2012.04.29
大阪府和泉市に所在する、信太山駐屯地の創立55周年記念行事に参加して来ました。信太山駐屯地は大正8年に
旧陸軍野砲兵第四聯隊が移駐して以来という歴史ある土地に設立され、現在は第37普通科連隊を中核として第3後方
支援連隊第2整備大隊、第3普通科連隊直接支援中隊、第49普通科連隊第3中隊(本隊は愛知県豊川駐屯地)、その
他会計隊、基地通信中隊信太山派遣隊、警務隊信太山派遣隊、駐屯地業務隊が駐屯する駐屯地であります。
この駐屯地は夏は暑く冬は寒い事でも微妙に有名で、旭川から赴任して来た某連隊長が「北海道より寒く感じる」と驚
いた事からも、あらゆる気象条件を克服して任務を遂行する精強な部隊作りに最適な土地だと言えますね。
当日はバディを組んで参加するHさんの車に拾って貰い、駐屯地裏手の黒鳥山公園臨時駐車場に到着。そこから歩い
て10分程で駐屯地南門に辿り着きます。昨日に引き続き快晴に恵まれたGW2日目と言う事もあり、小さな子供を連れ
た家族連れの姿が多く見られます。
しばらく待って、定刻通りの0900に開門。信太山駐屯地は一般席がすり鉢状のひな壇になっているため、比較的どの
場所からでも式典を見る事が出来るのがいいですね。人の波に乗って、のんびりと式典会場に向かいます。
それにしても久しぶりの信太山駐屯地、あいかわらずグラウンドのシロツメクサがきれいだなあ。余所の駐屯地では土
剥き出しのグラウンドが殆どで、ここは毎年GWの前後に創立記念行事が行われると言う事もあり、グラウンドや周囲の
新緑がとても美しい。陽射しもどんどん強くなっていますし、今日はいい創立記念行事になりそうです。
とりあえず一般席東端上段近くに場所を確保し、まずは駐屯地内を歩き回りましょう。白ペンキの剥げかけた古い木造
隊舎の中からはドコドコドコと太鼓が響いていますが、この信太山駐屯地は旧陸軍が駐屯して以来90年余りの歴史を誇
るだけあり、私好みの古い建築物が沢山あって嬉しいなあ。こういうくたびれかけたボロボロの木造家屋を見ていると妙
にドキドキしてくるのは、自分でも一体どういう嗜好なのか理解に苦しむところではありますが・・・。
開門してまだ間が無いにもかかわらず、広場に展開している屋台のあちこちからとてもいいニオイが漂っています。
37普連第4中隊からは、名物はじめちゃんのコロッケと4中隊ワッペンの屋台が。大きな模造紙にはかなり微妙な出
来のイラストが描かれていますが、この『ワッペン、ロッペン、プノンペン、ペニシリン 愛をください』というのは何かの暗
号なんでしょうか。
ドラえもんがさりげなくコロッケのおともにワッペン購入を勧めていますが、流石に無理あり過ぎです。ボンクラのび太
はころっと騙せても、いい年齢こいたオッサンは騙されないぞ!
