高知駐屯地創立46周年 第50普通科連隊創隊6周年記念行事

2012.03.18



    高知駐屯地で行われた創立記念行事に参加してまいりました。高知駐屯地は以前あった場所とは別の場所に新たに
   建設され、完成に合わせて香川県の善通寺駐屯地から移駐して来た第50普通科連隊が駐屯し、それまで旧高知駐屯
   地にいた第14施設中隊が本年度中に徳島県に新設される徳島駐屯地に移駐する・・・という、まさに時代に合わせて変
   革の真っただ中にある陸自を象徴する様な駐屯地
であります。
    ちなみに新たに生まれ変わった高知駐屯地ですが、初年度は関係者のみを招いての創立記念行事、昨年は東日大
   震災への災害派遣のために創立記念行事は中止となったので、一般に門戸を開いての創立記念行事は、実質今年が
   初めて
となりました。
    前日午後に大阪を出発し、瀬戸大橋を渡って第14旅団の防衛警備区である四国入り。四国はキャンプや海自イベン
   トで何度か訪れた事がありますが、陸自イベントで遠征するのは初めてです。当日の天候はかなり怪しいですが、今年
   一発目の遠征ですし、なんとかもってくれないかなあ・・・。
    その日は途中のパーキングエリアで車中泊。翌朝は山間部に霧が立ち込める中、一路高知駐屯地目指して車を走ら
   せます。が、無情にもフロントガラスを雨粒が叩き始め、雨脚はどんどん強くなって来ました。嗚呼・・・。
    雨がそぼ降る中南国ICで降りて32号線を南下。直前で少し迷いましたが、無事に駐車場である香我美市民会館に到
   着です。準備を整えている間にも雨はどんどん強くなり、今日はちょっと覚悟が必要かも。
    しばらくしてやって来たシャトルバスに乗り込み、雨に煙る高知駐屯地に到着です。


    敷地に入ってまず目に入るのが、8階建の巨大な隊庁舎。コンクリ打ちっ放しで随分お洒落な雰囲気です。いかにも出
   来て間もない駐屯地らしく、敷地内が非常にスッキリしていますね。
しかし何と言うか余分なものが一つも無いので、どう
   にもここで隊員さん達が暮らしているという実感がありません。映画か何かのセットみたい。必要なものだけがあるという
   感じで、やっぱり歴史を積み重ねて来た余所の駐屯地とは随分趣が違います。変な言い方ですが、面白味が全くないと
   ころが実に面白い。


    総合案内所でパンフレットを一枚貰い、式典会場東側の一般席へ向かいますが、この雨の下と言う事もあって全然人
   がいないなあ。最前列の適当な場所を確保し、まずは部隊入場まで駐屯地内を歩き回ります。
    隊庁舎の後ろ側は模擬店広場になっていて、普段は駐輪場になっていると思しき屋根付きスペースが多目的的に使用
   されています。まだ開門したばかりですがあちこちの店からいいニオイが漂い、朝食を抜いて来たのでお腹が減って来ま
   した。


    食べ物系の屋台の他にもメロンやイチゴの販売所があり、この辺はいかにも全国屈指の農業県だけありますね。よく
   見ると刑務所内で製作された日用品も販売されていますが、近くに刑務所があるのかな?
    ふと見ると大きなバンが停まっていて、後半分が屋台になっています。土州焼き?見たところ折り畳んだクレープ状の
   お好み焼きっぽいですが、ご当地モノらしいので一つ食べてみましょう。


    しばらくして出て来た土州焼き。鉄板から下ろしたばかりの熱々で、ソースの香りが食欲をそそります。
    ほほう、これは・・・関西で言うイカ焼きですね。ねっちりとした生地にイカニラが混ぜ込んであり、お好み焼きソース
   マヨネーズを塗って封筒の様に畳んであります。お好み焼きともんじゃ焼きの中間ぐらいのふわとろの柔らかさで、なか
   なか美味しいなあ。
    しかしこれ、器が薄い透明プラスチック製なので、熱さが掌を直撃です。手に持って食べるにはちょっと辛いなあ。ある
   意味この熱々も味のうちなのですから、もっと断熱性のある発泡スチロール容器を使って貰いたいものです。


