2012.05.20
兵庫県伊丹市に所在する千僧駐屯地の創立記念行事に行ってきました。千僧駐屯地には近畿2府4県を防衛警備
担任地区とする第3師団の師団司令部や第3後方支援連隊、第3通信大隊、第3師団司令部付隊、第3偵察隊、第3
特殊武器防護隊、第3音楽隊、駐屯地業務隊、第352会計隊、第318基地通信中隊、第131地区警務隊が駐屯し
ています。
第3師団長はイラクのアンパンマンとして有名な番匠幸一郎陸将で、第一次イラク復興支援群長を務められた当時
の階級が一等陸佐だった事を思えば、イラクも遠くになりにけり・・・と感慨深いですね。
また第3師団は先の東日本大震災に於いて、120日間でのべ3万5千人の隊員を現地に送り込み、昨年夏に紀伊
半島を襲った台風12号の災害派遣でも40日間で2万人を越える隊員を迅速に現地に派遣し、被災地の復興の礎を
築くために身を粉にして働いた事でも知られています。
ちなみに千僧駐屯地のすぐ目と鼻の先には、中部方面総監部が置かれた伊丹駐屯地や、自衛隊阪神病院を擁す
る川西駐屯地があり、第3師団屈指の隊員濃度の高いエリアを形成しています。近隣のJR伊丹駅駅前の信号が、定
番の白ではなくOD色なのも、そういった土地柄を反映しての事なのかもしれません。
当日は最寄りの阪急伊丹駅から駐屯地行きシャトルバスが用意されていて、担当しているのは京都府桂駐屯地の
第306輸送中隊。窓ガラスが曇り一つなくピカピカに磨かれていたのは流石です。
しばらく走って千僧駐屯地に到着。マタニティ制服姿のWACにパンフレットを貰い、敷地内の歩道橋を渡って式典会
場に向かいます。観閲壇の裏手には仮設トイレが並んでいますが、ちゃんとバラキューダを被せて擬装していて芸が
細かいなあ。
開門後とあって既に沢山の人が式典会場に入っていますが、会場西側に空いたスペースを確保。訓練展示では対
抗部隊の真後ろポジションなので、ここなら終盤はかなり迫力のある場面を撮影出来そうです。が、今日はけっこう風
が強く、千僧独特のパウダーサンドを考えると、モロに風下のこのポジションは辛いかな?
と言う訳で、式典会場南側の南西角付近に場所を移動。記念式典では整列した隊員さんを斜め後方から撮影する
事になりますが、訓練展示の終盤を真横のかなり近い距離から見る事が出来そう。
とりあえず場所は確保したので、続いては屋台へ向かいましょう。再び歩道橋を渡って駐屯地敷地へ戻りますが、歩
道橋を渡り終えた所に妙なシロモノを発見。海自艦艇に必ずある号鐘が、何故かぽつんと置いてあります。陸自駐屯
地では初めて見ましたが、一体何に使うのでしょうか。
そばにいた隊員さんに尋ねてみると、どうやらすぐ隣にある消防ポンプ車の緊急呼び出しの際にカンカンと鳴らすと
の事。ああ、消防団の半鐘みたいなもんですね。まあ無線がダウンした万が一の場合を想定しているのでしょうけど、
結構レトロな発想だなあ。
さかさかと歩いて屋台広場に到着です。手前にはこの千僧駐屯地に駐屯する第3後方支援連隊補給隊の野外入浴
施設が展示してありました。この3後支自慢の『六甲の湯』は、昨年の東日本大震災では宮城県亘理群に展開
して118日間に渡る入浴及び洗濯支援を実施し、その間7万7千人を越える利用者があったそうです。
脱衣スペースには自衛隊への感謝と応援、激励のメッセージがたくさん掲示してあり、被災した方々や全国から駆け
付けたボランティアの人達からの言葉で溢れていました。
その中には『俺が入隊する時まで居て下さいね!』という書き込みもあり、これは隊員さんも嬉しかっただろうなあ。
前代未聞の大災害に見舞われながらも、立派な志を抱いて前へ進もうとする若者に対し、私も心から応援したい気持
ちで一杯であります。
京都地本からは鬼軍曹ラーメンの屋台が。おお、昨年の福知山で食べましたが、美味しかったんですよね。テントの
裏手にはイメージキャラクターの鬼軍曹とくるみちゃんがいましたが、今日は風が強いせいか後の樹木にヒモで縛りつ