また、元祖天才バカボンのハジメちゃんがすごく困った顔で
「コロッケ!ハジメ!」
と言っているのもさっぱり意味が分かりません。うーん・・・。
お、今年もありますつくね串の屋台。これ、毎年食べてますけど美味しいんですよねえ。さっそく3本購入です。大ぶり
のつくねが3個、小さな串にお団子のように刺さっているのがカワイイなあ。そしてこの焼き上がりが素晴らしく、炭火に
一番近い長男には香ばしくしっかりとした焼き色がつき、二男は程々。そして一番下の三男はあまり焙られずしっとり優
しい味わいになっているのも、ひと串で3種類の焼き上がりを楽しめる仕様になっています。
まあたぶんそこまで考えて焼いている訳ではないと思いますが、結果的に3色アイスの様な、せこいながらも繊細なお
得感があるのは嬉しいなあ。
お腹が少し落ち着いた所で、他の屋台を見て回ります。即応予備自衛官で構成される第49普連第3中隊からは、ポッ
プコーンとかき氷の屋台が。
その他フライドポテト、チキンナゲットと続いた所で、あ、ありました!焼きそばの屋台!以前この駐屯地では外部業者
の手抜き焼きそばを掴まされて無念の涙を流した事がありましたが、どうやら今年は信太山の隊員さんによる手作り屋
台が参加です。200円と言う良心価格も嬉しく、55周年記念に合わせて55人目のお客さんには無料サービス!という
のもいいですね。さっそく屋台に向かいますが、まだ準備中とこのと。後でもう一度来る事にしましょう。
唐揚げの屋台でも大当たりを引いたお客さんへの特典が用意されていて、このあたりのお得感を強調したおまけ商法
は、いかにも大阪の部隊ならではですね。
第3普通科連隊直接支援中隊からは、タケノコやワラビ、イタドリ等の山菜直売所。ごろごろと転がるタケノコを見てい
ると、なんだか茶色い子猫が丸まってお昼寝しているみたいでカワイイなあ。
第318基地通信中隊信太山派遣隊からは、基地通信ラムネ。確かに今日は暑くなりそうなので冷えたラムネは美味し
そうですが、基地通信ラムネって普通のラムネと一緒の様な気が・・・まあこのへんの胡散臭さも、大阪の部隊らしいと言
えばらしいんだろうなあ。
第37普連第2中隊からは、『まあまあおいしいカレー』なる屋台が。まあまあって・・・それじゃどれ位のまあまあなのか
試してみるか!と思いましたが、残念ながらまだ準備中。ここも要チェックですね。それより通常価格500円の所を、55
周年記念の特別価格で400円!・・・って、テレビショッピングかよ!駐屯地の屋台にしてはかなり強気の価格設定です
が、ちょっと楽しみです。
屋台広場の隣にある厚生センターも既に人でいっぱいです。掘り出し物を求めてPXに向かうと、『防人の誉カレー』が
置いてありました。その隣にはシリーズ展開を図っているのか、『ラー油風味誉みそ』や『ぶっかけ誉ラー油』なる商品も。
さすがにここまで来ると自衛隊の名を借りただけの商品展開にしか見えませんが、防人の誉にラー油をBUKKAKEるの
は流石に止めた方がいいような・・・。
また、一角には立派な駄菓子コーナーが出来ていて、よっちゃんイカやBIGかつ、チョコバット、さらには駄菓子の王様
ブラックサンダーなどがワゴンにてんこ盛り。うーん、信太山の隊員さんの売れ線は面白いな。
壁面には防衛省生活協同組合からの告知ポスターが貼ってあり、イメージキャラの精強・・・もとい生協さくらちゃんが、
様々にポーズをとりつつ共済金制度について説明しています。
そのさくらちゃんの媚び媚びっぷりとは対照的に、隣には駐屯地最先任による髭准通信なるイカツイ掲示物が。細かな
ことでも見て見ぬふりをせず積極的に声をかけて行こう!と呼びかけていました。
厚生センター外の第3後方支援連隊による野外入浴セットと浄水セットを使った足湯を見学した後は、さて、焼きそば
の屋台に行ってみましょう。鉄板の上では美味しそうな焼きそばがじゅうじゅう音を立てて作られていましたが、生憎私と
Hさんの直前で売り切れ!んあ〜。まあ混雑覚悟で午後からにするか・・・と思っていたら、Hさんがしぶとく屋台前に張り
ついて次に出来た焼きそばを確保してくれました。あああああ、有難うございます!
