警備目的の小型護衛艦)では搭載で
きなかったアスロック発射機を採用するなど、小さな体に
様々な新機軸を詰め込んだ“ピリリと辛い奴”です。



 万葉埠頭に到着したのは、午後の一般公開が始まる直
前。この炎天下、既に300人近い行列が出来ていました。
 午前中は人の少ない金沢港で「もっと見に来ればいいの
に・・・」
と呟いていた私ですが、その舌の根も乾かぬうちに
「もう少しこう、なんというか、手心というか・・・」とボヤいて
いるのですから勝手なもんです。
 しかし、これまで海自の艦艇を目の前で見た事がないと
いう方は、是非一度見学に訪れてみて下さい。
 国民の目の届かない所で日夜頑張っている隊員さん達
や、日本の海上防衛について少しでも何かを感じて頂け
れば、私としても幸いです。



 艦首で存在感を見せる62口径72o速射砲。給弾から
発射まで全自動で管制され、砲塔内は無人です。
 発射速度は最大で100発/分と言われ、映像資料で
は驚くような速度で甲板に薬莢を撒き散らしつつ連射して
いる所を見る事が出来ます。
 発射後の砲身の冷却には海水が使用されますが、撃ち
まくっていた時のド迫力は何処へやら、砲身の先っぽ下部
から湯気をあげながらじょろじょろ排水している様子は、
何とも言えない一抹の侘しさすら感じさせます。
 詫び寂びを兼ね備えた純国産兵器・・・と言う訳ではなく、
イタリアのオットーメララ社が開発し、日本製鋼がライセン
ス生産しています。



 艦中央部、2本ある煙突に挟まれた形のアスロック発射
機。
対潜水艦用の誘導魚雷をロケット弾でずばーんと飛
ばし、上空で切り離した後はパラシュートを展開して着水。
その後は敵潜水艦に向けて一直線に走航します。
 ちなみに上の62口径72o速射砲もそうですが、最初か
ら発射装置に向きや角度をつけて展示
してありました。
 きりっと正面を向いた姿も絵になりますが、より躍動感
のある見せ方を意識した、ちくま砲雷科員の気配りと言う
かひと仕事
が嬉しいですね。





 ちくまを斜め後方から見たところ。鉄パイプをごちゃごち
ゃと組み上げたようなマスト、低い乾舷、丸っこい煙突、艦
中央部に置されたアスロック発射機。あぶくま型護衛艦な
らではの、ほっそりしているのにゴテゴテした感じが堪りま
せん。
 その後は富山市からやってきたH.N.艦長さんSAA
水兵さん
と合流。
 ちくまはまだしばらくの間混雑が酷そうなので、同時に公
開されていた大型浚渫兼油回収船の白山を先に見学する
ことに。




 こちらが白山。白と青を基調とした塗装がきれいですね。
この船は国土交通省の管轄下にあり、普段は新潟西港
にて港内の浚渫(しゅんせつ)作業を行っていますが、海難
事故
等でが海上に大量に流出した際は、直ちに現場海
に急行。速やかに油を回収し、航路の安全確保と環境保
に努めています。
 また、先の東日本大震災では、地震発生直後から医薬
品や食料、燃料、毛布などの生活物資
を満載して出港し、
岩手県宮古市や久慈市、宮城県石巻市に急行して支援
活動
を行っています。




 浚渫油回収という実用に特化した白山ですが、海自の
護衛艦に比べるとまるで大型フェリーのようなゆったりとし
た雰囲気。
艦内通路や各区画にも実に余裕があり、雰囲
気も明るいですね。
 ブリッジには沢山の乗組員の方達がいて、見学者の質
問に答えていたのですが、ヒゲ率がやけに高いのがいか
にも船乗りらしい雰囲気
があってカッコいい。
 化学防護マスク着用時に隙間が出来てしまうので、自衛
隊ではアゴ髭はご法度
だそうですが。海自の皆さんも生や
してみたらどうでしょうかねえ、口ヒゲ




 ブリッジ後方左舷にあった、無線通信室。オーディオマ
ニアか無線マニアの部屋みたいですが、本棚に掛けられ
脱落防止ベルトが船の中だと言う事を感じさせます。
 また、通信機器の上には海自艦艇のプラモデルが並び、
壁には空自のカレンダーが。お好きな人がいらっしゃるみ
たいです(笑)。
今頃ちくまを見に行っているのかなあ。
 また、機関制御室には護衛艦いせの進水式で配られる
絵葉書
がありました。乗組員の方に質問すると、この船は
いせと同じ造船所で造られたとの事。建造された時期がズ
レているのですが、たまたまドック入りか何かの時期が重
なって、いせの進水式に招待されたのかもしれません。