    さて、もう一品行っときましょう。豚と鶏の鉄板焼き、これも美味しそうだなあ。鉄板の上では大量の豚肉と鶏肉がこね
   くり回すように焼かれていて、脂肪の焦げる香りがたまりません。
    豚味噌漬け焼き親鶏の二つがあり、親鶏を注文。ほほう、鶏肉と一緒にザク切りのキャベツが沢山入っていて、こ
   れは嬉しいなあ。
鶏肉だけだと、途中で飽きてしまうんですよね。まずは一口。
    おお、これは美味い!一鶴の親鶏の様な実にしっかりと固く締まった肉質で、噛みしめるごとにじわじわと旨味が染み
   出てきます。味付けの塩胡椒はかなりキツイですが、鶏肉の旨みが濃厚なのに加えてさっぱりした生キャベツがいいバ
   ランスで、これはビールが欲しくなるなあ。


    ちょっと驚きの美味だったので屋台に向かい、美味しかったですと伝えると、年かさの隊員さんはにっこり笑って
    「有難うございます!そこらじゅうで宣伝しといて下さい(笑)」
    ちなみにこの屋台は第50普連からの出店だそうです。うぬぬ、なかなか侮れませんね50普連。伊丹駐屯地で行われ
   る中部方面隊創隊記念行事では毎年ナシやミカン等の特産品を販売している高知駐屯地ですが、今年は是非これを出
   してお客さんを驚かせて欲しいなあ。

    あと、屋台のPOPに何故か『血圧』をさかさまにした字が書いてあるのですが、その理由を尋ねてみると
    「あ、血圧を下げる、って意味なんですよ」
    この辺のセンスはちょっと微妙だなあ・・・。


    店の前には招待されたらしき海自の幹部の人がいましたが、この人も50普連一般隊員の調理レベルに感動した様で、
    「いやー、私らのところは専門の隊員が食事を作ってますから、なかなかこうは・・・」
    と驚いていました。
    締まった肉質の親鶏でボリューム的にかなり満足しましたが、もう一品ノリでいっとくか!と言う訳で、カレーうどんの屋
   台に向かいます。出て来たカレーうどんはこれまた美味しそうで、高知の屋台は大当たりですね。
    カレーはそのままごはんにかけてもいい位のどっしりしたカレーで、具はこれまたたっぷりの鶏胸肉、タマネギ、ニンジ
   です。トッピングの青ネギを入れるかどうか聞いてくれるのも、細やかな心遣いですね。
    見た目に負けず実に美味しいカレーうどんでしたが、別にうどんの屋台が出ているのですから、ここはご飯を用意して、
   カレーライスの屋台にした方がよかったのでは。まあ、大量のご飯を炊くとなるとそれもまた大変ですしねえ。


    あと、ここもプラスチック製の薄手の容器を使用していて、カレーの熱さがダイレクトに指を襲うのが難点と言えば難点
   でしょうか。味については文句なしなので、ここを改善して頂ければもう言う事なしでした。ちなみにこのカレーうどんは、
   駐屯地業務隊
からの出店との事。
    いやー、朝から腹一杯になってしまいました。この頃には隊庁舎わきで隊員さんの集合が始まり、式典に参加するらし
   きUH−1J多用途ヘリがアイドリングを終えて飛び立って行きます。さて、そろそろ式典会場に戻りましょう。


    隊庁舎1Fを通って式典会場へ向かいますが、庁舎内もコンクリ打ちっ放しでカッコイイなあ。まるでどこかの新築マンシ
   ョンのエントランスみたいですが、エレベーター脇に大きな鏡があるのがいかにも自衛隊です。
    壁面には被災地復興支援に当たった部隊への激励の寄せ書きが沢山掲示してあり、入口近くには武装障害走各種
   武道大会
の優勝旗が誇らしげに掲げられています。各中隊の応援旗もありますが、クジラや土佐犬がデザインされている
   のが土地柄ですね。