けてありました。鬼軍曹の顔つきが恐ろしいので、危険人物を捕縛しているようにも見えてちょっとトホホです。
千僧を本拠地とする第3特殊武器防護隊からは、3特防オリジナルグッズの屋台が。特製ワッペンやTシャツに混じ
って、何故かはちみつ漬けつぶれ梅も販売しています。全然3特防に関係ない様な気がしますが、よく見ると梅干しの
殺菌効果をアピールしていて、流石に抜け目はありません。
3特防の隊員さんは相変わらずノリがよく、売店も非常に明るい雰囲気。どさくさに紛れて彼女募集中隊員のカタログ
も貼り出していますが、どちらかというと彼女募集がメインでついでにグッズを販売している様な気もしないではない事
もないとは決して言いきれない様な気もするのは、きっと気のせいでしょう。
同じく千僧に駐屯する第3偵察隊からは、たこせんの屋台。たこせん自体は特に珍しくはありませんが、まあご当地
部隊でもありますし、一発目の屋台グルメはこれに決定です。
第3偵察隊のたこせんは、二つ割にしたたこせんで目玉焼きとソース、マヨネーズをサンドイッチにした形をとってい
て、よくある一枚もの特有の大陸的で大らかな雰囲気はありませんが、手も汚れず非常に食べ易くていいですね。
千僧駐屯地を住処とする第3後方支援連隊は、六甲の湯の他にも沢山の屋台を展開していて、ざっと見ただけでも
フライドポテト、揚げたこ焼き、フランクフルト、ジュースなど盛りだくさん。これは担う任務の多様性の表れとでも言えば
いいのかな?中でもフライドポテトの屋台は、キレイどころのWAC3人娘を前面に押し出した客引きを行っていてズル
・・・もとい、よく頑張っています。ここで揚げたこ焼きを一つ購入。
八尾駐屯地の第3飛行隊と信太山駐屯地の第37普通科連隊からは、自衛隊グッズの屋台が出ていました。
第3後方支援連隊第一整備大隊からは、『一整焼き』なる屋台が出ています。一整焼き?なんじゃそりゃ。その正体
がよく分からなかったので、ここは敢えて内容を確かめずに買ってみます。200円払って出て来たのは、お好み焼き
みたいな物体でした。
どれどれと食べて見ると、うーん、キャベツの入っていない、もちもち生地のお好み焼き?豚肉たっぷりで結構ボリュ
ームがありますね。2月に高知駐屯地で食べた土州焼きに似ていますが、これも美味しいなあ。
しかしここまで食べた3品がことごとくソース味・・・という、かなり偏った屋台グルメになってしまいました。まあ粉もの
+ソース味というのは、ある意味屋台の王道みたいなものですし。
さて、お腹も随分落ち着きました。式典会場に戻ると、ちょうど観閲部隊の待機位置への進入が始まった所。集まっ
た見学者は先程の倍ぐらいになっていて、流石に都市部に近い駐屯地だけあって人気も凄いなあ。
目の前には参加各部隊の旗を持った部隊長が整列していますが、今日は近畿各地から沢山の部隊が集まっている
だけあって、旗も色とりどりです。
そして部隊長の入場が始まり、観閲部隊指揮官を務める第3師団副師団長兼ねて千僧駐屯地司令の山本敦督陸
将補が入場して来ました。今日は朝から風が強いので、マイクがボボボボボと鳴っているのも雰囲気です。
その後は会場にずらりと整列した第3師団各部隊の紹介が行われました。会場から向かって左から順番に、第3音
楽隊(千僧)、第7普通科連隊(福知山)、第36普通科連隊(伊丹)、第37普通科連隊(信太山)、第3後方支援連隊(千
僧)、第3特科隊(姫路)、第3戦車大隊(今津)、第3高射特科大隊(姫路)、第3施設大隊(大久保)、第3通信大隊(千僧)、
第3師団司令部付隊(千僧)、第3偵察隊(千僧)、第3飛行隊(八尾)、第3特殊武器防護隊(千僧)、という、師団創立記
念行事ならではの豪華な布陣です。
そして第3師団長を務める番匠幸一郎陸将が入場し、続いて国旗入場。来場者は起立し、部隊は国旗に対して捧げ
銃。
第3師団長による部隊観閲の後は観閲官式辞が披露されましたが、
「我々は何よりも強くあらねばならない」
「国民からの期待と信頼に応えねばならない」
