護衛艦せんだい一般公開inたまの港フェスティバル

2012.05.26



    岡山県玉野港で行われた、護衛艦せんだいの一般公開に行って来ました。DE232せんだいはあぶくま型護衛艦4
   番艦
で、ゆうばり型護衛艦の後を引き継ぐ形で地方隊の中核を担うべく建造された艦です。満載排水量で2900dと、
   今となってはそうりゅう型潜水艦(満排4200d)よりも小さな艦になってしまいましたが、科員居住区の2段ベッド化
   先駆け
となった艦であり、船体自体のステルス化に関しても走りとなった、なかなかに味わい深い艦であります。
    当日の一般公開は1300からだったため、早朝に玉野港に到着して対岸である香川県高松港へフェリーで移動。サン
   ポート高松で行われた掃海艦隊の一般公開を見学し、昼から再び玉野港に戻って午後からのせんだい一般公開に臨
   みました。玉野港入港直前のフェリーのデッキからせんだいを見ると、一般公開時間の前だと言うのに早くも甲板は人
   で一杯。
埠頭にもすごい数の見学者が集まっていて、どうやら予定よりも公開時間を繰り上げた模様です。


    と言う訳で、玉野港に到着。当日の一般公開はたまの港フェスティバルという大きなお祭りの一環として行われてい
   て、屋台がいっぱいに広がるお祭り会場は沢山の人で賑わっています。とりあえずせんだいに乗る前に、何か一品食
   べてみる事に。

    んん〜、お祭りにありそうな屋台はほぼ全て網羅されていますね。お、ドネルケバブの屋台がありますよ。店先には
   串刺しの巨大な鶏肉の塊がデンと置いてあり、日本語の達者なトルコ人ふたりが屋台を切り盛りしています。


    ちょっと面白そうだったので、チキンのドネルケバブに辛口ソースをチョイス。トルコ人の人はすぐに温めたピタパン
   
(ドラミちゃんの4次元ポケットみたいなやつ)に千切りキャベツをはさみ、焼けた所を削り落した鶏肉を盛ってソース
   をだーっとかけ回してくれました。
    ドネルケバブを食べたのは初めてですが、香ばしくローストされた鶏肉に一味マヨっぽいソースがよく絡んで美味し
   いなあ。
たぶん日本人向けにかなりアレンジされているのだと思いますが、ボリュームもあるし大満足です。うーん、
   トルコ軍の戦闘糧食も食べてみたくなって来ましたよ。しかしどうやって入手しよう・・・。


    さて、お腹も十分満足です。ぼやぼやせずに護衛艦せんだいに向かうとしましょう。このたまの港フェスティバルです
   が、私の想像を超える規模の大きなお祭りだった模様で、せんだいに近づくにつれて人口密度もどんどん高くなり、屋
   台の数もとんでもない事になっています。
    ざっと見ただけでもタコ天、タピオカジュース、串焼き、冷やしパイン、フランクフルト、アイス、クレープ、広島焼き、焼
   きそば、リンゴ焼き、唐揚げ、たこ焼き、ホルモン焼き・・・
と、数え切れないほどの屋台がひしめき合っています。


    それよりも驚いたのが護衛艦せんだいで、えーと、なんなんでしょうこの人の数は・・・。長蛇の列が5重のつづら折り
   
になっていて、この人達が全員せんだいに乗り込むの?まるで聖地目指して巡礼の旅に出るヒンドゥー教徒の様であ
   ります。なんだか目の前の瀬戸内海がガンジス川に見えて来ましたよ。


    目の前に停泊している護衛艦せんだいはすっきりほっそりのスマートな体型で、初夏の日差しを浴びながらも涼しげ
   ですね。関西ではあぶくま型はなかなかお目にかかれない艦種なので、テンションが上がるなあ。
    とりあえず列の最後尾につきますが、待ち人数はざっと歩幅で計算しても500名以上。乗艦出来るまで一体どれ位
   かかるのか想像もできませんが、ここまで来たからには引き返す訳にはいきません。


    舷門の手前で乗艦規制が行われていて、行列はなかなか縮まる様子がありませんが、その分甲板は比較的空いて
   いてゆっくり見る事が出来そうです。ヒマだったので一体どんな人が護衛艦を見に来ているのかチェックしてみましたが、
   意外とマニアの姿が見当たりません。
探すとそれっぽい人はいるにはいますが、それ以外の人の数が多くてあまり目立
   ちませんね。圧倒的に多いのは小さな子供を含む家族連れですが、他にも何だか怪しげな人もいるなあ。
    その後なんだかんだで行列はじりじりと消化されて行き、最後尾についてから44分後にようやくラッタル前に辿り着く
   事が出来ました。
いやー、かかったなあ。こんなの初めてです。


    ラッタルを上って、舷門の隊員さんの挨拶に応えながらせんだい乗艦。甲板から埠頭を見下ろすと、まだ400人は下
   らないであろう人達が列を作っています。右舷にいた若い2曹さんに、今日は凄い人数ですねと話しかけると、
    「いやー、本当ですね、私もこんなの初めてです。驚きました(笑)」


    と言う訳で、まずは艦首に向かいます。艦橋76o速射砲との間が不自然に空いていますが、本来はここにRAM
   設置される筈だったんですよねえ。お陰であぶくま型の鼻先がすっきりと涼しげな印象です。


    埠頭に目をやると、何だか強烈に怪しげな人が歩いていました。何かのイメージキャラクターらしき和服の女性です
   が、その被りモノの顔色が悪い上に中途半端にリアルな造形なので、なんと言うか、すごく怖いんですけど・・・。こうし
   て撮影してみると、まるで心霊写真の様であります。せんとくんどころじゃないですねコレは。


