訓練支援艦てんりゅう一般公開in堺泉北港

2012.10.20

        大阪府堺泉北港で行われた、訓練支援艦てんりゅうの一般公開に参加して参りました。ATS4203てんりゅ
       う
護衛艦の対空射撃訓練で使用される無人標的機の射出、飛行管制を行うために建造された艦で、フェイ
       ズドアレイレーダーでの無人標的機の運用のみならず、ミサイル評価装置による射撃艦の評価をも担当し、
       僚艦のATS4202くろべと共に、護衛艦隊、特に中核となるイージス艦の対空射撃精度の向上に大きく貢献
       している艦
であります。
        昨年大阪湾で行われた呉地方隊展示訓練にててんりゅうの姿を見る事が出来ましたが、実際に乗艦するの
       は実に4年ぶり。前回乗艦時は阪神基地隊で一般公開が行われ、直前に思い切って購入した一眼デジで撮影
       に臨んだ初めてのイベント
だったという事もあり、非常に印象に残っている艦でもありました。そういう意味では
        「久しぶりだね、ちょっとはマシな写真が撮れるようになった?ん?んん〜?」
        と、まるでてんりゅうに試されている様な気分で、未だにへっぽこな腕前のままの私としては、曖昧な笑みを浮
       かべざるを得ない・・・
というちょっと微妙なイベント参加となりました(笑)。




 てんりゅう艦橋部。フェイズドアレイレーダーが収納され
独特の形状のマスト基部、タバコの箱を2つならべた様
煙突・・・と、かなり独特のスタイルです。
 艦首部分にかかる埠頭は立ち入り禁止となっていて、
斜め前からの撮影は出来ませんでした。
 到着した時は既に昼を過ぎていたので、埠頭は意外と
空いていて
、先着順に配られるポスターカレンダーこそ貰
い損ねましたが、快適に見学する事が出来ました。







 「ようこそ、てんりゅうへ!」
 先週参加したばかりの観艦式の疲れも見せず、隊員さ
んが笑顔でお出迎えです。











 てんりゅう右舷舷側通路。艦の大きさとしてははつゆき
型護衛艦
よりも小さいのですが、特殊な用途の艦だけあ
って艦幅に余裕があり、通路も広々としています。
 護衛艦の様な最大速力は要求されませんし、あまり幅
が細いと揺れやすくなるので、無人標的機を回収する際
に危険ですし。
 何よりも隊員さんにとっては、余裕のある艦内スペース
が有り難いでしょうね。






 艦首部分より、76o速射砲越しにそびえ立つ艦橋を撮
影。堺泉北埠頭は自宅から自転車で行けるので有り難い
のですが、いつ来てもこのド逆光には泣かされます。
 まあこれはこれで、威圧感があってカッコイイ様な気もし
ないではないですが。
 76o速射砲の説明を担当していた隊員さんが
 「この砲の射程距離は、約16qです」
 と言うと、聞いていた人達からは驚きの声が上がりまし
た。





 艦橋後部と煙突基部の間の通路に、ブローアウトパッチ
(画像中央に4つ並んだ丸いフタ)がありました。本来弾薬
庫等に被弾した際に、発生する爆風を艦の外に誘導して
被害を最小限に抑える為のもの
ですが、何でまたこんな所
に?
 そばにいた隊員さんに尋ねると、丁度この裏側が無人標
的機の整備庫
になっていて、航空燃料固体燃料等があ
り、万が一の火災の際を想定して取り付けられてあるとの
事でした。





 ブローアウトパッチの対面に縛り付けられていた、溺者
救助訓練で使用されるお人形
です。何と言うか、あまり真
面目に働いてくれなさそうな風貌
が気になります。
 このお人形の顔は各艦それぞれにてんでバラバラなの
で、ある意味その艦の空気を如実に表していると言えま
すね。全く何も描かれていない無味乾燥なのっぺらぼう
ったり、もの凄く恐ろしい顔が描かれてあったり、思わず
噴き出してしまいそう
な顔だったり。
 あとこのお人形には、以前その艦に乗艦していた名物
先任伍長の名前
がつけられている事が多いそうです。





