護衛艦あさゆき一般公開in堺泉北港

2013.10.19



        大阪府堺泉北港で行われた、護衛艦あさゆき一般公開に参加して来ました。今回はるばる佐世保から来
       てくれたDD132護衛艦あさゆきは、はつゆき型の11番艦。すぐ下にいた末っ子のしまゆきが練習艦に艦
       種変更されているので、老朽化に伴い順次退役が始まっているはつゆき型護衛艦の中では、一番若い艦
       なっています。
        残存するはつゆき型護衛艦の一部は延命改修を受けながら頑張っていますが、兵装盛りだくさんの腰高な
       スタイル
や特徴的な後部三段甲板、ステルス性を考慮されていなかった時代特有のごちゃごちゃした艦橋構
       造物
、今時珍しい3段ベッド・・・といった、ピカピカの最新鋭艦にはない味わいを持ったあさゆき。わざわざ地
       元に来てくれたからには見逃すわけにはいきません。土曜日午前の仕事を切り上げ、小雨がぱらつく南海電
       鉄堺駅に到着です。



 大阪地本が準備してくれたシャトルバスに乗り、堺泉北
港大浜埠頭
へ到着。手荷物検査をパスすると、お土産の
ポスターカレンダーを頂きました。
 埠頭には140人近い順番待ちが出来ていますが、ラッ
タル前で乗艦規制をかけているので、甲板上の混み具合
はほどほど。乗艦するまで少々時間がかかっても、乗っ
てしまえば後はゆっくりのんびりと見学できるのがありが
たいですね。






 沢山の見学者が、艦首付近で入れ替わり立ち替わり
念撮影
を行っています。小さな子供があさゆきをバックに
敬礼
しているのが微笑ましいなあ。学生さんと並んで、
族連れは自衛隊にとっては重要なお客さん
なので、色ん
なものを見て分からない事は何でも隊員さんに質問してみ
て下さい。防衛秘密に関する事以外なら、皆さん親切に教
えてくれますよ。
 今日は小雨もぱらつく上にかなり風が強いですが、堺泉
北港は午後からはモロに逆光なので、ちょっと曇っている
位の方が助かります






 ラッタルを渡って降りて来るまもる君。大阪地本が誇る
マスコットキャラクターですが、流石に狭いラッタルは苦手
らしく、地本職員と思しき女性に付き添われて恐る恐る歩
いています(笑)。

 とは言え、水兵服を着ているんですから、もうちょっとシ
ャキシャキ歩いて欲しい
気もしますね(笑)。
 いっその事、次回からは艦に搭載されているクレーン
揚げ降ろししてはどうでしょうか。SHINJYO沢田研二
みたいで(加齢臭が・・・)、見学者からはウケると思うので
すが。
 ちなみにまもる君は大人気で、埠頭ではたこ焼きを片手
に気軽に記念撮影に応じていました。



 昭和の時代を感じさせる、丸っこい煙突。中腹に取り付
けられている三角定規みたいなものは、すぐ下にある
対艦誘導弾ハープーン
の揚げ降ろしの際に使用するクレ
ーン
です。
 実際は埠頭に横付けしたトラッククレーンで揚げ降ろし
する事が殆どで、このクレーンが使用される事はあまりな
との事。まあ、あくまで緊急用ですね。
 後継となったむらさめ型やたかなみ型の、豆腐の様に
切り立ったのっぺりした煙突に比べると、不思議な愛嬌と
いうか表情
の様なものを感じます。





 普段の生活ではまず見る事が無さそうな、急勾配のラッ
タル。
階段と言うよりも、ほとんど梯子ですね。慣れない人
が多いせいか、皆さん手すりにしがみつきながら怖々と下
っています。
 小雨がぱらつく天候だったので、傘を持ってきた人が多
かったのですが、ラッタルの上と下にいる隊員さんが預か
ってリズミカルに受け渡していました。
 滑り止め加工が施されているとはいえ、鋼鉄の甲板は
あちこち滑りやすくなっています。艦艇一般公開に参加す
る時は、スニーカー等のしっかりした靴を履いて来た方が
いいと思います。