信太山駐屯地に通う事3回目にしてようやく入手できた駐屯地焼きそばは、その期待を上回るお見事な出来で、まるで
新体操の選手が完璧な着地を決めて見せた様な味わいであります。豚肉とキャベツはたっぷりながらも決して多すぎず、
添えられた紅ショウガも細切りタイプなのが嬉しいなあ。細かいみじん切りの紅ショウガも均一感があっていいですが、私
は紅ショウガに当たった時と当たらなかった時の味のメリハリが楽しめる細切りが好みなんですよね。
かつお節と青海苔は省略されていますが、私はあって無くてもどちらでもいい派なので、特に気になりません。最近は自
衛隊イベントに参加する女性の姿も多いので、青海苔は無い方が嬉しい人もいるでしょうね。
焼きそばを構成する要素のうちどれ一つとして突出する事も不足する事も無い、まさに宝珠の様な駐屯地焼きそば。こ
れは久々の大当たりですね。これで200円とは、驚異的なお買い得価格であります。
さて、そろそろ部隊整列が始まる頃です。式典会場に戻ると既にイス席ひな壇席ともに満員御礼状態。ああ、やっぱり
お祭りはこうでなくっちゃなあ。
そしていよいよ部隊が入場して来ました。第3音楽隊が先頭を切り、第37普通科連隊本部管理中隊が入場。その後を
第37普通科連隊の各中隊が続きます。やっぱり部隊整列は、赤マフラーの普通科が一番サマになりますね。
第37普通科連隊重迫撃砲中隊、新隊員教育隊、第3後方支援大隊、第3普通科連隊直接支援中隊、駐屯地業務隊、
即応予備自衛官・・・と、本式典に参加している部隊がずらりと揃います。
本日の観閲部隊指揮官は、第37普通科連隊副連隊長を務める二等陸佐。部隊はパジェロに乗って現われた指揮官
に対し、切れる様な敬礼を行います。
そして本日の巡閲官である、信太山駐屯地司令兼ねて第37普通科連隊長である古庄一等陸佐が、幌つきのパジェロ
で入場。一分の隙も無いビシッとした礼装姿もいいですが、やっぱり普通科の指揮官は戦闘服に鉄帽姿が似合います。
続いて国旗が入場し、参加者は一斉に起立。部隊は国旗に対し捧げ銃。その後巡閲官は再びパジェロに乗り込み、部
隊巡閲を開始。会場全体には厳粛な空気が漂います。
その式典の様子を、先程から2人の隊員さんがカメラを片手に撮影していますが、さして邪魔でもないのに低い姿勢で
素早く移動し、まるで塹壕に隠れるかのような姿勢で撮影を実施しているのがちょっと面白いなあ。カメラがまるで小銃
に見えてしまいます(笑)。
よその駐屯地ではグリーンの制服で撮影している事が殆どなので、写真班の人も普通に立って普通に歩いているので
すが、信太山の写真班の人達は戦闘服に鉄帽姿で撮影に臨んでいるので、ついつい動き方が戦闘訓練のそれになっ
てしまうのでしょうか。訓練を積み重ねるってすごいなあ。なんと言うか、カメラを構えている人が狙撃手で、デジタルビデ
オカメラを持っている人が観測手みたいです。
そうこうしている間にも式典は滞りなく進行し、巡閲官式辞、来賓祝辞、来賓紹介が粛々と行われます。この信太山駐
屯地は昨年夏に紀伊半島を襲った台風12号による災害派遣でも大きな働きをしただけに、例年以上に和歌山方面か
ら招待されてやってきた来賓が多い様な気がするなあ。
場内アナウンスを担当するWACは、本式典に参加した沢山の来賓の方々の名前を延々と読み上げた後、
「御来賓の方々に、拍手をお願いします」