    そうこうしているうちに次の集団の乗艦が始まったらしく、艦首には沢山の人がやってきました。押し出されるようにし
   て右舷に回ります。


    艦中央部のアスロックを過ぎると、お、三連装魚雷発射管です。あれ?よく見ると先端部のカバーが外されていて、中
   には短魚雷の平べったい先端部が見えています。これは珍しいなあ。普段は閉めてある事が殆どなのに。


    よく見ると発射管側面の点検孔も開放されていて、短魚雷のダークグリーンのボディが見えています。何かの点検整
   備の最中なのか、それとも内部を見せる為に開けてあるのでしょうか。係の隊員さんに尋ねてみると、
    「ああ、確かに開けた状態で公開するのは珍しいかもですね。こうして適度に通気させないと、中で湿気るんですよ」
    換気の最中だった模様です。それにしても、繊細なのか雑なのかよく分からない奴ですね、短魚雷って。
    「でも、スクリューの所とか大事な箇所は見せられないんですよ」
    って、点検孔からちょっとだけ見えてるんですけど・・・2重反転プロペラ・・・。所謂ペラチラってやつでしょうか(笑)?
   それにしても佐世保や呉の資料館でもそのまんま展示してあった様な気がしますが、あれはプロペラを入れ替えてい
   たのかな?


    艦尾に向かうと、せんだいグッズ販売コーナーを発見。識別帽やTシャツにデザインされている、アスロックを抱えた
   カッパがめちゃくちゃキュート
ですが、これってせんだいのイメージキャラクターなのかな?横目づかいも決まっていて、
   サンリオで商品展開されてもおかしくないカワイさであります。これ、名前とかあるのかなあ。売り場にいた隊員さんに
   尋ねてみると、
    「さっきの艦内放送では、せんぞう君、って言ってましたよ」
    せんぞう君か。川内川から名前を頂いたせんだいですから、やっぱり川蔵って書くのでしょうか。それとも戦蔵?
    「いやー、どうなんでしょうねえ・・・っていうかこれ、名前あったのか(笑)」
    どうも艦内でのせんぞう君の知名度は今ひとつの模様であります。


    ちなみに護衛艦せんだいのニックネームは、RIVER MONSTERとの事。川内川の河童伝説からつけられたそうで
   す。日本の主権を侵害する者どもの尻子玉を、片っ端から抜きまくってもらいたいですね。
    艦尾の方に向かうと、一人の幹部の方が一般見学者の質問に応えていました。その姿が妙に違和感あるなあと思っ
   たら、まだ若い顔なのに肩の階級章は一等海佐。一佐と言う事は、隊司令なのでしょうか。それにしてもえらい若い司
   令だなあ・・・と思いつつ、右胸のネームプレートをちらりと見てみると、この方が護衛艦せんだいの艦長さんでした。
    え?あぶくま型の艦長で一等海佐?普通一佐で艦長職って、ひゅうがやこんごう等の大型護衛艦か、補給艦等の
   門性の高い特殊な大型艦
だけだったような・・・?
    聞き様によってはいささか失礼な質問になるので、慎重に言葉を選びつつ傍にいた隊員さんに尋ねてみると、
    「はい、あの方がうちの艦長です。一等海佐で、まだ40歳なんですよ」
    えええええ?40歳で一等海佐!?それってかなり珍しいですよねえ。
    「ですね。将来は海幕の上の上まで登り詰める、凄い人みたいですよ」
    うーん、出世スピードが早すぎて役職が追い付かないのか。凄い人もいたもんだなあ。ってか、40歳って私と同年代
   ですよ。なんというか、ちょっと、いや、かなりショックだなあ。同世代に海軍大佐か・・・。何やってんだろう俺・・・。
    それにしても、護衛艦せんだい艦長の一佐、私、そしてバカボンのパパが同世代なんですから、ニッポンのおっさん
   の深さは測りがたいものがありますね。


    最後はなんだかちょっと複雑な気分になりながら、護衛艦せんだいの見学を終了です。乗艦までに44分を要しなが
   らも、見学は僅か20分程で終了してしまいました。うーん、あぶくま型はなかなか艦内に入れません。艦橋とか上がり
   たかったなあ。来月富山県で行われる護衛艦じんつう一般公開に遠征するつもりなので、あぶくま型艦内見学はじん
   つうに期待しましょう。


    埠頭では、陸自の第305施設隊が災害救助関連の装備品展示を行っていました。普通はずらりと並べてあるだけな
   のですが、今回の展示は一風変わっていて、実際に油圧カッターでスチール缶をぺしゃんこにしたり、手動油圧ポンプ
   
裁断機を使って鉄パイプを切断したりと、子供の手でも実際に動かしてみる事が出来るのが面白いなあ。


    岡山地方協力本部も新隊員募集コーナーを展開していて、テントの外には例のマンガのバナーがでかでかと展示し
   てありました。


    最後はもう一度屋台を冷やかして回り、玉野港を後にしました。それにしても今日はお祭りとあって凄い賑わいでし
   たが、普段はもっと落ち着いた港町なんでしょうねえ。すぐ近くのJR宇野駅は、港近くの終着駅らしい独特の雰囲気
   がありましたし、いつかまた何も無い時にふらっと訪れてみたいなあ。
    さて明日は、兵庫県小野市に所在する青野原(あおのがはら)駐屯地の創立記念行事に参加です。中国道宝塚ト
   ンネル手前でお約束の様に渋滞に巻き込まれながらも、無事自宅に帰りつきました。


おわかりいただけただろうか・・・




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