練習艦せとゆき一般公開  in姫路港ふれあいフェスティバル

2013.07.15



        兵庫県の姫路港で行われたTV3518練習艦せとゆきの一般公開に行ってきました。この一般公開は姫路
       港ふれあいフェスティバル
の一環として毎年行われ、私もかれこれ3回目の参加です。今回入港したのは、
       る意味今一番話題になっていると言ってもいい練習艦せとゆき
。1986年の就役以来、海上防衛の最前線で
       体を張ってきましたが、2012年に練習艦に艦種変更され、今年の3月からは海上自衛隊初の女性艦長であ
       る
東良子2等海佐が指揮を執っている艦であります。
        ちなみに同じタイミングで練習艦しまゆきにも大谷三穂2等海佐が艦長として就任し、このおふた方は防大
       でも同期の間柄。したがって、海上自衛隊初の女性艦長は双子と言う事になりますね。
        昨日の晴天とはうって変わって、本日の近畿地方は朝から軒並み雨マーク。第二神明から加古川バイパス
       に入る頃には車のフロントガラスを雨粒が叩き始め、勘弁してくれよう・・・とぼやきつつ姫路港に到着です。
        雨に煙る埠頭には、曇天の空をバックにしたせとゆきの姿が!いやあ、はつゆき型は一番好きな護衛艦
       ので、テンションが上がりますね。昨年は姉妹艦のはるゆきが来てくれましたし、姫路港は相性がいいなあ。
        それにしても、今日は朝から半袖では寒いぐらいの気温です。見る間に雨脚も強くなってきて、慌てて舷門
       近くのテントに避難。せっかくの海の日の艦艇一般公開、果たしてどうなる事やら・・・。




 艦首からマストを通して艦尾まで掲げられた、国際信号
旗による満艦飾。

 これは、停泊中の自衛艦が原則として祝日(建国記念日
・天皇誕生日・憲法記念日・海の日・文化の日)と自衛隊記
念日
、あと観艦式の際に行いますが、寄港先が何かのお
祭りや記念日だったりした場合にも、景気づけとして掲げ
る事があります。
 まあ運動会の万国旗みたいなものですが、国旗の先後
上下で優先順位を表しているという誤解を避けるために、
国際信号旗を使用しています。




 見る間に雨が強くなり、慌てて舷門わきにあったテントに
潜り込みます。
 はつゆき型の舷門は飛行甲板の真下になるので、こうい
う時は有難いですね。
 また、あぶくま型やたかなみ型、こんごう型の様な頭上に
飛行甲板がない艦の場合は、組み立て式の臨時の屋根
設置されます。







 埠頭に展示されていた03式中距離地対空誘導弾。兵庫
県の青野原駐屯地に所在する、第340高射中隊からの参
加です。
 他にもすぐ近くの姫路駐屯地第3特科隊からは指揮通
信車
155oFH−70榴弾砲が、同姫路駐屯地の第3高射
特科大隊
から93式近距離地対空誘導弾が参加して、お祭
りに花を添えていました。
 自衛官は基本的に片手が塞がる傘を使わないので、ずぶ
濡れになりながら平気な顔をしている隊員さんを、小さな子
供が不思議そうに眺めていたのが印象的でした。




 雨模様にもかかわらず埠頭には沢山の行列が出来た所
為か、時間を少し繰り上げて乗艦開始。
 この頃には丁度雨脚が弱まってきたのですが、ベビーカ
ーを預かって運ぶ海の隊員さんも傘は使いません。
 もっと雨が酷くなる時は、専用の黒い雨衣(あまい、レイン
コートの様なもの)
を着込みます。








 せとゆき艦尾の飛行甲板。この雨降りの中、嬉々として飛
行甲板で撮影しているのは私ぐらいのものか・・・(笑)。
 飛行甲板の奥に見えるのは、SH−60J哨戒ヘリの格納

通常はこの中で着艦したヘリコプターの整備作業を行いま
すが、せとゆきは護衛艦から練習艦に艦種を変更している
ので、代わりに実習幹部用の実習講堂を搭載しています。







 これが格納庫内の実習講堂。艦内には科員食堂があり、
簡単なミーティングや研修などを行う事は出来ますが、実習
幹部(幹部候補生学校を卒業したばかりの、部隊配属前の
幹部)
は、ここで実習を受けます。
 あからさまなプレハブで少し頼りなげですが、このせとゆき
と共に世界を回るかしま最初から練習艦として建造されて
いるので、専用の教育研修設備が充実しています。
 ちなみにこの実習講堂、甲板の当て板にきっちりと溶接
て固定されていました。そりゃ艦が揺れて教室がギギギと滑
り始めたら、実習どころではありませんし(笑)。




 せとゆきに乗り込んでいたピクルス王子。ご存じ、防衛省
のマスコットキャラクターであります。が、しばらく見ない間に
すっかりぽっちゃり体型になっていました。
 サウスパークのエリック・カートマン
みたいで、個人的に
常に親近感がわく
のですが(わくなよ)、せとゆきの食事はそ
うとう美味い
みたいですね。うーん、私も食べてみたいなあ。