と言っていましたが、私はむしろあれだけの数の来賓名をただの一度も噛む事なく一気に読み上げたあなたに拍手し
たい気持ちで一杯です。もう心の底からパチパチパチです。
以上で式典は終了。この後の観閲行進に備えて、部隊は一旦退場です。ここで真っ赤な消防車が登場し、観閲行進
の行われる路面に散水開始。じりじりと肌をあぶる様な陽射しの中、なんとも涼しげでした。
そしていよいよ観閲行進が始まりました。第3音楽隊を先頭に、観閲部隊指揮官を乗せた指揮通信車が目前を通過。
続いて64式小銃を抱えた教育部隊が入場です。先頭から2番目で隊旗を持つ二等陸曹の左胸にはレンジャー徽章
が燦然と輝いていますが、さぞかしその迫力で新隊員達を圧倒しているんだろうなあ。
続いて第37普通科連隊の第1〜5中隊がやってきました。最後尾の隊員の持っている装備を各中隊によって変えて
いたり全員が防弾ベストを着用していたりと、それぞれに工夫を凝らしています。
そして即応予備自衛官の部隊が続いた後は、車輛の行進です。
まずは普通科がメインの駐屯地らしく軽装甲機動車がやってきた後は、兵庫県千僧駐屯地の第3偵察隊からの偵察
オートが続きます。
さらに小型ショベルドーザ、バケットローダと本部管理中隊の車輛が続き、野外炊具2号(改)を牽引したトラック、救急
車、トレーラを牽引した高機動車、81o迫撃砲L16を搭載した高機動車、01式軽対戦車誘導弾を構えた隊員を乗せ
た軽装甲機動車、120o迫撃砲RTを牽引した高機動車、重レッカ、各種シェルターを搭載したトラックがやって来ます。
姫路の第3特科隊からは、155oFH−70榴弾砲を牽引したトラック、大久保の第4施設団からは81式自走架柱橋、
千僧の第3特殊武器防護隊からは化学防護車、同じく千僧の第3偵察隊からは87式偵察警戒車。
そしてトリを務めるのは、今津駐屯地から参加の96式装輪装甲車と74式戦車。上空では、八尾駐屯地から参加の
のUH−1J多用途ヘリが通過して行きました。
その後は国旗が退場し、訓練展示の準備が整えられる間は信太山駐屯地名物の菊水太鼓が披露されました。鮮や
かな白地に黄色と水色の色使いも眩しいハッピ姿の隊員さん達が、日頃鍛え抜いた太鼓の技をこれでもかとばかりに
見せつけます。最後は見事に締めて、満員の会場からは大きな拍手が贈られました。
続いては音楽隊とラッパ隊による合同ドリル。ラッパ隊は信太山駐屯地の隊員の中から選りすぐりのラッパ手を集め
たらしく、駐屯地の一日の中で様々に吹奏されるラッパを、メリハリの利いたフォーメーションを組みつつ次々と披露。
よく見るとWACも何人か参加していて、男臭い中にも華を添えています。最後は全員でびしっと敬礼を決め、先程の
菊水太鼓に負けない大きな拍手を浴びつつ、隊列を組んで退場です。
さて、いよいよ訓練展示が開始です。会場では訓練展示の概要が説明され、前回と同じく会場東側に陣取った対抗
部隊に対し、陸自部隊が西側から攻め込んで陣地の奪還を図る、というシナリオとの事。
会場上空にはOH−6D観測ヘリが低高度進入し、上空から敵陣地周辺の情報を収集します。一方地上には偵察隊
員の操る偵察オートが2台展開し、車体の左側面にぶら下がってオートを盾にしつつ、敵陣付近まで一気に距離を詰
めます。
偵察オートを止めて周囲の情報を収集した偵察隊員は、すぐにその場から移動・・・の筈が、何故か1台だけ手こずっ
ています。あれ?車輛のトラブルか何かかな?