    式典会場では部隊入場が始まっていますが、一向に止む気配のない雨が降り続いてる所為か、一般席は最前列だけ
   が辛うじて埋まっていて後はスカスカです。駐屯地の周囲を囲んだ低い山々が雨に煙る中、整列した隊員さんは微動だ
   にしません。


    そしていよいよ式典開始。部隊は式典会場前まで移動し、観閲部隊指揮官を務める駐屯地副司令の2等陸佐が入場。
    続いて、第50普通科連隊長兼ねて高知駐屯地司令である石田和成一等陸佐が黒塗りの業務車で入場。国旗も入場
   し、来場者は全員起立。更に雨脚が強まる中、観閲部隊は国旗に対して捧げ銃を執り行います。


    観閲官による部隊観閲が行われた後は、整列した部隊の紹介。第14音楽隊を筆頭に、第50普通科連隊の第1〜4中
   隊
が紹介され、そのたびに中隊旗がきりっと掲げられます。続いて第14施設中隊、善通寺駐屯地からの第14後方支援
   隊、
さらに駐屯地業務隊、第323基地通信中隊高知派遣隊、第419会計隊。


    来賓による祝辞が披露されますが、トップバッターは地元出身の中谷元(なかたに・げん)元防衛庁長官。おお、地元選挙
   区からの選出とは言え、かなりの大物を引っ張って来ましたね。
    ちなみにこの中谷議員は防衛大学卒の元2等陸尉で、幹部レンジャー課程修了後にレンジャー教官まで務めたという相
   当な猛者
。それだけに自衛隊によせる期待や気持ちが感じられる祝辞でした。
    祝辞の中では東日本大震災に関するエピソードも紹介され、第14旅団は宮城県石巻市を中心に展開し、被災者の生活
   支援や瓦礫の撤去、行方不明者の捜索、御遺体の収容などを即応予備自衛官とともに実施したとの事。


    その際に被災地の子供から一人の陸曹に手紙が渡され、そこには「日本を助けて下さい」という切実な言葉と共に、不眠
   不休で捜索救援活動にあたる隊員さん達への素直な感謝の言葉が綴られており、多くの隊員がその手紙のコピーを胸の
   ポケットに入れ、つらく厳しい任務の支えとしたそうです。
    実は今朝高速道路のPAで、本式典に参加する為に移動中の陸自の人(善通寺か松山の駐屯地だと思われます)とばった
   り出会い、私もささやかながら感謝の言葉をお伝えしました。一時期に比べれば少しはマシになりつつあるとはいえ、まだ課
   せられた職責の重さに相応しい名誉と待遇が与えられているとは思えない自衛隊です。私に出来る事はほぼ無いに等しい
   ですが、せめていち日本国民としての、心からの謝意は示したいものです。
    その後は来賓祝辞、来賓紹介、駐屯地司令による感謝状贈呈者の発表などが行われ、ここで部隊は一旦解散。観閲行
   進の準備に取り掛かります。


    まずは第14音楽隊が先陣を切り、パジェロに乗った観閲部隊指揮官が目の前を通過。第50普通科連隊第14施設
   中隊
の車輛が続きます。
    圧巻だったのが50普連各中隊の行進で、高知の特色なのか徒歩行進ではなく大量の高機動車と軽装甲機動車による、
   ド迫力の車輛行進
です。もの凄い数の車両ですね。そもそもこの四国で国防の一大事が発生する可能性はあまり高くなさ
   そうですし、万が一の事があれば第14旅団の戦力が迅速に行動できる様、常に長距離移動の体勢を整えてあるという事
   でしょうか。徒歩行進も普通科らしいマンパワーがあっていいですが、こういう怒涛の車輛行進も迫力あるなあ。


    続いて愛媛県松山駐屯地に駐屯する第14高射特科中隊からの、93式近距離地対空誘導弾81式短距離地対空誘
   導弾。
そして同駐屯地の第14特科隊からのFH−70榴弾砲がやって来ました。松山駐屯地も行ってみたいなあ。
    締めは岡山県日本原駐屯地から海を越えてやって来た、第14戦車中隊96式装輪装甲車74式戦車。ガロガロと
   エンジン音を響かせて、鋼鉄の車体をぐいぐいと前進させて行きました。