 「ようこそ、護衛艦あさゆきへ!」
 舷門では警衛の隊員さんが敬礼でお出迎え。とはいえ、
何時間もひっきりなしに乗艦者が続くので、終わった後に
は右腕の筋肉に地味にダメージが残りそうな・・・。艦艇乗
り組みの隊員さんは運動不足になりがちなので、敬礼の
しすぎで体を壊すといったトホホな話
にならないか、心配
であります(笑)。
 以前の一般公開は本当に人もまばらで、たまに乗り込
んで来る人にその都度敬礼するだけで済んでいた
んです
よねえ。時代の移り変わりを感じるひとコマでした。





 行列の最後尾についてから乗艦するまで、実に40分の
待ち時間。
とはいえ、最近はどの艦艇イベントもこんな感
じなので、なんかもう慣れてしまいました(笑)。
 ちなみに埠頭に舫綱で固定されている護衛艦ですが、
波の影響でゆっくりと動いています。艦と埠頭を繋ぐ舷梯
の下部にはキャスターが取り付けられていて、艦の揺れ
るリズムに合わせてころころと動いている
のが確認できま
す。
 埠頭で行われていた車両展示で来ていたのか、途中で
戦闘服姿の陸自の隊員さんが降りてきましたが、トイレで
も借りてたのかな?




 ようやく上艦。後部の飛行甲板には、SH−60J哨戒ヘ
が展示してありました。
 湿気潮風といった、精密機械には過酷すぎる環境下
で頑張る艦載ヘリ
ですが、一回飛行するたびに入念な整
備を行い、50時間や100時間単位で大掛かりなオーバ
ーホール
をかけ、常にコンディションの維持に努めていま
す。
 ちなみにこのSH−60Jは、もうかれこれ12年も飛び回
っていて、現役で飛べるのはあと5年ほどとか。最後まで
事故を起こす事なく、無事に飛び続けて欲しいものです。





 SH−60J哨戒ヘリの後部キャビン。奥に見えるのは、
センサーマンが操作する戦術情報処理装置です。
 ソノブイディッピングソナーMAD等の様々な哨戒用
電子機器を操作して、「悪い子(潜水艦)はいねーがー?」
と海域上空を執拗に捜索する事から、サブマリナーから
ナマハゲと呼ばれて怖れられている・・・というのは、私
がさっき思いついた作り話であります。
 「ナマハゲが来たぞー!」「逃げろー!」
 あと、帰ってから画像を見直していて気付いたのですが、
戦術情報処理装置の下に応急糧食が置いてありますね。
うわあ、何で現場で気付かなかったんだ!次は色々質問
してみよう・・・。



 後部3段甲板の中段にあたる、短SAM甲板。艦に迫り
くる航空機を迎撃すべく、シースパロー発射機が待ち構え
ています。
 こんごう型護衛艦以降はVLSによる垂直射出方式に切
り替わり、すっかり影が薄くなった感がありますが、いまい
ち何を考えているのかよく分からないVLSよりも、
 「それ以上近づいたら撃ち落としたるぞワレー!」
 と言わんばかりのこちらの方が、私はなんとなく好きで
すね。個人的に、シースパロー発射機には関西弁が似合
気がします。ハッタリが効いているというか、ケレン味が
あって役者っぽいですよね。




 格納庫内。はつゆき型は艦幅が狭いので、随分縦長な
感じです。これもはつゆき型のトップヘビーな印象を際立
たせている一因でしょうか。
 飛行を終えたSH−60J哨戒ヘリコプターは、ベアトラッ
リテーニングレールを使ってこの格納庫内に引き込ま
れます。
 護衛艦の中では一番広いまとまったスペースなので、体
験航海ではグッズや飲み物の売店が出たり真夏の日差し
を避ける休憩所になったり、子供用制服試着コーナーに
なったりと、多目的的に使われます。
 