なんとかその場を離脱した偵察隊員は、今度は会場をぐるっと迂回した後中央付近に倒したオートを盾にして、敵め
がけて威力偵察を実施。すぐに後方からは援護の軽装甲機動車がやってきて、パンパンと乾いた空包音を響かせます。
その間に偵察隊員は倒したオートをスピンターンさせ、一気に撤退・・・の筈が、先程の隊員がまたしてももたついて
います。エンジンがかからないのかな?なんか様子が変ですよ。
どうにかこうにか動き出したオートにまたがって一気に後方へ走り出しますが、今度は坂道を駆け上がる所でステン
と転倒してしまいました。ああ、焦ったのかな?結構なスピードが出ていたのでちょっと心配・・・。
そこに先程の軽装甲機動車が駆け付け、転倒した隊員を車内に収容。恐らくシナリオには無かったトラブル発生なの
でしょうけど、収容している間にもルーフ上の隊員さんがMINIMIを敵陣地に向けてきっちり援護射撃を行っています。
この辺りの咄嗟の対処は、日頃の訓練の賜物なんだろうなあ。
あと、よく見ると使用されているオートは第3偵察隊のものではなく、37普連本部管理中隊のオートなんですね。恐ら
く借り物のオートなのか、もしくは37普連の人が偵察隊員の役をしていたかのどちらかだったんでしょう。
後方からはUH−1J多用途ヘリがやってきて、地上の砂埃を巻き上げつつカーゴドアからレンジャー隊員を降下させ
ます。ロープ伝いに地上に降りたレンジャーは、周囲の安全を確認してすぐさま敵陣後方へと回り込んで行きました。
一方会場後方では、重迫撃砲中隊による81o迫撃砲L16と120o迫撃砲RTが素早く組み上げられ、第3特科隊から
の155oFH−70榴弾砲も着々と砲撃準備が進められています。
そして各砲が一斉に敵陣地めがけて砲撃開始。会場東側の敵陣地周囲では景気よく仕掛け火薬が爆発し、もうもう
と煙が上がります。よく見えませんが、遠くの方では対戦車誘導弾やギリースーツ姿の狙撃部隊が紹介されています。
そして軽装甲機動車からは一斉に普通科隊員が飛び出してきて、地面に伏せつつ敵陣地に対して攻撃を開始。その
間にも会場手前に展開して来た地雷原処理を担当する部隊が、火薬を取り付けた導索を牽引する為のロケット弾をポ
ンと発射。このロケット弾が、本物の代わりにペットボトルロケットを使ったよく出来たシロモノで、真っ黒い弾体が勢い
よく飛び出していくのが面白いギミックだなあ。
敵陣地手前に敷設された地雷原と鉄条網は爆破処理で見事に無力化され、普通科部隊は一斉に匍匐前進を開始。
じりじりと敵陣地との距離を縮めて行きます。
そしてその後方からは74式戦車が砲撃開始。ズドン、と大きな音が会場全体を震わせ、砲身の先端からは白煙が
噴き上がります。
それまで地を這うが如き前進を続けていた普通科部隊は、戦車の砲撃で対抗部隊の反撃が止まった一瞬の隙をつ
いて一気に突貫。敵陣地手前の築山を乗り越えて対抗部隊を追い散らし、見事に陣地の奪還と相成りました。
以上で訓練展示は終了。以前行っていた様な負傷した隊員の救出、といったシーンがありませんでしたが、あれも微
妙なところですね。現実の戦闘を考えるとあって当たり前の場面ですが、隊員さん達の家族を招いての記念式典でその
様子を見せるのは、確かにちょっとどうかとも思います。普段の訓練でその状況をしっかりと想定しているのであれば、
あえてこういう場で披露する必要も無いでしょうね。
さて、この後は式典会場からの人の波に乗り、屋台広場に向かいます。カレーも食べたいですし。
第2中隊の『まあまあおいしいカレー』の屋台の前には思ったほどの行列は出来ておらず、Hさんと2人ホクホク顔で
最後尾につきます。行列は順調に消化されて行き、さあ次は私の番だ・・・と思いつつテントの中を覗いてみると、あれ?
