2013.07.20
兵庫県の阪神基地隊で行われた、TV3518練習艦せとゆきの一般公開に参加してきました。当日は毎年夏
恒例の阪神基地隊サマーフェスタが開催され、沢山の屋台も立ち並んで朝から大賑わい!・・・なのに、朝は仕
事で参加する事が出来ず(泣)、阪神基地隊に転がり込んだのは1330。うーん、土曜日のイベントは参加しづら
いなあ・・・。まあこの頃なら人出も落ち着いているでしょうし、ゆっくりと練習艦せとゆきを見学出来るかな?
というか、せとゆきはつい5日前に姫路港で見たばかりなんですよね。しかしあの日は大粒の雨が降る悪天候
でしたし、神戸の美しい山や海を背景にしたせとゆきを思い浮かべるとやっぱり我慢できず、ついやってきてしま
いました。
阪神基地隊に到着。お昼を過ぎて人出が落ち着き、夏の
午後らしいけだるい雰囲気が漂う会場ですが、私のテンシ
ョンは上がっております(笑)。
正門で貰ったパンフレットを見ると、焼きそばやカレーの
屋台とともにタコライスの出店が!!私大好きなんですよ
タコライス!ホットソースだばぁ!!
しかしこの時間にはすっかり売り切れてしまい、屋台は陰
も形もありませんでした。ぐぬぬ、無念すぎる・・・。
岸壁にはTV3518せとゆきとTV3513しまゆきが、仲良
く並んで停泊していました。本日一般公開されるのはせとゆ
きのみですが、今年3月からしまゆきには大谷三穂2等海
佐が、せとゆきには東良子2等海佐がそれぞれ海上自衛
隊初の女性護衛艦艦長として就任しています。
ちなみにおふた方は、防大40期(女子学生1期)の同期と
いう間柄で、こうして並んでいると、文字通り艦まるごとが双
子の姉妹の様に見えます。
この時間なら人も少ないだろうとタカを括っていたものの、
甲板はご覧の通りの大混雑。とは言えこの人達は上陸する
為の行列で、乗艦はスムーズにできました。
シースパロー発射機と飛行甲板の間には、日除けのため
のタープが張られていました。真夏の炎天下の一般公開と
いう事で、せとゆきの乗組員の方達が気を利かせた模様で
す。
接近してくる敵航空機を撃墜すべく、キッと上空を睨み据
えるシースパロー発射機ですが、こうして本来とは全然違う
仕事で大活躍している姿は、なんともユーモラスというかトホ
ホというか(笑)。
艦と岸壁とを繋いでいる舫綱。緩みが出ないよう、ボラー
ド(2本突き出ている円柱状の突起物)に8の字で巻きつけら
れています。
画像の舫綱はかなり古びていますが、新しい舫綱と古い舫
綱では掛けていい張力が違います。また潮汐に合わせて艦
も上下するので、艦を岸壁に安全かつ確実に固定する艀(は
しけ)作業では、長年培った船乗りとしての経験が第一。
時折この舫綱に足を掛けたり踏んづけたりしている人がい
ますが、危険な上に艦にも乗組員の方達にも大変失礼な行
為です。
右舷に続く、艦橋へ上がる行列の最後尾。ここから艦橋ま
では、何と45分待ち・・・。とは言えこれでもまだマシな方で、
午前中の混雑はもっと凄かったそうです。
1430からは、ヘリポートに駐機しているUH−60J救難ヘり
が帰投のために離陸しますし、この行列に並んでいてはその
様子が見れそうにないので、艦橋見学はパスします。
せとゆきとしまゆきはラッタルで繋がっていて、そこにはし
まゆきのバナーが掛けられていました。
画像の部隊章はしまゆきのものですが、何かに似てるなあ
・・・と思ったら、うちの凶暴な3等猫曹でありました(笑)。
水兵帽を被ったPOLAR BEAR(北極熊)が、潜水艦を捕
まえて歌舞伎役者のごとく見得を切っています。
しまゆき前甲板。62口径76o単装速射砲回りの甲板では
塗粧作業(ペンキの塗り直し)の最中でした。
海自艦艇はとにかく日常のメンテナンスに手を掛けるので、
他国海軍艦艇のようにあちこち錆だらけ・・・という事は殆ど
ありませんね。みなさん本当に艦を大事に大事にしておられ
ます。
特に練習艦ともなると、実習幹部に艦艇勤務のイロハを叩
き込む上に、諸外国を巡って外交的な役割も果たさないとい
けません。艦長を筆頭とした乗組員の皆さんは、艦と同様に
日本を代表する立場でもあるのです。
YF2131(沖止めされた艦と岸壁を行き来する交通船)に
よる、港内クルーズ体験。当日配布の乗船券を手にする事
が出来た人たちが乗り込んでいます。
艦艇見学だけでなく、ラジコン広場やプール開放等、ご家
族連れでも楽しめる様々なイベントが盛りだくさんです。
今回はタイミングを逃して乗船できませんでしたが、一度
乗ってみたいなあ。
前甲板にいた女性の一等海尉さんにお話を伺っているう
ちに、いよいよUH−60J救難ヘリの離陸時間が近づいてき
ました。
ヘリパッド周辺のクローズが始まり、整備員の人達がテキ
パキと機体各部のチェックを開始。機長と乗組員達も合流
して、飛行前の最終ブリーフィングが行われます。