 埠頭では、すぐ近くにある陸上自衛隊信太山駐屯地
第37普通科連隊から駆け付けた高機動車軽装甲機動
、あと兵庫県千僧駐屯地第3偵察隊からの87式偵
察警戒車
が、地上展示で華を添えていました。
 手前の軽装甲機動車のルーフ後部には、荷物を搭載す
るための落下防止柵が取り付けられていました。へー、こ
んなのもあるんですね。初めて見ました。
 後で隊員さんに聞いてみたのですが、軽装甲機動車の
中は見た目よりもかなり狭く、隊員さんが完全装備で入る
とロクに物が置けなくなる
ので、荷物はルーフの上に縛り
つけてしまうそうです。




 埠頭では、先程よりも乗艦待ちの行列が増えて240人
になっています。小雨が降った所為で、出足が遅かっ
たのかな?生憎の天候ですが、沢山の人達が自衛隊の
イベントに足を運ぶのは実に喜ばしい事です。
 ただ少し残念だったのは、艦内や艦橋が公開されなか
った事
ですね。濡れた靴で艦内を歩くのは慣れていない
と危険かもしれませんが、せめて小さな子供だけでも艦
橋に上げて、艦長席に座らせてあげて欲しかった気がし
ます

 
見学者を選別するのは異論があるでしょうがここはも
う少し柔軟に考えてもいいと思いますね。もしかしたら、
来の海上防衛を担う人材になるかもしれませんし。



 艦橋の手前にそびえ立つアスロック発射機。発射後は
艦橋下部の弾倉から、全自動で次弾の装填が可能です。
 実にメカニカルな感じでカッコイイのですが、発射後は
ケットモーターの噴射炎で辺り一面の塗装が丸焦げ
にな
り、その後の煤落とし再塗装が非常に面倒な上に、甲
板埋め込み式のVLSに比べるとステルス性能耐堪性
で大きく劣る為、シースパロー発射機とともに近年建造さ
れる大型護衛艦からは姿を消しつつあります。
 そしてこれも、妙に関西弁が似合う気がします(笑)。
 「オラーそこの潜水艦ー!逃げても無駄じゃボケェー!」
 シーマンらしい品性には著しく欠けますが、そう言ってい
る気がしませんか(笑)?



 上空を睨み据える、76o62口径単装速射砲。127o砲
が主流になる現行の大型護衛艦に比べると、火力的に見
劣りがしますが、3000トン以下という枠でできっちりまとま
っているはつゆき型には、ちょうどいいバランス
だと言える
でしょう。
 小型軽量を生かして一分間で最大110発もの射撃が可
という、小粒でピリリと辛い奴であります。
 背後でガチャガチャと関西弁でわめいているアスロック
発射機君
に対して、やれやれというかトホホという感じで
あっちを向いているのがなんとも・・・(笑)。






        以上で護衛艦あさゆきの見学は終了。この頃には夕食の準備が本格的に始まったのか、甲板には美味し
       そうな香り
が漂っていました。まだ沢山の行列が出来ていたので、艦に残っている人達の夕食は随分あとに
       ずれ込んだのではないでしょうか。
        せっかくはるばる佐世保から大阪にやってきてくれたのですから、乗組員の人達にはゆっくりと羽を伸ばし
       て貰いたいですね。
        鯖江駐屯地から始まった私の2013シーズン後半戦も、あっという間に折り返し地点に差しかかりました。
       10月に入って随分気温も低くなってきましたが、まだまだお楽しみは続きます。来週は神戸港に護衛艦くら
       ま
がやってきますし、11月には姫路福知山が入ってきます。今年も締めは呉江田島の遠征にしたいなあ。
       年内いっぱいはイベントレポートの更新に追われそうですが、溜まっている糧食試食レポートや用語集の追
       加を発表できるのはいつになることやら。
        あと、もうかれこれ2年位前から同じ事を言ってる気がしますが、いい加減撮影機材も更新したいし・・・。
       々と頭を悩ませつつ、堺泉北港を後にしました。




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