 舷門では隊員さんが乗艦規制をかけていて、お陰で乗艦
後はじっくりと見て回る事が出来ました。
 それにしても、この雨の中凄い行列です。本当に自衛隊イ
ベントに来る人の数が増えましたねえ。
 よく考えたら、私の初めての体験航海も雨ふりだ
ったのですが、今日とは比べ物にならないぐらい閑散として
いました。
 ってか、和歌山の新宮港で護衛艦ゆうぎりに乗せて貰った
のはもう10年も前か・・・。私はあれこれ趣味に手を出して、
どれも長続きしないタイプなのですが、それだけに感慨深い
なあ。



 
 艦のあちこちに取り付けられている救命浮環。浮き輪(うき
わ)ではなく、浮環(ふかん)と呼びます。
 左側についているのは信号灯で、夜間や視界のきかない
夜間や曇天時に要救助者を発見されやすくしています。
 ちなみに浮環に描かれた数字が奇数の場合は右舷、偶数
の場合は左舷に設置してあり、数字の若い順番に艦橋から
後方に向かって設置されています。
 この画像の場合、右舷の前から6番目に設置してある救命
浮環・・・
と言う事になります。





 少し沖合で放水展示を行っているのは、海上保安庁の巡
視船PC54ぬのびき
。港湾内での火災等の消火作業でも大
活躍します。
 晴れていたら涼しげだったと思いますが、7月とは思えない
肌寒さ
の当日は、放水もいまひとつ元気無さそう。
 このほかにも海保からはCL142ひめざくらが参加して、港
湾内の警備や展示を行っていました。






 
 左側手前の四角いのがアスロック発射機。敵潜水艦の潜
んでいる海域のすぐ近くまで魚雷をロケットで打ち上げ、着
水後は誘導装置で敵潜水艦を追い詰めます。
 その向うに見えるのは、62口径76o単装速射砲の後頭
部(?)。砲塔内は無人で運用され、対水上艦から対航空機、
ミサイルまで幅広い範囲をカバーします。
 四角四面のアスロック発射機と丸っこい砲塔がアンバラン
スに見えますが、艦全体で見ると非常に美しいプロポーショ
になっているのが、はつゆき型護衛艦の魅力ですね。





 艦首から、せとゆき正面を撮影。76o速射砲、アスロック、
艦橋、
そして満艦飾が一直線に並ぶ撮影ポイントですが、生
憎の雨のせいでが・・・(泣)
 あと、雨降り時の護衛艦の甲板は滑りやすくなっています。
上の画像にある、白線で囲まれたウォークエリアは滑り止め
塗装が施されていますが、出来れば晴天時の見学でもしっか
りした靴で来る方がいい
と思います。







 以上でせとゆきの見学は終了。艦橋や艦内の公開が無か
ったのは残念でしたが、雨で足元が危ういですし人も多かっ
たので、仕方ないですね。
 その後は広場で行われているふれあいフェスティバルの屋
へ直行です。画像は姫路名物のすじコン焼きそば。爽や
かな酸味の効いたソースと甘辛く煮込んだすじ肉とコンニャ
クがよく合って、実に見事なお味。出来たての熱々感も、雨
に打たれて冷え切った体には最高のごちそうでありました。
 しかし本当に姫路は焼きそばのレベルが高いなあ。




 昨年は沢山の人で賑わったイベントステージ前広場も、今
日は悪天候のせいで淋しい風景。
 途中で挨拶に立った実直そうなオジサンが、
 「本日はこの天候にも関わらず、大勢のお客さんにご来場
いただきまして・・・」

 と、ついテンプレ挨拶を言ったところで気まずそうに口ごも
り、
 「・・・やや控えめな人数でありますが・・・」
 と言い直していたのはトホホでした。
 まあ、つい言っちゃいますよねえ。突っ込んであげた方が
良かったんでしょうか。




 駐車場から見た練習艦せとゆき。この適度にゴチャゴチャ
した艦橋や煙突、格納庫回りのフォルム
がたまりません。
 今風のスッキリまとまった艦もシンプルでカッコいいのです
が、やはりはつゆき型はいかにも護衛艦らしくて(今は練習
艦ですが)、一番好きな艦種だなあ。









 せとゆき艦尾。はつゆき型独特の三段甲板です。艦幅が
狭い所為で格納庫が縦に長く見え、重武装のお陰もあって
やや腰高な印象ですが、実にまとまりがいいなあ。
 ちなみにSH−60J哨戒ヘリが着艦する一番上が飛行甲
、シースパロー発射機が鎮座する真ん中は短SAM甲板
そして自衛艦旗がたなびく一番下は後甲板と呼び分けてい
ます。






        最後は海の日記念行事の会場となっていた埠頭の建物のベランダから、せとゆきを撮影。うーん、晴れていた
       ら絶好の撮影ポジションなんですけどねえ。この頃には雨足は若干弱まっていたのですが、今日は天候に嫌わ
       れてしまいました。

        その後は建物内のトイレを利用したのですが、たまたまトイレから出ようとした陸自の隊員さんが鏡の前で姿勢
       を正し、戦闘服の乱れをきちきちと素早く点検していたのが実に印象的でした。今日は人前だから・・・と言う訳で
       はなく、普段から身嗜みや整理整頓をきちんと叩き込まれている事が伺える所作ですね。
        私と目があったその若い隊員さんは、ちょっと照れたような表情でトイレから出て行ったのですが、多くの国民
       が自衛隊に注目し、心強く感じている事を、今日のイベントを通して隊員さん達一人一人が感じてくれればいいな
       あ・・・
と思いつつ、チャックに手をかける私でありました。




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