という点を強調されていました。
その後は来賓祝辞、来賓紹介が行われましたが、イラクのヒゲ隊長こと佐藤正久参議院議員も、忙しい合間を縫っ
て参列しています。どうせならいつもの熱い祝辞を披露して欲しかったですね。
感謝状贈呈者の紹介の後は、観閲行進の準備のために部隊は一旦退場。なにぶん数が多いのでなかなか終わり
ませんが、ふと会場西側を見ると、訓練展示で対抗部隊役となる隊員さんがぞくぞくと集結しています。
肩に菊水のワッペンがちらりと見えたので、大阪府信太山駐屯地の37普連の人達ですね。顔にはドーランを塗りた
くり、背中や鉄帽に樹木の擬装を施している為、これだけ人数が揃うと迫力あるなあ。
そして観閲行進が始まりました。行進曲『凱旋』を演奏しながら、先ずは戦闘服姿の第3音楽隊が入場。
会場中央の所定の位置に移動した後は、第3師団の警備担任地区である近畿2府4県の県旗がパジェロに乗ってや
って来ました。
観閲部隊指揮官を乗せた指揮通信車の後は、お隣伊丹駐屯地の第36普通科連隊が登場です。観閲壇の前を敬礼
で通過し、最初のコーナーを曲がった所で一斉に駆け足始め。足元に濛々と舞い上がるパウダーサンドが、大きな掛
け声とともに迫力を醸し出しています。
続いては同じく伊丹36普連から、新入隊員による部隊が登場。こちらはまだ慣れていないのかやや緊張した面持ち
で、古い64式小銃を胸元に掲げているのが初々しいですね。先輩隊員に負けじと大声を張り上げ、最初から駆け足
による行進です。
次は第3偵察隊による指揮通信車、高機動車、偵察オート、87式偵察警戒車。
ここで航空観閲部隊が東の空からやって来ました。UH−1J多用途ヘリ、OH−6D観測ヘリ、OH−1観測ヘリ、AH
−1S対戦車ヘリ、AH−64D攻撃ヘリ、そして海自から参加のSH−60哨戒ヘリ。最後はCH−47輸送ヘリの合計9
機による威風堂々の航空観閲です。
式典会場に目を戻すと、第7普通科連隊、第37普通科連隊が指揮通信車や軽装甲機動車、高機動車を連ねてや
ってきました。重迫撃砲中隊も参加していて、重そうな120o迫撃砲RTをごろごろと牽引しています。
第3特科隊からは、主力である155oFH−70榴弾砲の他に、気象レーダ、対砲レーダが参加。
第3施設大隊からは、道路障害作業車と81式自走架柱橋。
第3通信大隊からは、衛星単一通信可搬局装置と無線搬送装置。
第3特殊武器防護隊からは、化学防護車、生物偵察車、除染車3型。化学防護車と生物偵察車の両方の機能を合
わせ持つNBC偵察車が近々登場するとの事ですが、来年はこの千僧でもお披露目があるのかなあ。
第3師団司令部付隊からはパジェロのみ、というちょっと寂しい顔ぶれですが、特有の車両というものを持ちませんし、
むしろ隊員さんの頭脳で勝負する部隊なので、見せ方が難しいんだろうなあ。
それとは対照的に、第3後方支援連隊は盛り沢山の車輛部隊を展開です。浄水セット、水タンク車、救急車、野外手
術システム、重レッカ、シェルターを搭載したトラック、さらに輸送隊からの73式特大型セミトレーラが、巨大な74式戦
車を搭載して堂々の登場です。
そしてトリを務めるのは、第3戦車大隊からの74式戦車4輌と96式装輪装甲車2輌。排気ガスと砂煙を巻き上げつ
つ、迫力満点の観閲行進の最後を締めくくりました。
ここで最後尾の74式戦車が隊列から外れ、会場西側の対抗部隊のスペースにバックで進入。その後方で見学して
いた人達を引きつぶしそうな勢いだったので、大きなどよめきと小さな笑いが上がります。なかなかお茶目な操縦手で
すねえ。後で怒られていなければいいのですが(笑)。まあ、モノがモノだけに、微妙なアクセルコントロールとかは難し
いんだろうなあ。
しかし戦車の真後ろになった人達は、巨大な車体が邪魔になって前が殆ど見えませんね。最初は丁度あのあたりに
場所を構えようとしていたので、ポジションを変更してよかったなあ。
その後は国旗が退場して記念式典は終了。続いては千僧駐屯地のご当地部隊の一つである第3偵察隊が、オート