    この後の訓練展示の準備が整えられる間は、第14音楽隊による音楽演奏が行われます。曲目は『マルモ体操』『さくら』
   『栄光のかけ橋』の3曲。
ちなみに指揮者を務めるのは先任上級曹長です。幹部の人が務める事の多い指揮者職ですが、
   いかにもベテランらしい人がやると一段と見栄えがしますね。


    さて、いよいよ訓練展示です。先ずは会場周囲に設置された台地や山、川を模した部分の説明が行われ、どうやら会場
   東側の前の台に陣取った対抗部隊に対して、陸自部隊が西側から山や川を越えて攻め込むシナリオになっている模様。
    訓練展示開始のラッパが鳴り響き、上空にはOH−6D観測ヘリがやって来ました。頑張ってかなり低いところを飛んで
   くれていますが、いかんせんこの雨模様の上に濃いガスまで出て来たので、機体が白く霞んで見えます。


    その間に地上には第14偵察隊の偵察オートが展開し、高いジャンプで川を飛び越え、敵陣地に向けて威力偵察を実施。
   その隙をついて側面の山に潜入したレンジャー隊員が、山と山の間の川をロープで渡り始めます。雨で暗い上に迷彩服が
   背後の山々に溶け込んでいる
ので、アナウンスがあるまで全く気付きませんでした。


    一人目のレンジャーがモンキーでロープを渡り切り、二人目のレンジャーは上下に渡されたロープの間を歩いて渡ります
   が、それを発見した対抗部隊が銃撃を開始し、レンジャーはあえなくロープから落下。いやあ、命綱があるとはいえ、流石
   に何度見てもこのシーンはひやっとしますね。


    幸いレンジャーは銃撃に驚いて落下しただけらしく、すぐに命綱に足をかけてロープ上に復帰。素早く渡り切ります。
    その後2名のレンジャーは地上に滑り降り、付近の安全を確認したところで発煙筒に着火。それを目印にやってきたUH
   −1J多用途ヘリ
からは4名の増援レンジャーがロープ降下を開始。先に潜入していた2人と合流した後は、敵勢力後方へ
   移動して行きます。


    その間にやってきたFH−70榴弾砲が砲撃準備を開始。93式近距離地対空誘導弾81式短距離地対空誘導弾、120
   o迫撃砲RT
を牽引したトラックもやって来て、向こうの方では81o迫撃砲L16も組み上げられています。
    そして準備が整ったFH−70榴弾砲がドカンドカンと火を吹き始め、敵の陣地周辺に着弾。やけにカラフルな煙が噴き上
   がり、砲撃されているのに祝賀ムードに包まれます。


    しかしただでさえガスが濃くて視界が悪い中、次々と気前よく着弾煙があがるので視界が真っ白。その白煙を突き破る様
   にして74戦車が突入し、敵陣地に向けて空包発射!おお、今年一発目の74空包です。やっぱり腹に来るなあ。


    96式装輪装甲車も負けずにバリバリと空包射撃を行いながら突き進みますが、駐屯地自体が山間部を切り開いたすり
   鉢の底
にあるので、周囲の山々に砲撃音が反響して凄い迫力です。
    2輌の74式戦車は一気に敵陣地手前まで斬り込みつつさらに砲撃を浴びせ、普通科隊員を乗せた大量の軽装甲機動
   車
も怒涛の前進。おおおお、なんだか映画『メガフォース』を思い出してしまいましたよ。


    最後は96式装輪装甲車の後部ハッチから普通科隊員が一気に飛び出し、鉄条網を越えて敵陣地に突貫。見事制圧で
   す。いやあ、普通科車輛の特色を前面に打ち出した、50普連ならではの訓練展示でしたね。