その間も見学者を退屈させないよう、岸壁では手旗信号や
ラッパ吹奏展示が行われます。
司会役の隊員さんはなかなか堂に入っていて、
「このトランペット、皆さんが御存じのトランペットとは少し違
うところがあります。どこかおわかりでしょうか?はい、そこの
お母さん、あ、すみません、お姉さん!」
と巧みに観客を弄り、上手く場を盛り上げています。
また行進を始めたラッパ隊の人達も、司会の指示を無視し
て勝手に歩き回ったりで、いろんなネタを仕込んで観客を楽
しませていました。ご立派です。
エンジンの排気音がひときわ甲高くなり、ブレードが空気を
切り裂く音が会場内にびゅんびゅんと鳴り響きます。
機体下部のフラッシュライトが点滅を始め、ヘリパッド周囲
の芝生がダウンウォッシュで飛び散る中、UH−60J救難ヘ
リは離陸開始。
機長以下6名の乗員並びに整備員を乗せたUH−60Jは、
6d超という機体重量を感じさせない実に滑らかな離陸を披
露。
ちなみにこのUH−60J、強力なエンジンの他に赤外線暗
視装置や航法気象レーダー、精密慣性航法装置を搭載して
おり、警察及び自治体のドクターヘリや防災ヘリが飛行でき
ない夜間や悪天候下でのフライトが可能です。
海難救助の現場だけでなく離島で発生した急病人や怪我
人の緊急輸送でも大活躍。過去には、飛行中の機内で出産
を行った事もあるそうです。
離陸したUH−60Jは、観客との別れを惜しむように基地
上空でホバリング。機長席の後部では、日の丸の扇子を持
った隊員さんが手を振っています。
その後は、海上自衛隊徳島航空基地に向けて帰って行き
ました。
機体外の燃料タンクには、徳島県のマスコットキャラである
すだちくん(そのまんまですね)が描かれています。次回は大
阪地本の誇るマスコットキャラであるまもるくんと、丸顔日本
一を賭けて対決してほしいなあ。
UH−60J救難ヘリが去ったあと、急に静かになった阪神
基地隊。いかにも夏らしい空の青さがいい感じですが、普段
一日中部屋にこもって仕事をしている私は、なんかもう立っ
ているだけで溶けそうな陽射しです・・・。
春先の一般公開では一面のシロツメクサが咲き誇り、いか
にも神戸らしいお洒落さがありますね、阪神基地隊。
昨年は午後からの突然の豪雨に祟られたサマーフェスタ
でしたが、やっぱり夏の海自艦艇広報シーズンはこうでない
と。
基地内の駐車場では、陸上自衛隊姫路駐屯地の第3特科
隊からの指揮通信車、同駐屯地第3高射特科大隊からの9
3式近距離地対空誘導弾、そして航空自衛隊白山分屯基地
の第14高射隊からのペトリオット発射機が、イベントに華を
添えていました。
それにしても、三重県の山中深くにある白山分屯基地から
ここまでって、大変だったんでは・・・。帰りは神戸の街で羽を
伸ばして帰ってもらいたいものですが、さすがにそうはいきま
せんね。
隊舎内にあった、セクハラ防止の啓発ポスター。無邪気な
うさだ係長とブチギレ寸前のうさみちゃんが、可愛らしいタッ
チで描かれていて、逆に恐ろしいですね。
呉の基地業務隊の隊員さんが描いたポスターですが、本
当に自衛隊にはいろんな特技を持った人がいます。
「なんで結婚しないの?」と「男のくせに」。両方とも言われ
た経験のある私は、ポスターを見て非常に暗い気持ちにな
ってしまいました・・・。
傷ついてしまったうさみちゃんには、坂田光男2等陸士の
名言である『女の腐ったのが男なんだよ』を捧げたいと思い
ます(これも怒られるのか?)。
いやあ、今回も本当にすごい人混みでしたね。近年の自衛隊イベント人気と重なって、話題の女性護衛艦艦長
が2人そろい踏みした事も、大きな話題を呼んだのでしょうか。
とは言え、お二人ともこれまで艦長として恥ずかしくないだけのキャリアを積み、幾多の試練を乗り越えての今
があるのですから、あまり海自初の女性護衛艦艦長だから・・・と注目を浴び続けるのは、本意ではないのかもし
れません。
しかし、他の女性幹部自衛官や防大の女子学生、今後国防という崇高な職務に自分の人生を賭けようとする
若い女性達にとって、今後も大きな壁であり目標であり続ける事は間違いないでしょう。
自らが切り拓いてきた道に続かんとする後輩たちに、艦に乗り込んでくる実習幹部たちに、そして誰よりも、せ
とゆきとしまゆきの乗組員たちに、お二人のでっかい“女の背中”ってやつを見せつけてほしいですね。
さて、舞鶴地方隊の展示訓練こそ外してしまいましたが、2013シーズン前半戦、この後も全国各地で艦艇イベ
ントが続きます。目下の懸案事項としては8月末の呉地方隊展示訓練の乗艦券が当たるかどうか・・・。笑顔で当
日を迎える事を信じつつ、阪神基地隊を後にしました。
うさみちゃんも容赦ありません(泣)。
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