バイドリルを披露するとの事。
へー、千僧は今日で3回目ですが、偵察オートのドリルは初めてだなあ・・・と期待しつつ待っていると、ここで目の前
に警衛の隊員さんが立ちふさがると言う惨劇が・・・。んあ〜、まさに禍福はあざなえる縄の如し、です(泣)。訓練展示
終盤は問題なく見れそうですが、オートバイドリルはちょっと絶望的になって来ました。とほほ。
会場には6台の偵察オートが勢いよく突入してきて、後輪を派手に滑らせながら会場中央に整列。もうもうと砂煙が
立ち上る中、各オートに跨った隊員さんが一人ずつ紹介されています。日露戦争からの騎兵の伝統を受け継ぐ人達
です。カッコイイなあ。
その後は各オートが所定の位置に移動し、アクセルターン、ブレーキターン、プロペラ、交差スラローム、ジャンプと
いった派手な技を次々と披露していました。
個々の操縦技術もさることながら、連携の取れたチームワークにも目を見張らされますね。空のイベントは御無沙汰
ですが、まるで空自のブルーインパルスを見ているようでした。
しかしドリルの肝心な所が、全て目の前の隊員さんの後方で行われているというのはツライなあ。手前の方ではこの
後の訓練展示のために鉄条網や支柱の設置も始まり、巻き上がる砂塵と相まって視界が悪くなる一方ですが、これ
はこれで凄く危険なところからこっそり撮影しているみたいな効果があって、面白い画像になる様な気がします。
式典会場を縦横無尽に走り回り、見学者をパウダーサンドでコナコナにした第3偵察隊の面々は、大きな拍手で送
られながら退場して行きました。いやー、凄かったなあ。次はもっといい場所で見よう(泣)。
続いては、姫路の白鷺太鼓、信太山の菊水太鼓、第3施設大隊の三施太鼓合同による和太鼓演奏。2輌のトラック
の荷台がステージになっていて、本日の曲目である『武将』を演奏です。総勢27人による大部隊だけあって、大した
迫力だなあ。
さて、いよいよ訓練展示の時間がやってまいりました。なお、隣接する伊丹空港の航空管制の都合上、場合によっ
てはヘリコプターを使った訓練展示はキャンセルになる場合もあります・・・というのが土地柄ですねえ。
目の前では対抗部隊役を務める隊員さん達が、テキパキと準備を整えています。偽装を施したライナープレートの
陰に身をひそめ、89式小銃やMINIMIの最終チェック。74式戦車の上では、M2重機関銃のカバーを開けてコッキ
ングハンドルをガシャガシャと操作する隊員さんの姿が。
まずは本訓練展示の指揮をとる第7普通科連隊第3中隊長が、訓練展示の開始を宣言。訓練開始のラッパが高ら
かに響き渡ります。
上空にはOH−6D観測ヘリが飛来し、会場西側に陣地を構築している対抗部隊を発見。上空から集めた情報を、
後方の陸自本隊に報告します。
その情報をもとに、本隊からは偵察部隊が前進を開始。会場中央あたりで横倒しにしたオートを盾に、対抗部隊の
立て籠もる陣地に向けて威力偵察を実施します。
対抗部隊も景気よく空包を発射して反撃しますが、すぐ目と鼻の先なので凄い迫力だなあ。オートバイドリルでは涙
を飲みましたが、訓練展示ではかなり美味しい場所ですね、ここは。
同じく偵察隊の軽装甲機動車と87式偵察警戒車が援護射撃を行う中、情報収集を終えた偵察オートは一気に後
退。観閲壇の前ではギリースーツに身を包んだ狙撃部隊が匍匐前進で進入を始め、招待者席にいた人達が興味深
そうに眺めています。
ここで対抗部隊の航空機が上空に侵入。
「対空戦闘部隊、陣地進入!」
との指令を受けた高射特科部隊が砂塵を巻き上げつつ突入し、すぐに射撃準備を開始。その後方では12.7oM2
重機関銃が銃座を築き、その銃身を上空に向けて睨みつけています。
すぐに射撃体勢に入った対空戦闘部隊により、敵航空機は撃墜されました、とのアナウンスが流れますが、あまり
のあっけなさに会場からは失笑が。
続いては火力部隊が陣地進入を開始。2門の155oFH−70榴弾砲が展開し、取りついた隊員さん達がビデオの