 後部の飛行甲板には、高速標的機ファイヤー・ビー(奥)
チャカV(手前)が展示されていました。
 艦尾方向からは順光になるので、標的機のオレンジ
艦の暗灰色も空の青さもいい感じであります。
 格納庫の上には大きな窓が並んだ飛行管制室があり、
標的機の射出から誘導管制、揚収作業を見守ります。







 こちらは高速標的機ファイヤー・ビー。東日本大震災直
後に書きこまれた応援メッセージが残っています。
 展示されている機体はドンガラだけですが、実際は機体
下部にジェットエンジンを搭載しているので、回収後の
水を被った機体の整備
は大変だそうです。
 本格的な点検は呉に戻って専門の整備部署に引き渡し
てからになりますが、発射訓練があった日は、深夜遅くま
で機体のメンテナンスが行われるとの事。







 後ろから見ると、本当にジェット機そのものですね。
 ちなみにファイヤー・ビー自体が標的になる訳ではなく、
この高速標的機が曳航する標的を狙って護衛艦が射撃
訓練を行うので、正確には高速標的曳航機、といった方
がいいのでしょうか。
 たまに間違ってこの標的機に当ててしまう事もあるそう
ですが、
 「当たりどころが悪いと、着水しても沈んで回収出来なく
なるんですよ、ちなみにこれ一機で3億円です(笑)」

 との事。




 手前の黄色い円筒形が、射出後の初期加速段階で使
用する固体燃料ロケットです。これを使って一気に速度
を上げ、燃焼後切り離された後は標的機本体に内蔵さ
れたジェットエンジンで飛行します。
 この2つの推進機関で実に1000q以上の飛行が可
ですが、あまり景気よく飛ばすと後で回収しに行くのが
大変
ですし、モタモタしている間に沈んでしまったりする
事もある為、実際の訓練ではせいぜい3〜4q飛ばす程
だそうです。






 こちらは高速標的機チャカV。こうして見ると、まさに
巡航ミサイルそのもの
ですね。ファイヤー・ビーとは違っ
これ自身が射撃標的なので、迎撃された時は木端微
になってしまいます。
 高度10mという超低高度での高速飛行も可能で、よ
り実戦に近い訓練を行う事が出来ます。







 飛行甲板には合計4つの発射スポットがあり、格納庫
から軌条に沿って発射機を移動させます。
 発射スポットは全て左舷に設けられ、右舷に向けて発
射させる事は無いそうです。
 また発射の際には、揚力を稼ぐために左舷を風上に
向けて航行
するそうですが、この辺りは空母から航空機
を発艦させる時と同じなんですね。







 この分配器(って言うのかな?)が回転して、軌条から
4つある発着スポットに発射機を移動させます。ごくごく
シンプルな構造
なので、故障はまず無さそう。
 ちなみに無人標的機の発射は、波が高いと中止にな
るそうです。発射自体は問題ないのですが、着水した標
的機の回収時にはダイバーが飛び込んで機体への玉
掛けを行いますし、引き上げる際のクレーン操作も艦が
揺れると非常に危険な為。
 波の高さは5段階に分けられ、「波1及び2」では訓練
は行われますが、「波3」になると行われません。




        当日は見事な秋晴れの空の下、ゆっくりとてんりゅうを見学する事が出来ました。艦内や艦橋が公開され
       なかったのは少し残念でしたが、訪れた多くの人達が積極的に隊員さんに話しかけていて、色々な出来事
       をきっかけにして、国民と自衛隊との間に存在した無関心や諦めという名の深い溝が徐々に埋まりつつあ
       る
印象を受けました。
        それはとりもなおさず国民から自衛隊に寄せられる期待や信頼の大きさの表れでもありますし、我が身を
       呈して国防という崇高な職務にあたる人達に対し、もっと理解と敬意のある社会であらねばならない・・・
なん
       て事を考えてしまいました。
        あまり真面目な事を書くと簡単にボロが出るのでこの辺にしておきますが(笑)、2012イベントシーズンも
       いよいよ終盤に差し掛かります。これまで自衛隊や国防といったものにあまり関心を持たなかった人達が、
       一人でも多くイベントに参加して色んな感想を持ってくれればいいなあ・・・と思いつつ、堺泉北港を後にしま
       した。




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