    ただ、対抗部隊役の隊員さんがおらず、陸自側が一方的に攻め込むシナリオだったのがやや単調に感じました。観閲行
   進同様に普通科車輛に重きを置いた構成でしたが、隊員が車両から降りて突貫をかけるのも会場のかなり東端のあたり
   だったので、観閲壇や一般席西側にいた人からは遠すぎてちょっと分かりにくかった様な・・・。普通科と言えば、何と言って
   も質と量とマンパワーです。その辺りの見せ方を変えてみるのもまた一興かもしれませんね。
    この頃にはいつの間にやら雨も上がり、空も曇ってはいますが少し明るくなって来ました。


    さて、この後は昼休みです。お腹はもう一杯なので、1300からのレンジャー訓練展示まで駐屯地内をぶらぶらと見て回り
   ましょう。あちこちに行列が出来てお祭りらしくなった模擬店広場を抜けて、厚生センターに向かいます。PXもコンビニも詰
   めかけた人で一杯。通路の掲示板には、
    『演習場に自生している大麻草や芥子等を見つけても、絶対に触らない様に!』
    とのポスターが。なるほど、あるところにはあるんだろうなあ。これに比べれば、演習場で採れたタケノコを創立記念行事
   で販売している今津駐屯地
などはかわいい部類ですね。


    隊員食堂は休憩室として開放されていました。へー、中に入れるのは珍しいなあ。食堂前には糧食班からの掲示物が沢
   山あり、食事の満足度を高めるべく詳細なアンケートを実施している模様。朝昼夕ともに、8割以上の隊員さんが美味しい
   と満足
していて、高知の糧食の人達はかなり頑張っています。
    不満な点としてはボリュームが少ない、同じ献立が多い、魚料理が多い・・・という内容。ボリュームに関しては、極端に体
   を動かす隊員とそうでない隊員の差が激しい普通科駐屯地
ならではの現象でしょう。食堂の片隅に『好きなだけ食べな!』
   とばかりに卵豆腐らしき補強食が山積みになっていましたが、やっぱり一日中走り回る隊員さんは肉料理をどかっと食べた
   い
んでしょうね。


    同じ献立が多いのは、予算や人手、時間の制約が厳しい中で数百人分の三食を毎日作るとなると、どうしてもメニューの
   偏りが出るのは避けられないでしょう。それでも希望メニューの項目もあり、糧食の人達は隊員の希望に添えるよう努力を
   重ねている模様。
    しかし希望メニューアンケートの一位が握り寿司というのはちょっと無理がある様な(笑)。以下、あんかけ焼きそば、グリ
   ーンカレー、タコライス、うつぼタタキ・・・
という結果なのが面白いなあ。私はタイ料理が好きなのでグリーンカレーは大賛成
   ですが、半泣きの表情で食べる隊員さん達がまぶたに浮かびますね。そのほかの要望としては、
    ・スープカレーやナンはやめて、普通のカレーにして!
    ・お茶づけのもとを置いて欲しい!
    ・麺類が冷めてる!
    ・手ごねハンバーグが絶品!

    という意見が。カレーはベーシックでスタンダードなカレーがいいみたいですね。うつぼタタキやお茶づけは、やっぱり酒
   呑みが多い土地柄
なんでしょうか。大絶賛の手ごねハンバーグは、私も是非食べてみたいなあ。


    厚生センター2Fには隊員浴場『竜馬の湯』と、外部委託の『食堂なかむら』が。食堂なかむらのメニューはかなり居酒屋
   寄り
で、スチールキャビネットには焼酎パックのキープが。一本ずつに所属部隊名前が書いてあり、何故か岡山県日本
   原駐屯地の第14戦車中隊のものもありました。


    その後は式典会場に展示された車両装備品類を見て回り、レンジャー訓練展示が行われる隊庁舎西側へ向かいま
   す。会場は既にクローズが始まっていますが、再び雨が降って来た所為かそれほど人は集まっておらず、空いている最前
   列に陣取る事が出来ました。そうしている間にも雨はまた強く降り始め、空はどんどん暗くなってきます。うぬぬ。