早送りの様な動きで砲撃態勢を整えます。ここでFH−70榴弾砲の性能が説明され、
「射程距離は約30q、ここ千僧から東は三木市、西は大阪府枚方市までの砲撃が可能です」
とのアナウンスに、会場を埋めた一般見学者からはどよめきが上がります。
そして同時に展開した120o迫撃砲RT、81o迫撃砲L16とともに、FH−70榴弾砲は対抗部隊の陣地めがけて砲
撃開始。一瞬の火球とともに轟音を響かせて、対抗部隊の陣地周辺に次々と着弾。仕掛け花火が爆発し、派手な煙
が噴き上がります。
ここで対抗部隊は化学兵器で反撃開始。隊員はすぐに00式個人用防護マスクを着用し、化学兵器から身を守りま
す。
すぐに後方からは特殊武器防護隊の化学防護車がやってきて、陣地周辺の放射能強度の測定と有毒ガスの検知
を開始。合わせて除染車3型が周囲の除染を実施し、迫撃砲陣地にいた隊員さんにも容赦なく除染液をぶっかけて
回ります。
化学兵器の無力化に成功し、火力部隊は再び対抗部隊陣地に向けて砲撃開始。もうもうと噴き上がる煙幕が会場
西側にいた一般見学者に襲いかかり、なんだかすごく楽しそう。
そして後方からは、戦車部隊とともに大量の軽装甲機動車が突入して来ました。対抗部隊陣地への突入を行う小銃
小隊も前進を開始し、じりじりと距離を詰めていきます。
ここで小銃小隊の一人が足に被弾。苦悶の表情を浮かべながら転げまわっています。すぐに周囲が援護射撃を行
い、被弾した隊員は後方に搬送されて行きました。
「小銃小隊!前へ!」
の指令を受け、小隊はさらにズリズリと匍匐前進を開始。敵に近付くにつれて姿勢を低くし、柄の部分を直角に曲げ
たエンピ(シャベル)で地面に穴を掘り、少しでも頭を低くして対抗部隊の反撃をやり過ごします。
小銃小隊の前進を支援すべく、後方からは火力部隊がドカドカと砲撃を浴びせます。怯んだ対抗部隊の反撃が止ま
った隙をついて、一気に距離を詰める小銃小隊。
いよいよ小銃小隊は敵の立てこもる陣地手前まで肉薄し、ここで鉄条網の爆破処理を敢行。爆薬を仕込んだ鉄パイ
プを持った隊員が鉄条網手前に取りつき、爆薬をセットします。
遠隔操作で作動した爆薬は見事に鉄条網を吹き飛ばし、火力部隊がさらに砲撃の勢いを強める中、小銃小隊の隊
員達は突撃準備に取り掛かります。小銃の残り少なくなった弾倉を交換し、大声で相互確認。
「中隊長!こちら小銃小隊長!突撃準備完了!」
そして火力部隊による最終弾の弾着と同時に、小銃小隊は一斉に立ち上がって敵陣地に向けて突撃開始。
その後方からは軽装甲機動車や96式装輪装甲車、74式戦車も一気になだれ込み、見事に目標である対抗部隊
陣地の奪取に成功。大迫力の訓練展示に、会場からは大きな拍手が贈られました。
この後は人の波に乗って、再び駐屯地敷地へ向かいます。野外売店広場も人で一杯で、既に売り切れ御免となっ
た屋台もチラホラ。
隊員クラブでは窓のサッシを取り外し、畳の部屋にテーブルを並べて射的会場を作っていました。
屋台広場の奥では3人の隊員さんが分別ごみの管理を行っていて、ゴミを捨てに来た人に
「分別へのご協力、有難うございます!」
ゴミを捨てにやってきた小さな子供には、ちゃんと腰をかがめて目線を合わせながら声をかけているのが素晴らし
い。見たところまだ若い隊員さんで、小さな子供がいるとも思えないのですが、ごく自然な振る舞いが立派ですね。
これだけを見ても、第3師団の隊員さん達がいかに被災者の立場に立ったキメの細やかな生活復旧支援に心を砕
いたかが、分かる様な気がしました。
オートバイドリルでは無念の涙を飲みましたが(しつこいよ(笑))、最後の最後にとてもいいものを見せて貰えました
ね。今年は時間と予算の許す範囲で第10師団や第13・14旅団にも足を延ばしてみるつもりですが、改めて地元第
3師団のマンパワーを見せつけられた一日でした。
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