何かヘンですよ。カレーの入った大鍋も野外炊具も見当たりません。
テントの中央では隊員さん達が忙しそうに働いているのですが、よく見ると保温していたパックご飯を発泡スチロール
製のお皿にあけ、その上に封を切ったレトルトカレーをかけています。ええええええ?隊員さんが作ったカレーじゃない
の?
茫然とその様子を見ていると、私の番が回って来ました。レトルトならいりませんと今更言うのもアレなので、400円
を払ってレトルト&パックご飯のカレーを受領。うーん・・・。
味はごくありきたりのレトルトカレーで、福神漬もないのでちょっと寂しいなあ。『まあまあおいしいカレー』という看板
には嘘も偽りも見られない内容ではありますが、ここは裏切って欲しかったなあ。
とは言え、演習などで時間が無くちゃんとした食事を作れない場合に備えて、こういった市販のレトルトを組み合わせ
たボーディングアウトと呼ばれる戦闘糧食もどきが実際に使用される事はありますので、ある意味、日頃隊員さんが食
べている内容に近い食事を食べる事が出来るいい機会と言えない事もありません。
しかし、余所の駐屯地では部隊長自らが腕をふるったカレーを提供したり、そこらのカレー専門店も顔負けの美味し
いカレーを作っている屋台を幾つも見て来ただけに、この辺りはちょっともやもやの残る後味でした。
その後は駐屯地の資料を集めて展示してある修史館を見学です。両側を背の高い木々に囲まれた涼しげな坂道を
上って行くと、まるで明治時代の駅舎の様な趣のある白ペンキ塗りの建物が見えて来ました。うわあ、堪らないなあこ
の佇まいは。『坂の上の雲』のロケにそのまま使われていても、全く違和感がありません。
残念ながら館内の展示物の撮影は禁止でしたが、この古い木造家屋独特のにおいと言うか、空気を味わえただけで
も収穫です。館内は資料を眺める人達でごった返していましたが、人気のない時にゆっくり静かに見てみたいなあ。よ
し、来年は一番最初にここに来る事にしましょう。
その後は小火器の展示を見学です。駐屯地の一角には89式小銃や64式小銃、MINIMI、対人狙撃銃、91式携帯
地対空誘導弾などがずらりと並んでいて、奥の方には暗視装置の体験テントもありました。
防弾ベストは内部にセラミックプレートを入れるとなんと12kgもの重量になるとの事で、実際に持って見るとその重さ
に驚かされます。これを着用して小銃を持って、さらに色んな装備を身につけると一体何sになるんでしょうか。そんな
状態で走ったり転げまわったりする隊員さんの体力は底なしですね。
最後は式典会場に戻り、車両などの装備品を見学です。お、昨日和歌山で見た94式水際地雷敷設装置がやって来
ています。この日は敷設装置を搭載する荷台・・・というか後甲板?に乗れたのですが、足元の感触が護衛艦の甲板に
いるのと全く同じだったので、やっぱりこれは車輛じゃなくて船舶なんですね。
その他、キャニスターを垂直に立てている03式中距離地対空誘導弾や、橋梁部分を展開している81式自走架柱橋
等を見て回りました。
前日の和歌山駐屯地で突然動かなくなった愛機のデジタル一眼ですが、どうやら不調を起こしているのはカメラ本体
ではなく18‐55oのレンズのAF部分らしく、他のレンズなら問題なく撮影する事が出来ました。うーん、この先夏のイベ
ントが目白押しとなるのに、果たしてどうしたものか。このレンズを使う時だけAFをキャンセルしてMFで撮影を行う、と
いう手も無いでは無いですが、即応性と言う意味では大きく劣るなあ。
修理に持ち込んで買い替えと殆ど変らない金額をかけるか、これを機会に新しいレンズを買うか、ネットオークション
で程度のいい中古レンズを探すか、糧食撮影用サブカメラとの2台体制にして被写体に応じて使い分けるか・・・。
頭の痛い問題を抱えつつ、信太山駐屯地を後にしました。
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