 無線通信室を見学していると、SAA水兵さん
「○○さん(私の本名)、こんなの貼ってありますよ。好き
でしょ、こういうの」

 何かと思ったら、船内食堂の献立表でありました。うー
ん、流石に私のツボをよく心得ていらっしゃる(笑)。危うく
こんな素晴らしいブツを見落とすところでした。
 和洋中を巧みに取り込んであり、栄養バランスもよくとて
も美味しそう。甘鯛塩焼きも出るみたいで、豪勢ですね。
 昼食しかない日は、恐らく母港の新潟港に入港中で、
出勤して夕方自宅に帰る勤務パターン
なんでしょう。
 当直の夜食はカップめん。ちなみに金曜日の昼食は
レー
ではありませんでした。



 右ウイングから見た前甲板部。浚渫作業や油回収作業
で使用される機械類が、所狭しと詰め込まれています。
 ちなみにこの甲板部の下は巨大な泥艙になっていて、海
底から浚渫ポンプでくみ上げた大量の土砂を貯め込み、
指定された海域まで運んだ後は船底のバルブを解放して、
排出する仕組みになっています。
 両舷には2基の油回収装置が設置されています。オイル
フェンスで囲った海面にクレーンで装置を下ろし、漂う油を
吸いこんだ後は遠心分離機にかけて海水と油に分離させ、
油だけを船内の水槽に回収する仕組み。
 また、投げ込み式の回収装置もあり、流出から時間が経
過し、粘度が高くなった油も回収する事が出来ます。



 左舷に設置された航海灯・・・って、あれ?なんで赤と緑
が同じ場所についてるの?

 船の航海灯は、右舷が緑左舷が赤。その他2つのマ
スト灯
船尾灯の位置や見え方から、闇夜でも相手の船
の進行方向
が分かる仕組みになっているのですが、赤と
緑の航海灯が並んでいるってどういう事?
するとSAA水
兵さんが、
 「後進をかける時に切り替わるんじゃないですかね」
 ああ、成程。試しに近くにいた乗組員の方に尋ねてみる
と、まさしくその通りでした。いやー、さすがは元護衛艦乗
組員。
根っからの一般人な私は、そんな発想が出ません
でした。いや、普通は分かるのか(笑)。



 いやあ、初めて見た大型浚渫兼油回収船、実に興味深
い船でありました。海自が保有する各種支援船もそうです
が、何かの特殊な目的に特化した艦艇って面白いですね
え。
 さてこの後は、程良く人が引いた護衛艦ちくまに向かい
ます。








 艦首から左舷を回って後甲板へ。そこで艦長さんが指さ
す方向を見ると、なんか不審な人物が。護衛艦ちくまのマ
スコットキャラクターである、JOLLYDRAGONの着ぐるみを
着た隊員さんでした。
「○○さん(私の本名)、ああいうの好きでしょ(笑)」
 うーん、お二人とも私の趣味をよく分かっているすぎる!
まさしく仰る通りです(笑)。
 ちなみにこの着ぐるみ、乗組員の方の奥様によるお手製
との事。見ると手の部分はイボ付き軍手を逆に使う等、随
所に低予算化の工夫が凝らしてあり、よく出来てるなあ
 隊員さんもそうですが、ご家族の方にもいろんな特技を
持った人がいるものです。



 背中にはちゃんと背びれ尻尾までついていました。
「この炎天下、中に保冷材でも入っているのかなあ・・・」
 と艦長さん。尋ねてみるとそんなものは一つもない上に、
途中で交代するはずだった隊員さんがどこかに行ってしま
った(逃げた?)
らしく、健気にも朝から一人で頑張ってい
るそうです(笑)。
 また、この隊員さんが実に面白い人で、着ぐるみが余り
に似合ってますけど、普段からこの格好で仕事しているん
ですか?
と思わず尋ねてしまったところ(失礼な)、
「いや・・・1着しかありませんので・・・それでは洗濯できな
くなってしまいます・・・」

との事。2着あったら一日中着ているんでしょうか(笑)。



 港内巡りの遊覧船に、大きく手を振るJOLLY DRAGON
(笑)。サービス精神もたっぷりですね。後にいる子供さん
も興味津津らしかったのですが、微妙に距離をとっていま











        以上で護衛艦ちくまの見学は終了。艦内を見学する事が出来なかったのは少し残念でしたが、今回の北陸
       遠征はこれ以上ないぐらいに天候にも恵まれましたし、来てよかったなあ。
        さて、この後は3週間のインターバルを置いて、いよいよ今年の夏最後の大イベントとなる呉地方隊展示訓
       練
ですね。まあ例によって、応募はさくっと全滅してしまった訳ですが(泣)。当選する事を妄信して、お盆休み
       は全部仕事で埋めてしまったんですから、せめて各出港地で行われる前日の一般公開ぐらいは見に行くつも
       りです。

        9月以降の2013シーズン後半戦は、各地の陸自イベントが中心になりますが、毎年お楽しみの伊丹と福
       知山は参加確定
として、第10師団第13旅団にも遠征の足を伸ばしたいなあ。あと、ガソリンももう少し安
       くならないものか・・・と考えながら、帰りの高速道路の大渋滞に巻き込まれる私でありました。




トップページに戻る
イベントレポート目次に戻る