    そしていよいよレンジャー訓練展示開始。司会役の完全装備のレンジャーが、マイクを片手に
    「みなさん、元気ですかー?」
    「ハーイ」


    まずは8階屋上からのロープ降下。一旦3階屋上の張り出し部分に着地しますが、8階屋上からロープで降りるって・・・
   想像しただけで足の裏がざわざわするなあ。レンジャー隊員は頭を真っ逆さまにして、まるで天井からぶら下がる蜘蛛
   様にスルスルと降りて来て、観客からは大きなどよめきが上がります。
    続いて今度は、8階屋上から2名同時にロープ降下。優に25〜30mはあると思うのですが、一体この人達はどういう
   鍛え方ををしているのやら・・・。凄いなあ。


    その後は3階部分に降りたレンジャーが2階の窓に飛びこんだり、壁面に対して垂直になって走り降りたり。観客からは
   短い悲鳴が上がりますが、地面直前でくるりと身を翻してスムーズに着地を決めて見せます。


    そして最後は、建物2階に立てこもったゲリラに対する掃討作戦展示。まずは小銃を背負ったレンジャーが2人、8階屋
   上から音も立てずに降下。一旦3階屋上に取りついた後は、2名のレンジャーのバックアップを受けつつ再び降下開始。
   一人は安全を確認した3階の窓から建物内に入り込み、もう一人は2階の窓際へと慎重に降りて行きます。


    2階室内を拳銃を構えながら偵察し、室内にゲリラの姿を確認したレンジャーはすかさず催涙ガスを投げ込み、3階から
   降りてきたもう一人のレンジャーが壁を蹴って一気に突入。催涙ガスを投げ込んだレンジャーも、体を捻り込むようにして
   突入です。


    立て籠もっていたゲリラは追われるように地上に逃げて来ましたが、3階屋上で待機していたレンジャーが射撃を浴び
   せて見事排除。


    仕上げは3階屋上から降りて来たバックアップのレンジャーがゲリラの生死を確認。その間も、もう一人のレンジャーが
   少し離れた場所から小銃を構えてバックアップを行っていました。


    以上でレンジャー訓練展示は終了。最後は司会のレンジャーが背負っていた背嚢からお菓子が取り出され、群がる子
   供たちに振舞われていました。
    いやー、降りしきる雨の中という危険なコンディションではありましたが、固唾をのんで見守る子供達にレンジャーの凄さ
   
をしっかりと見せつけた、シンプルながらも見事な訓練展示でした。ただ、司会役のレンジャーの解説が隣で行われていた
   74式戦車体験搭乗のエンジン音でやや聞こえにくかったのが残念でした。また、場面に合ったBGMを流すなどして、演
   出面でのひと工夫があっても良かったかもしれませんね。


    さて、このあたりで高知駐屯地を後にします。シャトルバスで駐車場まで戻り、少し時間に余裕があったので車で30分程
   の所にある、龍河洞という鍾乳洞に寄り路して帰りました。いやー私好きなんですよ、鍾乳洞。この怪しい雰囲気は堪らな
   いものがありますね。龍河洞は約10年ぶりですが、まさに地底の隙間を行くような感覚が最高でした。
    帰りは中国自動車道での渋滞にお約束の様につかまり、大阪市内の自宅に帰りついたのは22時前。今年一発目の陸
   自イベントは遠征になりましたが、瀬戸大橋、車中泊、鍾乳洞探索とおまけのお楽しみもあり、ずぶ濡れにはなりましたが
   非常に内容の濃い遠征でありました。


   《追記》
    実はイベントの最中に折り畳みイスを落としてしまい、総合受付で落し物の届け出が無いか確認したところ、係の隊員
   さんにとても親切に対応して頂きました。雨の中どこで落としたのか全く思い当たらず結局見つかりませんでしたが、その
   対応の素早さに、改めてお礼申し上げます。
    まだ生まれたばかりの駐屯地ですが、これからも地域にしっかりと根ざし、高知の人達にとって頼もしく誇らしい存在で
   あって欲しいと思います。頑張れ高知駐屯地! 




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